東方種変録   作:大神 龍

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 Happy Halloweeeeeeeen!!!

 はい!というわけで、今回は音無仁さんの『東方消失録』より『笹塚 俊』君です!別に内容にハロウィン要素は皆無なのでご注意下さい。

 よろしくお願いします!(`・ω・´)ゞ


第六十七話 コラボ 2‐4‐1

「ったく、何時になったら捕まるんだか」

 

 ボソリと呟く迅真。無理もないだろう。前回送られてきた人物を送還した翌日に香が辺りを散策したが、それでも見つかる事は無かった。それ以降何事も無いのが救いなのだが、そろそろ何か仕出かして来そうで怖い。

 

 今は雪が降っており、辺りは銀色に染まっていた。だが、季節的にはまだ秋のはずで、つい数日前まで芋が収穫できるぜ!と狂喜乱舞していた香が今は懐かしく感じる。

 

 そんな事を思いながら迅真は香と一緒に雪かきをしていた。

 

「おい迅真。お前能力かなんかで楽してるな?」

 

 香の発言にピクリと反応する迅真。確かに魔法で身体を温めたり、雪をスコップで持っているようで実は浮遊魔法で浮かせていたりしているが別に楽などしてない。断じてしてないのだ。

 

「随分とまぁ楽してるじゃねぇか…ゴラァァァァ!!」

 

「なんでばれたんだ!?」

 

 気配の性質が変わっていただけだが、というよりそれ以外に変わった所などないのだが香は気付き、持っていたスコップに乗ってる雪の塊を投げつける。

 

「うおわ!?」

 

 咄嗟の反応で横に避けると、ドシャッと言う音と共に何かに当たる。

 

「あ、ヤベ」

 

 香は思わずそう言葉を漏らし、苦笑いになる。

 

 ズズッ…とゆっくりとした動きで落ちた雪塊の奥から現れたのは黒髪。次に紫色の目ですごい不機嫌そうな顔。最後に灰色のフード付きコートとスーツのズボン。股の部分にホルダーが二つ。うち一つは入っていないように見える。腰の両側には銃のホルダー。そして、後ろの方で交差するように二本の刀が差してあり、両手には黒い手袋を付けていた。

 

「……なぁ、コレ、なんてイジメ?」

 

 彼が言葉を発し、迅真はゆっくりと香の方を向き、

 

「……おい香。初対面に雪の塊をぶつけるのは非常識だろうが」

 

「お前が避けるのが悪いんだろうが!」

 

「ふざけんな普通避けるだろうが!」

 

「あぁ!?やんのか!?」

 

「やったろうじゃねぇかこの野郎!」

 

 ギャアギャアと叫びながら雪玉(きょうき)が飛び交う。若干石が混じっていたりするが、それは置いておくとしよう。

 

「ちょ、俺を無視する方向なのか?」

 

 唖然とした表情で目の前を飛び交う雪玉(きょうき)を投げる二人を見つめる少年。すると、雪玉(きょうき)の向こうから金色の髪を持った女性が歩いてくる。

 

 言うまでも無いが、ルーミアである。

 

「迅真~……って、何コレ?」

 

 自分に飛んでくる雪玉(きょうき)を避けながら、たまに掴んで倍以上の速度で香に向かって投げ飛ばしたりしているが、気のせいだ。そうに決まっていてほしい。

 

「全く。面倒だからって遊んだら際限ないじゃないの。しかも不運な客人もいるのに」

 

「うっせぇルーミアは黙グボァ!?」

 

「香は黙ってなさい」

 

 容赦なく顔面に刺さった雪玉(きょうき)に香はそのままその場に倒れ込む。

 

「ワハハハハ!ザマァバッ!?」

 

「迅真も同罪」

 

 崩れ落ちた香をあざ笑った瞬間に、ルーミアは闇で作った雪玉を右手で受け取り投げた雪玉(きょうき)が迅真の腹部に突き刺さり迅真は雪の中に埋もれる。

 

「うわぁ、痛そう」

 

 思わず彼はそう呟き、直後こちらを見たルーミアに背筋が凍るが、

 

「さて。貴方は家の中に入ってなさい。寒い所じゃ辛いでしょ?」

 

 笑顔で言うルーミアに、彼は少しホッとしながら、

 

「じゃあ、お邪魔することにします」

 

 と言ってルーミアの後ろをついて行くのだった。

 

 

 * * *

 

 

 少年が暖炉の暖かさに泣きそうになりながら温まっていると、ガチャッという音と共に、

 

「さ、さみぃ!!何か魔法が使えなくなってたんだけど!?」

 

「オイコラルーミア!お前居候として家主に向かって雪玉ぶつけるとかいい度胸じゃねぇか!表出ろや!!」

 

 迅真は半泣きになりながら、香は怒りをあらわにしながら雪まみれで入ってくる。

 

「貴方達、せめて雪は払ってきなさいよ」

 

 少し嫌そうな顔をしながら椅子に座ってくつろいでいる幽香が突っ込む。

 

 言われて二人は自分の状態を確認すると、香は外へと出て行き、迅真は何かに気付いて右足首に手を伸ばすと、いつの間にかついていた黒い輪を引き千切り、魔法を使って雪を解かす。

 

「…あれ?この道具、俺の作ったやつじゃねぇか。なんで俺に付けられてるんだ?」

 

「あぁ、それは私が付けたわ」

 

「ちょ、ひどくね!?」

 

 幽香の隣で椅子に座ってにやにやと笑いながら迅真を見ているルーミアに、悲痛な叫びを上げる迅真。

 

「まぁいいや。んで、さっきは大丈夫だったか?俊」

 

「あ、俺には気付いてたのか」

 

 やっと会話に参加できそうな雰囲気に俊と呼ばれた少年は立ち上がる。

 

「そりゃな。香が思いっきり雪をぶつけてたし」

 

「んだよ。気付いてたなら家の中に案内してくれても良かったじゃんか」

 

「いや、アレは全部香が悪いんだ。俺は悪くない」

 

「あ?誰が悪いって?この居候」

 

 一瞬で蒼白に変わる迅真の表情。その背後には、女性を働かせるのは性に合わないと言って迅真を連行し二人で雪かきをしに行ったは良いが、迅真には楽をされ、悪意を込めた仕返しも無関係な人にぶつかってしまい、その上もう一人の居候であるはずのルーミアに雪玉を顔面にぶつけられた挙句、それでも頑張って雪かきをしてルーミアに文句を言おうと怒り心頭な状態で家に入るが、最後の居候である幽香に嫌そうな顔をされて雪を払ってきなさいと怒られて半泣きモードの香君がいた。

 

「なぁ、これ以上俺にどんなダメージを与えるってんだ?え?どうなんだよオイ」

 

「香?私が迅真にした攻撃以外に何かする気?それなら私が直々に貴方を叩きのめすけど良いかしら?」

 

 ルーミアに満面の笑みで問われ、心が折れそうな香。そんな香を見て幽香は立ち上がると、

 

「ほら、そんなとこで落ち込んでないでこっちへ来なさい」

 

「うぅぅ……」

 

 幽香の優しく投げかけた言葉に子供の様な声を出して幽香の後について行く香。

 

 二人がいなくなったのを確認した後、迅真はため息を吐き、

 

「ま、椅子に座れよ」

 

 そう言って迅真は自然な動作でルーミアの隣に座る。俊も座った所で改めて迅真は話し始める。

 

「さて、一応聞いておくけど、現状把握は出来てるか?」

 

「ん。まぁ一応。大方紫に落とされた感じかな?」

 

「あぁ、それで合ってる。まぁ、落としたのはこっちの紫だけどな」

 

「そうは言っても、その紫がいないようだけど?」

 

「それは…色々あって紫が拗ねてるだけだ。つかその状態で半年近く経ってる」

 

「何やったんだよ……」

 

「いやぁ、ちょっとあいつの師匠やってるのがめんどくなってな……逃げた」

 

「十中八九お前のせいじゃんか!」

 

「まぁな。それはちゃんと分かってるさ…うん…でも、やっぱり面倒だったんだ…アレは…面倒くさい」

 

「一体何があったんだ…?」

 

 どんよりとした雰囲気を纏って言う迅真に俊はとんでもない事があったんだろう。と思う。

 

「つか、別に俺と紫の話は良いんだ。というか、お前がこの世界に送り込まれたのも紫のささやかな悪意かな。俺に向けての」

 

「犯人はお前か!」

 

「俺だ!」

 

 俊のセリフに即答する迅真。それをされた俊は呆れて何も言えなくなる。

 

「んじゃ、本題に入るか」

 

「今までのはオマケ扱いだったのか!?」

 

「そりゃそうだろ。てか、最初に言ったじゃねぇか。『一応聞いておくけど』ってさ」

 

「言ってた…か?」

 

「言ってた言ってた。んで、本題の方だが、ちょっと遊ばないか?いやなに、ちょっと戦うだけだよ。ルールは簡単。相手をどういう方法でも良いから無力化する。怪我とかその他色々な事は問題ない。結界を張るからそれでなかった事になるからな。しかも、お前が勝っても負けても俺はお前にあるアイテムを譲渡しよう。それなりに使えると思うぞ?どうだ?やるか?」

 

「…………」

 

 俊は少し悩むが、すぐに迅真に顔を向けると、

 

「あぁ、やる」

 

「オーケー。じゃあ外に出るぞ――――と、その格好で大丈夫か?寒いと思うが、上着でも貸すか?」

 

「え、あ~……いや、大丈夫だ」

 

「そうか?なら良いんだが。まぁ寒そうだったら防寒魔法かけてやるから安心しろ」

 

「おう。ありがとな」

 

 そう言いながら二人は出て行く。

 

 

 * * *

 

 

 外はいつの間にか雪が止んでおり、見通しが良くなっていた。まぁ、雪が止んだだけで曇ってはいるのだが。

 

「それじゃ、この結界札を投げたら戦闘開始な」

 

「了解」

 

 俊の返事を聞くと同時に迅真は札を握っている右手を切り、血を染み込ませる。

 

「んじゃ、行くぜ?」

 

 直後、札を上空へと投げ、それを皮切りに二人は相手に向かって走り出す。

 

 数瞬後には両者は拳の射程範囲内に入り、迅真は腰の捻りも含んだ強烈な一撃を、俊は渾身の蹴りを放つ。

 

 双方の一撃は衝突し、威力で辺りの雪が吹き飛ぶ。

 

「ハハハッ!やっぱこんくらいは出るよなぁ!」

 

 笑いながら言う迅真。そして、即座に迅真は魔法を唱え始め、俊の軸足に向かって全力で足払いをかける。だが、寸前で俊はそれを回避し、指を銃の形にすると、霊力を人差し指の先に集める。

 

 そして、迅真が魔法を唱え終わると同時に俊も霊力を溜め終わり、

 

「『炎霊滅鬼衝(ルーン・フレイア)』!!!」

 

「『霊銃』!!」

 

 迅真の生み出した超高温の炎の槍が俊へと向かい、それに対抗するかのように俊は指先から霊力弾を放つ。

 

 両者の攻撃は再び相殺され、だが、迅真の生み出した槍のせいで辺りの雪は解け、近くにあった雪は蒸発し、遠くにあった雪も解ける。

 

「まだまだ行くぜ!」

 

 ゴゥッ!という音と共に迅真を中心に熱風が発生する。

 

「『炎獄の楔』よ。生まれ出でてこの者へ裁きを下せ!」

 

 瞬間、辺りに12本の燃え盛る(くさび)が出現する。

 

 それは異様な雰囲気を纏っており、俊は即座にそれを砕く必要があると判断し、ほぼ同時に行動する。

 

 迅真はそれを不敵な笑みで見守る。

 

 俊は楔の一つにたどり着くと同時に右手で触れ、能力を流し込んで破壊する。

 

 それを12回繰り返し、終わると同時に迅真は宣言する。

 

「我が『地獄の業火』に焼かれよ!」

 

 同時に周囲に白に近い色をした炎が発生し、全てを焼き尽くす。それに俊も巻き込まれる。

 

 全てを飲み込んだ業火が消えると、そこには黒い地面と二人の少年が残っていた。

 

「ハハハッ!まだまだ行けそうだな!」

 

 声高らかにそう言う迅真は無傷。

 

「ケホケホッ……あ~、熱かった…」

 

 苦い顔をしている俊は服の所々が焦げており、軽い火傷のようなモノを負っている場所もある。

 

「どうする?回復魔法でもかけるか?」

 

「いや、俺の能力でどうにかするから問題ない」

 

 そういうと、俊の傷はみるみる回復していく。

 

「なら良いな。行くぞ」

 

 迅真はそう言いながら一本の日本刀を生成する。それは木製の鞘と柄の刀。

 

「『刀よ。王の権限を許可する。全てを断つ大いなる刃となりて我が敵を切り捨てよ』。斬鉄剣Ver.FF(ファイナル・ファンタジー)!全を切り刻む!」

 

 瞬間日本刀を包む黒。黒が晴れた時に現れたのは刀身が先ほどの二倍近くまで伸びた黒い柄に光を強く反射する柄より鮮やかな黒い刃。

 

「ッ!!」

 

 刀から吹きだす威圧感に思わず一歩後ずさりかける俊。だが、それを気合いで耐えると、俊は腰に差してある刀に手をかけて前へと出る。

 

 迅真はその場でゆっくりと腰を捻り、居合を放つような形になる。

 

 俊は自身の刀の射程範囲内に迅真が入ると同時に刀を抜き横薙ぎに振るう。が、唐突に世界がゆっくりになった様に感じ、その中を動く迅真の姿を俊は見た。

 

 首に迫る刃を更に深く沈み込むことで回避すると同時に前方へと飛び出し、一言、

 

「『全を断て、斬鉄剣』」

 

 目で負えない。感覚だけが敏感に察知する。回避するだけの暇がない。

 

 俊はそれを察すると同時に左手を無意識に動かし、もう一本の刀を引き抜き迅真の斬撃を吹き飛ばす。

 

 迅真はその反撃を予想していなかったのか、驚いたような表情を一瞬するが、すぐに真顔に戻ると、テレポートで距離を取る。

 

「ふぅ。なぁ俊。そろそろ決着付けないか?」

 

「ん?こんなに早くか?」

 

「……いや、やっぱ今のは無しで。んじゃ行くぜ?」

 

 直後迅真の右目が赤く、左目が金色に染まる。

 

 まず現れたのは空中に金色の波紋。そこから現れたのは刀。

 

 迅真はそれを掴むと同時に地面を蹴り、自分に跳ね返ってくる力も利用して加速すると、一瞬で俊の元まで辿り着き、刃を振るう。

 

 眼前に迫る剣閃に、俊は先ほど迅真がしたように腰を深く落として回避すると、下から右の刀で斬り上げる。

 

 が、迅真に当たる寸前の所で金色の波紋のようなモノが発生し、そこから飛び出した刀が俊の刃を防ぎ、迅真はその刀を素早く左手で掴んで俊の刀を弾く。

 

 勢いそのまま迅真は右の刀で斬り上げる。が、それを俊は左の刀で防ぐと、左足を強く踏みしめ右足で迅真に足払いをかける。

 

 それにより迅真はよろけて前方へと倒れる。その時、俊はにやりと笑う迅真を見て、戦慄する。

 

 迅真の後方から迫る短剣。それは恐るべき速度で迫り、俊の心臓を穿つ。

 

 その衝撃によろめきかけ、気付く。

 

 

 

 痛みが無い。

 

 咄嗟に胸部を見ると、そこには何も刺さっておらず、切れた後すらない。

 

 と、俊はそこまで認識し、直後失敗したと感じる。

 

 迅真がいないのだ。

 

「こっちだ」

 

 背後からかかる声に振り向くと同時に脇腹に痛みを感じ、

 

「『龍牙雷神衝』!」

 

 直後、ズダァン!!と言う音と共に降り注ぐ一本の雷撃。それは俊を飲み込み、焼き尽くす。

 

 俊の状態を確認する前に迅真はその場を即座に離れ、様子を見る。

 

 そこに俊はまだ立っていた。だが、不思議な気配がそこには漂っていた。

 

「――――紅炎(プロミネンス)

 

 俊は火を纏っていた。それは刀も同じ。迅真が見る限り、俊の周りに炎が発生しているのではなく、俊自身が炎になっているように見えた。

 

「火への変化か。中々面白い技だな」

 

「まぁな。つか、一瞬で見抜かれるのはちょっと悔しいな。せめて二、三回攻撃をくらって欲しかった」

 

「やだね。ていうか、今のお前に斬撃効かない気がするな。ま、物理がダメなら精神ダメージで攻めるか」

 

「なんだ?罵倒でもする気か?」

 

「馬鹿。んな事するかっての。ちゃんと叩き斬る」

 

 魔法を唱え始める迅真。

 

「叩くか切るかどっちかにしろっての」

 

 苦笑しながらも、俊は即座に右の刀を縦に、左の刀を横に薙ぐと、燃え盛る十字の斬撃が飛び、

 

焔刀(えんとう) 十字炎界!」

 

 迅真へと向かうが、寸前で迅真は魔法を唱え終わり、

 

「『魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン)』!!」

 

 迅真の両手の刀が赤くぼんやりと光り、それと同時に迅真は飛んできた十字の火炎を刀で切り裂く。

 

「これでお前にダメージが通るはずだ。なんせこの魔法のある世界の魔族は純魔力体なうえにその魔族にダメージを与えるための剣だからな」

 

「面倒な魔法だな」

 

「まぁ、な!」

 

 言い終わると同時に迅真は前方へと飛び出す。

 

 俊も同じように走り出し、二人は一瞬交差する。

 

 二人は交差すると同時にその場に踏みとどまり体を思いっきり捻りながら相手に再度斬りかかる。

 

 ガンッ!ギンッ!ゴゥッ!!という音が何度も響き、打ち合う度に迅真の刀が摩耗していき、ついには、

 

 バギンッ!という音と共に砕け散る。

 

 迅真は襲い掛かってくる燃え盛る斬撃に対し、テレポートで回避。

 

 標的を見失った俊は辺りを見回すが、迅真は見当たらない。

 

 

――――悪夢の王の一片よ――――

 

 

 辺りに響く声。全方位から聞こえて来るようで、場所が特定できない。

 

 

――――世界のいましめ解き放たれし――――

 

 

 周囲に人影は無い。なら――――

 

 

――――凍れる黒き虚無の刃よ――――

 

 

 そう思い上を見上げると、そこにはゆっくりと降りてくる迅真の姿が。

 

 

――――我が力 我が身となりて――――

 

 

 その迅真の両手に闇が生まれる。

 

 

――――共に滅びの道を歩まん――――

 

 

 その威圧感に気圧されつつも俊は即座に走り出し、飛ぶ。

 

 

――――神々の魂すらも打ち砕き――――

 

 

 迅真の元へとたどり着くよりも早く、迅真の手の中にある闇が形を取り始め、それは恐ろしいほどの長さを持つ大剣となる。

 

「『神滅斬(ラグナ・ブレード)!!』」

 

「喰らうかぁ!!」

 

 ガキィッッ!!という音が響き、両者の一撃が交差する。

 

「んな!?コレを防ぐのかよ!?」

 

「う、ぉぉぉぉぉおおおああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 ガッ!ゴゥアッッ!!という音と共に神滅斬(ラグナ・ブレード)が弾かれ、迅真に迫る燃え盛る凶刃。

 

「ッ!」

 

 迅真は避ける隙すらなくただ無情に切り裂かれ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ガシッ!と刀を掴む。

 

「!」

 

 思わず息を飲み驚く俊。

 

「まだ、終わらねぇぞぉ!!」

 

 圧力のある叫びと同時に迅真を闇が包み、その闇によって俊の突き立てていた刀は弾かれる。

 

 俊は咄嗟に距離を取り、それと同時に紅炎(プロミネンス)が解除される。

 

 闇が解け、中から出て来た迅真はいつもとは違い、赤黒い何かを纏って、いつもの様にダーインスレイヴを持っていた。

 

「『血の闇衣』。これを使うのは初めてだが、どうにか操り切ってやる。さぁ、最終ラウンドだ!『闇よりいでし魔なる剣よ。戦乱を呼びて我が敵に死を与えよ。その肉を刃へと。その魂を力へと。全てを喰らいて混沌へと還す美しき刃と化せ』ダーインスレイヴ第二封印、王の顎門アギト解放。捕食を許可する!」

 

 ゾワッ!!と背筋に走る寒気。冷や汗が止まらない。手足が震える。

 

 だが、その全てを俊は理性で叩き伏せ、本気で戦うために力を解放する。

 

「妖怪化『東雲 修也』!」

 

 瞬間、俊の髪は銀色へ、瞳は藍色へと変わり、それと同時に妖力が溢れ出る。

 

「行くぞ!」

 

 俊はそう言うと、すぐさま斬撃を飛ばす。

 

 だが、迅真の元へたどり着く前に、迅真の纏っている赤黒い何かが瞬時に動き斬撃をかき消す。

 

「はっ!?」

 

「血の刃。闇を流し込んだから俺の手足の様なものさ」

 

 そんな声が聞こえ、その時には迅真の姿が掻き消えていた。

 

 そして、突然背後に現れる膨大な気配。反射的に刀を振るうが、音も無く振るわれた刃に弾かれる。

 

 瞬間襲い掛かるダーインスレイヴ。俊は全力で急降下し避けるが、振り返った時にはすでに迅真の姿は無く、真横へと移動しており、再び音も無くダーインスレイヴが振るわれ、俊は即座にそれを二本の刀を交差させて弾く。

 

 だが、その勢いで刀が俊の手元を離れてしまう。

 

「ッ!!ヤバ――――」

 

 直後襲い掛かるダーインスレイヴ。

 

 そして、俊へと迫り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――時よ止まれ!!」

 

 瞬間、世界は灰色に染まり、全ては停止する。否。するはずだった。

 

「俺に時止めが効くと思うなよ?『幽波紋(スタンド)』も能力で再現可能だ」

 

 全てが静止した世界で止まることなく迫る黒刃。

 

「ッ!!名刀『白鷺』!」

 

 キィンッ!!という甲高い音と共にダーインスレイヴの一撃を突然現れた白く美しい刃を持った刀が防ぐ。

 

「ぉ…っらぁ!!」

 

 ガキィッ!!という音が響き、俊はダーインスレイヴを押し返し、迅真から距離を取ると、解放の言葉を紡ぐ。

 

「『さぁ、捕食の時間だ。力を喰らいて、今力を解き放て。妖刀『喰餓土(くがつち)』全てを喰らい続けろ』」

 

 俊の言葉と同時に妖力は刃に集まり、白かった刃を黒く染め上げる。

 

「『華連撃・零水』」

 

 瞬間迅真目掛けて降り注ぐ斬撃の嵐。

 

 だが、迅真はそれを視認した上で黒い残像が残るほどの速度で避け、俊へと迫ると、ダーインスレイヴを振り下ろす。

 

「ッ!!」

 

 ガギィンッ!!という金属通しがぶつかる嫌な音が響き、その直後に俊は居合の方を取ると、

 

「東雲流 一閃奥義。『喰餓絶刀(くうがぜっとう)』!」

 

 神速の域で振るわれる一撃。だが、迅真は冷静に、冷徹に、呟く。

 

「一方通行だ。自分の力に食い殺されな」

 

 直後、迅真に刃がぶつかり――――

 

 

 

 

 

――――俊の身体が両断される。

 

 

 

「ガハッ…!?」

 

 俊は落ちていく中、闇が霧散し、中から現れた()()()()の迅真を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っつぁ!ゲホッゲホッ!!あ~……死ぬかと思った…」

 

 そう呟くのは迅真。俊が両断された直後、闇を抑えきれなくなり急いで能力を解除したため死に至らなかった。

 

「はぁ。一度も使った事の無い技をノリで使うモンじゃないな。まぁどうにか勝ったし良いか」

 

 結界が解けると同時、黒こげになった地面が消え、銀世界が甦る。

 

「寒ッ!!ったく、焦土にしたことをなかった事にするのは良いけど、雪まで戻るのは考え所だな…」

 

 瞬時に魔法を唱えて寒さを取り除くと、おそらく雪の中にいるであろう俊を探す。

 

「っとと、いたいた。お~い。大丈夫か~?」

 

 降りながら声をかけるが返事が返ってこない。少し心配になりすぐに下りると、

 

「ありゃ。気絶してる?」

 

 そこには目を回して倒れている俊がいた。

 

 迅真はため息を吐いた後、気絶している俊を抱えて家の中へと戻る。

 

 

 * * *

 

 

 パチリ。と目を覚ますと、そこは家の中だった。

 

 体を起こし、辺りを見渡すと少し離れた所にルーミアと迅真がいた。

 

 迅真はこちらに気付くと、

 

「あぁ、俊。大丈夫か?」

 

 と、声をかけてくる。

 

「あ、あぁ。まぁな」

 

「そうか。なら良いけど、もし体に異変があったらすぐ言えよ?この世界にいるうちなら俺が治してやるからよ」

 

 ありがとう。そう言って俊は自分にかかっていた毛布を退かし、迅真達の元へと歩いて行く。

 

「さてと。んじゃ、まずは景品から渡さないとだよな」

 

「景品?」

 

 俊が椅子に座った辺りで迅真が言った一言に思わず俊は聞き返す。

 

「いやいや、最初に言ってただろ?アイテムを渡すって」

 

「あ~……確かにそんなことを言ってたような…?」

 

「言ったからな?んで、これがその景品」

 

 そう言って迅真が差し出したのは紅い棒。

 

「コレは?」

 

「如意棒」

 

「はぁっ!?」

 

 と叫ぶ俊。迅真はその反応に満足したのか、若干嬉しそうな表情で続ける。

 

「まぁ、如意棒っつったって、ただ単に伸縮自在な棒ってだけだ。まぁ、もちろん太さも変えられるから用途はいろいろあるだろうがな。それに原作と違って重さは30㎏位だ。それでも重いと思うが8t無いだけマシだろ。一応能力伝達率も弄ってるからお前の能力で重量もどうにかなるさ」

 

「こ、これ、本当に貰って良いのか…?」

 

「もちろん。俺の修行を手伝ってくれたお礼だしな。貰ってくれよ」

 

「そう言うなら…ありがたく貰う事にするよ」

 

 そう言って俊は如意棒を手に取り、しまう。

 

「さてと。一応今すぐにでも帰れるけど、今日は泊まってくか?」

 

「あ~……いや、帰るよ。霊夢も心配してるだろうしな」

 

「そうか」

 

 迅真は了承すると、スキマを開く。

 

「んじゃまた会おうぜ」

 

 迅真が手を振りながら見送ると、

 

「おう。またな」

 

 と、俊は笑顔で返してスキマの中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「……んじゃ、飯にするか」

 

「そうね。私は二人を呼んでくるわ」

 

「おう。任せたぞ」

 

 二人はそう言って動き出すのだった。




 音無仁さん。コラボありがとうございました!!

 どう考えても俊君可哀想。主に雪をぶつけられた辺りが。誰だこんなひどいの書いた奴!<(`^´)>プンプン
 あ、私ですね。すいません。香は後で天罰を下しておきますのでお許しください。

 如意棒はご自由にお使いください!説明は迅真君がしている通りですが、足りなかったら捕捉しますので言ってくださればメッセージ飛ばします!(`・ω・´)ゞ

 では改めて、音無仁さん。コラボありがとうございました!!

 次回は霊魂扇龍さんとのコラボです!よろしくお願いします!(`・ω・´)ゞ
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