まず動いたのは妃香梨。瞬時に距離を詰めると迅真の心臓に向かって拳を放つ。
迅真は咄嗟に伏せてそれを躱し、妃香梨が至近距離まで近づいてきた瞬間に跳びあがるように殴り上げる。
だが、妃香梨は体を左に捻って射程範囲から抜け出すと、迅真の振り上げた腕を掴んでそのまま勢いよく回転して投げ飛ばす。
不自然な体勢からの投げ飛ばし。相当な力を必要とするその一撃を、しかし迅真は空中で体勢を立て直し着地してダメージを殺ぐ。
もちろんこれで 終わるはずがない。妃香梨は再度距離を詰めると、目の前で一気に減速し頭を吹き飛ばすつもりで腕を振り上げる。
迅真は即座に上体を軽く反らし躱すと、思いっきり頭を振り下ろして妃香梨の顔面に向かって頭突きする。
さすがに予想していなかったその攻撃。しかしそれでもすぐに対応して逆に同じように頭突きをすることでダメージを相手にも響かせる。
ドガッ!!という音を出しながら両者は頭突きの威力で身体を反らす。が、瞬時に体勢を立て直しほぼ同時に右拳を相手に向かって突き出す。
その拳は、妃香梨の拳の方が迅真の顔に近い所に飛んで行き、迅真の頬を浅く切る。だが、迅真の拳は掠りもしない。
それを認識するよりも早く迅真は妃香梨の頭を掴むと自分の後ろの方の地面に向かって叩きつける。
迫る地面。しかし、彼女は素早く受け身の体勢を取ると前転して威力を消す。
前転の勢いそのまま飛び跳ねるように立ち上がり、体を反転して迅真に殴り掛かる。
迅真はその拳に合わせてカウンターを狙う。
だが、妃香梨は寸前で拳を引っ込め、進む威力そのまま回転して回し蹴りを放つ。
それで一瞬迅真は驚くが、すぐに狙いを変えて彼女の足を狙う。
ズガンッ!!と音を立てて迅真は吹き飛ぶ。
あの一瞬、彼の拳は彼女の足に確かに当たった。が、『不思議な壁』にぶつかり跳ね返されたのだ。
それによって迅真は彼女の蹴りを正面から受け、吹き飛んだ。
瞬時に迅真は相手の能力だと確信し、その能力を考える。だが、現状では情報が足りない。なので、彼も能力を使う。
生み出すのはいつものように影の刃。向かうは妃香梨。無数の影の刃は彼女を切り刻もうと突き進む。
だが、その刃は全て彼女から少し離れた所でピタリと止まる。
「(速度を奪う…鳳花の様に表面に障壁を張る……いや、待て。そもそも、
そう思うが早いか、彼は能力を使い彼女の能力を見る。そして、
「…………」
絶句。それ以上の言葉は無い。彼女の能力を見た彼は、無理かもしれない。と思った。
『ありとあらゆるものを拒絶する程度の能力』
彼女のその能力に対抗する手段がほとんど、というより一つくらいしか思いつかない。
方法は一つ。それも完全に賭け。なぜならその手段は今さっき手に入れたのを使うからだ。
そう、彼女の能力で『拒絶を拒絶』する。それで能力を無い事にするしかない。
そもそも彼女自身の能力が彼女に効くのか。効くとして、能力を暴走させないか。
そう考え、迅真はこう思う。
「(あぁ…最高に盛り上がって来たじゃねぇか!)」
それで十分。むしろそれ以外は邪魔だ。純粋に楽しむ。それだけを彼は思いいつもの様にダーインスレイヴを取り出す。最初に武器の使用は許可されていた。
彼はダーインスレイヴを地面に刺し封印を解く。
「――――『闇よりいでし魔なる剣よ。戦乱を呼びて我が敵に死を与えよ。その肉を刃へと。その魂を力へと。全てを喰らいて混沌へと還す美しき刃と化せ』ダーインスレイヴ第二封印、王の
刃は紅く輝く。地面を喰らう。空気を喰らう。重力を喰らう。さぁ、拒絶は喰えるか否か。
にやりと笑い、彼は妃香梨に突っ込み剣を振るう。
風切り音も無く振るわれた斬撃は、後ろではなく前に跳ばれ躱されてしまう。心臓に向かって来る彼女の掌底。
瞬時に彼は彼女の背後にテレポートをし、再度振るう。
その速度で振るったにも拘らず、彼女はその場に伏せて回避して背後にいる迅真の足を払い転ばせる。
瞬間、彼女は下から上へ、迅真の肝臓部分を狙って拳を放つ。そのタイミングを狙って彼女の能力を発動させ、攻撃を拒絶する。
それによって一瞬彼女の攻撃は止まるが、次の瞬間には拳は振り下ろされていた。
ズドムッッ!!という重い音がして彼は地面に埋まる。
「カハッ!」
空気が全て出て行く。攻撃を受けた部位が悲鳴を上げる。のた打ち回りそうになるほどの痛み。だが休む暇も無く彼女が再度拳を振り下ろす。
迅真は咄嗟にテレポートで彼女の数m後ろに移動して回避する。あの場合反射を使っても無意味だ。拒絶されてそのまま通る。だが、こちらも収穫はあった。
『彼女の能力は彼女自身にも有効』という事だ。それが分かったのなら後は食い散らかすのみ。さぁ、捕食の時間だ。
瞬時に剣を水平に持ち突きの体勢になると突撃する。
彼女はそれに気付くと同時に体を反らしながら体を反転させ迅真の顔を掴もうと手を振るう。
だがそれよりも速く、迅真は剣を下に叩き落とすように振るう。
回避不可。絶対必中の一撃は、
しかし、いつの間にか背後に回り込んでいた妃香梨に後頭部を蹴られ吹き飛ばされる。
「!?」
先ほどまでそこにいた彼女の姿は掻き消え、そこに残っているのは何もなかった。幻覚。おそらくそれだ。何時だったか、似た様な状況に陥った事があり、それと全く同じ感覚。
二度も引っかかった事で自分自身に怒りが湧くが、それよりも早く体は動いていた。
体勢を立て直し、瞬時に背後へ斬撃を飛ばす。
だが無駄だ。すでにそこに彼女はいない。いや、正確には見えなかっただけだ。
直後、下から上へと突き抜ける腹部への痛み。その衝撃で全ての生命活動は停止する。
「…………マジか…」
つい最近見た、あの青空が無情にも視界を埋め尽くしていた。
「大丈夫?」
そう言って聞いて来る妃香梨を見て、迅真は跳び起きる。
「あぁ、問題ない。ほら、お前に切られた頬も完治してるだろ?」
「まぁ確かに……」
「な?取りあえず、これが結界の力だ。これでお前の修行も捗るだろうさ。それじゃ、元の世界に送るぞ」
「お願いするわ」
「おう。あ、そうだ」
「ん?何?」
「絶に伝えてほしいんだが、いいか?」
「え?あ、いいよ」
「じゃあ一つだけ」
そう言うと迅真は一拍開けて、
「『お前の計画を手伝わせろ。断るならそれでいい。だが、これだけは憶えて置け。俺はお前の不可能を覆してお前とお前の中の奴らを救ってみせる』」
真剣な表情で彼はそういい、次の瞬間にはまた笑顔に戻って
「じゃ、またいつか会おうぜ」
「えぇ、またいつかね」
そう言って、妃香梨は迅真の作ったスキマの中に入って行った。
そして、妃香梨を見送った後、迅真は空を見上げて、
「あ~……くそ、負けないと思ってたんだけどなぁ。ったく、これじゃ紫に何も言えないな。俺も修行するか。香辺りなら手伝ってくれるだろ」
「私も手伝うわよ?」
背後からかかった声を聞いて振り返ると、そこにはルーミアがいた。
「えっと…どこから見てた?」
「最初っから。正確には紫のスキマからあの子が出て来た辺りからかな。もちろん迅真が負ける所も見てたわよ?」
それを聞いて、顔を引きつらせる迅真。格好の悪い所を見られたのだから無理もないだろう。
「全く、異世界からのお客様なのに私を呼ばないってどういう事よ」
「いや、家の中にいなかったし……しょ、しょうがないだろ?」
「嘘吐かないの。貴方は普通に私を感知できるでしょう?」
「……う、うるさい。別に問題は何もないだろうが」
「大問題よ。私の大事な人が自分の知らない内に知らない女と話してるんですもの。うっかりそいつを殺しちゃったっていいかしら?」
「すまん。俺が悪かった」
「よろしい。じゃあ家の中に戻りましょうか」
ルーミアに連れられて、迅真は家に向かうのだった。
咲き人さん、コラボありがとうございました!
それにしても……迅真が負けるとは…Σ(・ω・ノ)ノ!
「うっさい。仕方ねぇだろうが。そもそも初見の能力を完全に使えるわけないだろ?」
まぁ、そうかもしれないけども…それでも勝つのがおまえだろ!?
「無理に決まってんだろうが!あの能力に敵うのはあの能力自身だけどそこまでだしそもそも基礎スペックが段違いだ馬鹿野郎!!」
ぬぉ!ば、馬鹿じゃないし!脳足りんなだけだし!
「だめじゃねぇか!文句言うなよ!」
グハァ…(ドサァ)もういい、ふて寝するもん。
「ふざけんな。やることやってから行け」
あ、そうだった。(スクッ)
では改めて、咲き人さん、こらぼ本当にありがとうございました!(`・ω・´)ゞ
後、変なフラグ建てちゃいました。すいません(。・ ω<)ゞてへぺろ☆(回収してくれてもいいのよ…?
そして、次回はreiraさんとのコラボです!よろしくお願いします!(`・ω・´)
まぁ今のお前のステータスじゃ勝てないのは知ってたけどね。
「おい」