「ただいま~…って、何この状況?」
紫がおとなしくなり、一緒に家に帰った日の翌日。香と一緒に畑の世話を適当にした後、帰ってみたら紫が正座の状態で両手を後ろで縛られてシクシクと泣いていた。
「迅真さん、助けてください…」
何か、今にも消え入りそうな声で紫が言って来るが、そもそも何があったのか分かってない迅真は助けようがなく、とりあえず紫の前で椅子に座っているルーミアに視線を送る。
「別に、何もなかったわよ?」
目を逸らしながら答えるルーミアはどう見ても主犯のように思えるのだが、ここはあえて突っ込まない。
「ま、加減しとけよ。そいつは後で俺の手伝いをするんだから」
「えぇ!?助けてくれないんですか!?ひどい!」
「貴方が迅真にした事よりかは幾分かマシでしょうが。死にかけたのよ?分かってるの?」
そこで、ルーミアの怒りの原因に気付いたが、ここで変に言うとこっちまで被害が飛んできそうなので捕まる前に逃げる事にした。
「香。ちょっと出かけて来るわ。ルーミアがやり過ぎない様に見張っておいてくれ」
「おう。分かった。絶対見張っとく。あいつに目を付けられて無事だったのを俺以外で見たことないからな……さすがにあいつもそれくらい理解してるとは思いたいけど…可能性は捨てきれないからな。てか、お前のためなら迷わず消しそう」
「不吉なこと言うな。それと、本気でヤバかったら結界使ってくれ。霊力込めれば出来るから」
そう言って香は結界札を渡す。
「お、おう。出来ればこれを使わないように頑張るけど…出来るだけ早く帰って来いよ?俺の胃が決壊する前に」
「了解」
迅真は命の危機を感じながら目的地を探すために飛ぶ。
* * *
「……予想以上に近かったな」
目的の場所を見つけ、迅真はぼそりと呟く。
目の前にあるのは山。しかも、妖怪の山である。なぜ来たか。それは一つの目的のためである。
ここで考えていても何も始まらないので迅真は上空から鬼の村を見つけると急降下して空気の方向を操り爆風を発生させない様に、だが勢いよく着地する。
「うおぁ!?なんだ!?」
「いよっす。久しぶりだな閃鬼よ」
「いきなりやって来て『いよっす』ってなんだよ!普通に降りて来いって!というか、歩いて来い!!」
「それやったら天狗に捕まんだろうが」
「捕まれ!んで正式に入って来い!!」
「お断りだ」
「うがぁぁ!なんで俺はこいつが帰って来て早々こんな会話してるんだぁ~!」
皆ご存じの通り閃鬼君である。現状最高の弄られ役だ。香も同じ様な立ち位置にいるが、やはり閃鬼の方が扱いやすいのだった。本人がどう思っているかは別として。
「はぁ…で?何の用だよ。突然変な登場したからには訳があるんだろ?」
「あぁ、それな。実は、ちょっと紫を使って遊ぼうかなって思ってさ。参加しろって言いに来た」
「そうか。お願いしに来た…ん?ちょっと待て。今お前『参加するか?』じゃなくて、『参加しろ』って言わなかったか?」
「言ったけど?お前は強制参加だぞ?」
何を言っているんだお前は。と言いたげな表情に閃鬼はちょっとイラッとする。が、数年前とは違うのだ。もう彼はすぐ怒る人を卒業したのだ。もう迅真なんかに振り回されはしない。そういう覚悟をしてきたではないか。
「よし、俺が強制参加なのは分かった。で、他には誰がいるんだ?」
「今の所人数は俺とお前と後4人だな。ちなみに、コレはあくまでも企画側の話だ。楽したいなら人数はお前が稼ぐんだな」
「俺に丸投げかよこの野郎!!」
さすがに無理だった。怒るのも無理はない。というか、怒らない方が難しい気がする。
「じゃ、頑張れよ。2週間後くらいにまた来るから」
「おい待てよせめて何の企画か教えて行けーーー!!」
閃鬼の必死の叫びも、悲しい事にすでに飛び立った迅真には届かないのだった。
* * *
香の家に帰還した迅真は、出てくる時に何があったかをすっかり忘れて家の中に入る。
「たっだいま~っ!!」
「てめぇ迅真手伝いやがれぇ!!」
「離しなさい香!でなきゃ先に貴方をぶった切るわよ!?」
「だからやめろってば!!」
「ルーミアさん!ストップストップ!!それ以上はさすがに私でも死んでしまいますからぁ!!」
必死の叫びを聞き、さすがに平静でいられなくなった迅真は急いでルーミアの前に出る。
「ちょ、ちょっとルーミア?何してるんだ?」
「貴方を殺そうとしたこの女をちょっと切り刻もうとしてただけよ?だから何も問題は無いからそこを退いて香を引きはがして?」
「いや、さすがに知り合いの殺害現場を見てられるほど俺も人でなしになったつもりはないからやめてくれないか?それに、仮にもこいつは俺の弟子だからさ?やめてくれるとありがたいな」
「むぅ……迅真がそう言うならおとなしく諦める事にするわ。迅真の寛大な心に感謝しなさい。弱小妖怪」
「あ、ありがとうございますぅ…」
滝のように涙を流しながら紫はそう言う。ちなみに、現段階で紫は大妖怪だ。間違っても弱小妖怪ではない。
「(それなのにはっきりと『弱小』って言い切るルーミアは一体どんだけ強いんだよ…いや、俺が秒殺されてるんだからおっそろしいほどに強いのは分かるんだけどさ)」
考えるが、すぐにこんな事を考えてる場合じゃない。と気付き、紫に向き直ると、
「紫。ちょっと遊ぼうかと思うから力を貸せ」
「え…?」
「なに、簡単な事だ。ちょっと範囲地域を一時的に改編させる大結界作るだけだから」
「はい!?」
紫の悲鳴にも似た叫びは誰にも聞き入れられず、縄が解かれると同時に迅真に連れ去られるのだった。
「なぁ幽香。なんで手伝ってくれなかったんだ?」
「だって、巻き込まれたら痛そうじゃない」
「えぇ~…そんな薄情な」
コラボ中にHated Jackさんから3枚ほど挿絵をいただいたのでここに張らせていただきますね!
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コート……着せようかな?
本当にありがとうございます。こういうものは作成意欲に直に響くなって最近感じた私でした。<(_ _)>ペコリ