東方種変録   作:大神 龍

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第五十九話

 瞬時に迅真はダーインスレイヴを生成すると瞬時に唱える。

 

「――――『闇よりいでし魔なる剣よ。戦乱を呼びて我が敵に死を与えよ。その肉を刃へと。その魂を力へと。全てを喰らいて混沌へと還す美しき刃と化せ』ダーインスレイヴ第二封印、王の顎門(アギト)解放。捕食を許可する!」

 

 紅く光り出したダーインスレイヴを携え迅真は再度『光化静翔(テーマソング)』を使用してルーミアに突撃する。

 

 そして、光の速さで振るわれた捕食の剣は――――

 

 

 

 

 数千、数万の影の刃に止められる。

 

 彼の捕食の剣は、彼自身がやったように影の刃は喰えない。なぜなら、そもそも何も存在しない無そのモノである影は捕食のしようが無い為だ。ルーミア自身もそれを理解した上で影の刃を仕向けた。

 

 本当に彼女は彼の事を見ていたのだ。その能力、そして、その弱点の全てを。

 

 次の瞬間、ルーミアは自分の手元に生み出した50cmほどの闇から何かを引き抜く。

 

 それは、刃渡り40cm、全長1mほどの黒い剣だった。それは、奇妙な文字のようなモノが彫られていた。その文字は、不気味に紅く輝いていた。

 

 瞬間。迅真の全身から嫌な汗が噴き出る。

 

 討たれる。狩られる。殺される。そして、喰われる。心拍数が急激に上がる。全身の細胞がその存在から離れろと警報を鳴らす。心を恐怖が(むしば)む。

 

 同時に、二人を閉じ込めるように無数の闇が生まれる。その全てが殺傷性があるモノだと直感的に理解する。逃げ場はない。死なないためには殺すしかない。選択肢を奪われた。

 

 立て続けに影の刃が迅真を襲う。

 

 彼は必死に回避する。右へ、左へ。だが、途中で気付く。

 

「(行動が…読まれて、いや、操られてる!?ルートは確実にルーミアの所だ!)」

 

 瞬時にそう見極めると、今度は回避をするのではなく立ち向かう。影の刃の全てを鳳花の能力でコーティングして閃鬼の能力で強化した拳とダーインスレイヴで叩き割る。

 

 それでも足りないものは反射させ、隙があればスキマを使って反撃。だが反撃は全て躱される。やはりこちらの手は読まれているようだった。

 

 迅真は刃を処理しながらあたりを見渡す。見つけた。ルーミアの背後にある人が一人分は入れる隙間を!

 

 直後、迅真はテレポートでその隙間に滑り込むと、全力でダーインスレイヴを横薙ぎに振るう。

 

 だがそれでも足りない。ダーインスレイヴとルーミアの間に入り込んだ黒い剣が全力の一撃を阻止する。

 

 しかも、全力で振るったダーインスレイヴを弾いただけでなく、ルーミア自身は全く動かない状態で剣だけを動かして反撃してくる。

 

 迅真は瞬時にテレポートをして回避。だがまだ足りない。隙間があったのは斬撃の直線状だった事に気付かなかったのが失敗だ。

 

 直後、ゾンッ!!!という音と共に腹部に激痛が走り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念。ダミーだ」

 

 ルーミアの正面に現れた迅真は再度ダーインスレイヴを振るう。だが、彼は気付く。不敵な笑みを浮かべるルーミアに。いつの間にか首元に迫っている黒い剣に。

 

 だが迅真はその刃を影の刃で受け止める。しかし、影の刃は砕け散り再び迅真へと迫り、瞬時に迅真はその場に伏せて回避する。

 

 直後迅真の周りから小さな水の粒が大量に出てきて、更に付近の雑草もふわりふわりと浮かび上がると、

 

「『百鬼漸殺』」

 

 その葉と水が刃のようになりルーミアを襲う。

 

 だがルーミアは自身の足元から影の刃が現れ、その全てを切り裂く。

 

 しかし、刃は不自然に迅真を避けて切り裂いていた。それにもう少し早く気付ければ…

 

「100%……200%……」

 

 迅真の気配が強くなる。

 

「400%……600%……」

 

 ルーミアは半歩下がる。

 

「800%……1000%!!!!」

 

 いつもの何倍、何十倍にも膨れ上がった彼の全力の一撃は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――まだ足りないわ」

 

 

 その数千倍の力によってねじ伏せられた。

 

 ジャスト1分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気付くと、青い空が広がっていた。

 

「……また、か。チクショウ……敵わねぇなぁ……」

 

 心の底から悔しそうに彼は呟く。そんな彼を覗き込むルーミア。

 

「お疲れ様。中々やるじゃない。さすがにあそこまで追い詰められたのは久しぶりよ。まさかストームブリンガーを使うことになるなんてね。思わず無意識に使ってたわ。いやぁ、それにしても本当に久しぶりに楽しい戦いだったわ~。また今度やりましょうよ。それまでにもっと強くなってなさいよね!」

 

 本当に、本当に満足そうな、楽しそうな笑みを浮かべるルーミアに、思わず笑みがこぼれる。その時に思ったのは、悔しい、というよりも、自分は彼女に認めてもらえるほどの強さを持っていた、というある意味安心の様なものだった。

 

「は、ハハハッ!あぁ、またやろう。ただ、俺がちゃんと成長するまで待っててくれよ?じゃないとお前に勝てなさそうだからな」

 

「もちろん待つわ。何年、何十年、何百年経ったとしても私は貴方の挑戦を受ける。だから、ほら。早く立ちなさいよ。何時までも寝転がってたら何時になっても私に勝てないわよ?」

 

 笑って手を差し伸べるルーミアを見て、彼は思う。幸せだな。と。

 

 彼はルーミアの差し伸べた手を掴んで起き上がる。

 

「俺は絶対お前を越えてみせる。約束だ。この約束がある限り俺はお前と共にいる。何かあったとしてもな」

 

「あら。じゃあ貴方が私を越えたら私は捨てられちゃうの?」

 

「ふざけんな。そしたらまた違う約束を取り付けてやる。そして、おまえに拒否権は与えないからな。絶対守らせてやる」

 

「フフフ。楽しみに待ってるわね?」

 

「おう。楽しみにしとけ。俺はその想像を超えてやる」

 

 二人は本当に楽しそうだった。幸せそうだった。

 

 その二人を見ていて香はふと思う。

 

「(俺、存在忘れられてるような気がするんだが、コレ絶対気のせいじゃないよな)」




 残念。気のせいではなく現実だ。

 かなり派手な戦闘してた気がするけど消化不良な私がいる……。だめだな。まだ迅真の性能が低い……

 じ、次回も頑張ります(`・ω・´)
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