東方種変録   作:大神 龍

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 夏休みスペシャルのおまけ投稿だゼ(`・ω・´)

 なので今回でスペシャルは終わりで次回からいつもの修一土曜投稿に戻ります。本当は昨日で終わりのつもりだったけど、何となくなろうの方の作品と和数を合わせたかったので投稿しますた(。-`ω-)後悔はしてない。反省などするはずもない!(`・ω・´)


第五十八話

 外に出た二人はある程度距離を取る。

 

「本当に良いんだよな?がっかりするなよ?」

 

「もうそれは良いよ。とりあえず早く結界張って?」

 

「分かった」

 

 いつもの手順で結界を張った後、改めてルーミアを見つめ、

 

「いいぞ、何時でもかかって来い」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

 一瞬だった。言葉が終わると同時にルーミアは迅真の前にすでにおり、普通の回避行動はこの瞬間消え失せる。普通(・・)の回避行動は。

 

 瞬間振り下ろされた必殺の一撃(つめ)は、虚空を切り裂くことになった。

 

 あの一瞬でテレポートをしてルーミアの背後に回り込んだだけなのだが、その一瞬の隙を逃さず迅真は瞬時に作り上げた霊剣でルーミアを斬ろうとする。

 

 だが、その直後現れた大量の影の刃に気付き反射能力(アクセラレータ)を使用して弾く。が、そこで終わりだった。

 

 瞬間流れ込んできた恐怖、嫉妬、呪、様々な負の念に演算をかき乱され、二撃目の刃を回避することが出来ず――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気付くと、仰向けになって青空を見ていた。体に残る違和感から、自分が負けて結界から弾き出されたのだと理解する。

 

「……二撃目までは耐えたな。まぁ上出来な方だろ」

 

 本当はもう少しうまくやれたはずだ。内心そう思いつつも変わらない現実を前にそう言うしかなかった。

 

 たぶん今まで俺が倒してきた奴らもこんな気分だったんだろうな。と考え、自然ににやけてしまった。

 

「迅真、大丈夫?」

 

 顔を覗き込みながら聞いて来るルーミアを見て何とも言い難い気持ちになるが、

 

「あぁ、大丈夫だ。結界があったから無傷だよ」

 

「そう。じゃあもう一試合ね」

 

「は?」

 

 思わず聞き返す。それもそうだろう。どうして今終わったばっかりの戦いをもう一度しなくてはならないのか。

 

「は?じゃないわよ。迅真さぁ、全くやる気なかったでしょ。いつもの覇気がないもの。何年一緒にいたと思ってるの?」

 

「…………」

 

 迅真は何も言えなかった。ほぼ図星だったからだ。確かにルーミアとの力量差はかなりあって勝てないと確信していた。だが、それでもいつもの彼なら全力で戦っていたはずだ。では何故それをしなかったのか。

 

「大方、私が相手だからって思って余計に力を出さなかったんでしょ?」

 

「…………………」

 

 なるほど。と彼は思った。たぶん自分は無意識にルーミアを傷つけたくないと思っていたのだ。だからあんなにもあっさりと負けた。時間にして2秒あっただろうか。なら、ここまで言われたのなら答えはたった一つだ。

 

 

 

 

 

「分かった。もう一度だ。もう一度戦ってくれ。次は全力でお前を倒す」

 

 

 

 

「良い返事ね。じゃあ早く始めましょう」

 

 迅真は立ち上がるとルーミアから離れ、本日二度目の結界を発動する。

 

「さぁ、見せてやるよ。本気の俺って奴を!」

 

 瞬間、先ほどと同じようにルーミアは迅真との距離を一気に詰める。だが、迅真は先ほどの様に回避せず、むしろ肩の力を抜いた状態で構え、

 

「『反射神経(オートパイロット)』『一方通行(アクセラレータ)』」

 

 迅真の心臓を今まさに貫かんとしているルーミアの攻撃にカウンターとして拳を合わせて自分はダメージを喰らわず、だが相手には確実に数十倍の威力になっているもはやバズーカと呼んでも問題ないほどの一撃をルーミアの顔面にぶつける。更に、同時に発動させていた『反射』の能力で自分にかかる負荷も相乗させていた。

 

 それを真正面から受けたルーミアは地面を何度もバウンドしながら吹き飛ぶ。

 

 迅真はすかさず追撃する。

 

 彼は詠唱せずに無数の炎の矢を生み出し射出する。

 

 本来彼が魔法を使えるようにする為の存在ベースをちゃんと選択すれば詠唱は必要ない。性能ベースを人間にしていたのが詠唱を必要とする原因であり、その世界の上位固体である魔族になれば何ら問題は無い。

 

 そうして放たれた矢は、純魔法体である魔族に変化した彼の性能で強化されており、今までの中で最高火力を誇っている。

 

 そして、その矢はルーミアに向かって突き進み――――

 

 

 

 

 

 

 直前に現れた影の刃達に切り刻まれ霧散する。そして、ルーミアはすぐさま起き上がり迅真に目を向ける。

 

 が、彼はすでに目の前に迫っていた。その体には黒いやけどの跡のような文様が出来ていた。

 

「『光化静翔(テーマソング)』」

 

 気付いた時にはいつの間にか全身に打撲傷を負っていた。

 

 だがそのどれもが浅く、致命傷になる傷はどれ一つなかった。

 

 瞬間、ルーミアは恐ろしい速度で動く迅真の右腕を掴むと、地面に叩き伏せる。

 

「光速移動系能力の模倣って事。でももう種は割れたわ」

 

 『光化静翔(テーマソング)』。それは確かに光の速度で移動する能力だ。ただ、忘れてはいけない。彼女、ルーミアは闇なのだ。光すらも侵蝕する闇。ならば必然的に光に勝てるわけがない。

 

 そして、ルーミアの言葉に呼応するように現れた影の刃達は瞬時に迅真の事を切り裂きに行く。

 

 だがこのような状況には何度も会った事がある。その時との差は迫る攻撃速度の差位だ。ならば後は脳の処理速度を上げるまで。

 

 だが、襲い掛かる無数の刃はドスッ!という鈍い音をたてて突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その刃を操るルーミアの背中に。

 

 

 

 種を明かせば簡単。彼は刃一つひとつにスキマを作り、その全てをルーミアの背後にスキマを開いて放出したというだけ。

 

 しかしさすがに自分の攻撃が背後から来ることを考えていなかったため、一瞬力が緩み、その隙を逃さず迅真は脱出して距離を取る。

 

「ケフッ……中々やるじゃない。でもこれで終わりじゃないでしょ?」

 

 30秒経過した。あの攻防はその程度の時間の中で行われていたのだ。

 

 迅真はにやりと笑う。

 

 さぁ、楽しい戦いを続けよう。

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