殺生丸の実姉で年齢は軽く三百を超えている。
数百年前に人間の男との間に子供が出来てからは実家には戻っておらず、妖怪世界から身を引いている。
叢雲牙を持っている
時は戦国乱世、強者が弱者を殺すそんな野蛮な時代
それは人間だけではなく、妖怪の世界も変わらなかった。
結界の外では今日も忙しく人間達が戦を続けている。
大妖怪の娘として生まれたものの、妖怪としてなら強くて当たり前という思考があり、屋敷にいる時でさえ気を抜く事は出来なかった。
というか、一族自体が闘牙王を頂点にしていた為、その子供である自分達に安易に手を出す馬鹿もいなかったが、影から殺そうとする者など山のようにいた。
それをかわせなければナメられる始末、実の母親からは軽蔑される事も少なからずあり、そういういろんなしがらみに嫌気がさし、成人する前に家出し厳しい妖怪世界の中で生きてきた。
咲耶の後ろを走る子供達の声を聞きながら、結界の外に刀々斎の気配がする。
「この三剣のうち、叢雲牙は咲夜様に、鉄砕牙は犬夜叉様に天生牙は殺生丸様にお渡しすることになりました」
そう言う冥加に
「…あの父、最期くらい人に迷惑かけずに死んで欲しかった……」
「姫様…」
「大体、妖怪世界から身を引いた私に頼むことか?そもそも、コレは厄介極まりない刀だろう」
叢雲牙を見て嫌な顔をする
「そうは言ってもな、お館様からの伝言だ仕方ねぇだろう」
そう言われ渋々肩に背負う
「それよりも咲耶様!ご相談したいことがありますっ!」
「ははうえ?」
小さな息子が不安そうに自分の名を呼んでくる
「!」
月明かりに照らされて現れた女性を見てハッとなる
あのお方の娘、犬夜叉の異母姉。
タンと部屋に降り立った女性を見て息を呑む
「……貴女が十六夜?」
そう聞かれハッとなり「はい、十六夜と申します」と頭を下げる
「………」
「…っ…」
冷ややかな目に底知れぬ恐怖が襲ってくる。
あのお方は私に優しくしてくださった。
が、あのお方のように妖怪全てが優しくないと教えてくださった。
『娘の咲耶なら犬夜叉を助けてくれるだろう』
「…ははうえ…?」
影から現れた犬夜叉を抱き横に座らせる
「……半妖と人間を置いてあの父は死んだのか、本当に自分勝手な男だ」
あのお方への毒を吐く言葉にギュッと服を握り締める
そう言って犬夜叉に目線を合わせるように座る
「だれ?」
「貴女の姉上ですよ」
「あねうえ?」
女性は深いため息をつき
「…父への苛立ちを当たり散らかしてすまなかった。貴殿らには関係ないというのに」
そう言って犬夜叉に御守りを渡す
「なぁにこれ?」
「妖怪から身を守るお守りだ」
「!ありがとうございます…『咲耶だ』咲耶様」
そうお頭を下げると
「言っておくが妖怪からの攻撃を守れても人間からの攻撃は守れないからそこは覚えておくように」
「はい」
そう言って立ちあがり去ろうとする咲耶に
「咲耶様!」
「…なんだ?」
「どうか…犬夜叉のことをよろしくお願いします」
これから先の未来のことを考え不安に思う。
自分亡き後の犬夜叉はきっと、姉上の庇護の下でしか生きられない
「……一つ言おう。私にも半妖の子供達がいる」
「!」
「だが、息子は人間によってたかられて死んだ。もう何百年前の話だが…だから私は最後に残った子供達を最優先する。犬夜叉のことは片手間にしか守れない」
「…はい」
「自分の力で自分の身を守るくらい強くなってほしい」
「はい…それでもありがとうございます」
そう微笑むと空へ飛んでいく
ー⚫️⚫️後ー
犬夜叉が封印されていた。
「………」
村の大樹に射抜かれたまま眠っている犬夜叉を見て近づき矢を持った瞬間、手が弾き返される
シュゥウウと手が焼け爛れる
「……妖怪を払う矢か…」
犬夜叉の封印を解く方法を考えていると、離れたところから人間の気配がしてくる
その場から離れ、一度自分の村に戻り、いろいろ考えつつその一年後再び村を訪れると、そこに犬夜叉はいなかった。
「?」
少し離れた所から犬夜叉の匂いがし、そちらに飛んでいく
「犬夜叉?」
見上げて来た犬夜叉に釣られて巫女?と法師達が続けて見て来る
「殺生丸?」
殺生丸の名前を知っていること、腰に鉄砕牙があるのを見て少なくとも好戦した後かと思いつつ、降りると人間達から警戒される。
「犬夜叉」
そう声をかけると『え?』と巫女?が驚く
法師は降りる段階でもう警戒を解いていた。
「……んだよ」
夜叉に一歩近づく
「鉄砕牙に頼ってるなら刀刀斎に見てもらえ」
そう言ってデコピンをするとエゲツない音が犬夜叉の脳天から響く
「イッッデェ!!何しやがる!」
派手に吹っ飛んだ犬夜叉が唸りながら言ってくる。
かごめ達は唖然としながらも二人のやりとりを見ていた。
「妖怪の牙といえど磨かなければ脆くなる。だから殺生丸に折られかけたりするんだ」
「その哀れな目やめろ!!」
ガルルと唸る犬夜叉にため息をつく
「あのう…」
巫女?が声をかけて来る
「…四魂の欠片って持ってます?あのこういう感じなんですけど」
そう見せて来る結晶を見て
「あぁ、コレのことか?捨てに来た所だ」
「え?!捨てに!?」
「その使い方知らねえのかよ」
「興味がない。そもそも、こんな厄介なもの村の近くに置いておきたくない」
巫女に渡すと『ありがとうございます』と言って来る
「……?」
「?」
「それより何しに来たんだよ」
そう不貞腐れながら言われ
「いや、弟の顔を見に来ただけだ、まだ封印されているようなら木ごと叩き折るつもりだったが、その必要はなかったようだし」
そう言って巫女を見る
「おせぇんだよ毎回」
「ウジウジするな、男だろう」
「うっせ!!」
「はぁ、あのお二人は仲良いようですな」
法師が巫女にそう言っていた。
「あ、あの、もしかして、この御守り作ったのって…貴女ですか?」
そう言って犬夜叉に渡していた御守りを巫女から見せられる。
「そうだ」
と言ってから犬夜叉を見る
「……んだよ」
「殺生丸より口は悪いが、殺生丸より優しいんだな、それは純粋に嬉しい」
「だぁ!!撫でんな!ばb…」
ゲンコツを受けて伸びる犬夜叉
「…女の人に悪口はいけないよ」
法師は犬夜叉を見てニッコリと笑い
「それでは、私は先に戻っています。姉弟お二人ですし、どうぞ気兼ねなく」
そう言って歩いて行った法師に着いて行く巫女達
犬夜叉とお姉さん・咲耶さんが話しているのを遠くから見ていた。
「あのお二人は仲良いようで、驚きですな」
「殺生丸の方とは仲悪いのに、あの妖は敵意ないんだね」
二人の言葉に肩にいた冥加じいちゃんが
「咲耶様には半妖の娘君がおられますからな、それに妖怪の世界から身を置いたとお話しされておりましたな」
「へー、半妖の娘さん」
「しかしまぁ…咲耶様も犬夜叉様と出会ってから随分優しくなられた。若君様を失った時の怒り狂いさは凄まじいものだった…」
「息子さんいたんだ…」
犬夜叉へ微笑みながら話す咲耶を見てかごめはギュッと服を握り締める
「…まぁ、もう解決したことと申されておりましたが…あの怒り狂いさは殺生丸様も身を引いた程だったからのう」
「……息子さんと重ねてるのかな」
「歳の差的には親子ほど離れていると思いますし」
「犬夜叉も心なしか嬉しそうじゃのう」