東方種変録   作:大神 龍

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第八十七話 コラボ PM5:00

 さて。隆文は肉を探す。と言っても、彼の心に宿しているのはウサギ。どう考えても喰う側というより喰われる側な気がするので、狩ることが苦手な印象もある。

 

 だが、ウサギの聴覚はすごいもので、少しの物音でも聞き取り、獲物を捕まえる事が出来る。

 

 と、言っても、そもそも獲物がいなければ役立つことなどできないわけで。

 

「一体、動物はどこに行ってしまったんだ?」

 

「さっきの騒ぎで逃げ出した、とかじゃないですか?」

 

「そうなのだろうか…」

 

「そうですよ。たぶん(さっきの蛇の時に隠れなかったのは、蛇はその程度って事だったのかな?)」

 

 疑問に思いつつも、二人は森の中を歩き続ける。

 

 

 * * *

 

 

 ドールはのんびりと野菜を採取する。

 

「…あれ?これ、なんだろう?」

 

 疑問に思いつつ、彼は近くにあった、見たことのない草を引き抜く。

 

 それは顔があり、抜かれて困惑したような表情を見せる。そして、ドールに気付くと、驚いたような表情になり―――――

 

「ピgyッ!!!」

 

 反射的にドールはその草の首(?)を切り落とす。

 

「ハァッ…ハァッ…なんだ、今の…体が動かなくなりそうだった……」

 

 愛くるしい見た目に反して、魂を抜き取る様な声。俗にマンドラゴラと呼ばれるその植物は、薬草としては最高なのだが、採るのが難しいのでも有名。というより、なぜここに居るんだよ。という突っ込みもあるだろうが、それは香マジックだ。

 

「こ、こんなのもあるのか…次は気を付けよう」

 

 ドールは気持ちを引き締め、採取に臨む。

 

 

 * * *

 

 

「か、硬いですぅ…!!」

 

 グググッ!!と、皮を剥ごうと四苦八苦している絆。想像以上に硬く、がっしりと張り付いているため、中々剥がれない。

 

「…手伝うぞ」

 

「お、お願いします」

 

 予想以上の苦戦具合に、ファントムも手を貸す。

 

「しかし、何を作ろうとしてるんだ?」

 

「えっと、豪華に焼いたりとか、煮てみたりとかしようと考えてたんですけど…他に何かありますか?」

 

「…刺身…?」

 

「刺身ですか…確かに寄生虫とかいなさそうだし、馬刺しみたいな感じ…ですか」

 

「後は…何かあるか?」

 

「シチューとかどう?」

 

「シチュー!それがありました!ならカレーとかでもよさそうですね!!こんなに広いキッチンですし、残しておいたらたぶん誰かがやってくれます!」

 

「後は、から揚げとか天ぷらとかか?」

 

「それもありますね!あぁ、考えてたらお腹減って来ちゃいました。これは早く調理してご飯を楽しまないと!!」

 

 うおー!やるぞー!と気合いを入れる絆。それを見つつ、ファントムとホワイトは調理を進めていく。

 

「そう言えば、ファントムさんはかまどなんですね」

 

「あぁ、私はこれしか使えないからな」

 

「どうしてなんです?」

 

「…その…レバーだとか、つまみだとか…()()()()だとかが全く分からなくて…だな…」

 

「…あぁ、機械音痴なんですね」

 

「うぐぐ…そうハッキリ言ってくれるな」

 

「あ、すいません!」

 

 その様子を、ホワイトは苦笑しながら見ていた。

 

 

 * * *

 

 

「お前ら!!ちょっとは真面目に働けや!!」

 

「「お断りだッ!!」」

 

 俊の怒りの矛先にいるのは優と迅真。こいつらが何をやらかしたのか。それは至極単純。なぜかこの部屋に設置されているテレビをつけ、迅真がバッグの中からゲーム機を取り出し、テレビに繋ぎ、優と一緒に遊び始めたのだ。

 

「あ~…くっそ!!勝てやしねぇ!!」

 

「フハハ!!このゲームの製作者に抗おうなどとは片腹痛いわ!!」

 

「せこいぞ貴様!!」

 

「フハハ!なんとでもいうが良い!!貴様は勝てんのだよ!!」

 

「この野郎!!」

 

 どうやらやっているのは格闘ゲームのようで、テレビの中ではキャラクター達が殴り合っていた。

 

「このゲーム、どうやって作ったんだよ!」

 

「友人と一緒に自分たちをベースにして作った」

 

「って事は元ネタ人物がいるってのか!?」

 

「当たり前だ。つか、俺の使ってるのは俺自身だぞ?」

 

「マジか!!じゃ、じゃあ俺の使ってるのは!?」

 

「あ~……執事やってた奴だな」

 

「ハァ!?このナイフぶちまける奴が!?途中で爆発したりするのは一体どういう能力だよ!」

 

「あ~…確か変化させる系の能力だったはずだ。自分も相手も物も大丈夫だったはず」

 

「ま、マジか…お前の周りの奴、とんでもない奴がいっぱいだったんだな」

 

「そりゃそうだ。ちなみに、このゲームの最強キャラは居るが、性能がクッソチートだからVSでは封印されてる」

 

「そんな奴まで組み込んでるのかよ…ちなみに、そいつの能力は?」

 

「能力が無効化されるんだよ…つまり全攻撃無効化」

 

「そりゃVSで封印だわ」

 

「ま、コマンド打ち込めば出て来るけどな」

 

「オイそれ教えろお前を叩き潰してやるから」

 

「ふざけんな。誰が好き好んで死ににいくかっての」

 

「だよな…はぁ、やっぱりここは気合いで倒す!!」

 

「『気合いで倒す!!』じゃ、ねぇぞコラー!!」

 

「「うわー!俊が怒った~!!」」

 

 さすがに我慢の限界が来たのか、俊が優と迅真を一回ずつ殴る。

 

「「ひ、ひどい!親父にもぶたれた事無いのに!!」」

 

「甘ったれてんじゃねぇ!!」

 

 俊のその一言に、優と迅真に電撃が走る。

 

「ま、まさかそう返されるとは…想定外だ…」

 

「俊が親みたいなこと言ってる…」

 

「貴様ら、俺を何だと思ってるんだ?」

 

「便利な突っ込み役」

 

「弟子」

 

「おう迅真。その腐った性根を叩き割ってやる。表出やがれ」

 

「いやだねっ!俺は遊ぶんだいっ!」

 

「上等だおらぁ!!」

 

「はいはい。そこで終わりだ」

 

 瞬間。俊と迅真の動きが止まる。

 

「ったく。正月飾り、ほとんどできてないのに遊んでんじゃねぇよ。ほら、俊。そこのバカに構ってないでこっちをやれ」

 

「……分かった」

 

 絶に言われ、渋々といった様子で俊は作業に戻る。

 

「ねぇねぇ迅真!それ何?」

 

「ん?誰だ?」

 

 迅真は声に反応し、辺りを見回すが、誰も居ない。

 

「ここ!ここだよ!」

 

 声がかかったのは下から。それに気付き、見下ろしてみると、そこには稲荷様がいた。

 

「あぁ、稲荷様か。これはゲームって言ってだな。一人や皆で遊ぶものなんだよ」

 

「へぇ~…?じゃあいなりとやってみよう!」

 

「ん?お、おぅ。分かった」

 

 そんな感じで、二人は対戦を始める。

 

 と、二人を置いて後ろで作業をしている人物が呟く。

 

「稲荷様…なんでここに…?」

 

「えっと、普通に転移して来たんじゃないんですか?」

 

「あの人が…?そんな、まさか…?」

 

「え、そこまでおかしなことなんですか?」

 

「いや…別にそう言うわけじゃないんだが…あの人が動くって事は何か企んでいるような…」

 

「なんというか、ある意味で信用はされてるんですね…信頼はされてないみたいですけど」

 

 ため息を吐く孤狼を見て、葉と狼は苦笑いをするのだった。

 

 

「そんな…うそ…だろ…?」

 

「わーい!勝ったー!!」

 

 ドサッと音を立て、迅真が倒れ込む。その姿を見て、優は肩に手を置き、

 

「プププ。ザマァ」

 

 にんまりと笑みを浮かべる。

 

「うがー!!おい絶!お前もやるぞ!!」

 

「なんで俺を誘うんだよ。俊がいるだろ?」

 

「ちょ、俺は!?」

 

 優の文句が聞こえない。

 

「俊はそんなにゲームが上手そうじゃないからな」

 

「すげー失礼な事をサラリという所がお前だよな」

 

 俊の冷ややかな視線が刺さった気がするが、どうにか心を盾にして防ぐ。

 

「なるほど…じゃあお前の目から俺はゲームが上手そうに見えたって事だな?」

 

「当たり前だ。じゃなかったら俊に頼むぞ。いまいち弱そうだけど」

 

「だからお前はどうしてそう俺を非難するかな…!」

 

「よし、分かった。やってやろう」

 

「よっしゃ!任せたぞ!」

 

「おい絶。なんで俺を諭したお前がそっちに行くんだよ!?」

 

「それは…なんでだろうな」

 

「裏切ったな貴様ぁ!!」

 

 俊の叫びなど聞かず、絶は戦場(格ゲー)に向かうのだった。




採集:125(肉:70 魚:0 野菜:55 ?:0)

 掃除:〔-500-80+30+20〕=-530

 料理:50+30

 かまってー:0(優・絶)

 おサボり:2人
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