さて。隆文は肉を探す。と言っても、彼の心に宿しているのはウサギ。どう考えても喰う側というより喰われる側な気がするので、狩ることが苦手な印象もある。
だが、ウサギの聴覚はすごいもので、少しの物音でも聞き取り、獲物を捕まえる事が出来る。
と、言っても、そもそも獲物がいなければ役立つことなどできないわけで。
「一体、動物はどこに行ってしまったんだ?」
「さっきの騒ぎで逃げ出した、とかじゃないですか?」
「そうなのだろうか…」
「そうですよ。たぶん(さっきの蛇の時に隠れなかったのは、蛇はその程度って事だったのかな?)」
疑問に思いつつも、二人は森の中を歩き続ける。
* * *
ドールはのんびりと野菜を採取する。
「…あれ?これ、なんだろう?」
疑問に思いつつ、彼は近くにあった、見たことのない草を引き抜く。
それは顔があり、抜かれて困惑したような表情を見せる。そして、ドールに気付くと、驚いたような表情になり―――――
「ピgyッ!!!」
反射的にドールはその草の首(?)を切り落とす。
「ハァッ…ハァッ…なんだ、今の…体が動かなくなりそうだった……」
愛くるしい見た目に反して、魂を抜き取る様な声。俗にマンドラゴラと呼ばれるその植物は、薬草としては最高なのだが、採るのが難しいのでも有名。というより、なぜここに居るんだよ。という突っ込みもあるだろうが、それは香マジックだ。
「こ、こんなのもあるのか…次は気を付けよう」
ドールは気持ちを引き締め、採取に臨む。
* * *
「か、硬いですぅ…!!」
グググッ!!と、皮を剥ごうと四苦八苦している絆。想像以上に硬く、がっしりと張り付いているため、中々剥がれない。
「…手伝うぞ」
「お、お願いします」
予想以上の苦戦具合に、ファントムも手を貸す。
「しかし、何を作ろうとしてるんだ?」
「えっと、豪華に焼いたりとか、煮てみたりとかしようと考えてたんですけど…他に何かありますか?」
「…刺身…?」
「刺身ですか…確かに寄生虫とかいなさそうだし、馬刺しみたいな感じ…ですか」
「後は…何かあるか?」
「シチューとかどう?」
「シチュー!それがありました!ならカレーとかでもよさそうですね!!こんなに広いキッチンですし、残しておいたらたぶん誰かがやってくれます!」
「後は、から揚げとか天ぷらとかか?」
「それもありますね!あぁ、考えてたらお腹減って来ちゃいました。これは早く調理してご飯を楽しまないと!!」
うおー!やるぞー!と気合いを入れる絆。それを見つつ、ファントムとホワイトは調理を進めていく。
「そう言えば、ファントムさんはかまどなんですね」
「あぁ、私はこれしか使えないからな」
「どうしてなんです?」
「…その…レバーだとか、つまみだとか…
「…あぁ、機械音痴なんですね」
「うぐぐ…そうハッキリ言ってくれるな」
「あ、すいません!」
その様子を、ホワイトは苦笑しながら見ていた。
* * *
「お前ら!!ちょっとは真面目に働けや!!」
「「お断りだッ!!」」
俊の怒りの矛先にいるのは優と迅真。こいつらが何をやらかしたのか。それは至極単純。なぜかこの部屋に設置されているテレビをつけ、迅真がバッグの中からゲーム機を取り出し、テレビに繋ぎ、優と一緒に遊び始めたのだ。
「あ~…くっそ!!勝てやしねぇ!!」
「フハハ!!このゲームの製作者に抗おうなどとは片腹痛いわ!!」
「せこいぞ貴様!!」
「フハハ!なんとでもいうが良い!!貴様は勝てんのだよ!!」
「この野郎!!」
どうやらやっているのは格闘ゲームのようで、テレビの中ではキャラクター達が殴り合っていた。
「このゲーム、どうやって作ったんだよ!」
「友人と一緒に自分たちをベースにして作った」
「って事は元ネタ人物がいるってのか!?」
「当たり前だ。つか、俺の使ってるのは俺自身だぞ?」
「マジか!!じゃ、じゃあ俺の使ってるのは!?」
「あ~……執事やってた奴だな」
「ハァ!?このナイフぶちまける奴が!?途中で爆発したりするのは一体どういう能力だよ!」
「あ~…確か変化させる系の能力だったはずだ。自分も相手も物も大丈夫だったはず」
「ま、マジか…お前の周りの奴、とんでもない奴がいっぱいだったんだな」
「そりゃそうだ。ちなみに、このゲームの最強キャラは居るが、性能がクッソチートだからVSでは封印されてる」
「そんな奴まで組み込んでるのかよ…ちなみに、そいつの能力は?」
「能力が無効化されるんだよ…つまり全攻撃無効化」
「そりゃVSで封印だわ」
「ま、コマンド打ち込めば出て来るけどな」
「オイそれ教えろお前を叩き潰してやるから」
「ふざけんな。誰が好き好んで死ににいくかっての」
「だよな…はぁ、やっぱりここは気合いで倒す!!」
「『気合いで倒す!!』じゃ、ねぇぞコラー!!」
「「うわー!俊が怒った~!!」」
さすがに我慢の限界が来たのか、俊が優と迅真を一回ずつ殴る。
「「ひ、ひどい!親父にもぶたれた事無いのに!!」」
「甘ったれてんじゃねぇ!!」
俊のその一言に、優と迅真に電撃が走る。
「ま、まさかそう返されるとは…想定外だ…」
「俊が親みたいなこと言ってる…」
「貴様ら、俺を何だと思ってるんだ?」
「便利な突っ込み役」
「弟子」
「おう迅真。その腐った性根を叩き割ってやる。表出やがれ」
「いやだねっ!俺は遊ぶんだいっ!」
「上等だおらぁ!!」
「はいはい。そこで終わりだ」
瞬間。俊と迅真の動きが止まる。
「ったく。正月飾り、ほとんどできてないのに遊んでんじゃねぇよ。ほら、俊。そこのバカに構ってないでこっちをやれ」
「……分かった」
絶に言われ、渋々といった様子で俊は作業に戻る。
「ねぇねぇ迅真!それ何?」
「ん?誰だ?」
迅真は声に反応し、辺りを見回すが、誰も居ない。
「ここ!ここだよ!」
声がかかったのは下から。それに気付き、見下ろしてみると、そこには稲荷様がいた。
「あぁ、稲荷様か。これはゲームって言ってだな。一人や皆で遊ぶものなんだよ」
「へぇ~…?じゃあいなりとやってみよう!」
「ん?お、おぅ。分かった」
そんな感じで、二人は対戦を始める。
と、二人を置いて後ろで作業をしている人物が呟く。
「稲荷様…なんでここに…?」
「えっと、普通に転移して来たんじゃないんですか?」
「あの人が…?そんな、まさか…?」
「え、そこまでおかしなことなんですか?」
「いや…別にそう言うわけじゃないんだが…あの人が動くって事は何か企んでいるような…」
「なんというか、ある意味で信用はされてるんですね…信頼はされてないみたいですけど」
ため息を吐く孤狼を見て、葉と狼は苦笑いをするのだった。
「そんな…うそ…だろ…?」
「わーい!勝ったー!!」
ドサッと音を立て、迅真が倒れ込む。その姿を見て、優は肩に手を置き、
「プププ。ザマァ」
にんまりと笑みを浮かべる。
「うがー!!おい絶!お前もやるぞ!!」
「なんで俺を誘うんだよ。俊がいるだろ?」
「ちょ、俺は!?」
優の文句が聞こえない。
「俊はそんなにゲームが上手そうじゃないからな」
「すげー失礼な事をサラリという所がお前だよな」
俊の冷ややかな視線が刺さった気がするが、どうにか心を盾にして防ぐ。
「なるほど…じゃあお前の目から俺はゲームが上手そうに見えたって事だな?」
「当たり前だ。じゃなかったら俊に頼むぞ。いまいち弱そうだけど」
「だからお前はどうしてそう俺を非難するかな…!」
「よし、分かった。やってやろう」
「よっしゃ!任せたぞ!」
「おい絶。なんで俺を諭したお前がそっちに行くんだよ!?」
「それは…なんでだろうな」
「裏切ったな貴様ぁ!!」
俊の叫びなど聞かず、絶は
採集:125(肉:70 魚:0 野菜:55 ?:0)
掃除:〔-500-80+30+20〕=-530
料理:50+30
かまってー:0(優・絶)
おサボり:2人