東方種変録   作:大神 龍

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 閃鬼君。どこに行ってたんだろうね。


第八十五話 コラボ PM3:00

「はぁ…やっと帰ってこれたぜ」

 

「おぅ閃鬼。お疲れさん。防衛網は強化終わったか?」

 

「一応やったが、何体かは入り込んじまった」

 

「は?いや、なんで討伐しにいかないんだよ」

 

「いやぁ…ほとんど倒したんだけどよ…一体だけ無理だった。で、どうせなら食料になるだろうなって思ったから放置したんだ」

 

「なるほど…はぁ、まぁいいよ。取り合えず掃除場所に行って来い。今あそこに誰も行ってないからな。香は行方不明だからさ」

 

「行方不明?なんでだし」

 

「さぁ?稲荷様に連れ去られたとかじゃないか?」

 

「なるほどな…じゃとりあえず行ってくるぞ」

 

「了解。いってらー」

 

 閃鬼はそのまま転移するのだった。

 

 

 * * *

 

 

「うぉ!?めっさ綺麗なんだが!?」

 

「あ、閃鬼さん!」

 

「おぅ。しろまか。それにあっき。お前らしかいないのか?」

 

「今回はそうみたいだ」

 

「そうか。それで、何を――――あぁ、正月飾りを作ってるのか」

 

「やることがこれくらいしかないからな」

 

「なるほど。じゃあ俺も手伝うぜ」

 

 

 * * *

 

 

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 悲鳴を上げながら逃げる優。背後から迫り来るは狐。

 

 必死で逃げていた優は、数秒後、すぐに反転し腰に差している刀――――『不知火』を抜刀し、切りかかる。

 

 だが、狐が刀に当たると同時に霧散し、背後に突然気配が現れる。

 

「チィッ!」

 

 即座に背後に切りかかるが、目測を誤ったのか、狐の下を通り――――

 

 

 

 

 

――――狐は刃の上に乗る。

 

「!?」

 

 その驚きは尋常ではない。その狐は刀の上に乗った。それならまだ、身体能力が高ければ分かる。だが、ここにこの補足をつけると、優の驚きも分かるはずだ。

 

 『不知火』は、ありとあらゆるものを反射する。

 

 そう、たとえ着地の時の衝撃でさえもだ。

 

 さて。では、この狐はどうやって着地したのだろうか。自由落下で自動的に重力の方向は刀に向いている。反射されて吹き飛ばされるのが普通だ。

 

「嘘だろ…っ!!」

 

 優は呟くが、すぐさま前進してきた狐に反射的に刀を引き狐を振り下ろすと、一度鞘に戻し再び逃げ出す。

 

「優さん!避けてください!!」

 

「うおっ!?」

 

 優は、ホワイトの声と共に目の前から迫ってきた黒い槍を跳躍して回避し、そのまま黒い槍は狐に迫る。

 

 悲鳴のような鳴き声を上げ、狐は一瞬怯む。直後、狐に振り下ろされる踵落とし。

 

 しかし、寸前で避けられてしまい、踵落としを繰り出した人物――――ファントムは舌打ちをする。

 

 狐は体勢を立て直した後、優たちを一瞥して逃げ出した。

 

「……なんだったんだ、あの狐…」

 

「分かりませんが…とても嫌な気配でした」

 

「アレは危ない奴だ。戦わないで済むならそうした方が良い」

 

「それもそうか…」

 

 優がため息を吐き、ホワイトとファントムと一緒に肉を探しに行こうとし――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドッパアアァァァァァァァァァァァァン!!!!と巨大な水柱が上がり、三人は顔を見合わせる。すると、気の上から、

 

「湖の方からだ。先に行っているぞ」

 

「お、おい!先走るな!」

 

 木の上の孤狼らしき気配に優の声は届かなかったのか、すでに気配は消えた後だった。

 

 

 * * *

 

 

「な、なんじゃこりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 叫ぶ俊の前には、湖から顔をのぞかせる巨大な顔。

 

 水を吸って重そうな藍色の(たてがみ)。額から後ろへと波打ちながら流れる紺色の角。水を弾き煌めく水色の鱗。その双眼は金色に輝いていた。

 

 それは、龍と呼ばれる幻獣。

 

「りゅ、龍!?」

 

「水龍だと!?」

 

 正直あまりにも想定外すぎて全員の動きが止まる。

 

「皆逃げろ!!」

 

 突然横からかかった言葉に、全員は我に返る。

 

 俊は即座に刀を抜き、襲い掛かって来た水龍の一撃を防ぎ、続く水弾をドールが盾で弾く。

 

「起きろ、『コドク』」

 

「こい、『モエコ』」

 

 言葉と共に、孤狼と隆文の身体が一回り大きくなったような錯覚。直後、二人に変化が訪れる。

 

 孤狼は黒いケモ耳とケモ尻尾を生やし、全身を黒い体毛が包み、狼人間のようになる。

 

 隆文は褐色のふんわりとした印象の体毛に、長く細い耳。服に隠れて見えないが、おそらく短く丸い尻尾があるのだろう。その姿はまるでウサギのようだった。

 

「行くぞ」

 

 孤狼はそう言い、刀を抜き水龍に迫る。

 

 大ぶりの袈裟斬り。だが、水龍の鱗に当たると弾かれ、大きな隙が出来てしまう。

 

 その隙を見逃さず、水龍は尾を振るう。

 

 しかし、孤狼に当たる寸前でドールが間に入り、止めようとする。

 

 だが、威力は想像以上に高く、二人とも吹き飛ばされてしまう。

 

「おっと。大丈夫か?」

 

 そんな声が響き、二人を襲っていた風圧は消滅する。

 

「あいつがさっきの水柱の正体か…龍とはこれまたとんでもないのが出て来たもんだ」

 

「優さん?」

 

「ん?どうした?」

 

「いえ、なんか楽しそうに見えたので」

 

「まぁな。それよりも、孤狼のそれは力か?」

 

「あぁ。心に宿る獣だ」

 

「そうか。じゃあ、とりあえず地面に降ろすぞ。さすがに片手で二人は無理だ」

 

 そう言って、優は二人を地面に降ろす。

 

「さて。暴れるとしますか」

 

 優はそう言うと、水龍に向かって飛び出す。

 

「ホワイト!ちゃんと水龍に当てろよ!?」

 

「もちろん!!」

 

 声と共に黒い槍が水龍に向かって放たれる。

 

 だが、その黒い槍は水龍が軽く振るった頭に当たり、弾かれてしまう。

 

「嘘!?」

 

 ホワイトが驚きの声を上げると、水龍はホワイトを見つけ、水を吐いてくる。

 

「え!?この距離で…!?」

 

 想像をはるかに超える速度で迫る水弾に回避が間に合わなくなり、咄嗟に両腕を交差させて顔を守ろうとし――――

 

 

 

 

 

 

「――――させるかぁ!!」

 

 ホワイトに当たる直前で水弾は消滅する。

 

「あぶねぇ…何とか間に合った」

 

 水弾を消滅させた俊は、再度刀を構えなおし、

 

「ちゃんと動き回りながら撃てば当たりにくくなるからな」

 

「わ、分かりました」

 

 ホワイトに助言して走り出す。

 

 

 

 

 

「『無音―(そう)―』」

 

 ズガガッ!と龍に音もなく三度衝撃が加わる。

 

「切り裂け!アルテマウェポン!」

 

 更にりょうかの追撃により、龍は大きく揺らぎ、

 

『GYAAAAAAAAAAAA!!!!』

 

 あたりに響く轟音。空気は大きく振動し、全員の感覚を狂わす。だが、

 

「『無音―調和―』」

 

「『不知火』!反射しろ!!」

 

 二つの剣が音を相殺する。

 

「絶も来たのか」

 

「中々珍しいのが見えたからな」

 

「そうか。じゃあ、取り合えずコレ、どうにかするぞ」

 

「当たり前だ」

 

 絶は霊剣を持ち、龍に突撃する。

 

「『無音―境界斬―』」

 

 見えず音もしない斬撃は、龍に当たり霧散する。

 

「効かないだと…?」

 

「なんだよあの装甲…どう破れと?」

 

「いろいろ試すしかないと思うが?」

 

「それもそうだな…やれるだけやってみるぞ」

 

 優はそういうと、居合の構えをとる。

 

「行くぞ」

 

 そう呟き、優の手が動く――――と思ったとき、優は剣から手を放す。

 

 直後、ザンッ!!と音を立て、暴風が吹き荒れ、龍へ一直線の道が出来、龍の体が大きく揺らぐと同時に鬣が数本飛ぶ。

 

「今ので鬣が数本…斬撃じゃ無理だなこれは」

 

「斬れはしないが衝撃は通るみたいだし、叩き続ければどうにかなるんじゃないか?」

 

「それでどうにかするか…できるか?」

 

「やるしかないだろうが」

 

 全員はやることを決め、それぞれの武器を手に取る。

 

 

 * * *

 

 

 そんな激闘の最中、のんびりと森の中を歩いている人物がいた。

 

「なんか、大きな音がするんですけど…何かあったんでしょうか?」

 

「誰かが暴れているとか…ですかね?」

 

 あながち間違ってはいないが、間違っている。誰かどころか、ほとんど全員である。じゃなくて、暴れているのはモンスターである。

 

「見に行ってみましょうか」

 

「行ってみましょう!たぶんあっちです!」

 

 おー!と声を上げ、絆と葉は音がしたであろう方向――――の反対へと進んでいく。

 

「(だから真逆だっつーの!!戻れ!逆だ逆!!)」

 

 とっても突っ込みたいが、香は必死で言葉を飲み込み、稲荷様と一緒に尾行を続ける。

 

「稲荷様…何時までコレ続けるんですか?」

 

「飽きるまで!」

 

 あ、ダメだこりゃ。と香は確信し、騒ぎの方が気になるも、稲荷様を置いて行くのは不味い気がするので渋々とついて行くのだった。

 

「はぁ…指輪の強制帰還に頼るか…」

 

 ぼそりと、そう呟くのだった。

 

 

 * * *

 

 

 狼は、水柱を見て、うわぁ…と思いながら、野菜を引き抜いていた。

 

 すると、巨大な野菜を見つける。

 

「ふぉぉ!?な、何かすごそうなのです!頑張って引き抜いちゃいますよ!」

 

 こちらはこちらで一生懸命頑張っているようだった。

 

 

 * * *

 

 

「おりゃぁぁぁぁ!!」

 

 ドガッ!!と音を立て、ドールの剣は水龍に当たる。が、やはり弾かれてしまう。

 

 それに続く孤狼の斬撃と蹴り。更に隆文の拳。それらはドガガガッ!!と音を立てつつ、少し水龍を押すが、すぐさま反撃の尾による薙ぎ払いが走る。

 

 しかし、即座にファントムが蹴り上げ、りょうかが切り上げる事で尾の軌道を逸らし、ホワイトが追撃の黒い槍を放つが、当たると同時に弾かれ、霧散する。

 

「『無音連脚』!」

 

 音もせず複数の切断性を持った蹴りが水龍に放たれる。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!』

 

 蹴りは命中し、水龍は悲鳴の様な声を上げる。

 

 直後、水龍の周りの水が吹き上がり、その水は無数の槍となって全員に襲い掛かる。

 

「焼き尽くせ!!」

 

 優は瞬時に霊力を放出、炎へと変え、槍を全て蒸発させる。

 

「雷よ!!」

 

 更に優は霊力を放出し雷へと転換し水龍に叩きつける。

 

『GUGYAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』

 

 すると、叩きつけた雷は青白く変化し、優へと帰って行く。

 

「嘘だろおい!!」

 

「止まってんじゃねぇ!!」

 

 バンッ!!と俊の蹴りと共に雷撃は掻き消える。

 

「すまない!助かった!」

 

「貸一だ!」

 

「修行で返してやるぜ!」

 

「『無音―紅刀―』『無音―回廊―』」

 

 絶の霊剣が赤く変色すると同時に彼は飛び出し、水龍に無数の斬撃を浴びせる。

 

「チィッ!硬すぎる!」

 

 絶は舌打ちをするが、多少強化したくらいで突破できないのは予想出来てはいた。

 

「偽装『フォーオブアカインド』!!」

 

 宣言と共にドールは4人になる。

 

 そして、その四人のドールは完璧な連携で水龍を叩く。が、水龍が頭を振り、怒りを見せながら三人のドールを一気に飲み込む。

 

「分身が全滅…!?」

 

 驚く間もなく、水龍はドールを含む前方にいる全員に倒れかかる。

 

「やらせるかぁ!!」

 

「『紅炎(プロミネンス)』!!『焔刀(えんとう)十字炎界!』」

 

 瞬時に優は先ほど見せた視認できないほどの居合斬りを放ち、それに俊が体を炎へと変化させ燃え盛る十字の斬撃を飛ばす。

 

 ズガガアァァァァァァァァァァァァン!!!!と轟音を立て、水龍の身体を弾き返す。

 

「うぉらぁ!!」

 

「飛べ!」

 

「まだだ!」

 

 孤狼、ファントム、隆文は水龍の反対側から一斉に拳を叩きつけ、更に弾き飛ばす。

 

「来い!名刀『白鷺』!!」

 

 俊の声に答えるように一本の刀が現れる。

 

「『さぁ、捕食の時間だ。力を喰らいて、今力を解き放て。妖刀『喰餓土(くがつち)』全てを喰らい続けろ』」

 

 言葉と共に白く美しい『白鷺』は黒く染まり、

 

「東雲流 一閃奥義。『喰餓絶刀(くうがぜっとう)』!」

 

 ズダンッ!!と轟音を立てて水龍を断ち切る。

 

「ハァ…ハァ…ダメだ…体力を持ってかれすぎた…」

 

 そう言い、俊はその場に倒れるのだった。




 ギャオー!食べちゃうぞー! by水龍


 うん。あいつは…その…強かったね。斬られたけど。

 採集:(390-40=)350(サイコロ変動なし)(肉:115 魚:65 野菜:110 ?:(100-40=)60)

 掃除:〔-350-190+30〕=-510

 料理:0

 かまってー:0(行動不可ランダム)

 診察:40(俊だけ急患なので回復)


 あ、でもいつぞやのウサギには勝てないよ?あの龍
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