織田信奈の野望〜戦国に舞い降りし銀ノ刃〜   作:更新亀さん

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美濃の蝮

信奈一行は、北への街道をゆるゆると行軍していた。

「どうしてあたしがお前の面倒をみなきゃいけないんだ、まったく」

 馬上には、唇をへの字に曲げてかっかしている柴田勝家。

 良晴は今、その馬の轡を取って、勝家の従者として同行させられていた。

おじゃが池での龍神騒動の後、信奈は居城に引き返す間もなく

 信奈が、「そろそろ約束の刻限が近いわね」と言いだしたのが事の始まりである。その一言で、一行はそのまま美濃と尾張の国境へと馬を向けることとなった。

 信奈は、どうやら一騎駆けを好む主義らしい。合戦ではなく移動の最中ですら、先頭を誰よりも早く進んでいく。

「姫さま! お待ちください、道を外れておられますっ!」

 後方から慌てて追いかける供侍たちの声が聞こえる。

刃もまた、「もう少し警戒心を持っていただきたいのだが……」と肩をすくめている。

 

「おいサル、お前歩くの遅い! 轡を引いてるだけのくせに、なんでそんなに息切らしてるんだ」

 勝家が不満をぶつけると、良晴は肩で息をしながら言い返す。

 

「だってよぉ、ずっと歩きっぱなしなんだよ! 昨日からまともに休んでないし、脚もパンパンで……!」

 

「体力がないのに口だけは達者なサルだな。いいか、お前はあたしの従者だ。そのくらいのことで音を上げるな!」

 

「は、はいはい……あーあ、元の世界じゃ俺、こんな体力勝負な役回りなんてなかったんだけどな……」

 

ぼやく良晴に、横を歩いていた刃がふっと笑って口を挟んだ。

「根性で池を空にした男のセリフとは思えねぇな。あの時は、俺よりも動いてただろ? ……女の子のためならいくらでも頑張れるんだろ?」

 

「そ、それはまあ……ほら、あの娘がかわいかったからだよ。うう、彼女にしたかった。何で彼氏いるんだよ〜」

 

「はぁ、こいつは本当に」

 

刃は肩をすくめながら苦笑する。

 

「でもな良晴、姫様の行軍はおそらく常に無茶だ。着いて行くだけで倒れそうなら、先は長くねぇぞ」

 

「それ俺に言う!? てか、もうちょっと休憩しようって提案しようぜ。信奈にさ!」

 

「……姫様がそんなことで耳を貸すと思うか?」

 

「だよな……」

 

良晴は心底げんなりした顔をし、刃は小さく吹き出した。

 

「なあ勝家。どこに行くんだよ? 龍神の次は何を退治するんだ?」

 

「おいサル。このあたしをこんど呼び捨てにしたら、その時は——」

 

「おっとっと! 槍をかまえるなよ!」

 

 ひらり、ひらりと槍の穂先をかわしながら馬を引く良晴。後ろからは、のんびりと歩きながら様子を見ていた刃が小さく吹き出す。

 

「……さっきから思ってたけど、よくもまあ刺されずにいられるよな、良晴」

 

「俺だって命懸けなんだよ! ほら、槍の先がもうちょいで鼻に刺さるとこだったんだから!」

 

 勝家はやれやれといった風にため息をつきながら言う。

 

「まったく、なれなれしい男たちだ。われらは今より美濃の蝮に会いに行くんだ」

 

「龍の次は蝮か……どういう妖怪変化なんだ?」良晴が呆れ顔で言う。

 

「……妖怪じゃねえって。たしか、美濃の大名……斎藤道三のあだ名だったはずだな?」と刃が少し曖昧な記憶をたどるように口を挟んだ。

 

「正解だ。信奈さまは、その道三の娘を義理の妹に貰い受け、縁戚関係を結ばれる予定なんだ」

 

「妹をもらい受ける? 妻を娶るんじゃないのか?」

良晴が首を傾げる。

 

「な訳あるか。姫様は女の子だぞ」

 

「バカ! 信奈さまは姫君だぞ、妻なんか娶るものかっ!」

刃と勝家がすかさず突っ込む。

 

「あ、それもそうか」

 

「この戦国の世では、口約束の同盟ほどアテにならないものはないからな。同盟を結ぶ時には、大名が男であれば妻を迎える。姫大名であれば妹を迎える。そうして縁戚関係を結んで、はじめて正式な同盟が成立するんだ」

 

「へえ……そういうもんなのか。俺、ゲームではその辺スキップしてたからな……にしても、姫大名かぁ。けっこう多いのか?」と、良晴が問いかける。

 

「多いも何も、第一子が姫であれば、その姫が家督を継ぐ定めだ。お前たちのようなサルは知らないだろうが、武士の社会ではそれくらい常識だぞ」

 

「へー。あ、そういえば今川義元も女の子だったな」

 

「なにっ!? 貴様もしや今川義元の間諜だったのか! ええい、あたしが成敗してやる!」

 

「ちょ、違うってば! 槍をおさめろっ!」

 

「……良晴って、話題の選び方が本当に下手だな。戦国で生きる気あるのか?」刃が苦笑しながらつぶやく。

 

 そんなやりとりをしつつ、道中で勝家から、信奈を取り巻く戦国の情勢について簡単に教わった。

だいたいのところは、戦国ゲームで仕入れた知識と合致していた。  信奈はやはり尾張を支配する大名・織田家の世継ぎだった。

 歴史の教科書や戦国ゲームでは「織田信長」として登場するはずの人物。信奈は先年、父親を亡くしたため、家督を継いだばかりだという。 尾張は港を持ち、貿易でうるおっている経済大国だが、兵は弱く、周囲を敵に囲まれている。

 

良晴は話を聞きながら、「ああ、やっぱりここは戦国時代の日本なんだな」と改めて実感する。

 

「……それにしても、蝮っていうあだ名とか、斎藤道三とか、けっこうゲームと同じなんだなぁ」

 感心したように言う良晴に、隣を歩く刃が眉をひそめて口を開く。

 

「そのゲームって、よく口にするが……お前、本当にそれで歴史を学んだのか?」

「学んだっていうか、まあ……女の子の信長とか、変な必殺技出す秀吉とか、そんなのばっかだったけどな」

 

「俺は、そういうのあまりやらなかったからな。歴史も詳しくないし、姫様の名前を聞いても最初はピンとこなかった」

 刃はそう言って前を行く茶髪の少女――信奈の背中に視線を送る。

 

「けど……姫様がただのわがまま娘じゃないってことは一目で分かった」

「おっ、やっぱりか。お前勧誘された時、『我が命尽きるその日まで、姫さまの剣となりましょう』とか言ってたしな」

 

「人を見る目には自信がある。……ただ、忠誠ってのは盲信じゃない。姫様が間違えたときには、誰かが止めてやるべきだろ?」

 刃の口調は冷静だが、その中には確かに信奈への真剣な眼差しが含まれていた。

 

「あの蝮、今は斎藤道三なんて名乗ってるけど、元は京からやってきた油売りの商人だったらしいな」

 勝家が口をとがらせて言った。どうやら道三のことは信用していないらしい。

 

「商人が大名に出世か。そりゃまた大胆な人生だな」

 刃がぽつりとつぶやいた。

「下克上だな!」

 

「元の国主を追放して、美濃を乗っ取ったんだよ。しかも、商人あがりなのにやたらに戦が強い。だから“蝮”と呼ばれて恐れられているのさ。父君の信秀さまは、そんな道三と敵対して何度も戦っていたしな」

 勝家が顔をしかめる。

 

「それって、姫様にとっちゃ危険な会見なんじゃないのか?」

 刃が眉を寄せて、信奈の方を一瞥する。馬上で風を受けているその背中は、どこか無防備にすら見えた。

 

「そうだとも。あたしは……信奈さまが心配だ」

 勝家がまた深くため息をつく。

 

「心配なら、道三と同盟を結ばずに、別の手を探せばいいだろ?」

 刃の素朴な問いに、勝家がすかさず反論した。

 

「簡単に言うなよ! せめて尾張の内側が信奈さまの下に一つになれば、対抗できるかもしれないんだけどさ……これが、ぜんっぜんまとまってないんだよなぁ。はぁ~……」

 

「なあ勝家。あんまり悩むと、目尻に小皺がよるぜ」

 良晴が口を挟んだ瞬間、勝家の顔がカッと赤くなった。

 

「呼び捨てにするなと言ってるだろう、サルっ! あ、あたしはまだ十八だ、目尻に小皺なんかよってないっ!」

 

 ぶんぶんと馬上から槍が振り下ろされてくる。良晴は、ひらり、ひらりと軽やかにそれをかわす。

 

「本気で突くなよっ、危ないだろっ」

「はぁはぁはぁ……あ、当たらない……! なんてすばしっこいサルなんだ……」

「いや、あんたの気性が荒すぎんだよ……」

 

「……で、信奈ってやっぱり苦境に立たされてるんだな」

 良晴が話題を戻すと、刃も小さくうなずいた。

 

「外に敵がいて、内でも揉めてる。姫様の立場は、思ってるよりずっと不安定だ」

「うるさい。ちっ。どうして姫さまの恥をサルや足軽なんかに漏らしてしまったんだ、あたしは……今の話を言いふらしたら斬るぞ!」

「言われなくても、喋る気なんてねーよ……」

 

「なあ勝家、お前が信奈の反対勢力を黙らせればいいんじゃないのか。家老か何かなんだろ?」

 良晴がふと思いついたように言うと、勝家は少し口ごもった。

 

「……あ、あたしは、ほんとは弟君の信勝さま付きの家臣なんだ。信奈さま付きのご家老が過労で急に亡くなったので、今日は代わりに侍っているだけさ……」

 

「過労で家老が……って、それシャレか?」

 良晴がつぶやくと、勝家は冷ややかな目を向けてきた。

 

「……その目やめろっ。俺、なんかすごく見下された気がする……」

「事実だろ」

 刃がぼそっとつぶやく。

 

「くっ……!」

 良晴は屈辱に震えながらも、ぐっとこらえた。

 

 やがて勝家が馬の向きを変えながら言った。

「そろそろ正徳寺に着くぞ。サル、刃。お前らは信奈さまのもとへ行け。片時も目を離すなよっ」

 

正徳寺。

ここは美濃と尾張の国境にある門前町(寺院勢力が治める町)で、両国の軍勢が立ち入れない非武装中立地帯だった。

信奈と「美濃の蝮」斎藤道三の対面場所としては、最適だった。

この対面の儀の結果いかんで、信奈が道三の娘を義理の妹として迎えることができるかどうかが決まる。

もしも信奈が相変わらずのうつけっぷりを見せれば、道三は失望して娘を渡すことを渋るどころか、その場で信奈を暗殺するかもしれなかった。

なにしろ「蝮」と恐れられている百戦錬磨の狒々ジジイである。

 

それなのに——

正徳寺の門前に到着したばかりの信奈は、やはりというか当然というか、相変わらずのうつけ姿だった。

 

馬上で憂鬱そうにしかめっ面。ふらふらと揺られながら、髪は茶筅まげ。

縁日の夜店でも回ろうかという感じの湯帷子を着こみ、暑いのか片袖は外していた。

肩には種子島を担ぎ、腰にはわら縄を巻いてひょうたんをたくさんぶらさげ、さらに虎の毛皮を腰に巻くという珍装ぶり。

しかも、袖を外した側の胸元には、どう見ても「見せブラ」にしか見えない布きれが。

 

「……姫さま、派手すぎるだろ……」

信奈のもとにはせ参じた刃が歩きながらぽつりと呟いた。

 

「胸だけは綺麗だな、胸だけは」

同じく信奈のもとにはせ参じた良晴もしぶしぶながら認めた。

 

「いや、自分の主君をそういう目でみるなよ」

刃が呆れながらツッコミを入れる。

 

しかし、湯帷子の背中ににわとりの絵が描かれているのは何なのだろう。

どこからどう見ても、戦国大名には見えない。

 

「……やっぱり、どう見てもバカだな」

良晴が呆れたように言えば、刃も、かすかに眉をひそめた。

 

「うつけに見せるのは策かと思っていたが……どうも違うな。素でうつけかもしれん」

 

「あれ。サル、まだいたの?」

サルでも見るような目で振り返る信奈。

 

「いるよ! 足軽として雇うって約束を守れ!」

良晴が叫ぶ。

 

「ご苦労。ほら、ひょうたん持ってなさい」

「おっとっと……ぶぎゅるっ!?」

 

放り投げられたひょうたんをキャッチしている隙に、今度は頭の上を踏みつけられた。

ひらり、と良晴の頭上で一回転して華麗に門前へと着地する信奈。

 

「よっしゃー! 気合い入ってきたわよ!」

「人の頭を踏み台にするなっ!」

 

その様子を見ていた刃は、思わず肩をすくめた。

 

「姫さま、ああいうところは未来でもあんまり見ないぞ」

 

「……姫さま、道三どのはすでに本堂へと到着されているとの由」

小姓らしき小柄な少女が、信奈に拝礼しながら報告した。

 

「デアルカ。わたしも着替えなくちゃね」

 

「え、着替えるのかよ?」

良晴が思わず声を上げた。

 

「なんであんたが意外そうな顔をするのよ、サル?」

「無駄だと思うけどな。まあ、馬子にも衣装って言うけどさ」

 

「ふん。サルはしょせんサルね。まあいいわ、足軽のあんたと刃は本堂にあがってきちゃダメよ。犬千代と一緒に庭に侍ってなさい!それと刃、万が一に備えて警戒しておいて。あの蝮、何をしでかすかわからないから」

 

「御意」

刃は短くうなずいた。

 

犬千代と呼ばれた小姓の少女が、こくり、と無言でうなずいた。信奈よりやや幼く、お人形さんのように整った顔立ちをしていた。

 

「犬千代もよ。蝮が妙なことをしようとしたら、即座に斬るのよ!」

 

「……御意」

 

「いざという時は、そのサルを『猿の盾』にしていいわ」

 

「せめて『人間の盾』って言ってくれよ!」

「……御意」

 

すぱーん。

信奈が脱いだわらじが、猛スピードで良晴の顔面に命中した。

 

「それも持っておきなさい!」

 

「うぐぅ……っ。足軽って、こんなに……こんなにキツい仕事だったのか……!」

 

良晴は泣きそうな顔で、ひょうたんとわらじを両手に抱えたまま地面にしゃがみ込んだ。

そして、そんな彼の横で、刃はじっと本堂の方を見つめながら静かに手を腰に刺してある刀の柄に添えた。

(さっき一瞬だけ感じた気配はいったい?無事に終われば良いのだがな)

その目は、既に「何か」が起きるかもしれない本堂の奥を射抜くように見据えていた。

 

 

正徳寺の本堂。

両軍の兵士たちは、万が一の衝突を避けるため、この本堂からはずっと距離を取っていた。

広く開けた庭には、刃と良晴、犬千代。さらにもう一人、同じ任務を道三から言い渡されているのであろう、美濃の小姓らしき女の子侍。

 

きりりとした目元に、いかにも利発そうな美少女だったが妙におでこが広いのが、少し気になった。

(強いな、彼女。只者じゃなさそうだ)

と刃は目を細めると視線が一瞬、交差した。相手は刃と良晴に軽く目礼するだけで、言葉は交わしてこなかった。

 

(……さっき一瞬だけ感じた気配、あれはこの娘のものだったのか?いや……違う。気配はもっと殺気立っていた。だとすれば……あの気配は、まさかこの寺に、刺客を紛れ込ませているのか……?)

 

視線をほんのわずかだけ、屋根の上や本堂の陰へと巡らせる。

だが、そこには不自然なほど“何もない”。

ただの影、ただの瓦――そう言い聞かせるには、かえって静かすぎた。

(……不自然だ。気配がなさすぎる)

普通なら、微かな風の揺らぎがあるはずだ。

それすらも感じれない完璧な沈黙。

それは、ただの無風地帯などではない。訓練された者が意図的に気配を消している――その証拠だ。

(やはりいる……道三の刺客が潜んでいる)

 

刃はわずかに目を細めたその時

「……なあ、刃?」

となりの良晴がボソリとつぶやいた。

「あの美濃の小姓、めちゃくちゃ可愛くないか?」

 

「……私語禁止」

ピシャリと犬千代の声が飛ぶ。

 

「とりあえずケータイの番号でも交換しようかな。あ、この世界ケータイないじゃん……」

小声でそうぼやいて、良晴は俯いた。

 

刃はそれを横目に見つつ、また静かに意識を戻した。

今は何より、姫様の身を守るのが自分の務め。

 

すでに本堂の奥には、美濃の蝮・斎藤道三が腰を下ろしていた。

噂通りの貫禄だった。

老齢ながらその体躯にはまったくたるみがなく、がっちりとした骨格に、隙のない姿勢。

(さすがは油売りから美濃の大名にまで上り詰めた男……戦国における下克上の象徴か)

刃は心中でそう呟いた。

堂々たる風格。だが、正装ではなく、気の抜けたような着流し姿。

手には扇子を持ち、それをパチパチと開いたり閉じたりしている。

 

(……この男、本気で姫様を“うつけ姫”と見下しているな。同盟を結ぶ気がないのか、それとも……)

 

表向きは緩やかな空気。だが、道三の背後に漂う得体の知れぬ圧力を、刃は確かに感じていた。

(目の奥が笑っていない。いつでも牙を剥ける構えだ、目の奥が笑ってない。あれが“蝮”と恐れられる所以。一瞬の油断が、姫様の命を脅かしかねん)

そして再び、屋根の上や周囲の影への警戒心を強める

(しかし、この男がそんな分かりやすい手を使うだろか? もしかして、別の思惑が動いている……?)

 

刃は、そっと刀に視線を落とす。

 

(……どちらにせよ、姫様の警護は俺の責務だ。誰であろうとも斬るのみ)

 

緊張が、ゆっくりと、空気を締めつけ始めていた。

 

小一時間が過ぎた。

 

「信奈とやら、遅いのう」

 

 道三が退屈そうに大あくびをした、その時だった。

 

「美濃の蝮! 待たせたわね!」

 

 突然、信奈が本堂に姿を現した。

 

 道三は、口にしていたお茶を盛大に噴いた。

 

 良晴も、ほんとうにサルになったかのように口をぽかんと開いて、視線は信奈に釘付けとなっていた。

 

 そして──庭の一角、柱の陰に立つ刃の瞳もわずかに見開かれる。

 

あの意味不明というかパンクというか間違ったゴスロリっていうか、とにかく奇妙なうつけ姿ではない。

 

 つやつやと輝く茶色がかった長髪をはらりと下ろし、最高級の越後上布の着物を艶やかに着こなしたその姿は、まさしく尾張大名・織田家の姫君。

 

 煤で汚れていた顔には化粧ひとつしていないが、陶磁器のような白く滑らかな肌がそれを必要としていなかった。

 

 だが同時に、空気の流れの“異常”にも刃は気づいていた。視線をほんのわずかだけ、屋根の上や本堂の梁の影へと巡らせる。

 

(この位置と構えから判断する限り、やはり道三の配下ではない。彼の命令下にあるなら、会見の邪魔をする配置ではないはずだ)

 

 目立たぬよう、本堂の入り口に近い位置へ静かに移動し、足運び一つ乱さぬように腰を低く構えた。そこは万が一、刺客が飛び込んできても姫様を庇える距離。

その動きは、隣にいたで良晴すら気づかないほど滑らかだった。

 

一方、本堂の中では──

 

「う……うおおおおおおおっ? な、な、な……なんという……美少女っ!?」

 

 良晴とまったく同じ感想を、道三がそのまま声に出して叫んでいた。

 

道三が「うお、お、おおおっ」とうなっている間に、信奈はすすっ……と優雅な足取りで本堂の中を進み、道三の正面へと腰を下ろした。

 

「わたしが織田信奈よ。幼名は『吉』だけど、あんたに吉と呼ばれたくはないわね。美濃の蝮!」

 

「あ、う、うむ。ワシが斎藤道三じゃ……」

 

 年甲斐もなく照れる道三。まともに信奈と目を合わせられない。扇子を振りかざして「恥ずかしいっ」とつぶやきながら、茶器を掌の上で回し始めた。

 

「デアルカ」

 女の子らしいカン高い声で、信奈が言った。

「お、お、おう……」

 道三は、法悦境に迷い込んだかのようなぽわっとした表情で、なんとか返事をする。

それを刃は冷ややかに一瞥しつつ、周囲への警戒を怠らない。

 

(……それでも、道三も戦国の化け物だ。油断してない……はず)

 

 だが、姫様を狙う敵がどこの勢力なのか、今はまだ見えない。

 

(狙いは姫様か? それとも道三か……いや、この“同盟”そのものか?)

 

信奈は「あー男どもの視線がウザったーい。特に庭のサル。だからこーゆー服装は嫌いなのよね」と髪をかきあげながら、茶を一杯口にした。 その飲み方も、実に作法にかなっていて完璧だった。

 

やべぇこんな奴に一瞬見とれちまったきぃ悔しい、と良晴は内心歯がみする。

「蝮! 今のわたしには、あんたの力が必要なの。わたしに義妹をくれるわね?」

だが、「美濃の蝮」と恐れられる戦国大名・斎藤道三。

茶を一服しているうちに信奈の先制攻撃を受けて喰らったダメージから立ち直り、きりりっ、と眉をつり上げて迫力満点の真顔に戻った。

 

 信奈と道三が言葉を交わし始める中、刃の意識は常に周囲へと向けられていた。

(いつでも、動ける……)

 

「蝮! 世間のバカな連中はあんたのことを『美濃を奪った蝮』と呼んでいるけれど、あんたはほんとうは『天下』を盗りたかったんでしょ?」

 

 堂内の空気が張り詰めた。

 

 天下。

 

 すなわち、奥州から九州四国までを含めた、当時の日本全土。

 

 戦国時代は、京に御所を構えた足利将軍の室町幕府が衰退し、日ノ本全土の大名が互いに相争う大戦乱の時代。

 

 しかし、京を狙う大名は数あれど、足利将軍家を倒して自分の手で「天下」を盗ろうとしている大名はこれまでいなかった。

 

 それが、この時代、この世界の定説。

 

 信奈は今、その定説を覆した。

 

 ――そしてその瞬間、堂外に控えていた刃の眉がピクリと動く。

 

(天下……ここでそれを口にするか、姫様)

 

 それは夢物語でも、気まぐれな若気の至りでもない。信奈が、誰よりも真剣にこの国の先を見ている証拠だった。

 

「信奈どの。なぜ、ワシが天下盗りをもくろんでいたと断言できるのじゃな?」

 

「美濃を制する者こそが、天下を制するからよ! 美濃こそが日本の中心だもの! 西は京の都に連なり、東は肥沃な関東の平野へとつながっている。この美濃に難攻不落の山城を築いて兵を養い、天下をうかがう。そして秋が来れば一気に戦乱の世を平定し、日ノ本を平和な国にする。商人が自由に商いに精を出せる、そんな豊かな国にする。それがあんたの野望だったんでしょう?」

 

 道三は、震えながら、なんとかうなずいていた。

 

 からり、と道三の表情が陽気なものに変わった。

 

「参った……参ったわい、信奈どの! お主はまだ若いというのに、長らく誰にも話したことのなかったこのジジイの戦略をすべてお見通しだったのじゃな? いや、参った!」

 

 うなずいているうちに、道三の喉から明るい笑い声が漏れていた。

 

(……やるな、姫様)

 

 庭先の刃はわずかに目を細めた。斬り結ぶことなく言葉だけで相手を屈服させる、圧倒的なカリスマ性。信奈の中には、確かな“戦”がある──そんな確信が深まった。

 

 信奈と道三が言葉を交わすこの場は、いまや日ノ本の行く末を左右しかねない。警戒を解くわけにはいかない。

 

 一方、本堂の中では──

 

「最初に美濃に目をつけたあんたは立派な軍略家だわ、蝮。でもあんたは武士ではなく、残念ながら商人の生まれだった──だから、それほどの知謀の持ち主でありながら美濃一国を奪うのに全生涯をかけなければならなかったのよ。天は、不公平よね」

 

「おお、その通りよ」

 

「蝮。天というものがあるのならば、このわたしこそが天に愛されている者なのよ。わたしは生まれながらの姫にして大名。狒狒ジジイのあんたとは比べものにならない高貴な美人。その上、十六歳にして美濃の隣国・尾張を治めている。わたしには、まだ時間があるわ!」

 

「おう。そうじゃのう」

 

「だから蝮、わたしは美濃をいずれ併吞する。あんたの生涯の夢、天下統一の野望を、わたしがかなえてあげるわ!」

 

「商人が自由に商いを行える国を、そなたが?」

 

「商人だけじゃないわ。農民だって侍だって同じよ。日ノ本をこんなふうに乱れさせた古い制度なんか全部叩き壊して、南蛮にだって対抗できる新しい国に生まれ変わらせてみせるわ! わたしが見ているのは日ノ本だけじゃない。『世界』よ!」

 

 その言葉に、堂内は一瞬静まりかえった。

 

 そして──

 

「……そなたが尾張でうつけ者と呼ばれる理由が、やっとわかったわ。この知恵者のワシの頭の中ですら、『天下』、つまりこの日ノ本が知恵の及ぶ限界じゃった。だが信奈どの。そなたはすでに日ノ本を飛び越えて、『世界』などという途方もないものを見据えておったのじゃな」

 

「蝮、今のはここだけの話よ。あんたとわたしにしかわかり得ない話だもの。余人に聞かせれば、うつけどころか気が触れていると言われるわよ?」

 

「……いえ。ここに理解できる者が一人おりまする!」

 

 庭先から少女の声が響いた。

 

 おでこが広い、道三の従者・十兵衛だった。

 

「おう十兵衛、そちも思わず熱くなったのじゃな。しかしまだ早い。今は、黙っておれ」

 

「……ぎょ、御意」

 

 礼儀正しい侍少女らしかった。

 

 その横で、静かに身構えるもう一人の足軽──刃は声に出すことなく、じっとその場に控えていた。

 

(俺も……理解できる。だがそれは、俺が未来から来たからだ。もしこの時代に生まれていたのなら、俺は理解できたのだろうか?)

 

 しかし、礼儀などという言葉とは縁遠い男が、いきなり立ち上がった。

 

「爺さん、俺もいるぜ!」

 

「ちょっと、サル? 口をつつしみなさいっ!」

 

 あわてる信奈。

 

「いやっ、つつしまない! 爺さん、俺の名は相良良晴! 身分はしがない信奈の足軽だが、こう見えても俺は未来の日本からやってきたんでね! あんたらが知らない未来のことをいろいろ知っているんだ! 元の世界への帰り道を探すのは後だ、俺も信奈の夢に力を貸すぜ!」

 

 ……その横で、刃は無言で肩をすくめた。

 

(はぁ、あの馬鹿)

 

 じーんと感激している良晴を、冷静に斜め後ろから見つめる。

 

(たぶん、本人は本気で言ってる。でも、空回りしてるのがまた……)

 

「……聞き流しましょ、蝮。このサルは先の戦での頭の打ち所が悪くて……」

 

「おう。そのようじゃな、信奈どの。かわいそうにのう……」

 

 二人に同情された!

 

「こらー、俺の話を聞けー! 人がせっかく感動して熱くなってやってるのにっ! やっぱり元の世界に帰るぞー! 帰ってやるー!」

 

「……黙る」

 

 犬千代に首根っこをつかまれて、押さえつけられてしまった。

 

「……さて、天下盗りのために美濃が欲しいという話じゃったな、信奈どの」

 

「そうよ。美濃が、わたしにもらわれたがっているのよ」

 

「ふ、ふ、ふ。老いたとはいえど、ワシは蝮と呼ばれた男。それは出来ぬ相談よ」

――場の空気が再び張り詰める。

 

「でしょうね。そう言うと思っていたわ。わたしも、タダでくれとは言わないわ」

 

「ふふふ。そなたが一代の英傑であるとわかってしまった以上、一度は戦場で相まみえて戦ってみたいのう……政略問答の次は、軍略の勝負をしてみたくなってきたのう」

 

「……ふん。そうなの、そう来るの。あんたがそう言うなら、戦ってあげてもいいわよ」

 

「では、開戦か」

 

「望むところだわ」

 

 ちょっと待て、待て待て!

 

 信奈のバカ、「美濃を盗ってやる」なんて言うから話が妙な方向にそれちまったじゃねえか! 少しは溢れ出てくる野望を抑えろよ!

 

 犬千代に押さえられたまま、良晴は再び声をはりあげていた。

 

「思いだしたぜ! こら、爺さん! そこの斎藤道三! あんたが今何を考えているか、俺にはわかる! どうせ美濃の将来が見えているくせに、頑固ジジイみたいにひねくれてるんじゃねえ!」

 

 無礼ね、黙ってなさいサル、と信奈が一喝する。

 

 その時、本堂の入り口に近い位置から一人の男が一歩前に出た。もう一人の未来人。白銀の髪に紅い目、鞘に手を添えた姿が静かに風に揺れた。

 

「……俺からもひと言、いいか?」

 

「ふむ? 誰だ貴様は」道三が目を細めて警戒の色を見せる。

 

「天城刃。つい最近雇われた姫様の足軽で、良晴と同じく、未来から来た人間だ」

 

「未来、だと……またか。そなたも未来を語るか?」

 

「俺はあんたの戦略や結末までは知らない。だが、ひとつ確信してることがある。あんたは“負ける”のが怖いんじゃない。自分の夢が、他人に託せるほど価値あるものだったか、それを見届けるのが怖いんだ」

 

 道三の目が静かに見開かれた。

 

「……なんじゃと?」

 

「姫様に賭けろ。あんたの夢を、志を、姫様になら託せるって、あんた自身が誰より感じてるはずだ。だったら……剣を交える前に、譲ってやれよ。その先に、もっと大きな戦が待ってる。戦国の覇権なんて、ただの通過点だ。姫様は、その先の“世界”を見てる」

 

「刃……」信奈が思わず、ぽつりと名を呼んだ。

 

「ふむ。南蛮語をしゃべるサル小僧の次は、白銀の剣士か……」と道三は呟きその目は真剣な色に染まっていた。

 

 良晴がその隙を突いて、さらに畳みかける。

 

「爺さん、あんたはこの後、家臣にこう言うんだ! 『ワシの子供たちは、尾張の大うつけの門前に馬をつなぐことになる』ってな!」

 

「ちょっ。サル。なんて失礼なことを言うのよっ? あんたわたしより口が悪いわよっ?」

 

 さすがの信奈も顔色を変えていた。

 

「なんと?」道三の表情が、驚きに凍りつく。

 

「その通りだろ。あんたは自分の息子たちが信奈の器量に遠く及ばないと気づいてる! だから信奈に託したい。でも誇りが邪魔してそれができねえ! けどよ、もし自分の夢が本物だったなら──それを受け継げる人間がいたなら、託すべきじゃねえのか!」

 

 しばらく沈黙の後──「ふはっ」と息を漏らした道三が、かすかに笑った。

 

「信奈どの。織田家に侍なしとは、たばかられたのう。足軽の中にも、これほどの者がおるとは──老いぼれたワシが勝てる相手ではないわい」

 

「えっ? 蝮?」

 

 「小僧、そして……天城刃とやら。そなたらのおかげで、この蝮、最後の最後に素直になることができたわ! ワシの夢を信奈どのに──いや、我が義娘に受け継いでもらうことにするわい」

 

 信奈は道三と良晴、そして刃の顔を交互に見ていたが、唇をへの字に曲げてそっぽを向いた。

 

 刃の目には、その瞳が一瞬、うるんだように見えた。

 

「これより信奈どのは、我が娘じゃ。娘に国を譲るのは、父として当然のこと」

 

「ほんとうに、いいの?」信奈が呟いた──その瞬間。

 

屋根の上から、突如、黒装束の刺客が一人、影のように飛び込んできた。

 

 (狙いは……姫様!)

 

 短刀が、一直線に彼女の喉元を目がけて振り下ろされ──

 

 だがそれより速く、一閃。銀の残光が奔った。

 

 ――キィィンッ!

 

 空気を裂く鋭い音。刺客の刃は見えぬ斬撃に弾かれ、次の瞬間、冷たい刀身が逆にその首筋へ突きつけられていた。

 

 「……遅い『朧月流 返刃の月』」

 

 それは、天城刃の声だった。

 

 彼の刀はすでに鞘に収められている。誰も、その抜き放ちと斬撃、そして納刀の瞬間を見ていない。ただ、その結果だけが“現実”として目の前にあった。刺客の首が転がり、首を失った胴体が血を吹き出しながら倒れる。

 

 「刺客……!?」信奈が驚愕に目を見開く――だがすぐに、視線を刃の背に落とすと、ふっと唇を緩めた。

 

 「……やっぱり、あんたはやると思ったわ。さすがは、わたしが選んだ足軽ね」

 

 その声には、信頼の揺らぎはなかった。

 

 「姫様、俺の後ろから動かないでください。まだいます」

 

 刃の低く静かな声。その言葉が終わると同時に、夜気を切り裂く風音が響いた。

 

 ――ヒュッ、シュバッ!

 

 手裏剣、苦無、火薬玉。四方八方から飛来する暗殺の凶器が、雨のように信奈たちを襲う。

 

 「散開ッ!」犬千代が即座に指示を飛ばし、良晴を抱えて斎藤道三の前へ。

「わっ、ちょっ、おいおいおいっ!? 何だよこの量!? つーかあいつ、今何やった!?」

 良晴は犬千代に抱えられながら目を丸くする。状況を理解できていないが、ただならぬ何かを感じ取っていた。

 

 十兵衛も抜刀して道三の傍に駆け寄るが、刃はすでに前へと歩み出ていた。

 

 「児戯――」

 

 天城刃が静かに呟いた。

 

 次の瞬間、銀の閃光が幾重にも走る。

 

 刃は身を一歩も動かさず、ただ腕と刀だけで――まるでその場に咲いた一輪の銀華のように――周囲からの飛び道具をすべて弾き落とした。

 

 金属が激突する硬質な音が連続して響く中、信奈と道三の足元に落ちる手裏剣の破片

 

 「……それで隠れているつもりか?」

 

 天城刃の声は静かだったが、確かな圧があった。

 彼の瞳は、闇に溶けるように潜む刺客たちの位置をすべて見据えていた。

 

 刃が一歩、前に踏み出す。

 

 ――ザッ!

 

 刃は五十メートルは離れていたはずの刺客たちの懐の中にいた。

「『朧月流 月蝕陣』」

 刃はすでに抜刀を終え、再び自然に鞘へと刀を収めていた。

切られた刺客達は声も出さず、まるで糸が切れたように崩れ落ちる。

 

「……刺客がいたのは、最初から分かっていました。風の流れが乱れていたり、殺気や気配の揺らぎを感じましたから」

 

 淡々と告げるその声音に、信奈はふっと小さく息をつく。だがそれは恐れではなかった。

 心からの安堵と、ある種の感嘆の混じったため息。

 

 「ふん、やっぱりね……。あんたを勧誘したときから思ってたのよ。剣の腕だけは、うちの軍でも――いや、尾張でも群を抜いてるって」

 

 「……恐れ入ります、姫様。あなたの目に適った以上、俺はその期待に応え続けます」

 

 言葉には決して誇張も気負いもなく、ただ確信と忠誠だけが宿っていた。

 

 「……ほんと、足軽の器じゃないわよ、あんた」

 

 「俺は“姫様の剣”ですから」

 

 それは宣言でも誓いでもなく、事実のように語られた。

 

 その刹那――またしても、屋根の影から一人の刺客が疾風のごとく飛びかかる。

 

 だが、刃は一歩も動かず、流れるような最小限の動作で――抜刀すら見えないほどの速さで、それを斬り伏せた。

 

 「ッ……!」

 

 信奈が思わず息を飲む。だがそれは恐怖ではなく、むしろ鼓動が速まるような昂ぶりに近かった。

 

 「……な、なんなのよ、あいつ……ほんとに……」

 

 呟きながら、信奈の頬がわずかに紅く染まっていた。

 

 「うおお……あいつ、マジで人間かよ……。くそ、俺もなんかスゴい技とか覚えときゃよかったな……」

 

 良晴は呆然と刃の背を見つめながら、思わず口からこぼれた。

 だが、その呟きの奥には、尊敬とも焦りともつかぬ、男としての熱が微かに宿っていた。

 

襲撃事件の後、話はとんとん拍子で進んだ。

 

 姫様――織田信奈は、ついに美濃の譲り状をその手に収めたのだ。

 

 ……まぁ、その過程では色々あった。

 斎藤道三が姫様の美貌に骨抜きになり、何度もセクハラしようとして蹴り飛ばされるし、一方の良晴はといえば、なぜか道三の脱ぎ捨てた草履を拾ってうっとりと嗅ぎ、「戦国の香りだぁ……」と変態ぶりを炸裂させたりと、

 正直、台無しになる寸前の場面も多々あったが――

 

 結果的に、尾張と美濃の同盟は無事、成立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刃をハーレムにするか

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