死神代行のIS戦記   作:ピヨ麿

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二か月以内だからギリギリセーフ、ですよね?
遅くなりました、第十話です。

今回の話は特に シールドエネルギー=霊力 だということを覚えて読んでください。


10.Could you ditermine?

あの悲惨な事件の翌日。本来ならば昨日行うはずだった打鉄弐式の試験運用&お披露目は、簪が一護の体調を心配し心ここにあらず状態だった為、次の日に持ち越されていた。

 

 

「それじゃあ始めるね」

 

 

アリーナにて、打鉄弐式を纏った簪は、更に強化を施した機体を確かめるように空中を飛び回る。

問題が無いことを確かめると、続けて

 

 

「ターゲット、お願い」

 

『りょ~か~い!』

 

 

荷電粒子砲『春雷』を展開し、現れたターゲットの中心を正確に打ち抜いていく。

 

 

「次。二人とも、お願い」

 

「おう」

 

「任せろ!」

 

 

ミサイルポッド『山嵐』を展開し、空中で動き回る一護とラウラを打鉄弐式の要でもある『マルチロックオンシステム』で狙い撃つ。

 

 

「これが、世界初のマルチロックオン・システム……。これを一人で完成させられるとは……」

 

 

追尾してくるミサイルをそれぞれ月牙、AICで対処しながら、その性能の高さに驚嘆する。ミサイルはお互いを邪魔することなく、ぶつかり合って自爆したものは一つも無かった。

 

 

 

 

 

 

「さすが簪ちゃん! ほぼ一人でこれほどの専用機を完成させるだなんて!」

 

「そうですね」

 

 

ピット内から眺めながら、簪の技術力を褒める楯無と(うつほ)。それだけならば何も問題は無いのだが、

 

 

「それよりもお嬢様。そのカメラは?」

 

「そりゃあ、簪ちゃんの勇姿を撮る為よ!」

 

「……程々にしてくださいね? また怒られますよ?」

 

「うぐっ! わ、分かってるわよ!」

 

 

従者や妹に怯える当主とは一体……

 

 

「妹様達はこのまま模擬戦を行うようですね」

 

「手っ取り早く実力を上げるなら、自分よりも一段強い相手と戦うのが一番だもの。その選択は間違ってないわ」

 

「いいなぁ! ルナもお兄さんとやりたい!」

 

「我儘を言ってはダメです。今は簪さんとラウラの時間なんですから。まぁ、時間があれば私も手取り足取り腰取り教えてほしいですが」

 

「では私は一護さんと夜の戦いを……」

 

「自重しなさいよあなたたち!?」

 

「「何を?」」

 

「何をって……」

 

 

ナニを想像したのか、楯無は顔を真っ赤に染める。

 

 

「お兄さんの背中って、逞しくて大きいんだよ」

 

「へぇ~。逞しくて大きいんだ~」

 

「会長。鼻血出てますよ」

 

 

 

 

 

 

ピット内でふざけている楯無達はさておき、向かい合っている一護、簪、ラウラはというと、

 

 

「始める前にもう一度聞くが……本当にいいんだな?」

 

「はい!」

 

「今よりも強くなるためには、本気の黒崎君とじゃなきゃ意味がないから」

 

 

始まりは簪が一護に強くなりたいと、訓練の相手を希望したこと。それに続くようにラウラも熱望してきたのだが、一護としては

 

 

『仮にも妹として面倒見てるんだ。俺はお前らには戦いに関わってほしくねえ。

それに、俺がやってるのはただの斬り合いだ。得るもんなんて何もねぇぞ』

 

 

と言い、断っていた。結局、ラウラの熱意に押され、相手をすることになったのだが。

 

そんなわけで、それぞれの獲物――斬月、超振動薙刀・夢現、プラズマ手刀を構え、臨戦態勢に入る。

 

 

「そうか……なら、覚悟しろよ。俺は手加減とか苦手だからな」

 

「手加減なんてさせない!」

 

 

最初に向かっていったのは簪。両手で握った夢現を振り下ろし、それを一護は片手で持った斬月で受け止める。

 

 

「……うご、かない……!」

 

 

スピードの乗った一撃を完璧に受けきり、微動だにしない一護。

 

 

「う゛っ!」

 

 

がら空きの腹に蹴りを入れられ、後方へと吹き飛ばされる。入れ替わるように、

 

 

「はああっ!!」

 

 

ラウラが背後から攻め入る。振りぬかれるプラズマ手刀。一護は動じずに手首を掴んで止める。

 

 

「なっ!」

 

 

驚き目を見開くラウラをよそに、斬月を振り下ろす。

 

 

「くっ……!」

 

 

咄嗟にAICを発動し一護の体を縛るも、それも一瞬。AICの網を力技で壊したが、その隙を突いてラウラは一気に後退し距離を離していた。

が、

 

 

「!?」

 

 

刹那の内にその距離は詰められ、横薙ぎによる斬撃を両手のプラズマ手刀でなんとか受ける。

 

 

(馬鹿な……! ハイパーセンサーの感知をすり抜けるとは……!

今のは瞬時加速(イグニッション・ブースト)などではない。二段階加速(ダブルイグニッション)か?!)

 

「ラウラ、遠慮するな。本気で来い」

 

「ッ!? はい!」

 

 

その言葉に促され、左目に付けた眼帯を外し越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)を顕わにする。

 

 

「行きます!」

 

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)を発動し、一息に接近すると共にプラズマ手刀を振り下ろす。

 

 

「まだまだぁっ!」

 

 

力では勝てないことは先程の一撃で理解している。故にラウラは両手のプラズマ手刀に加え、ワイヤーブレードを全て射出し、手数で攻める。

 

 

「っと、この数は流石に面倒だな」

 

 

日本刀サイズの天鎖斬月ならば兎も角、大刀である斬月では素早い攻撃の対処は中々に厳しいものがある。接近戦でならば尚更だ。

 

 

「その割には、堪えてるように見えないのだが?!」

 

 

なので一護は、プラズマ手刀だけを斬月で受け、ワイヤーブレードは空いている左手や足で弾いている。

 

 

「私のことも忘れないで!」

 

 

さらに上からは簪が夢現を振り下ろしながら向かってくる。それに対し一護は高速移動――瞬歩でその場を離脱するが、

 

 

「そこっ!」

 

 

越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)を解き放ったラウラの動体視力は格段に上昇している。それにより動きを捉えたラウラは、逃がさないようにワイヤーブレードを伸ばす。一護の狙い通りに。

 

 

「!」

 

 

離れた一護はすぐさま反転し、ワイヤーブレードの隙間を潜り抜ける。

 

 

「させない!」

 

 

動きを読んでいた簪が振るう夢現を受け流し、ラウラに正拳突きを突き刺す。

 

 

「がっ……!」

 

「ラウラ!?」

 

「敵から目ェ離すな!」

 

 

一瞬とはいえ吹き飛ばされるラウラの方へ視線を向けてしまった簪。その隙を見逃すはずがない。振るわれた斬月を咄嗟に構えた夢現で防げるはずもなく、ボールのように吹き飛ばされる。

 

 

「うぅっ……」

 

「ぐ、ぁ…… (た、ただの拳が、パ、パイルバンカーと同等の威力だと……!?)」

 

 

呻く二人。特にラウラは手を地に着き、息も切れ切れだ。それもそのはずで、シールドバリアーを容易に貫き、絶対防御を発動させるほどの攻撃をその身に受けたのだ。多少手加減されていたとはいえ、身体に溜まったダメージは少なくない。

 

 

(手加減、されてる……。クラス対抗戦の時の黒崎君はこんなものじゃなかった。それに、霊圧に差は無いのに、こんなにも差があるなんて……)

 

 

膝を着きながら夢現で身体を支える簪は、思い知らされる力の差に打ちひしがれる。戦闘経験では劣っているものの、自身も霊圧を扱えるのだから、多少は相手になると高を括っていた。現実はラウラとの二人がかりで一蹴された。

 

 

(なにが『私に頼ってね』だ。こんなにも、自分のことすら護れない程弱いのに……)

 

「簪、ラウラ」

 

「「?」」

 

 

心が折れかけていた二人に声を掛けたのは、他でもない一護だった。

 

 

「お前らは何の為に戦ってんだ?」

 

「あ……(そうだ。何弱音吐いてるんだろう、私は……。この前誓ったばかりだというのに)」

 

 

ただの問い掛け。だが、その言葉は簪の”決意”を思い出させるのに十分だった。深く息を吐き、

 

 

「ごめんね黒崎君。一番大切なことを忘れてて」

 

「構わねえよ。それより……いけるな?」

 

「うん!」

 

 

先程までは変に意識するあまり身体が強張り、霊圧も緩んでいた。だが、今は違う。

 

 

(私は黒崎君みたいに接近戦だけで戦うことは出来ないし、あの高みに辿り着くことも、きっと出来ない。そんな私を黒崎君はいつものように護ってくれると思う。だけど――)

 

 

霊力のコントロールは出来ているとはいえ、それを実践で使うのは初めてであり、上手く扱えないのも当然と言える。

しかし、それは何か切っ掛けさえあれば劇的に飛躍するということでもある。ただでさえ、簪は基礎が出来ているのだから。

 

 

(それでも、力になりたい。黒崎君を支えたい。悲しんでるところを見たくない……大切な人だから!)

 

 

心も、身体も、霊圧も、先程までとは比べ物にならないほど優れた状態にいる簪は、力強く踏み込むと同時にその場から姿を消した。

 

 

「!」

 

 

それに対し一護は予測していた通りに斬月を振るい、直後刃と刃がぶつかり合った甲高い音が響く。

 

 

「ッ!? やっぱり、黒崎君は防ぐよね」

 

「今の簪ならあのくらいの動きはすると思ってたからな。それに、一回成功しただけの瞬歩を、捉えられねェ訳ねえだろ?」

 

 

それでも、ぶっつけ本番で成功させたことには驚いているが。

一護や隊長格らは容易に使っているが、瞬歩は誰でも習得出来るものではない。下位席官でも使えない者――彼は性格的な問題かもしれないが――はいる。

そして、経験で圧倒的に劣る簪が何故出来たかといえば、やはり跳びぬけた霊圧知覚があったからに他ならない。クラス対抗戦時に一護の瞬歩を見ていたので、もしかしたら、と思ったのだ。

 

 

「経験も、技量も負けてる私が、黒崎君にあっさり攻撃を当てられるとは思ってないよ。接近戦だけなら、ね!」

 

 

鍔迫り合いの体勢から夢現を引くと同時に、その場から二十メートル程距離を取り、春雷を展開する。

 

 

「行くよ、黒崎君!」

 

 

その声と共に連射される荷電粒子砲。今は速射を優先している為威力は衝撃砲・龍咆と同等か僅かに下回る程度だ。

 

 

「おっと」

 

 

それを回避する一護に油断は無い。荷電粒子砲の性質を知っているというのもあるが、その中には()()()()()()()()()のだ。威力や速度が違うとはいえ虚弾(バラ)に近いそれを油断して受けようものなら、体勢を崩された瞬間に大きな一撃を貰うだろう。

 

 

「はあああっ!」

 

 

荷電粒子砲の連射を回避した直後の一護を狙い、瞬歩で近づき夢現を振り下ろす。

 

 

「ッ!?」

 

 

だが、刃が当たる寸前にその姿が掻き消える。

 

 

「左ッ!」

 

 

直後、左から迫る斬月の横薙ぎを夢現で受け止める。続けて繰り出された上段蹴りを、頭を下げて躱すと、夢現を横薙ぎに振るう。

それを一護は簪の手首を掴むことで止める。

 

 

「……え?」

 

 

そのことに一瞬呆けた簪を、地面へ向けて思い切り投げ飛ばす。

 

 

「くぅっ……!」

 

 

即座に霊子の足場を作り体勢を立て直し、一護の方へ目を向けると、

 

 

(月牙……!)

 

 

斬月を天へと掲げ、その刃先に霊圧を集中させている一護の姿が。

 

 

(あれに対抗するには”アレ”しかない!)

 

 

自身の切り札の一つを使うべく、一息に地面へと降り立ち、脚部にあるアンカーを下ろす。そして、春雷を展開し、砲身に付いているファンを回転させ、供給を開始する。

 

 

(正直、人にコレを撃つのは躊躇うんだけど……黒崎君はこれを待ってるんだよね)

 

 

撃つのを躊躇う理由はただ一つ。威力が高過ぎるから。

荷電粒子砲とは、『荷電した粒子を放つ』兵器であり、簡単に言うと超圧縮した電気を帯びさせた”何か”をぶっ放す砲。直撃すれば、原子崩壊させるとも言われている。

流石に普段はリミッターがかけられているが、それでもファンを回転させて放ったものは、現存する兵器の中でも群を抜いている。

 

これを撃つのを待っていると考えたのは、ただ月牙を放つだけなら簪が体勢を整える前に放っているはずだからだ。

 

 

「行くぜ」

 

「うん!」

 

「月牙天衝!」

 

「収束・荷電粒子砲!」

 

 

同時に放たれた二人の一撃は、瞬く間に衝突し、お互いを食い破ろうと突き進む。数秒の拮抗の後、それらは相殺という形で爆発する。

 

 

 

 

 

 

簪が全力を以て一護に挑んでいる一方、ラウラはというと、

 

 

(私は……何の為に戦えばいいのだろうか)

 

 

一護に問われたことに答えを出せずにいた。

 

 

(私を正しい道へと導いてくれた教官や兄様、鈍感音痴の為に力を使う。……それでは前と同じだ。確かにその想いもあるが。護りたいもの、か……)

 

 

一護としてはそこまで考えさせるつもりは無かったのだが、ラウラは戦いを放棄して思考に没頭していた。あたかも、それが最重要事項だとでも言わんばかりに。

 

 

(私には親も兄妹もいない。だから、教官や兄様のように、家族を護りたいとは想えない。

ドイツ軍に所属してはいるが、鈍感音痴のように大勢の人を護りたいとも想えない。そもそも、ドイツに対して思い入れも無いからな。いや、部隊の皆は大事なのだが。こんな私をあっさりと赦してくれた、私には出来過ぎた部下達だ。

……そもそも、私の大切な物は何だ? それがきっと、今出せる答えのはずだ)

 

 

自身の大切だと思うものを思い浮かべる為に目を瞑る。

 

 

(あぁ、そうか……)

 

 

真っ先に出て来たのは、一護や千冬、簪らと共にいる、何気ない日常。僅か二週間足らずだが、ラウラにとってその日々は、何物にも勝るものだった。

 

 

(これが、この胸を温かくする記憶が、居場所が、私の――――)

 

 

 

 

 

 

「はあああああっ!」

 

 

気合の入った叫びと共に幾度も振るわれる夢現。それらを捌いていると、

 

 

「「!!」」

 

 

一護へ大型の砲弾が飛来する。それを見て簪はすぐさまその場から跳躍し、一護は片手でその砲弾を弾く。

 

 

「なんだ。ようやくやる気になったのか? ラウラ」

 

 

視線を砲撃の主――ラウラへと向け、問い掛ける。

 

 

「いえ。今日はもう止めておきます。シールドエネルギーも残り少ないですし。それに、もっと大事なことが分かったので」

 

「ん?」

 

「私は、今いる居場所を護りたい。その為に、私はこの力を使います」

 

 

ラウラの偽りのない真っ直ぐな想い。それを聞き、一護と簪は柔らかく微笑みを浮かべる。

 

 

「あ、あの……何か変ですか……?」

 

「いや、そんなことねえよ」

 

「ラウラらしくていいと思うよ?」

 

 

そう告げ、頭を軽く撫でると、ぽかんと呆けた後、ふにゃりと破顔した。

 

 

「しっかし、たった二週間で随分と変わったよな」

 

「ふにゃ?」

 

「うん。前は一匹狼だったのに、今じゃ飼いならされた子猫だよね。あ、もちろん、飼い主は黒崎君で」

 

「おいやめろ。また俺の評判落とす気か?」

 

「そんなこと、するわけないでしょ。……私は」

 

 

そう。例えば二年の何とか薫子とか。

 

 

「そうだ、黒崎君。最後に試してみたいことがあるんだけど、大丈夫?」

 

「問題は()ェけど……何する気だ?」

 

「ちょっとね。ラウラは危ないから離れててね」

 

 

それだけ言うと、簪は瞬歩を用い距離を取る。

 

 

(シールドエネルギーが霊圧なんだから、私自身の霊圧を込めれば今以上の力が出るってこと、だよね?」

 

 

簪が行おうとしているのは至極単純で、ISに自身の霊圧を込めているだけだ。そして、それは霊圧感知が苦手な一護でも感じていた。

 

 

「……おーい、簪さん? 何やってんの?」

 

(うん。これなら、いける)

 

 

すぐにコツを掴んだ簪は、ゴウッと全身から最大限の霊圧を放出させる。

 

 

「なっ!?」

 

「行くよ黒崎君!」

 

「ちょっ、待て――――」

 

 

そんな一護の嘆願も聞き入れられず、簪は今までとは一線を画す速度で突撃する。

 

 

「ば、馬鹿野郎ーーッ!!」

 

 

一護の叫びが届いた直後、物凄い勢いで地面に衝突した破砕音がアリーナ全体に轟いた。

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。今後はこのような調子に乗ったことはもうしません」

 

「いや、まぁ……そうだな。流石に、あの状態でお前の全力は受け切れないからな。やるんなら、俺がもう少し力を引き出した時にしてくれ」

 

 

あの簪のとっしんは、勢いを逸らすことは出来たが、止めることは不可能だった。衝突した簪ごと、一護の身体は地面へと勢いよく激突した。

その後、三人揃ってピットへと戻ったのだが、

 

 

「ねぇ、一護君? あなたの強さの秘密を知りたいのだけど……、私に、二人っきりで、教えてくれない?」

 

 

楯無が正面から抱き付き、首に手を回し、精一杯の色香を出しながら一護の耳元で囁く。

普段は威厳も何も無い楯無だが、そのスタイルは抜群であり、啓吾やコンが見たら飛びつくかもしれない。そんな楯無が密着しているのだから、初心な一護は当然顔を真っ赤にするが、背後の悪鬼のような気配に、意識はそちらへと向き、冷や汗をびっしりと掻く。

 

 

「あら? そんな汗掻いて、どうかしたの? ……も、もしかして、私の身体に興奮――――」

 

「ふんっ!」

 

「ふおぅっ!」

 

 

暴走しかけた楯無は、ラウラによって止められた。脇腹に拳を食らい悶絶し、膝を床に着く楯無は、

 

 

「ちょっとラウラちゃん!? 何するのよ!?」

 

「ふん。兄様に無遠慮にくっ付くからだ」

 

「その言い方酷くない? 私はただ強さの秘密を聞き出そうとした(一護君に触れてみたかった)だけよ!」

 

「……本音が漏れてるぞ。そ、そそそれに、おお前はき、気付かないのか? あの気配に……?」

 

「気配? というか、何をそんなに怯え――ひいっ!?」

 

 

あのラウラがガクガク震えているのを見て何事かと思った楯無だが、一護の隣にいる人物を見て得心した。

 

 

「か、かかか簪ちゃん……!?」

 

 

鬼。悪魔。ちひろ? そんなものが可愛く見えるわ。

この時の楯無は、心の底からそう思った。

 

 

「もうだめだぁ……。おしまいだぁ……」

 

 

ヘタレている楯無は置いといて、

 

 

「黒崎君。私はこれから成長期だから」

 

「……それを俺に言ってどうしろと?」

 

「お兄様。私はまだ成長期に入ってないだけですから」

 

「私は~、まだ育つよ~?」

 

「「は?」」

 

「そんなことより、お兄さん。次はルナと一戦、しよ?」

 

「また今度な」

 

 

ルナの上目遣いでのお願いは、一護には通用しなかった。如何に女性に免疫が無い一護と言えども、流石に小学生と見紛う体型のルナには狼狽えるはずもない。

 

 

「むぅ。じゃあ、たてなしでいいや。ルナと戦おう(遊ぼう)?」

 

「ちょっと。じゃあ、って何よじゃあって」

 

「だって、たてなしが強いとは見えないんだもん」

 

「確かに……会長はこのところいいとこ無しですから」

 

「うっ」

 

「今はムッツリってイメージが強いよね~」

 

「ぐふっ」

 

「本音、それは前から。今は変態が加わってるから」

 

「がはぁっ」

 

 

見事な連携プレーでとどめを刺された楯無は、膝から崩れ落ちる。

 

 

「それじゃあ、更識生徒会長。私とルナ、二人と戦っていただけますか?」

 

「無理じゃねえか? こんな状態じゃ」

 

「いえ。やるわ。ここらで、生徒会長としての威厳を見せつけるべきだもの!」

 

(それを口に出したら意味ねえだろ……)

 

 

何故楯無はこんなにもポンコツなのに、ロシア代表と生徒会長を務められるのだろうか。一護はただただ疑問に感じた。

 

 

「私も、その見せつけてる大きな塊を削い……握りつぶします」

 

「ウフフ。たてなし、あなたは簡単には壊れない人間?」

 

(あれ? ちょっとヤバい?)

 

「この時楯無は知る由も無かった。一年生を相手に、本気を出すなどと」

 

「簪ちゃん? 流石にそれは無いわよ? 変なモノローグ付けないでよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……か、加減はしたもの! ぜ、全力じゃ無かったし!」

 

 

出力は抑えているとはいえ、熱き熱情(クリア・パッション)からのミストルティンの槍のコンボを使った楯無であった。

 




ホントにいいとこ無しな楯無。一応言い訳として、目が病んでる(さゆか)のと、目が逝ってる(ルナ)のを相手にしたら、流石に腰が引けるよね。二人のポテンシャルが高いのもありますが。

ちなみに、簪とラウラばかり優遇されてますが、他の面々も強化します。多分

この後、斬月とジェノザ……打鉄弐式の紹介を活動報告の方へ載せる予定です。よかったら覗いてみてください。

次回こそはもっと早く投稿出来る様にします。来月試験だけれど。
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