AIに諸々丸投げしてFFT世界にプレインズウォーカーを放り込んでみる 作:あーぷ
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◆プレインズウォーカーの裁量
フェイは、アグリアスの瞳に宿った決意と希望を見て、軽く笑った。
彼は指先で緑色のマナを引き寄せ、まるで猫があやとりをするかのように、それを弄び始めた。光るマナの糸が、彼の指の間を複雑に行き交う。
「可能か、だって? いやまあ、やろうと思えば、君が今やっているその山のような書類仕事よりは、よっぽどラクにやり果せるんだが」
実に傲った物言いに、アグリアスは言葉を失った。王女の、そして下手をすれば国家の運命すら左右しかねない問題を、彼はそんな風にしか捉えていないのか。
フェイは、彼女の心情など意に介さず、マナを弄びながら続けた。「ただね、アグリアス。私が勝手に『最善』だと思う方法でやると、どうなるか。それは、さっき君にやった『すっごいケアルガ』みたいなやり方になるわけだよ」
彼はアグリアスの顔を覗き込んだ。「君は、いきなり回復させられて、驚いただろうし、もしかしたら不快な思いもしたかもしれない。それ自体については、私は別に気にしないけど、まあ、こういうやり方は、時として予期せぬトラブルを招きかねない。相手の意志を無視した善意ほど、厄介なものはないからね」
彼は弄んでいたマナをふっと消した。「というわけで、だ。実際に『いつ』、『どこで』、『誰に』、『どういったふうに』、その『すっごいケアルガ』――あるいは、もっと強力な何か――を使うか、というのは、君たちイヴァリースの人間、特に君のように王女殿下のことを真剣に考えている人間に決めて貰ったほうが、色々と収まりがいいと思うんだな。まあ、明日あさっての話じゃないから、そこらへん、じっくり考えておいてくれたまえ」
アグリアスは、フェイの軽薄な、しかし核心をついた物言いに、ただ唖然としていた。異常なまでの力を持ちながら、その行使を「面倒くさい」と言い放ち、その判断を自分のような一介の騎士に委ねようというのだ。常識では計り知れない。狂っているとしか思えない。
だが、同時に、彼女は理解した。これは、フェイからの『信頼』の証なのかもしれない、と。いや、信頼というよりは、責任の丸投げに近いだろう。しかし、それでも、王女の未来を、自分たちの手で考える機会を与えられたことは確かだった。
彼女は、聖騎士としての立場、王家への忠誠、そしてオヴェリア個人への想い、フェイの持つ規格外の力、イヴァリースの現実……それら全てを頭の中で巡らせ、深く、深く考え込んだ。フェイは、そんな彼女を急かすことなく、ただ静かに待っていた。
やがて、アグリアスは顔を上げた。その表情には、まだ迷いはあったが、一つの方向性を見出した者の強さが宿っていた。
「フェイ殿……貴殿のお力は、確かに神の御業にも等しいものでしょう。ですが、人の運命を、ましてや王家の血筋を左右するなど……それは、我々のような人間が、軽々しく踏み込んで良い領域ではないのかもしれません」
彼女はまず、自身の畏れと慎重さを口にした。
「しかし」彼女は続けた。「王女殿下が、政略の道具として、そのお心を殺して生きねばならぬというのであれば、それはあまりにも……悲しいことです。私は、この私は、王女殿下には、心から笑って生きていただきたい」
彼女は、フェイに具体的な質問を投げかけた。それは、彼女が考えうる、最も現実的で、しかし最も困難な道だった。
「フェイ殿……もし、仮に……貴殿の力をもってすれば、王女殿下が、イヴァリースにおいて、政略の道具としてではなく、一人の人間として……例えば、彼女が望むように、芸術の研究に没頭し、平和に暮らせるよう、周囲の、特に有力な貴族たちの考えを『改めさせる』ことは……可能なのでしょうか?」
彼女は、その言葉の持つ危険性を自覚しながらも、続けた。「たとえ、それが……貴殿の言う『力技』、あるいは『洗脳』に近い行為であったとしても……もし、それが王女殿下の真の幸せと、更なる戦乱をイヴァリースに招かないことを両立するための、唯一の道なのであれば……私は、その『罪』を、王女殿下に代わって背負う覚悟があります。……それは、可能なのでしょうか?」
彼女は、自分の口から出た言葉の重さに、自ら震えながらも、フェイの答えを待った。その問いは、オヴェリアに仕える聖騎士としての彼女が、安易に踏み込むべきでない領域への第一歩だったが、王女を想う彼女の忠誠心が、その一線を越えさせたのだった。
フェイは、彼女の覚悟のこもった質問を聞き、少しだけ真面目な顔になった。「ふむ、なかなか厄介なところを突いてくるね、アグリアス」
彼は答えた。「可能か、不可能かで言えば、可能だ。特定の貴族数人の頭の中に、『オヴェリア王女は政治に関わらせず、丁重に保護し、彼女の研究を支援すべし』という考えを植え付けること自体は、それほど難しくはない。以前私がガフガリオンにやってみせたようにね。私にとっては、それこそ君の書類仕事を片付けるより、ずっと簡単だろう」
彼はしかし、警告を付け加えることを忘れなかった。「だが、それは、本当に『解決』かな? 無理やり変えられた心は、いつか歪みを生むかもしれない。影響を受けた人間が死んだり、失脚したりすれば、効果は消える。そのたびに私が介入し続けるのか? それこそ『面倒』だ。それにね、アグリアス・オークス」
彼はアグリアスの美しい瞳を覗き込んだ。「君はそれで満足なのかい? 操られた心によってもたらされた平和を、君は『正しい』と、胸を張って受け入れられるか? そして何より、その『罪』とやらは、本当に、君自身が背負うべきものなのか?」
――次の指示を待ってください。
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◆イージーな解決策と聖騎士の葛藤
フェイは、人の運命を左右する可能性について真剣に悩んでいるアグリアスを見て、少しだけ彼女を安心させるように、あるいはさらに混乱させるように、軽い口調で続けた。
「まあ、あんまり脅かすのもなんだから、私が用意できる一番イージーな解決策を提示しておこう」
彼は、まるで散歩の予定でも話すかのように言った。
「私の暮らした世界――地球というんだが――には、『職業選択の自由』ってやつがあってね。王様だろうが農民だろうが、基本的には、本人が望めば別の仕事に就ける、という考え方だ。その理念に照らし合わせれば、最悪、オヴェリア王女は『お姫様』を辞めればいいんだよ」
「なっ……!?」アグリアスは、あまりにも突拍子もない言葉に、声も出なかった。
フェイは構わず続ける。「簡易版の『変身/Polymorph』か何かを使えば、彼女の顔と声だけを任意のバランスで変えられる。そうなれば、イヴァリースの技術水準じゃ、まずバレることはないだろう。別人として、どこかの街で静かに暮らすこともできる。あるいは、いっそ次元門を通って、イヴァリースとは全く関係ない、平和な別世界におさらばしてもいい。そこなら、誰も彼女を追っては来ない」
彼は、アグリアスの驚愕した表情を見て、慌てて付け加えた。「ああ、勘違いしてほしくないので言うが、別にそうしろとか、それが最善だとか言うつもりはないよ。あくまで、君たちが心配しているような、陰謀の果てに幽閉されたり、暗殺されたりするよりは、まだマシな選択肢として提示できるってだけでね」
フェイはアグリアスの肩に手を置いた(彼女はビクッと体を震わせた)。
「ようするに、だ。君たちが色々考えて、適当にやってみて、万が一しくじったとしても、最悪の場合――彼女が殺されそうになったりしたら――私が介入して、殺されずに済むように取り計らえる。そういう『安全弁』が、現状は機能しているんだ。だから、もう少し選択肢を広く取って、色々チャレンジしてみてもいいんじゃないかなあ、と。そういうことが言いたいわけさ。何も、貴族を片っ端から洗脳する、なんて物騒なことばかり考えなくてもいいし、逆に、それをやるにしても『最後の逃げ道』があると思えば、少しは気楽にやれるだろう?」
アグリアスの頭の中は、フェイの言葉によって完全に掻き乱されていた。
「お姫様を辞める」? 「顔を変える」? 「別世界へ」? どれも、彼女の常識、信仰、そして騎士としての誓いからは、到底考えられない選択肢だった。
王族であることは、神から与えられた運命であり、責務であるはずだ。それを、まるで古くなった服を着替えるかのように捨て去るなど、許されるはずがない。人の姿を、本人の意志とはいえ変えるなど、神の領域を侵す冒涜ではないのか。
しかし、同時に、彼女の心には安堵感が広がっていた。フェイの言う『安全弁』。それは、彼女が最も恐れていた、「王女の死」という最悪の結末を回避できる可能性を示していたからだ。
もし、本当にそれがあるのなら……。もし、どんなに失敗しても、王女の命だけは守られるというのであれば……。
彼女は、フェイが先ほど可能性を示唆した「力技」――貴族たちの心を操るという、恐ろしくも魅力的な選択肢――を再び思い浮かべた。
もし、失敗しても逃げ道があるのなら、その危険な賭けに出てみる価値はあるのではないか? いや、それ以上に、王女が本当に望む道を、イヴァリースの中で見つけるために、もっと大胆に行動できるのではないか?
アグリアスは、混乱する頭を必死に整理しようとした。フェイの言葉は軽薄で、時に不遜だが、彼の力は本物だ。そして、彼は少なくとも、オヴェリアを今の八方塞がりから掬い上げる意志はあるらしい。ならば、彼の力を信じ、彼の提案に乗ってみるべきなのかもしれない。
彼女は、まだ震えの残る声で、しかし先ほどよりははっきりとした口調で言った。
「……フェイ殿。貴殿のおっしゃる『安全弁』……それは、本当に、確かなものなのでしょうか?」彼女は、そのことを重ねて確認せずにはいられなかった。「もし、万が一の時、本当に王女殿下をお救いいただけると……誓ってくださいますか?」
彼女は、自分の立場を越えた問いかけをしていることを自覚していた。だが、アグリアスにとって、それは何よりも重要なことだった。
「その上で……もし、それが確かなのであれば……」彼女の瞳に、再び強い光が灯った。
「我々は……王女殿下が、イヴァリースで、ご自身の意志で、幸せに生きる道を、諦めずに探すべきだと思います。貴殿のおっしゃる『チャレンジ』……それがどのような困難を伴うとしても、挑む価値はあるのかもしれません。そのためには、まず、何をすべきでしょうか? 我々は何から始めるべきだと、貴殿はお考えですか?」
彼女は、フェイの力を前提として、具体的な行動計画について、彼の意見を求め始めていた。
彼女はもはや、ただの護衛騎士ではなかった。王女の未来を切り開くための、危険な計画の当事者として、その一歩を踏み出そうとしていた。
――次の指示を待ってください。
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◆恐るべき可能性と雑な結論
アグリアスの、覚悟のこもった問いかけに対し、フェイは、まるで当然のことのように、しかし彼女の価値観を根底から揺るがすような言葉を、こともなげに口にした。
「いやそりゃ、階段で足すべらせて死んだから蘇らせてくれとか言われても、ちょっと困るけど……いやまあ、それはそれで、出来なくはないんだが……」
アグリアスは、その呟きを聞いて、全身が凍りつくのを感じた。
死者を蘇らせる? それは、神々の領域、あるいは禁断の死霊術の果てにあるものではないのか。この男は、それを「出来なくはない」と、まるで難しい料理のレシピでも考えるかのように言ったのだ(※:主に『黒』か『白』の領分なのでカラーパイこそ異なれど、大体4マナくらい払えば墓地から死体が釣れるんですよねMTG的には……)。
彼女は、目の前の男の存在が、自分の理解を、イヴァリースの常識を、あまりにも遥かに超えていることを、改めて痛感させられた。
フェイは、アグリアスの衝撃など露知らず(あるいは気づいていても気にせず)、話を続けた。
彼の頭の中では、実は「今日の夕食は何にしようかな。ファクトリーに頼んで、地球の寿司でも再現させてみるか? いや、アウルムの食材で新しい料理を開発するのも面白いな……」といった思考が、かなりの割合を占め始めていたが、口から出る言葉は、とりあえず目の前の聖騎士に向けられていた。
「まあ、そういうわけで、『安全弁』自体はあると。で、もうひとつの質問だが、どうすべきか、だね。とりあえず、イヴァリースが政治的に安定すれば、選択肢がより広く取れるようになるだろう。つまり、アグリアス、君が今の仕事――食料支援と、ガフガリオンの監視――に、一層励めばいいわけだ。それが、回り回って王女殿下のためになる」
彼は指を折りながら言った。「そして、情報収集を怠らないこと。誰が何を企んでいるのか、常にアンテナを張っておく。頼るべき相手と、絶対に頼ってはならない相手を、しっかりと見極めること。これは君の得意分野だろう?(※:原作の展開考えるとたぶん彼女、あんまり得意ではない)」
「そして、一番大事なのは」フェイは少しだけ真面目な顔になった。「王女殿下個人の意思を確認するっていうか、ちゃんと腹を割って話し合って、今後の指針を確定させることだなあ。ぶっちゃけ、今の彼女は、本人も結構ブレてるのが良くないよね。もちろん、彼女の立場を考えれば、無理からぬことだったんだろうけどさ」
彼の口調は、再び雑なものに戻った。
「いっそ、『オリナスなんぞアタシが蹴り落としててっぺん取った上で好き勝手やったるわ!』でも良いし、『王位なんぞ本音で言うたらどうでもええわい、アタシはアタシのやりたいようにやる!』でも可だ。とにかく、最終的には彼女に方向性を決めさせて、それに従って回りも動かないと、全員が振り回されてドツボにハマると思われる。そのために、建前とか身分とか抜きにした、ざっくばらんな議論が必要だ。……うーん」
フェイは腕を組み、何か重大な結論に達したかのように頷いた。「ようは彼女、お友達がいないボッチなのが良くなかったんだな。うん」
◆聖騎士の反応
アグリアスは、フェイの一連の言葉に、呆然としていた。死者を蘇らせるという恐るべき発言。的を射ているが、あまりにも雑な現状分析。そして、王女に対する「ボッチ」という、信じられないほど不敬な言葉。
怒りが込み上げてくる。この男は、本当に王女殿下のことを考えているのか? それとも、ただ面白がっているだけなのか?
だが、それでも、彼の言葉には無視できない真実が含まれていた。イヴァリースの安定、情報収集、そして何よりも、オヴェリア自身の意志。彼女が「ブレて」いるように見えるのも、心を許せる相手がおらず、一人で全てを抱え込んでいるからではないのか。フェイの粗雑すぎる言い方はともかくとして、王女が本音を語り、自分の進むべき道を自分で決めることの重要性は、アグリアスにも理解できた。
(ボッチ……! こ、この男は……! だが……だが、確かに、王女殿下はいつもお一人で……アルマ様がいらっしゃった頃とは違う……私が、もっとお側に寄り添い、お話を聞くべきだったのか……?)
彼女は、フェイへの怒りと、彼が提示した課題の重さ、そして自分自身の至らなさへの悔しさで、胸がいっぱいになった。彼女は、護衛として王女の物理的な安全を守ることばかりに気を取られ、彼女の心の孤独に寄り添えていなかったのかもしれない。
「フェイ殿……!」彼女は、怒りを抑え、しかし強い口調で言った。「貴殿の物言いは、断じて容認できません! 特に、王女殿下に対する不敬な発言は、撤回していただきたい!」
彼女はまず、騎士としての立場から抗議した。だが、続けて、彼女の声には真剣な響きが加わった。「ですが……王女殿下ご自身の、お気持ちを確かめるべきだというご意見には……一理あるやもしれません。彼女が、本当に望む未来を……我々が知る必要があります。そして、『ざっくばらんな議論』……それが可能かどうかは分かりませんが、王女殿下が心を許せる場を設ける努力は……してみるべきでしょう」
彼女は、フェイをまっすぐに見つめた。「分かりました。私は、王女殿下と、もう一度向き合ってみます。そして、彼女がどのような道を望まれるのか……それを確かめます。その上で、我々が進むべき道を……再び貴殿にご相談させていただくかもしれません。……それで、よろしいでしょうか?」
彼女は、この無茶苦茶な異世界の主に翻弄されながらも、自分が今、何をすべきかを見出し始めていた。たとえ、その道がどれほど困難であろうとも。
フェイは、そんなアグリアスの様子を見て、(お、やっと話が通じたか。さて、晩御飯は……)などと考えながらも、表向きは満足そうに頷いた。「ああ、それがいい。それでこそ、忠義の騎士だ。期待しているよ、アグリアス。じゃあ、私はそろそろ失礼するよ」
彼は、夕食のことで頭をいっぱいにしながら、再びアグリアスと山積みの書類を残して、オフィスを後にするのだった。
――次の指示を待ってください。