東方種変録   作:大神 龍

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 前回に引き続きreiraさんとのコラボです!

 よろしくお願いします!(`・ω・´)ゞ


第六十四話 コラボ 2‐2‐2

 戦闘開始の合図と共に迅真は一枚の札を掲げ、

 

「最初っから行かせてもらうぜ。火矢『炎の矢(フレア・アロー)』」

 

 瞬間、迅真の背後を始めとして周囲を無数の火炎で作られた矢が囲む。

 

 絆がそれに驚き一瞬動きを止めると、その全ての矢は別々の速度で迫ってくる。

 

 だが絆はすぐに気を取り直すと冷静に見極め空を飛んで躱していきながらもしっかりと反撃の霊力弾を放つ。

 

「あらら。やっぱりこんなんじゃ効きはしないか。そもそも遠距離はあんまり得意じゃないしな」

 

 困ったように言いつつも放たれた霊力弾をひらりひらりと舞うように躱していく。

 

 それを30秒続けていると、唐突に火矢の数が倍に増える。

 

「わわわっ!?」

 

 さすがに処理が間に合わなくなってきたのか、かすり始める。

 

 しかしそれでもしっかりと反撃してくるところを見ると、意外と余裕があるのかもしれない。

 

「くぅっ!勿体無いけど、使っちゃいます!絆『マスタースパーク』!!」

 

 絆が両手を合わせて構えると、彼の服が魔女のような服装に変わるとともに極大の七色の光が火矢を全て消し去って行く。

 

 迅真はその光を見た瞬間全力でその場を離れる。直後迅真の真横を通り過ぎて行く極光。

 

 その光が消えた時には迅真のスペルカードの光も消えており、火矢はもう出なかった。

 

「ハハハッ!ビビったわ。まさかあんなものが出て来るなんて…意外と楽しいな。んじゃ二枚目だ!模倣『ゲート・オブ・バビロン』!」

 

 掲げた二枚目の札が光るとともに、迅真の目が金色に変わる。

 

 直後空間を裂いて現れた大量の目がある空間――――スキマから大量の様々な形をした武具が出現する。

 

 ズドッ!と空気を裂き、又は押しながらその武具は射出される。だが中にはゆっくりと進むものもあり、動き的には先ほどのスペルカードと変わりは無いように見えた。

 

 が、わざわざ弾幕の形を変えるためだけに迅真はスペルカードを二枚も作らない。

 

 絆が先ほどと同じように早く飛んでくる弾幕をゆっくりと動いている弾幕の方に避けた瞬間、先ほどまでゆっくり動いていた弾幕が突如加速し絆に向かって突撃する。

 

「っ!?」

 

 だが彼はいくつもの弾幕を潜り抜けた猛者。それが今さっきルールを覚えたばかりの迅真に負けるはずはない。

 

 寸前で身体を大きく反らし弾幕をスレスレで避けると、すぐに体勢を立て直し周囲を確認する。

 

 その時、このスペルカードの本質に気付く。

 

 このスペルカードは一定の時間動くと速度が変化する。しかも先ほどのスペルカードと中途半端に似ているせいで初見だと同じ弾幕だと思って躱せずに直撃するような仕組みになっている、いわば初見殺しの様な技だった。

 

 そう分析していると、30秒経過。弾幕の量は二倍に膨れ上がる。

 

 絆はすぐに使えるように一枚スペルカードを右手に持ち、回避しながら霊力弾を放ちかえす。

 

 途端、全ての弾幕が速度を失う。

 

 突然の事に絆は驚くがどうにか減速して止まる。と、その時に気付く。

 

「(表面を全部覆われて他の弾幕が見えない!!)」

 

 だがもう遅い。パチンッ!と乾いた音が響くと同時、速度の全く違う刃が絆を襲う。

 

「っ!ダメ!合絆『魔理沙人形マスタースパーク』!」

 

 宣言と同時に絆の周りに人形が多数出現しその一つ一つが七色のレーザーを放ち全ての弾幕を打ち消す。

 

 迅真にも何本か向かうが、余裕の表情で躱す。

 

「良いぜ良いぜ!まだまだ始まったばかり!さぁ三枚目と行こうじゃないか!!影刃『黒の嵐(シャドウテンペスト)』!!!」

 

 ヒュッ!という風切り音と共に絆を囲むようにして黒い弾幕が展開される。しかもその壁は際限なく続き、天を貫くほどに高くなっている。

 

 そして、迅真がいたと思われる辺りから灰色の弾幕が時計回りに波の様に襲い掛かってくる。

 

 だが、冷静に考えれば単純な弾幕。そのため絆は弾幕の出てくるところとは真逆の所を時計回りにグルグルと回る。

 

 中からは外を確認できない為絆は反撃が出来なかった。

 

 そして、そのまま20秒経過すると、絆は背後に危険を感じ、速度を上げて左に避ける。

 

 瞬間。先ほどまで絆のいた所を灰色の弾幕が最初の弾幕と同じように波となって襲い掛かってくる。

 

 これで二つになり、自由に動ける場所は減る。

 

「(迅真さんの性格だと後少しでさらに酷い事になりそう……)」

 

 絆はそう思い、自分の背後に警戒しつつも目の前の弾幕を着々と躱していく。

 

「さて、ラストだ。頑張れよ?」

 

 迅真の声が聞こえたと思った瞬間、背後から先の二つと同じ弾幕。だがまだ回避できる。

 

 真横をすり抜けて行く弾幕の束に冷や汗が止まらないが、かろうじてかするだけに留まっていた。

 

 と、突如大きく響いたパチンッ!!という音。それと同時に隙間無く波のように動いていた弾幕は間にスキマを作りながら恐ろしい速度で周囲を回り始める。

 

 突然変わった弾幕に驚いた絆は現状安全な中心に飛び出す。

 

 だがそれは甘い罠。直後恐ろしい密度の弾幕が絆を襲う。しかし絆は冷静に札を掲げ、

 

「合絆『ロイヤルスパーク』!!」

 

 瞬間太陽の様な輝きを放つ火球の束が迅真がいるであろう方向に向かって襲い掛かる。しかも、迅真は運悪くたまたまそこに立っていた。

 

「嘘だろ…!?ばれるなんて思ってなかったぞ!」

 

 言いながらも必死に回避する迅真。

 

 絆は手を合わせ構えると――――

 

「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 ドオォォォォォ!とと音を立てて本日三回目の極大のレーザーをぶっ放す。

 

 迅真が気付いた時にはもう遅い。彼は極光に飲まれてしまう。

 

 が、光が消えると同時に絆は背後から軽い衝撃を受ける。

 

 ピチューンという軽い音がし、絆は自分が被弾したのだと気付く。

 

 だが、辺りに弾幕は無くおそらく絆に被弾した今の弾幕が最後の一撃だったのだろう。

 

 前方を見据えると、腕を交差させ顔に当たらない様に防いでる迅真の姿があった。

 

「っつぅ……意外とダメージあるな…まぁこれくらい全然問題ないけどな」

 

 腕を降ろして手を握ったり開いたりしてダメージを確かめ、無事な事を確認すると、札を持った右手を絆にかざしながら、

 

「じゃあ行くぞ。光帯(こうたい)獣王牙操弾(ゼラス・ブリット)』」

 

 瞬間、迅真の右手から光の帯が絆に向かって射出される。絆はすぐに射線上から外れるように動く。が、光の帯は絆を追って曲がる。

 

 その事に絆は一瞬驚くが、すぐに冷静になると捕まらない様にグルグルと逃げ回る。

 

「んじゃもう一本追加な」

 

 5秒ほどで迅真からもう一本追加された。しかも、その帯は移動の軌跡を描くように青白い弾幕が配備されていた。

 

 絆は先ほどと同じように躱し続けるが、一歩間違うと光の帯から生まれる青白い弾幕に当たりそうで怖い。

 

「んでさらに追加。さすがにこれで当たると思うんだけど……」

 

 声と共に再び光の帯は放たれる。それは絆に近づくとその周りをグルグルと周り視界を遮る。

 

 さすがにコレは堪えたのかすぐに札を取り出し準備。

 

 光の帯に視界を遮られながらも移動し続けるが、唐突に現れる青白い弾幕に冷や汗をかく。

 

「くぅっ!行きます!合絆『ホーミングフリーズ』!」

 

 瞬間、パキィッ!!という音と共に全ての弾幕は凍結する。迅真は顔を引きつらせながら一、二歩と後ずさりをし、瞬時に体を反転させ全力で走り逃げ出す。

 

「ちっくしょう!俺の弾幕ごと飛んでくるのかよ!さすがにそれは考えてなかった!!」

 

 地面だけじゃ限界だと感じたのか、闇の翼を作り出すと羽ばたいて空を飛ぶ。

 

「迅真さんは翼を出して飛ぶんですね…!」

 

「あ?いや、これはただの飾りだ!俺は霊力で身体を浮かせてるだけで翼を羽ばたかせるのもただの好み!別に翼は必要じゃないぜ?」

 

「そうなんですか?でも、なんかかっこいいですね!」

 

「まぁな!自慢の翼だ!必要ないけど!」

 

「それは言っちゃダメですよ!?」

 

 言いながらも迅真は複雑に動き、凍結して迅真を追ってくる弾幕を同じく凍結して追尾してくる弾幕に当てて速度を落としながら回避する。

 

 しばらくそうしていると全ての弾幕は砕け散る。

 

「時間切れか?」

 

 地面に降り立ち翼を消して迅真は問う。

 

「そうですね。でも、迅真さんもでしょう?」

 

「あぁ。俺も時間切れ。だがまだ札は6枚残ってる。行くぞ。氷龍『氷結窟蔦(ヴァン・レイル)』」

 

 迅真が札を持った右手を地面につけそう言うと、多くの氷の(つた)が絆に向かって波打ちながら突き進む。

 

 絆は咄嗟に右へ避ける。そして、その蔦は絆がいなくなってもただまっすぐ突き進み、バキンッ!!という音と共に砕け散り青白い小さな弾幕になって辺りに飛び散る。

 

 絆はその小さな弾幕を躱している最中、チラリと迅真の方を見ると、恐ろしいほどの大きさを持った氷の龍が首をもたげてこちらを見ていた。

 

 あまりの光景に絆は顔を引きつらせる。瞬間、口を開き絆に突撃する氷龍。

 

「わーーーーっ!!」

 

 叫びながら左に全力で飛ぶと、絆の足をかすりながら氷龍は通り過ぎて行く。

 

 それで一瞬気が緩むが、ピキピキッ!!という何かが割れる様な音が聞こえ、絆は錆びたロボットの様にゆっくりと首を動かし背後の氷龍を見ると――――

 

 

 

 

 

――――あぁ、今にも爆発しそう。

 

 思わずそんな感想が出てしまうほどひび割れた氷龍の姿。直後パリィンッッ!!という甲高い音と共に中から大小さまざまな青白い弾幕がぶちまけられる。

 

「うっわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?!?!?」

 

 想像よりも多く、なおかつ速く動く弾幕の群れに思わずテンパる絆。隙間はあまりにも狭く、一瞬でも立ち止まるとぶつかるほどだ。それを絆は必死になって躱し続け、何とか最初の弾幕量より減って余裕ができ、チラリ。と迅真の方を見て表情が凍る。

 

 なぜなら先ほどと同じ巨大な氷龍が二頭。絆を見据えていたからだ。

 

 あの弾幕量を倍プッシュされるとは思わず冷や汗がダラダラと流れる絆。さすがに集中の限界が来たのだろう。スペルカードを掲げ、

 

「合絆『フェニックスサマー』!!」

 

 絆の宣言と同時に絆の背後に棒状の炎の弾幕が現れ、同じく炎で出来た鳥も出現。

 

 絆が腕を振り下ろすと同時にその弾幕は動き出す。

 

 そして、それに呼応するように氷龍も絆に向かって突き進んでいき――――

 

 

 

 

 

 

――――ズシャアアァァァァァァァァァ!!!!!という音を出しながら互いを打ち消し合う。

 

 

 

 互いの弾幕が消えるまでそれは続き、最後には氷が蒸発してできた霧がその場を支配する。

 

「全部蒸発しきったか。にしてもこの霧邪魔だな。吹き飛ばすぞ?」

 

 迅真の声が響くと同時、突風が吹きその場を支配していた霧が消し飛ぶ。

 

「っ!!」

 

 その風圧に飛ばされそうになるも、絆はその場に止まる。

 

「よし。これで視界は開けたな。大丈夫か?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「そうか。んで、まだ行けるか?無理ならやめとくが」

 

「いや、まだ大丈夫です。続けましょう」

 

「オーケー。じゃあ6枚目だ。残り半分、耐えきってくれよ?」

 

 にやりと笑い彼は札を掲げ、

 

「獄炎『ヘルバースト』」

 

 瞬間、辺りに生み出される巨大な火球。しかも内部にいくつもの小さな火球が見えており、嫌な予感がする。

 

「さぁ、始めよう。まずは一撃目だ。『ブレイク』」

 

 直後、バンッ!という破裂音と共に火球が弾け、中から高速で小さな火球が辺りにばら撒かれる。

 

 予想できていたとはいえ、その速度は想像を優に超えており、絆は自分に前後左右上下全てから一気に迫る弾幕の群れに逡巡(しゅんじゅん)するがすぐに速度を頭の中で計算し弾道を考えながら逃げ回る。

 

 気が休まるほどの弾幕量になると同時に再度巨大な火球が生み出される。しかもその中には先ほどと同じ小さい火球に紛れて、それを包んでいる火球の半分くらいの大きさの火球が二つ入っている。

 

「二撃目。『ブレイク』」

 

 バンッ!!という音と共に小さな火球と大きな火球は絆に迫る。

 

 咄嗟に絆は弾道を読みながら回避し続けるが、目の前に先ほど巨大な火球の中に入っていた大きな火球が来た瞬間、

 

「『バースト』!!」

 

 ゴゥン!!という音と共にあたりにあった大きな火球も含め、瞬時に大爆発を起こす。それに飲まれた絆は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――合絆『ジェリーフィッシュヴォーテックス』」

 

 晴れた爆炎の向こうにいた彼は水の膜を纏い、体には火傷一つ無かった。

 

「……水の膜か…なるほど。そりゃ爆炎も軽減されるか」

 

 にやりと笑い絆の状態を確認する迅真。と、突然絆が水色の弾幕を放ってくる。

 

「うおっと。ハハッ!防御膜に加え更に弾幕を張る、か。良い戦法だ。じゃあまずはその邪魔な膜をぶち破ってやる!!」

 

 ゴゴゴゴゴゴゥッ!!という大きな音と共に大量の巨大な火球が生み出される。しかも先ほどまでの火球よりも大きく、中に入っているあの大きな火球も二つに増えていた。

 

 そんな危険の中、絆は無意識に口角を上げる。

 

「行くぜっ!!『ブレイク』!!!」

 

 バガァンッ!と、クラッカーの音を何倍にも増幅させたような音と共に火球は爆散し小さな火球と大きな火球は辺りに飛び散り、絆はその弾幕量に圧倒されながらも必死に一つずつ地道に躱していく。

 

 そして、例の火球が近くに――――それも3つ来た瞬間、

 

「『バースト』オォォォォォォ!!!!」

 

 キュガッ!!!!という小さな音がし、閃光が走った後に遅れてチュドオオオオォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!という盛大な音が響き爆風が吹き荒れる。

 

 思わず迅真が顔を背けた瞬間、

 

 

 

 腹部に軽い衝撃が走ったと思ったらピチューン!と軽い音が響く。

 

「んなっ!?」

 

 突風が止み、今起こった出来事に驚き絆を見据えると――――

 

 

 

 

 爆炎の中からボロボロになった絆が出てくる。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

 絆は空中で一回転し体勢を整えると、

 

「ケホッ!ケホッ!うぅ…はい。大丈夫です」

 

 苦笑いながらもそう答える絆にホッとする迅真。

 

「そうか。それにしても、手加減したとはいえあの爆発を喰らって生きてるとは思わなかったぜ」

 

「殺す気だったんですか!?」

 

「あ、いや、別にそう言う意味じゃないが、ちょっと熱が入り過ぎて威力調節をちょっと誤っただけだ。心配するな」

 

「それ一歩間違えたら大惨事ですよ!?はぁ……まぁ、僕も水の膜が無かったら焼け死んでたと思います」

 

「あ~……なるほど。あの膜があったから助かったのか。いや、すまなかったな。結界の中とはいえもうちょっと威力を抑えるべきだった」

 

「それは僕が無事だったから良しとします。でも次は無いようにして下さいよ?」

 

「分かったよ。本当にすまなかった」

 

 迅真は申し訳なさそうにし、絆は苦笑いをしながら許す。

 

「では、後4枚。やりましょう」

 

「了解。じゃあ行くぜ?黒樹『闇の世界樹(ダークネス・ユグドラシル)』」

 

 迅真の宣言と共に彼の背後から巨大な黒い大樹が生えてくる。

 

 そして、その大樹は恐ろしい速度で枝を伸ばし絆に向かって来る。

 

「うわ!?」

 

 絆が回避するために右へ移動すると、大樹から辺り全体に向けて灰色のレーザーが飛び始める。

 

「あのレーザー…厄介ですね」

 

 絆は呟きながらもひたすら追ってくる枝を避け続ける。そして10秒経過しただろうか、突然大樹が小さい灰色の弾幕も放ち始める。

 

 しかもその弾幕は5回に一回、一つだけ追尾弾幕が混じり、枝と一緒に襲い掛かってくる。ただ、枝の速度と比べてゆっくりと迫ってくるその弾幕は、油断すると一周して正面から迫ってきてしまう。

 

 それも考慮して絆は避け続けるが、ゆっくりと、しかし確実に増えていく弾幕にだんだんと焦りを感じてくる。

 

「くっ!もったいないけどこれで当たったら悔しいから使っちゃいます!合絆『パラソルオンバシラシンフォニー』!!」

 

 宣言と共に絆の周りにいくつもの木の柱が現れる。

 

「……あ、いや。あれはオンバシラか。神奈子の使ってた奴」

 

 迅真が一人で頷いていると、現れたオンバシラは緩やかに回り始め、灰色の弾幕と枝を壊していく。

 

「チッ。やっぱり破られるか。さすがに今さっき思いついた付け焼き刃じゃ倒せないよな」

 

 言いながら、回りながらこちらに向かって来るオンバシラの群れを流れるように回避する。

 

 そして、しばらく共に躱し続けていると、ほぼ同時に弾幕は霧散する。

 

「っと。時間切れか。んじゃ次行くか。黒華『宵闇の庭園』」

 

 音も無く闇が吹き上がる。それは小さなつぼみの様な形をしており、だがその一つ一つからとてつもない威圧感を感じる。

 

「『開花』」

 

 迅真の声が響くと同時につぼみ達が一斉に花開き、中から大量の灰色の弾幕が出現し上空にいる絆に突撃してくる。

 

「っ!!」

 

 弾道を読みながら順調に躱していくが、全ての弾幕が昇りきった瞬間絆はハッ!と気づく。

 

 ふわりふわり。という擬音が良く似合うほどゆっくりと先ほどの灰色の弾幕が降ってくる。

 

「『雨』『受粉』」

 

 迅真の言葉と共に先ほどまでふわふわと飛んでいた弾幕はいきなり速度を上げて降り注いでくる。

 

 絆は驚きつつもかすりながら躱していき、雨の様に降り注いだ灰色の弾幕が開花した花にぶつかると、その全てが花弁を散らしていく。

 

 そして、散った花弁は風に吹かれたかのように舞いあがり上空目掛けて襲い掛かる。

 

 それはまるで舞い落ちた桜の花弁が舞い上がるような美しさを持っていた。だが、見惚れたら終わり。たとえどれほど美しくとも。絆は内心そう思いつつギリギリの隙間などを縫うように進み、躱し切る。

 

「『旅立ち』」

 

 声に反応し地面を見ると、そこには綿毛の様に揺らめく種子の群れ。

 

 それに加え、嫌な予感がして上空を見ると、竜巻のように渦を巻いて降りてくる灰色の弾幕。

 

「っ!その量はさすがに無理…!」

 

 絆は即座に懐から札を取り出し、

 

「合絆『スーヴニルローズガーデン』!!」

 

 宣言と共に絆の辺り一面にバラが咲き、すぐに散って行き、襲い掛かって来ていた弾幕の群れを相殺していく。

 

 しかも相殺するだけでなく、迅真の周りにもバラを咲かせて攻撃する。迅真はバク転をして大きく回避すると瞬時に翼を出して空に向かって飛び出す。

 

「さて、別に二枚同時発動をしても問題は無いよな?」

 

「…えぇ、大丈夫です!」

 

「オーケー。じゃあ行くぞ!血禍『ダーインスレイヴ』!!」

 

 迅真が右手を前にかざすと、迅真の周囲から闇が噴き出て剣を形作っていく。そして、それは二mほどになると闇は晴れ、中からは真っ黒の大剣が現れる。迅真はそれを掴むと、

 

「Show Timeだ。斬り刻む!!」

 

 そう言って生み出したダーインスレイヴを握りしめずぶんが生み出した弾幕と絆の生み出した弾幕を流れるように躱して行き、絆の正面に来ると剣を振り下ろす。

 

「っ!合絆『レーヴァテインの誤法』!」

 

 絆はすぐさまスペルカードを発動させて炎の剣を生み出すと迅真の攻撃を防ぐ。

 

「さすがに直接攻撃されるなんて思わなかったです。って、そう言えばギガ〇ラッシュ使ってましたもんね。よくよく考えたら考慮しておくべきでした…!」

 

 ギリギリギリッ!という双方の剣から出ていいのか分からない金属音を盾ながら数秒間の鍔迫り合い。

 

 が、それは唐突に迅真が身を引いて終わり、迅真はそのまま後方に一気に下がる。絆は力を入れ過ぎていたせいでよろけるが、すぐに体勢を立て直し迅真の行動に疑問を覚え辺りを見回すと、上下から弾幕が迫っている事に気付き、急いで躱し始める。

 

 いくつかはレーヴァテインで斬ってかき消しながら逃げ惑っていると、背後から殺気を感じて絆は咄嗟に後ろにレーヴァテインを振るう。

 

 ガキィンッ!と音を立てて打ち合うレーヴァテインとダーインスレイヴ。火の粉を散らしながら何度もぶつかり合い、やはり唐突に迅真は下がり、直後弾幕の群れに襲われる。

 

 それを10回ほど繰り返しただろうか、弾幕は全て消え、その場がしんと静まり返る。

 

「まさかお前がここまで強いと思わなかったよ。まさか打ち合えるとはな。って、そりゃそうか。俺程度の奴なんていっぱいいるもんな。剣戟もその中にいくらか居ただろうし打ち合う位当たり前か」

 

「そうでもないですよ…迅真さんの一撃は体の芯まで響きますから」

 

「ハハハ。そう言ってくれるとありがたいな。なぁ絆。剣系統のスペルカードはまだあるか?」

 

「はい。まだありますよ」

 

「そうか……じゃあもう一度、ぶつかり合おうぜ。ラストだしな。良いか?」

 

「はい!やりましょう!」

 

 絆は元気に答え、迅真は笑みを浮かべると、

 

「じゃあ始めようか。『宵闇の殺戮王』」

 

「合絆『フラン人形レーヴァテイン』」

 

 迅真が宣言した直後、迅真から噴き出た闇がアーマーの様になり、先ほど消えたダーインスレイヴが再度顕現される。

 

 絆の宣言した直後、絆の周りにレーヴァテインをもった人形が10体現れる。

 

「ククク。多対一。良いね。燃えて来た。これなら遠慮なく影の刃が使えるってもんだ。さて。行くぞ!」

 

 迅真は言い放つと、一気に絆との距離を詰め、ダーインスレイヴを振り下ろす。

 

 直後、ガキィンッッ!!という音を立てて二本のレーヴァテインが絆を守る。

 

 間髪入れずに迅真は二、三度と振り下ろし、背後から迫る三本のレーヴァテインに気付き、振り向き様に全て弾き返し、先ほどまで絆を守っていた二本の刃が襲い掛かって来たのを察した瞬間に、いきなり現れた影の刃がその攻撃を防ぐ。

 

 下から斬り上げるように振るわれたレーヴァテインは、一度翼を大きく羽ばたかせ空中でバク転し絆の後ろに回り込んで回避すると同時に絆に斬りかかる。が、

 

 ガッ!という音と共に上空から降ってきた人形のレーヴァテインに弾き返される。

 

 一瞬全ての挙動がゆっくりになるが、すぐに時は正常に進み出し、迅真は弾かれた刃を再度全力で振り下ろし、人形も同じように返す刀で迅真の一撃を止める。

 

 ギリギリギリッ!と鍔迫り合いが数瞬続いたかと思えば、いきなり強く押し、それに対抗して人形が力を入れると同時に今度は引いて人形がよろけた瞬間迅真は右に回避すると、先ほどまで迅真のいた所をレーヴァテインが通り過ぎる。

 

「アハハ!休む暇なんてないな!一瞬でも気を緩めたら斬られそうだ!」

 

 狂気的な笑みを浮かべつつ打ち合う迅真。打ち合う度にその速度は上がって行き、絆に届くほどの勢いになっていた。

 

「っ…!」

 

 その速度と威圧感を前に押され始める絆。だが手持ちの10の刃を使い何とかいなし続ける。

 

 数十、数百と打ち合い、迅真も集中が切れ始めたのか、かすり始めるが、それでも続く迅真の斬撃の群れ。

 

 ついには5体の人形を使わないと受け止められないほどの猛攻。絆はさすがに限界を感じ、次の一撃に全てを賭ける。

 

 その雰囲気を感じ取ったのか、迅真は闇の翼を羽ばたかせ後ろに下がると、ダーインスレイヴを右手を上にして自身の左側で横に倒して水平に持ち、力を込め体を捩じりながら後方に引く。

 

「……行くぞ」

 

 宣言と同時に迅真は前方に飛び出し、腕を自身の真上に上げ直しながら全力で振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――ズドッッ!!!という肉を貫く音が響く。

 

 

 

 

 

 

 彼は血を吐く。

 

 手に持っていた刃を落とす。

 

 闇の翼は霧散する。

 

 そう、負けたのは迅真。彼は力を失い空から落ちて行く。

 

 

 

 あの一瞬、迅真の一撃が当たる寸前に、絆が潜ませていた10体の人形が一斉に迅真の腹部を突き刺したのだ。

 

 

 * * *

 

 

「あ~……ここ最近負けっぱなしだわ~……そろそろ限界感じて来たわ~……」

 

 結界内での死亡により外に弾き飛ばされた迅真は心の底から悔しそうな声を出しながら倒れていると、

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

 

 と言いながら最初に見たメイド服に戻っている絆が覗き込んでくる。

 

 迅真は起き上がると、

 

「あぁ、大丈夫だ。問題ない。怪我一つないぞ」

 

「本当ですか?はぁ、良かった」

 

「なんだ。心配してくれるのか?」

 

「もちろんしますよ。友達に怪我をさせたら気まずいじゃないですか」

 

「そんなもんか?むしろ俺の友人は大体殴り合った後に出来てたからなぁ…何とも言えん」

 

「あ、あはは…迅真さんと殴り合うとか怪我じゃ済まなそうなので出来ればその友達のなり方はしたくないです」

 

「そうか。じゃ、この戦いの景品だな。ほれ、これやるよ」

 

 そう言って迅真が絆に渡したのは緑のリストバンド。それもなぜか二つ。

 

「えっと、なんで二つなんですか?」

 

「あぁ、それはお前の彼女にもって思ってな。どうせなら同じものが良いだろ?」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「おう。んで、それはちょっと能力があってだな、霊力、まぁ妖力や魔力でも良いけど、どれかをそのリストバンドに込めるとそれを付けているモノ同士で会話が出来て、しかも流しこんでいる間は身体能力が少し上がる。まぁ微々たるものだけどな。ただ、力を込めなくても付けてるだけで大気中の微量な霊力や妖力を取り込んでその力の回復量と治癒能力も上げてくれる。ちなみに、二人がそのリストバンドを付けている時に、片方がもう片方の顔を思い浮かべてそこに行きたいと強く願いながら力を込めると転移できるぞ」

 

 迅真の長ったらしい説明を聞き、絆は数秒固まっていたが、ハッ!と気づくと、

 

「つ、つまり超凄いってことですね!?」

 

「……うん。それでいいよ。取りあえずそれを役立ててくれると嬉しい」

 

 何とも言えない表情になるが、まぁ良しとする迅真。

 

「じゃあ、そろそろ――――」

 

 と言いかけた時に迅真は背中に軽い衝撃を感じる。横を見てみるとルーミアが背後から抱き着いていた。

 

「ど、どうしたんだよ?」

 

「いやね?その子の持っている腕輪の下にある札がちょっと気になって」

 

 ルーミアに言われて見てみると、確かに何か挟まっている。

 

「あ!もしかしたら…」

 

 どうやら絆は思い当たる節があるらしく、リストバンドを服のポケットに突っ込むと、その札を改めて見る。それにつられて迅真達も見てみると、

 

 絆『ダーインスレイヴ』

 

 そう書かれた札。

 

「スペルカード…か。あぁ、そう言えばお前のスペルカードは友達の力を借りるんだっけか。じゃあそれは俺との絆の結果って訳か……なんかダーインスレイヴだけとか許せん。つかそもそもそれ俺の能力関係ないし。よし、俺の能力の片鱗も持ってけ」

 

 そう言って絆の腕を掴むと、絆の服装が迅真と同じYシャツに変わり、髪色と瞳の色も迅真と同じ黒になる。

 

「うわわ!これ、何ですか!?」

 

「お前の能力だよ。ただ、お前が今握ってるそのスペルカードの力でもあるけどな」

 

 言われて、絆は自分の右手に握られているさっきのとはまた別のスペルカードを見てみる。

 

 絆『存在種変』

 

「そのスペルカードの能力は一定時間変化した対象の能力をほぼ完璧に使えるようにするんだと思う。まぁ俺の能力が素になってるし俺の能力自体もお前とそんな変わらないからな。簡単に使いこなす事ができるようになると思うぞ」

 

 迅真はそう言い、掴んでいた腕を離す。

 

「さて、じゃあ絆。これからお前を向こうに返すぞ」

 

「あ、はい。その、今日はどうもありがとうございました!」

 

「おう。じゃあまたいつか会おうぜ」

 

 迅真は絆の背後にスキマを開く。

 

「ではこれで。また会いましょう」

 

 そう言って彼はスキマの中を通って行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絆の去った後、迅真は一度深呼吸をし、

 

「こりゃ本格的に修行しないとやばい。絶対いつかミスして死ぬ」

 

「不吉なこと言わない」

 

 ドスッ!と振り下ろされるルーミアの手刀。

 

「うぐぉっ!……はぁ、確かに不吉な事だけど、在りえなくない事だぞ?最近負けっぱなしだしな」

 

「それもそうね~……まぁそうならない様に私も迅真を見張ってないとね」

 

「……俺はいつか監禁されそうでちょっと不安」

 

 若干顔を青くしながら迅真はルーミアを引きつれて家に戻るのだった。




 はい。一万文字超えましたよ……うん。前回冗談のつもりで言ったのに現実になるとは思わなかったΣ(・ω・ノ)ノ!

 とにかく、reiraさん、コラボありがとうございました!今回渡したリストバンド、スペルカードはご自由にお使いください!性能は迅真君が実演や説明してくれてたけど、足りなかったら言ってください!返信しますので!(正直二枚目のアレはやりすぎたかもしれないと反省(-_-;)

 それと、絆で手に入れた能力は『体を変化させる程度の能力』です!迅真の能力のありとあらゆる生物の力を使う程度の能力の身体変化の部分を抜き取りです!まぁ作品内で一度も使ったことないような気がしますが……その、すいません。

 では改めて、reiraさん。ありがとうございました!

 次回はHated Jackさんとのコラボです!よろしくお願いします!!
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