後ろからやって来た犬夜叉を見る
「どうした?」
そう首を傾げて聞くと犬夜叉が両腕を組み
「…妖怪の世界にも、人間世界にも居場所が無くなったらどうすんだ」
不貞腐れたような表情に
「自分一人で解決しなければならない。妖怪の親が生きているなら話は別だ、妖怪の肉親が生きているなら生きていけるが…息を殺し、何もしないのが賢い生き方なんだ」
「………」
「私は自分の子供達を護ることだけで精一杯だった。気を張り続けても結局息子を守り切る事はできなかったがな」
「んで?その息子の代わりに俺が生まれたから面倒見てやろうかってか?」
犬夜叉が腕を組みながらそう言う
「まぁそんな所だ。だが…」
犬夜叉の方を見て
「ずっと一緒にいられなかったのはすまなかった。寂しい思いをさせただろう」
「けっ、寂しくなんかねぇよ」
犬夜叉がそっぽを向く
「そうか」
「それよりも…紫織を助けに行くのは明日行く」
そう言われ
「私だったら紫織以外の妖怪は皆殺しにした方が楽だと思うが」
そういうと犬夜叉から『誰よりも野蛮なこと言うんじゃねぇよ…』とジト目で言われる
「一つ言っておくが犬夜叉。百鬼蝙蝠に悪しからず、普通の妖怪は人間と妖怪の子供を差別する。人間がするなら妖怪もする。純粋な妖怪の祖父に半妖の孫娘を可愛がる気なんて更々ないと思った方が良い」
そう言ってその場から去る
村に戻りながら犬夜叉は幼少期のことを思い出していた。
母親が亡くなった後、放り出されつつも生きてこられたのは咲耶から生きるための方法を教わったのも大きかった部分はある。
姉はいなくなる時間はあったものの、朔の日は必ずいてくれた
「あねうえー」
朔の日、姉の尻尾の中に包まれるように眠ったのは心強かった
姉が常に居られないのには幼い頃は寂しく分からなかったが、少なくとも子供時代はいてくれる時間は長かった。青年になり、狩りや寝床を自分で確保できるようになってからはあまり来なくなったのを鑑みれば姉なりの優しさだったのだろう。
『父上の話はするな』
幼い頃聞いた父の話で姉が不機嫌になってから、姉に捨てられたくない一心で父親の話題はしないようになった。
村を襲って来た百鬼蝙蝠の軍団を倒していると、姉は人間を助けず、黙って大獄丸を見上げていた。
「紫織!!そんな奴なんて守ってなんになるんだ!」
そう説得していたが、紫織は母親の方を見ていた。
「犬夜叉様では難しいですな…」
「咲耶さん…」
かごめが姉に問いかけていた
「私がやったら紫織の腕ごと犠牲になるが、それでも良いならやるが…どうする?」
「腕ごと?」
「結界壊せんのか?」
そう姉に聞くと
「あの結界の妖気は紫織が出しているようだが、経由地点はあの玉だろうから破壊すればなんとかなると思うが、持ってられたら腕ごと破壊してしまう」
「紫織!!その玉離せ!!」
「え…でも…」
「紫織離してはならん。あの妖怪の言葉を信用するのか?」
「そう言う貴様は半妖の孫娘が可愛いと?」
「勿論だ、ワシの孫だぞ」
大獄丸の言葉に百鬼蝙蝠達も笑う
「妖怪の祖父になぁ…」
姉の嘲笑うような表情にビクつく
「貴様は妖怪のくせに人間達を護るなどおかしなことをしておる癖にな、卑しい人間どもを!」
大獄丸の言葉に姉は嘲笑しながら
「紫織、迷っているのは分かるが、その言葉を聞いておかしいと思わないのか?」
「…おかしい…?」
「人間をバカにし続ける祖父に人間に恋をした父親、突然死んでしまった父親。ある時から急に村を襲い出した百鬼蝙蝠」
そう話す姉にハッとなる弥勒
「もしや…紫織様のお父上は…」
「え?」
「!もしかしてテメェ!血肉を分けた実の息子を…!」
「そうだ、我が息子でありながら人間などに恋をし、この村を護ると言い出し、それが叶わぬというのなら一族を去るとまで言い出しおった。奴は心まで人間の女に骨抜きにされておった。だから消してやったまで」
その言葉に絶望した紫津が倒れる。
大獄丸を結界の外に弾き出した紫織が真っ逆さまに落ちて行く
「紫織!!」
紫津が走って行き、姉が空へ飛び紫織を抱えていた
「ジジイとっとと往生しやがれ!!!」
風の絆が大獄丸にぶち当たる。
結界の無くなった大獄丸はなす術なく撃ち倒される。
全てが片付き、紫織と紫津は村を移り暮らすというのを見て
「……結界を張れるなら、私の村に来るか?」
そう聞くと紫津がこちらを見て『アンタの村…?』と聞いて来る紫津に
「半妖を馬鹿にする者は一人たりとも入れていない」
そう言われて二人は顔を見合わせていた。
「半妖とその家族がたくさんいたわよ」
かごめの言葉に続き
「行かれた方が良いですよ、あそこは温泉もあって美男美女も…「法師様?」なんでもありません」
「それじゃあ…」
狸の背中に乗り、村のある場所まで飛ぶ
結界を開け、中に案内すると美紅が出て来る。
「母上、伯父上様方もおかえりなさい。あら?」
美紅が紫津達を見る
「半妖の紫織とその母親の紫津。つい先ほど村で見つけた」
「保護したんですね、流石母上!紫津さん、紫織さん!初めまして。私、半妖の美紅と言います。一応村長をさせて頂いてます。よろしくお願いします」
ニコニコと話す美紅に紫織が安心したような表情になる。
「母様〜お祖母様〜」
妹の手を引いてやって来る唯
「かこめおねーちゃん」
次女の千真がかごめに手を伸ばしながらやって来る
「可愛い〜」
千真を抱っこして撫でるかごめ
「新しいひと?」
唯の言葉に「そうよ」と美紅が笑顔で話す。
「よろしくね!」
「う、うん…よろしく」
紫織の手を握り嬉しそうに微笑む唯
「落ち着いたら村案内するね!名前はなんて言うの?私は唯!!」
「し、紫織…」
「紫織ちゃんっ!」
「微笑ましいですな…」
千真が雲母を見て「かわいー!」と目をキラキラさせていた。
「おばあさま〜」
千真がかごめから降りて駆けて来る。
咲耶は屈み、千真を抱っこする。
「姉貴がばあさまとか呼ばれてんの笑える」
「殴り飛ばすぞ」
「何故そうすぐ煽るんですか犬夜叉…」
「もしかして、構って欲しいの?」とニターと笑うかごめに「ばっ!そんなわけねぇだろ!」と怒り
「そうか、悪かったな」
「わるかったなー!」
「だぁぁあ!!やめろっ!」
咲耶が撫でるのに釣られて千真も撫でる仕草をする。
【登場人物】
咲耶
主人公。殺生丸の実姉、犬夜叉の異母姉
【年齢】400歳
【武器】叢雲牙(父親の形見)、天流牙(自分の刀)、黒漆牙(自分の刀)
【性格】
半妖やその家族に関しては蔑視はないが、人間に関しては興味がなく犬夜叉達のように進んで守ろうとはしない。声高々に差別はしないが、嫌悪はしている。
男口調で話すのは母親への反抗心
【家族】
父・闘牙王 母・御母堂
同母弟・殺生丸
異母弟・犬夜叉
長女・美紅
長男・闘牙(故人)
長女の孫娘・唯(人間換算10歳)
次女・千真(ちか)(人間換算5歳)
長男・理(生まれたばかり)
闘牙の子孫
人間の女性と結婚し子供が生まれ、現在はほとんど人間