迅真とルーミアが居間に着くと、諏訪子と神奈子が何やら真剣な顔をして話している。が、迅真が鍋を持ってきたと同時に表情が崩れる。諏訪子に至っては目を輝かせて飛び掛かってくる。
「ちょ……諏訪子!危ない!鍋が揺れる!こぼれるだろうが!!」
迅真は諏訪子に文句を言うが、諏訪子は聞いていないのか、迅真にくっついて離れない。そのせいで動きにくく、少しむかっ!ときた迅真は、一回深呼吸をしてから、
「そこに座れ!」
と言う。すると、不思議な事に諏訪子は迅真の言葉通りその場にストンと座る。ルーミアと神奈子、それと未だに名前を知らない神はそれを疑問に思うが、気にしないことにした。
「ふぅ。これで大丈夫か」
迅真はそう呟きつつ、鍋を置く。そして、一回指をパチンッ!と鳴らした後に諏訪子の方を向き、怒りを込めつつ
「さて、諏訪子。お前はちょっと調子に乗り過ぎだと思うんだ……それで、そういうやつにはお仕置きが必要だと思うんだ。何か反論はあるか?」
と言う。それを言われている諏訪子は、カタカタと震えながら全身から冷や汗を流している。もちろん、反論なんて出来るわけがない。
「返事がないってことは反論は無いってことで良いよな。そうだな?よし分かった。ちょっとこっちに来やがれ」
迅真は早口にそう言うと、諏訪子を引きずってどこかへ行ってしまう。
――――数十分後、迅真と諏訪子が帰ってくると、諏訪子は何故か暗い雰囲気を纏っている。
「おう。皆、待たせちまったな。じゃあ鍋、早く食っちまおうぜ。一応冷めないようにはしておいたから味に問題は無いと思う」
そう言いつつ迅真と諏訪子は席に着く。そして、全員はいただきます。と言ってから食べ始める。
食べていくうちに、迅真は思わず
「(あれ?足りないんじゃね?)」
と思ったが、そんな事は無く。しっかりと食べきった上で、皆満足してくれたようだった。
「ご馳走様でした。っと、片付けるか」
迅真はそう言って、食器を台所へ持っていく。すると、その後ろをルーミアがついてくる。理由を聞くと、
「手伝うのだ~」
と答える。その後ろでまた諏訪子たちが話し始めるが、迅真はそれを気にせず台所へ向かう。
「――――あぁ、そうだ。ルーミア、俺そろそろここを出て行こうかと思うんだが……お前もついてくるか?」
不意に迅真はそんな事を話し始める。ルーミアはいきなりそんな事を言い始めた迅真を疑問に思ったが、
「私はついて行きたいな」
と答える。迅真は、そうか。と答え、台所に着く。
「さて、じゃあ手伝ってくれ。まぁ、食器を洗うだけだからあまりやることは無いんだけどな」
「分かった~」
そう言ってルーミアは手伝い始める。
少したって、ふとさっきの質問を自分にだけしたのか気になったルーミアは聞いてみることにした。
「そういえば、なんでさっきあんな質問をしたの?別に皆いる時でもよかったはずなのに」
「あぁ、そりゃ、別にルーミアは連れて行っても問題ないけど、諏訪子とかは仮にも神だから、神社を出るのは不味いと思うからさ。あいつらのいる前で言ってずるいって言われた時が一番面倒だからな。先に決めときゃ諦めてくれるかなって感じの理由だ」
「ふうん……でも、それって結局出て行く時に私も一緒に行くからあんまり変わらないんじゃないの?」
「……まぁ、そうかもしれない……つか、その通りか。うん、意味ねぇわ」
「迅真って、たまに意味の分からない事するよね」
「それは言わないでくれ。結構気にしてたりするんだ。まぁ、すぐ無かった事にするけど」
「そうなのかー」
「……お前もたまに子供っぽくなるじゃねぇか」
「子供が子供っぽくなかったら何っぽければいいの?」
「……まぁ、そういうことにしておくよ」
迅真がそう言ったあたりで、食器は洗い終わった。
「さて。じゃあさっきの俺が出ていくっての、あいつらにも伝えてくるかね」
「ん、私ももちろんついてくよ」
迅真は今に向かって歩いて行く。その後ろを、最初の時のように、ルーミアがついて行く。
「お~い、ちょいとそこの神二人。お話してもよろしいか?」
迅真は部屋に入りながらそう言う。居間には、少しだる~っとした感じの雰囲気をまとった神たちがいた。
「何~?」
「あぁ、俺、明日くらいにここを出て行こうかなって思ってさ」
迅真がそう言うと同時に、諏訪子が迅真に飛び掛かってくる。迅真はとりあえず顔面にぶつからない様に移動し、それを受ける。そして、諏訪子は迅真のことを見上げつつ、
「どうして出て行くの!?何か嫌な事でもあった!?」
「いやいや、別にそういうわけじゃなくてな?俺は純粋にあちこち見て回りたいって思っただけだ。だから出ていくだけだ。まぁ、帰ってくるかは分からないけどな」
「あう~!でも嫌だ~!」
「ったく、出ていくもんは出ていくから!」
「嫌だ~!」
「じゃあ、出ていくのを止める以外の願いを一個だけ聞いてやる!それでいいか!?」
「むぐぐ……じゃあ、何か置いていってよ。迅真のことを思い出せるようなものだよ?」
「は?俺を思い出せるようなもの?ん~……印象に残るようなもの?じゃあ、これでいいか?」
そう言ってバッグの中から何かを取り出す。
「なにこれ?」
それは、赤や青色、それ以外にも様々な色の宝石で装飾された首飾りのようだ。
「これはネックレスだよ。昔俺が作った。まぁ、ある意味廃材から作ったような物だが……それで良いならやるよ」
「良いの?」
「あぁ、問題ない。あ、それと、ルーミアも一緒に行くから」
「……はい?」
「いや、だからルーミアも――――
「なんで!?ルーミアまで行っちゃったら、ご飯どうするの!?」
「そこはお前が頑張れよ!」
「出来ないよ!?だって迅真が来てからはずっと迅真が料理してたじゃん!!」
「知るか!そこは自分で考えろ!」
と、ギャーギャー言いながらも、最終的には諏訪子たちは出ていくのはかまわないそうだ。まぁ、その後この神社がどうなるかは想像に任せるとして、迅真とルーミアはこの神社を出ていくのだった。
前回同様に最後が雑……あ、ちなみに、次はもう出て行った後の話です。しばらくはもう諏訪子たちは出てこないはずです。たぶん。