東方種変録   作:大神 龍

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第五十三話

「……なんか来たな」

 

 いつの間に起きたのか、迅真がそういう。その声に反応し、紫も起きる。

 

 雨は止んでいるようだが、未だ空は曇天のままだ。

 

「ねぇ迅真……私が戦いんだけど、いい?」

 

「へぇ?なんでだ?今まで後ろに下がっていたのが不満だったのか?」

 

「分かってるなら聞かないでよ。それで、お願いがあるんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

「このリボンを外してくれない?これ、封印札だから正直邪魔なの」

 

 そういってそのリボンに触ろうとしたルーミアの手は、リボンに触れると同時に弾かれる。

 

「なるほど。パッと見、強力な札だな。まぁこんくらいどうってことないだろうけど…な!」

 

 リボンに触れると同時に発生した静電気のようなものを喰らいながらも、リボンを解く。それと同時にリボンは宙に溶けていく。

 

 すると、突如としてルーミアを闇が包み込み、それは少し浮いて迅真から離れると、地面に勢い良く落ち、外装である闇の部分だけが呑み込まれる。

 

 そこから出てきたのは、160㎝位の腰くらいの長さの金髪のルーミアをまんま成長させたような女性。しかも、服装がルーミアと全く同じことから、同一人物で間違ってはいないだろう。ただ、その周りには黒い闇が羽衣のように展開されていた。

 

 だが、一つ疑問が浮かんでは来ないだろうか。『なぜ成長してるのに服が同じままなのか』という事に。

 

「……ねぇ迅真。ちょっと聞いていい?いや、別に私にとっては嬉しい事なんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

「その……なんで服が無事なの?」

 

 なぜかすごい真剣そうな表情で聞いてくるルーミアに、迅真は思わず笑ってしまいそうになるが、なんとかこらえ、

 

「そ、それはな…それを作った奴らが『伸縮機能付けたら良くね?』『いいな!それ採用!!後で迅真とかを使って着せ替え人形しよう!』って言い出したのが原因だ。ちなみに、話の流れ的にわかると思うが、その服は一応俺も着てる」

 

「……聞くんじゃなかったわ。おかげですごく恥ずかしいんだけど」

 

 顔を赤くしているルーミアを見つつ、迅真はハハハ…と笑うが、その直後、目の前から3体ほどの妖怪が出てきた。

 

「グゲゲゲゲ!今日の獲物は4匹ですぜ!兄貴!」

 

「ククク、そうだな。さぁ、狩りを始め――――」

 

 その先の言葉をそいつらは紡ぐ事が出来なかった。

 

 何があったのか。それは至極簡単なこと。ルーミアに敵意を向けられた。ただそれだけである。

 

 なぜその程度で言葉を紡ぐ事が出来ないのか。それは、『蛇に睨まれた蛙』という言葉が一番似合うだろう。

 

 自身より圧倒的に莫大な力を持ったモノに敵意を向けられたらどうなるか。つまりそういう事である。強力な力を持ったルーミアに睨まれた彼らは蛙宜しく、完全に硬直してしまったのだ。

 

 だが、ただ硬直したのではなく、悲しいことに彼らの心臓は鼓動を止めていた。彼女の力が強大すぎたため、明確な死を無意識のうちに自覚した魂は、その肉体を諦め離れたからだった。

 

「……はぁ、貧弱すぎるでしょ。普通睨まれただけで死んじゃう?」

 

「いやいや、今の奴らがあまりにも弱かっただけだろ」

 

 すごく不満そうな表情で文句を言うルーミアに、迅真は突っ込み、同意を求めようと他の二人に目を向けると、

 

 

 

 

 二人は震えながら、真剣な眼差しでルーミアの行動を全力で警戒していた。

 

 

 

 

「……残念ながら、こいつらもお前の事を全力で警戒してるぞ?」

 

「うそ……そんな馬鹿なこと――――あるみたいね。はぁ、まさか弱気の1%でこんな態度をされるなんて思わなかったわ」

 

 その言葉に、迅真は全身に鳥肌が立つ。弱気の1%。つまり、最低でも2段階、最悪4段階中の最低中の最低減の力しか出しておらず、そのうえ、その状態で弱小妖怪の心臓を止めるほどの威圧感を出したという事だ。もしこれが本気だったのならば――――考えるだけでも恐ろしい。

 

「まぁ、別にお前の事を嫌うやつがいようと関係ないだろ?俺がいればさ」

 

「……確かにそうだけど……なんか、封印されてた方がよかったみたいね」

 

「俺はどっちだって構わねえさ。だって、どっちも同じルーミアだろ?なら、お前の好きな方にしろよ。俺はそれを受け入れるし、お前の意見を無視する奴はお前が望めば潰してやる。お前が望むなら俺のできることは全て叶える。俺の全てはお前が握ってんだ。で?どうする?お前が望めば封印アイテムを作るけど?」

 

「そうね……いや、いいわ。押さえておけばばれる事は無いでしょ」

 

 そういうと、ルーミアの周りにあった闇はルーミアに集まっていき、ルーミアに触れると同時に溶けるように消える。

 

「そうか。お前がそういうならそうしよう。じゃあ、また適当に目的地のない旅を続けるか?それとも今日はここで休むか?」

 

「ん~……そうね。今日は少し調子がいいからもう少し歩き回らない?」

 

「いや、それはさっきまで寝てたからじゃないのか?」

 

「まぁいいじゃない。ほら、行こうよ」

 

「それもそうだな。お前らはどうする?ここで別れるか?」

 

 紫たちに聞くと、少し警戒を緩め、だがしかしルーミアを見据えたまま、

 

「わ、私はここで失礼させていただきます。ではまた。ごきげんよう」

 

「わ、私も紫さんについていきますね。迅真さん。またいつか会いましょう」

 

 そういうと、紫は自分と緑の足元にスキマを開き、逃げるように消えていった。

 

「……なんか、変な反応だったな。まぁいいか。じゃあ行こうか」

 

「えぇ。これからもよろしくね。私の優しい主様」

 

「こっちこそだ。俺の愛しいお姫様」

 

 互いの手をつなぎ、二人は森を抜け、再び街道を歩いていくのだった。




 なんだこの回。途中から胃が痛くなったんだが……とりあえずこれだな。

 爆発しろ!!(^_^メ)ピキピキ 


そして!現在コラボ参加者が4人…!!前回から驚くほどに増えた事に喜びを隠せません(*'▽')

 というか、2人めが来てくださった瞬間に騒ぎすぎて家族からうるさいという苦情が…

迅真「お前、馬鹿だろ。確かに嬉しい事だけども、そこまで喜ぶか?」

 君には分からないと思うよ。この気持ちはね。

 参加してくださった4名様、ありがとうございます!それと、まだコラボは募集していますので、気になった方は活動報告を見てみてくださいね。

 次回もよろしくお願いします(`・ω・´)
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