東方種変録   作:大神 龍

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第四十三話

 紅き刃が横薙ぎに振るわれる。閃鬼はその刃を見て嫌な予感がし、近くにあった石を蹴り飛ばしつつ上空に跳んで回避する。

 

 直後、紅い軌跡を描き刃が通る。その時閃鬼の蹴った石はその一撃に巻き込まれ、消滅(・・)する。比喩ではなく、文字通り消えた。

 

 しかし、閃鬼に思考させる暇を与えず、迅真は上空にいる閃鬼に切りかかる。さすがにまともにはくらえないと思った閃鬼は空を殴る。すると、閃鬼は拳を振るった方向からまるで殴られたかのように飛ばされる。

 

 それと同時に紅い光が先ほどまで閃鬼のいた所を裂く。それによって一瞬空間が歪んだようになったのを閃鬼は見逃さなかった。

 

「(空間が歪んだ?それに、あの剣が紅くなってから気圧が下がった。空気も薄くなったような気がするって事は、そう言う性能なのか?さっき石が消えたことから、ある程度のモノを消す力か?…いや、あの剣が紅くなる直前、あいつは詠唱をしていた。その中に答えはあるはずだ……)」

 

 考えている間にも何度か刃が振るわれるが、何とか後退しつつ回避をし続けていた。が、突然、ドンッ!と背中に衝撃が走る。驚いて振り返ると、そこには木があった。

 

 不味い。と閃鬼が考えると同時、紅い刃が振り下ろされる。

 

「っ!!」

 

 咄嗟に閃鬼は右に跳ぶが、動くのが少し遅れ左手が刃に巻き込まれる。

 

「ッガァァ!!!」

 

 切断された左手が痛む。が、叫んだのはそれだけが理由ではない。当たると同時に体から力が抜けたのだ。しかも、当たったのは左手の指の付け根辺りだったが、削り取られたのは左手首までだった。

 

 瞬間、閃鬼は全力でその場から逃げ、対抗策を考え始める。

 

「(あの剣の力は、紅く光る前の状態は治癒不可の傷を与える能力だった。だけど、今くらったので分かったのは、俺の左手やら力やらを喰われた(・・・・)って事か。さて、どうするか……とりあえずあの剣に当たったら即死モノ。クハハッ!楽しくなってきたじゃねぇか!!)」

 

 狂気的な笑みを閃鬼が浮かべると同時、それに呼応するかのように右目も紅く染まる。

 

 そして、閃鬼が一度、強く足踏みをすると、その振り下ろした足から少し前の地面から剣が出現する。その剣は透き通っており、光を乱反射させてキラキラと輝く。

 

 閃鬼はその剣の柄を掴み、迅真に向ける。

 

「対策なんか考えるのは戦いながらで充分だ。今考えるのは最大限楽しむこと。それだけで良い。行くぞ!」

 

 二人は同時に走り出し、剣の届く範囲に入ると同時に共に剣を振るう。紅い軌跡を描きながら下から上へと振るわれたダーインスレイヴが閃鬼の上が下へと振るわれた透明な剣に当たると同時、閃鬼の剣は当たった剣の中央付近から柄の方へ10㎝ほど、その上はすべて消え、閃鬼の身体を両断するように迫る。

 

 瞬時に閃鬼は右へと避け、左足で回し蹴りを放つ。しかし、それはその大きさの剣では確実に出来ないであろう不可思議な動きをしたダーインスレイヴに止められ――――否、喰われる。

 

「ッ!?」

 

 そのあまりにも不自然な軌道に驚き、喰われた左脚の痛みと力の減少に思わず膝を尽きかけるが、必死にこらえ、距離を取り、その際に壊れた剣を投げつけ、すぐさま地面を殴り再生成する。

 

 壊れた剣は当たり前の様にダーインスレイヴに喰われる。

 

「(さっきの軌道…あの剣が見た目通りの重さなら確実に不可能な軌道……喰うモノに制限は無いっていうのか?剣は一撃で使い物にならなくなった。…ん?そういえば、あいつの剣と衝突した時、なんで剣が全部消えなかったんだ?切っ先の方は消滅したのに……って、それが分かった所で俺の力じゃどうしようもねぇ。じゃあ、今出来る最善は――――…玉砕確実だが、これしか思いつかないな……やってみるか)」

 

 考えがまとまると同時、片足にも拘わらず俊敏な動きで迅真に近づき、剣を高く振りかぶり――――

 

 

 

 

 

 

 

 振り下ろすと同時、剣が朱くなり、ドロドロに融解して上から迅真を覆うように広がる。

 

 

 

 

 

 

「へぇ…?面白い事も出来るじゃんか。だが、無意味だ」

 

 不敵な笑みを浮かべた迅真はそう呟き、瞬間、数千の紅い光が見えたと同時、溶けた剣ごと閃鬼の身体は霧散する。

 

 

 

「王の顎門(アギト)。再封印式構築。食事を終了する。……ご馳走様でした」

 

 闇がダーインスレイヴを包み、封印を解く前と同じ黒い鞘が紅い刃を隠す。それを迅真は確認するといつものように闇の中に消すと、紫を探す。

 

 キョロキョロと見渡すと、遠くで地面に倒れてる紫がいた。迅真はそこまでスキマを使って移動し、声をかける。

 

「紫?大丈夫か?」

 

「う、うぅ…?あ、迅真さん。終わりました。ちゃんと10人以上は倒しましたよ。まぁ、最初の一人目が異様に強くて負けるかと思いましたけども」

 

「アハハ!そうか。まぁ良い。どの道お前は俺の指令をこなしたわけだ。良くやったな。これからも訓練を怠らない様に頑張れ」

 

「はいッ!」

 

 迅真の言葉に満面の笑みを浮かべつつ答える。そして、迅真は手を高く上げ、

 

 振り下ろすと同時に結界が砕け散った。




 やっと戦闘終了……正直こんなに長くする予定じゃなかった。

 よしっ!次回はほのぼのなものを書けるように頑張ろう!
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