振り上げられた刃。放たれる拳。その二つが交差すると同時に音は遅れて聞こえ、空気は爆発し、迅真の刃は朱く染まる。
「(チィッ!ダーインスレイヴが熱すぎて持つのが辛い…!)」
一定数の振動で揺らされるという事は、ある意味電子レンジの中に入れられているのと同じ。つまり振動により剣の温度が上がっている。そのためその熱は迅真の手にすら被害を及ぼすほどの熱量となる。
少し危険を感じた迅真は迅真と閃鬼が発する音に紛れ込ませるようにして呪文を唱える。
閃鬼が回し蹴りを放ち、それを迅真がダーインスレイヴでガードすると、ダーインスレイヴを通して衝撃が迅真に直接伝わり、更に衝撃は迅真の中で増大し暴れまわる。
内臓がグチャグチャにかき回させる感覚。直後迅真は体内の衝撃の
「っらぁ!!『
叫ぶと同時、迅真の周囲に複数の小さな火球が生まれ閃鬼に襲い掛かる。閃鬼はその火球を全て一度の蹴りで破壊する。その際視界を埋めるほどの爆炎が上がり、迅真の姿が確認できなくなり、
直後、その爆炎を切り裂くように大剣が振るわれる。
「それくらい読んでるに決まってるだろうが!」
その大剣の腹に回し蹴りを入れて軌道を逸らす。と、そこで閃鬼は気付く。
ダーインスレイヴを持っている人物がいないことに。
「んな!?迅真はどこに…!」
閃鬼が探した時にはすでに遅い。
「もう準備は終わった。『八方鬼縛陣』発動」
瞬間閃鬼の身体を這うように無数のお札が走り、閃鬼の動きが止まる。同時、閃鬼を襲う数千数万の札。しかし、閃鬼はその状況に驚きはすれど、その顔に恐怖は微塵も無く、ただただ不敵に笑い、
「オラァァァ!!」
バンッ!と閃鬼を縛っていた札が爆散し、その勢いで周りを囲む札も殴り蹴散らす。
「クハハハハッ!!どうした迅真!お前らしくも無く遠距離武器なんて使いやがって!オラオラ、さっさと来いよ!本気でやり合うんだろう!?」
閃鬼が普段は見せないような狂ったような顔で笑う。と、唐突に閃鬼は背後へと蹴り上げる。
そこは何もいるはずが無く、ただ空を裂く。――――はずだった。
直後ドッ!と鈍い音がし、当たった感触があった。そう、そこには迅真が今まさにダーインスレイヴを振るおうとしていたのだった。
「ッ!…ッラァ!!」
腹部に走る衝撃に一瞬行動が止まりそうになるも、気合いで耐えてダーインスレイヴを振るうが、
ドッッッ!!という鈍い音と共に腹部の衝撃が全身を駆け巡り今度こそ迅真の動きが止まる。
その直後に閃鬼は体をひねり蹴りを一撃入れ、能力で身体へ伝わる衝撃の範囲と威力を倍増する。
そのあまりの威力に迅真の身体は少し揺らぐが、瞬時に影の刃を使って閃鬼を襲い、大地を隆起させ閃鬼から距離を取る。
「カハッ!ッハァ、ハァ……チクショウ、何だよ、あいつ随分と手加減してたんだな……ったく。能力を三、四個同時使用くらいじゃ勝ち目がねぇな。後二、三個くらいは使う必要があるか…?ククク。まぁ良い。そんなのは戦いながら考えればどうにかなる!」
迅真はそう呟くとダーインスレイヴを強く握り呪文を唱えつつ閃鬼に斬りかかる。だが閃鬼はとても冷静な表情で対応する。
まず振り下ろされた剣の軌道を逸らし、続く右足の蹴りを右拳で殴り飛ばし、吹き飛ばされた反動を使い放った迅真の回し蹴りを蹴り上げる。
「『
迅真の言葉より生まれた数十の火球は至近距離にいる閃鬼に向かって行き――――
「『
その言葉が聞こえると同時に閃鬼は爆炎に包まれ一瞬にして生まれた突風によって炎は消え去る。
「なん…………だと…………?魔法?」
「テメェだけの特権だと思うんじゃあねぇぞ?」
瞬間。迅真の顔面に閃鬼の拳がぶつかり、迅真は遠くに飛ばされる。
「(……閃鬼が魔力持ちだと?そんな気配全くなかったはず……それに、あの魔法を知ってる時点で……あぁ、なるほどな。やっぱりあいつは――――いや、そんな事を今確信したところでどうでも良い事だな。まずはあいつへの対抗策か。……いい加減封印解放するか。出し惜しみはしない方が良いな)」
飛ばされつつ迅真はそう結論付け、ダーインスレイヴを握り直し着地すると、居合の構えを取り、
「――――『闇よりいでし魔なる剣よ。戦乱を呼びて我が敵に死を与えよ。その肉を刃へと。その魂を力へと。全てを喰らいて混沌へと還す美しき刃と化せ』ダーインスレイヴ第二封印、王の
直後、勢いよく剣を振るうと、ダーインスレイヴが紅く光り出す。…いや、正確には、ダーインスレイヴを
「さぁ第二ラウンドだ。テメェの力。丸ごと喰らい尽くしてやるよ!!」
そう言い迅真は鞘を闇に喰わせ、赤い輝きを放つダーインスレイヴを片手に閃鬼へと向かっていく。
妖怪の山 大戦争編終幕へ…!