AIに諸々丸投げしてFFT世界にプレインズウォーカーを放り込んでみる 作:あーぷ
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◆理不尽な人事と置き土産
フェイは、アグリアスからすっと目線を逸らせると、オヴェリア王女に向かってにこやかに言った。「というわけで、王女殿下。食料計画には専門知識を持つ者だけでなく、信頼できる監督者も必要でしてね。アグリアス殿に、少しの間、その役をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
オヴェリアは、話の展開に戸惑いつつも、フェイに逆らうことはできなかった。「は、はい……アグリアスがフェイ様のお役に立てるのでしたら……」
「お待ちください、王女! 私は王女の護衛です! そのような……」アグリアスが抗議する間もなく、フェイは彼女の肩を掴み、有無を言わせぬ力(それは物理的な力というより、プレインズウォーカーとしての威圧感だった)で、彼女を拠点2から連れ出した。
彼らが向かったのは、ガフガリオンが簡易的な執務室として使い始めた、霊気拠点内のコントロールルームの一角だった。ガフガリオンは、ファクトリーから送られてくる膨大な生産データと、イヴァリースの地図を睨みつけ、輸送ルートの策定に頭を悩ませていた。
そこに、フェイが憮然とした表情のアグリアスを伴って現れた。
「やあ、ガフガリオン部長。早速だが、増員だ」フェイはアグリアスの背中をポンと叩いた。「この騎士さん――アグリアス・オークス殿も、食料計画を手伝ってくれるそうだ。適当に協力して、仲良く頑張ってくれ」
「なっ……! 私はそのようなこと、承知しておりません!」アグリアスは激しく抗議した。
フェイは、その抗議を右から左へと聞き流し、腕を組んで続けた。「まあ聞け。私の構想では、ガフガリオンが『食糧計画部』の部長。そして、アグリアスは『王女様防衛部』の部長、みたいなものだと考えている。で、だ。防衛部は王女殿下がここにいる限り、しばらくは仕事がなくてヒマだろう? だから、一時的にガフガリオンの食糧計画部に『出向』してもらう、という形だな」
彼は、イヴァリースの人間には全く理解できないであろう組織論を、自信満々に展開した。「役職的には、二人とも『部長』だから同格だ。だが、社内――まあ、この霊気拠点内での地位的には、被出向者より出向先のトップの方が、まあ、なんとなく上になることが多いし、それに、正直言って、イヴァリースの貴族だの騎士だのといった身分制は、私には良く分からんので、尊重する気があんまりない」
彼はアグリアスに向き直った。「したがって、アグリアス。貴女も、ガフガリオン部長の指示には、ある程度従ってもらうことになる。あんまり無茶は言わないようにしてくれよ」そして、ニヤリと笑って付け加えた。「あ、かといって、別に監視するなってわけじゃないからね。ガフガリオンが何かやらかしているようなら、そこは『王女様防衛部』兼『内部監査室』として、しっかり私に報告してくれ。じゃあ、あとはよろしく!」
そう言うと、フェイは嵐のように現れた時と同じく、あっという間にその場を去っていった。まるで、面倒な爆弾を二人の間に落として、さっさと逃げたかのように。
◆残された二人
コントロールルームには、重い、そしてひどく気まずい沈黙が流れた。片や、理不尽な辞令に怒りを燃やす聖騎士。片や、面倒な監視役を押し付けられた、悪辣な傭兵。
先に沈黙を破ったのは、アグリアスだった。彼女は、フェイの去っていった方向を睨みつけ、拳をわなわなと震わせていたが、やがて深呼吸を一つすると、ガフガリオンへと向き直った。その瞳には、怒りと屈辱、そして聖騎士としての矜持が混じり合っていた。
「……聞け、傭兵ガフガリオン。あの異邦人の戯言に、私が心から従うと思うな。だが、私はオヴェリア王女殿下のため、そして飢えに苦しむ民のために、この計画には協力する」彼女は、まるで自分に言い聞かせるように言った。「しかし、覚えておけ。貴殿のやり方に、少しでも不正や、民を欺くような行いがあれば、このアグリアス・オークスが、必ずやそれを糾弾し、あの者に報告する。容赦はしない!」
ガフガリオンは、そんなアグリアスの剣幕を、椅子にふんぞり返ったまま、ニヤニヤと眺めていた。フェイの無茶振りには彼も不快感を覚えていたが、この生真面目で融通の利かない女騎士が、事実上自分の下に置かれたという状況は、彼にとって実に愉快だった。
「へっ、威勢がいいこった、アグリアス『殿』」彼は、わざとらしく彼女の元々の身分を強調するように言った。「これはこれは、ご丁寧な挨拶痛み入るぜ。まあ、『部長』だの『出向』だの、あの魔術師様の言うことは俺にもよく分からんが、要するに、あんたが俺の下で働くってことらしいな」
彼は立ち上がり、アグリアスの目の前まで歩み寄ると、挑戦的に彼女を見下ろした。「せいぜい足手まといにならんよう、励んでくれや。監視? 結構なことだ。俺の『仕事ぶり』を、その目でよーく見ておくんだな。お硬い騎士様には、現実の泥臭い仕事がどういうものか、いい勉強になるだろうぜ」
彼は、積み上げられた資料の一束を掴むと、アグリアスに押し付けた。「さしあたって、最初の『お仕事』だ。これは、各領地の貴族リストと、予測される食料需要だ。これを、輸送の優先順位と、貴族どもへの『手土産』(もちろん、あの魔術師様が作る高級品だ)の配分案にまとめてくれ。できるだろ? 『聖騎士様』なら、これくらいの書類仕事、朝飯前だよな?」
それは、明らかに彼女の能力を試すような、そして見下すような物言いだった。アグリアスは、屈辱に顔を赤らめたが、しかし、ここで反発しても意味がないと悟った。彼女は資料をひったくるように受け取ると、ガフガリオンを鋭く睨みつけた。
「……やってみせよう。だが、貴殿こそ、その『仕事ぶり』とやらで、私の信頼を勝ち取ってみせることだな」
こうして、異世界の魔術師が放り込んだ二つの駒――聖騎士と傭兵――の、奇妙で、不信と牽制に満ちた協力関係が、アウルムの霊気拠点の一室で、静かに始まったのだった。
――次の指示を待ってください。
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◆異世界での再会と選択
フェイは、ガフガリオンとアグリアスの間に爆弾を投下した後、満足したような、あるいは面倒事が一つ片付いたといった顔で、霊気拠点内を散策していた。彼の目的は、もう一人のイヴァリースからの客人、ラムザ・ベオルブ(現在はルグリアと名乗っている)を見つけることだった。
彼はすぐにラムザを見つけた。巨大な搬出口エリアで、彼は真剣な表情でクリップボード(フェイが提供した、データを表示する魔法の板だ)を手に、霊気ゴーレムたちが次々と運んでくる食料クレートの数と行き先をチェックしていた。異世界の風景の中、黙々と汗を流す彼の姿は、どこか場違いでありながら、彼の生真面目さをよく表していた。
「やあ、ラムザ君。精が出るね」
フェイが不意に声をかけると、ラムザは驚いて振り返り、反射的に身構えた。「フェイ殿……! ご苦労様です」傭兵としての立場を崩さず、彼は警戒を解かない。この異世界の主は、あまりにも規格外で、底が知れなかった。
「いやいや、君こそ。君たちの働きのおかげで、イヴァリースへの最初の輸送が始まりそうだ。感謝するよ」フェイは、普段の飄々とした態度を少しだけ抑え、穏やかな口調で言った。「……さて、ラムザ・ベオルブ君。少し、君と話がしたいんだ」
その名を聞いた瞬間、ラムザの肩が凍りついた。ベオルブ――彼が捨てたつもりでいた、そして今も彼を縛り続ける名前。
フェイは、ラムザの動揺を見て、静かに続けた。「驚くことはない。私は君たちのことを、来る前に少し調べさせてもらったからね。君がイヴァリースで最も名高い武門、ベオルブ家の末弟であり、かつては王立士官アカデミーの候補生だったことも知っている。ジークデン砦での一件があって……まあ、色々とあって、今は身分を隠しているんだろう?」
フェイの言葉は、淡々としていたが、ラムザの過去を正確に言い当てていた。ラムザは顔を伏せ、唇を噛んだ。この男の前では、何もかもがお見通しなのか。
「君が今、どんな気持ちでいるか、私には完全には分からない。だが、君の今後の身の振り方について、いくつか選択肢があると思ってね。提案させてもらいたいんだ」
フェイはラムザの隣に立ち、巨大な転移門の向こうにかすかに見えるであろうイヴァリースの空を見つめるように言った。
「一つ目は、今の食料計画に本腰を入れて取り組むことだ。仕事の内容にせよ、職務上のポジションにせよね。君は今、ガフガリオンの下で働いているが、この仕事は間違いなく多くの民衆を救う。君の善良な心と正義感には、合っている役割だと思う。ガフガリオンのことは心配しなくてもいい。彼には私が釘を刺してあるし、君の上司にはアグリアスもいる」
ラムザは、民を救うという言葉に心を動かされたが、ガフガリオンや、貴族社会を思い出させるアグリアスとの関係を考えると、素直には頷けなかった。
「二つ目は、オヴェリア王女のそばにいることだ」フェイは続けた。「彼女は、君の妹君であるアルマさんの友人だろう? 私は君の身分を、周囲に穏当に明かす手伝いができる。王女は今、孤独で不安な中にいる。君が本来の身分で、あるいは友人として彼女のそばにいれば、それは大きな支えになるだろう。それもまた、君の良心にかなうことじゃないかな?」
アルマの名前が出たことで、ラムザの心はさらに揺れた。オヴェリア王女の孤独は、彼にも痛いほど伝わってきていた。彼女を守りたい、支えたいという気持ちは確かにある。
だが、それは再び、彼が逃げ出したはずの貴族の世界、政治の世界に足を踏み入れることを意味していた。ジークデン砦の光景が、ディリータの顔が、彼の脳裏をよぎる。
フェイは、思い悩むラムザを見て、少しだけ優しい声色で言った。「ラムザ君。君は、もっと自分のやりたいようにやっていいんだよ。ベオルブの名も、騎士の務めも、一旦は忘れてね。ここはイヴァリースじゃない。君を縛るものは、ここにはないんだ。もちろん、君には君の事情や、心の傷があるだろう。君は私のように、何でもできる力を持っているわけでもない。それは理解しているつもりだ。だから、無理強いはしない。決めるのは君自身だ。私は、君が決めたことを、まあ、ほどほどに手助けするつもりさ」
フェイの言葉は、ラムザにとって衝撃だった。「好き勝手していい」――そんなことを言われたのは初めてだった。彼は常に、ベオルブ家の子として、騎士として、あるいは傭兵として、「役割」を求められてきた。自由を与えられても、どうすればいいのか分からない。
(この人は、何を考えているんだろう……)ラムザはフェイを見上げた。その態度は、普段よりは丁寧のようではあるが、やはりどこか他人事で、無茶苦茶で、傲慢にさえ見える。
人の心に土足で踏み込んできて、世界を引っ掻き回す。だが、彼は無限の食料を生み出し、民を救おうとしている。彼は、ディリータのように絶望から力を求めるのでも、貴族たちのように私欲のために人を踏みにじるのでもない。
ただ、自分の気まぐれと、奇妙な良心に従っているだけのように見える。だからこそ、ラムザには彼が何とも言い難い、評価のしようがない相手に思えた。
ラムザは深く俯き、長い時間考え込んだ。民を救う道か、王女を守る道か。どちらも彼の心に響く。しかし、どちらも過去のしがらみや痛みを伴う。あるいは、全く別の道があるのだろうか?
やがて、ラムザは顔を上げた。その瞳には、深い迷いが宿っていたが、同時に、自分の意志で何かを決めようとする光も灯っていた。
「フェイ殿……お言葉、感謝します。僕の身分を知った上で、このように考えてもらえるとは……思いもよりませんでした」彼は、誠実に頭を下げた。「ですが……民を救うことも、オヴェリア王女をお支えすることも、僕にとっては、あまりにも大きなことです。そして、僕が本当に何をすべきなのか、まだ、僕自身にも分かりません」
彼はフェイの目をまっすぐに見つめ返した。「どうか……もう少しだけ、考える時間をいただけないでしょうか? 今の食料輸送の仕事は、続けさせてください。自分の手で働きながら……僕が進むべき道を、見つけたいのです」
それは、選択肢のどちらでもない、彼自身の「保留」という決断だった。フェイは、その答えを聞いて、満足そうに頷いた。
「うん、わかった。それがいいだろう」彼はあっさりと言った。「焦る必要はないさ。君の居場所は、当面ここにあるんだから。君が自分の道を見つけるまで、ここで働き、考えればいい。何か決まったら、あるいは相談したいことがあったら、いつでも声をかけてくれ」
彼は悪戯っぽく付け加えた。「まあ、私が面倒くさがっていなければ、だがね」
ラムザは、その言葉に苦笑するしかなかった。この奇妙な異世界の主との関係は、まだ始まったばかりのようだった。
――次の指示を待ってください。
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フェイは、ラムザの誠実な答えに満足そうに頷き、踵を返そうとした。だが、何かを思い出したように立ち止まり、悪びれる様子もなくラムザに振り返った。
「ああ、そうだ。ラムザ君。保留は保留でいいんだが、それはそれとして、オヴェリア王女にさ、『君の友人であるアルマちゃんの兄貴が、実は部下に混じってるぞ。今は色々あって身分を隠しているお忍びらしいから、微笑ましく見て黙っておいてあげようね』って、私から言っておいていいかな?」
ラムザは、フェイの言葉の意味を理解するのに数秒かかった。そして、理解した瞬間、彼の顔は驚きと困惑でみるみるうちに赤くなった。「えっ!? い、今、なんて……!?」
フェイは、そんなラムザの反応を楽しむかのように続けた。「いやね、王女殿下も一人で心細いだろうし、比較的信用できそうな人間――つまり君のことだが――が部下としてすぐ近くにいるって分かるだけでも、彼女にとってはかなりの安心材料になると思うんだ。それに、ほら」彼は悪戯っぽく笑った。「私が彼女と話すときに、共通の話題があると便利だろう? 『話のネタ』としてさ」
「は、話のネタ!?」ラムザは思わず声を上げた。あまりにもデリカシーに欠けた発言だった。人の身の上を、特に自分にとっては重く、隠しておきたいそれを、そんな軽い扱いで口にするとは。
しかし、ラムザは同時に、フェイの言うことの「利」も理解してしまった。確かに、オヴェリアは孤独に見えた。アルマの兄である自分が近くにいると知れば、それだけで彼女も少しは心強く思うかもしれない。それは、妹を案じる兄としても、彼女の身を案じる者としても、悪いことではないように思えた。
(だが、僕がベオルブだと知られれば……王女は僕にどう接するだろう? また僕は、あの息苦しい『立場』に引き戻されてしまうのではないか……?)
(それにしても、『お忍び』だとか『微笑ましく』だとか……この人は、僕のことをなんだと思っているんだ……! まるで芝居の登場人物扱いじゃないか!)
彼は、フェイの顔を見た。そこには悪意は感じられない。ただ、純粋な好奇心と、彼なりの(歪んだ)合理性、そして圧倒的なマイペースさがあるだけだ。だからこそ、タチが悪い。
(この人の無茶苦茶さは、もう嫌というほど分かっている。僕がここで反対しても、どのほどの意味があるのか分からない。それなら、いっそ、僕から何か条件を……いや、この人に条件なんて出して、通用するのか?)
ラムザは、この男が「約束」という概念を、自分と同じ重さで受け止めているとは到底思えなかった。だが悲しいかな、生真面目な彼は、フェイがそもそも平気で約束を破るような人間だということまでは、まだ気づけていなかった。
「ふぇ、フェイ殿……」ラムザは、どもりながらも必死に言葉を紡いだ。
「そ、それは……あまりにも……その……」彼は必死に適切な言葉を探した。「オヴェリア王女が……安心されるというのであれば……それは、僕も……望むところではあります。ですが、僕の身分が明らかになるのは……まだ、僕には心の準備が……それに、『話のネタ』というのは、少し……不謹慎かと……」
「ああ、大丈夫大丈夫」フェイは、ラムザの繊細な葛藤など意にも介さず、軽く手を振った。「不謹慎に聞こえたなら謝るよ。でも、彼女にとって、安心材料になるのは本当だろう? そのうち、適切な場面で、うまく言っとくから。男子三日会わざれば刮目して見よ、彼女も聡明な子だ、きっと理解してくれるさ」
フェイは、ラムザの明確な許可を得る前に、一方的に話をまとめた。「じゃあ、そういうことで! 引き続き、仕事頑張ってくれよ、ラムザ君」
「あ、いや、しかし、フェイ殿! 待ってください!」
ラムザが引き留めようとしたが、フェイはすでに背を向け、鼻歌でも歌い出しそうな足取りで搬出口エリアを去っていった。残されたラムザは、手にした魔法のクリップボードを握りしめ、自分の未来と、そしてあのデリカシーのない異世界の主の存在に、深いため息をつくしかなかった。
彼の平穏な(?)傭兵生活は、じきに終わりを告げるのかもしれない。
――次の指示を待ってください。