弾とタヒ体以外は全て本物を謳い文句とした高クオリティ映画シリーズ第二弾、2時間越えのそも映画を見た後の心境とは?
とある日、私はK伯爵というペンネームで小説を書いていた駒丘佳織という人物が総監督の「弾と死体以外は全部本物映画シリーズ」というなんとも珍妙で金がかかっているだろう映画シリーズの第二弾に当たるノンフィクション映画「HIM」という映画を見に行った。かなりの制作費が注ぎ込まれており、それは第一弾の「Doomsday device 」という映画超え第三弾である「地球防衛軍〜Mankind independent war(人類独立戦争)〜」 で予想される制作費よりも上回るものである。2時間以上の物でかなりの見応えがあると聞いて見に来ていたが、この映画の事前評価については賛否両論であった。しかも予告編を見た人たちは口を揃えて「こんな映画はあってはならない」とか「こんな暗い結末があって良いのか!」と言う。それが余計に私の好奇心を駆り立てる。だから映画館へ来たのだ。
さて、まずは館内の店で食べ物や飲み物を買って行こう。すでにチケットは入手しているからあとは視聴中に必要な飲み物と軽食が必要だ。
私はそう思いつつ「リベルテ・カンパニー」という妙な名前の店でそれらを購入した。豊富なメニューがある上飲食物だけじゃなく、映画に関連するグッズもあるみたいだ。
私はデカめのポップコーンとジュースを購入した。…しかし映画に関するグッズもあるということで気になって買ってしまった。限定3つまでのものだったから余計に、だ。その限定品とは劇中終盤で主人公が身につけるリボルバーであり欧州のインクヴァルト社製旧式リボルバーベースのカスタムモデルである。
私は予想外の獲物にほくほくと嬉しくなりつつそのまま上映場内に入っていく。前評判の割には人が結構入っており上映前ということでややガヤガヤとしていた。自分が取った席は1番奥、場内で言えば出入り口付近となる場所だ。
スクリーンから遠い場所のためにあまり人気がない様だが、自分は逆に全体をよく見れる場所のためにむしろ都合が良かった。
そして自分の予約席に座り、上映開始までふと物思いに浸りつつ待っていることにした。
先ほど行った店の店員、やけに目が死んでいただとか…表情が暗かっただとか、そんなことであった。
そう思って考えを巡らせているうちに上映が開始された。
タイトルBGMはとある有名な特撮テレビドラマシリーズより怪獣防衛組織のテーマと不気味なれどどこか引き込まれるようなテーマを織り交ぜた「出現と攻撃」というものであった。しかしやけに禍々しいパートがあったのは何故だろう?その疑問が頭の中を巡ったが、今はそれを解決しようにも情報がない。とりあえず映画を見て行こう。
テーマが終わると、美しく落ち着いた伴奏付きで山に囲まれた田舎の漁師町が現れる。アングルとしては上空からのもので、特徴的な地形がよくわかる。
ナレーションはここで「ここは穏やかな漁師町。海鮮物が特産品であり、また世界遺産もある…そんな長閑な街であります。ここにある少年がいます…この映画はその少年の小学校生活から始まるのです」と入ってきていた。
その少年の名前は星元勲(ホシモトイサオ)、という。
その少年は明るく楽しそうに過ごし、また誰にでも優しく困っている人を捨ておけない…そんな少年である。住んでいる家の隣では祖母が住み、柴犬を飼っているらしい。
その犬は少年に対しかなり懐いており、なんと一緒に寝たことも何回かあるほどだ。
そんな幸せそうな少年であったが、悩みの種は学校にあるらしい。
学校では小1から小3までいじめを受けており、またクラス中からやられることもあった。
また家族内でもいろいろあり、愛犬の死もあり少年は精神を病んでいった。
そんな少年は非行に走り始め、また近所の造船所で泳ぐなどもしており何回も学校でお叱りを受けていた。4年の頃に引っ越しをしたがそれから卒業まで壊れた状態が維持され、悪化していった。
中学に入るも教師に恵まれず、彼はどんどんと暗く心を閉ざす様になる…
そんな彼に転機が訪れたのは中学2年生の時であった。修学旅行で沖縄に向かった際、2日目の自由行動の際偶然国連軍兵士と出会してしまった。その兵士は非番で国際通りに出かけていた軍将校であり学生服を着て暗い顔で1人歩くイサオ少年を見て心配になったようで「どうしたんだい?君、何かあったのかな?」と流暢な日本語でイサオ少年へ語りかける。
イサオは暗い表情を崩さず、しかし相手が外国人であるとわかると独学で学んだという英語で返答する。
「いえ、何も。私はただここら辺を歩いてるだけに過ぎず、何もない…」と。
しかしその将校はただならぬ気配を感じ、話を聞くことにした。少し話すと彼は徐々に心を開き、自分が中学生で修学旅行でここにいることを聞き出した。そして集合場所となっている店屋と宴会場が一緒になっている場所に向かい皆が来るまで一緒に待っていることになった。
その場所の一階で、将校は店の人に事情を話し2階の宴会場へ先に入っていった。
イサオ少年とその将校はそこでお互いの経歴…過去や辛いことも含めて語り合った。将校は中学生ながらここまで高い英語での会話能力と会話から見える思考能力からなんとかイサオを軍へ招き入れたいと考えているほどだった。
もちろん現実世界に当てはめていえば中学生が軍属になることはあり得ないが、おそらくはそれを口実に身柄を保護しより良い環境へ送るためだろうと思う
そして将校はイサオに自分の電話番号が書かれた紙を渡して「もし気が変わったらここにかけて欲しい。もちろん日本語で大丈夫だよ」という。
イサオは疑いつつ、されど自分をここまで見てくれて一緒に辛さを共有した相手なのでそれを喜んで受け取った。
その後時間が来ると同級生含め修学旅行生が揃ったため将校はそこでその場をさることとなった。
そしてイサオは宴会を終え、修学旅行のために学校がとったホテルに戻りシャワーを浴びて二日目の夜をぐっすりと眠り過ごした。そして三日目の朝…同室の人よりも早く起床し、昨日もらった紙に書かれた電話番号へかける…つまり将校の誘いを受けたことになる。
すぐ将校が迎えにきて、このままイサオ少年は国連軍預かりとなった。異例のことであったが治外法権を発動されてしまっては日本も手出しできなかったのだ。
イサオ少年の希望でアメリカ陸軍に最年少で入隊することとなり、基礎訓練を行うがその異常な身体能力を見た訓練教官は17歳の誕生日の時イサオを第82空挺師団へ送り込んだ。そこでも目を見張る様な成果を出してとんとん拍子に昇進し若くして尉官となって退役の契機となった事件時には少佐となっていた。
退役の契機となった事件とは、中東で発生した陸上戦闘であった。この戦闘はアメリカ陸軍の冷戦後の戦闘で最悪の死傷者を叩き出した…そんな悲惨な物であったが、彼もその例外に漏れなかった。
その戦闘シーンがイサオ主体で進んでいたはずが「ambush!」という声が聞こえてから場面は飛んでいた。
この辺りになるともう終盤に差し掛かっており、特に予告編で酷評されていたシーンとなる。
BGMはシューマン作の2人の擲弾兵であるが、ambush!というその声がかかる前後の戦闘シーンからかかっていた。
Ambushの声に合わせ、歌唱として同曲の特徴でもあるフランス国歌のフレーズとともに「So will ich liegen und horchen still, Wie eine Schildwach im Grabe,(そうしたら俺はじっと横たわり墓の中でまるで番兵の様に聞き耳を立ててやる)」という歌い出しでイサオが撃たれたところがスローモーションで流れる。
その後場面は走馬灯の様に目まぐるしくかわり、イサオが倒れたところで場面は変わる。
そして「Dann steig ich gewaffnet hervor aus dem Grab Den Kaiser, den Kaiser zu schützen. (そうなったら俺は皇帝を守るために武器を持って墓から立ち上がるのさ]」というフレーズではアメリカの無名の戦士の墓地..つまりアーリントン国立墓地での葬儀シーンとなり、そこには英文で「イサオ少年、ここにて安置される。彼の合衆国への貢献に最大限の敬意を。彼の過去の不幸が続かず、幸ある様に祈る」と書かれた標があり、そこにイサオがもたれかかる様に置かれていた。
ここで映画はエンディングに入り、なんと七分間という類を見ない長尺でありワルキューレの騎行が丸々一曲流れるほどであった。
スタッフロールがワルキューレの騎行に合わせて流れていき、観客も「これで終わりか…2時間以上の映画にしてはかなり悲しさもあるが見応えが大変ある。」ともう終わったと思っていた。
実際スタッフロールが終わるとしばらくの間黒背景で沈黙の時間が少々長めにあったのだ。皆がもう終わったはずなのに上映場所の電気がつかないことに不思議に思っていると…急に大雨の中の国立墓地にあるイサオとその墓標が映された。観客は何事かと思っていると、戦死して安置されていたはずのイサオの目が開きそのまま立ち上がって空を見つめるという意味深なシーンになった。なおその時にわかるが、彼の手には西部開拓時代の古いリボルバーが握られきせられていた制服には名誉勲章以外にも様々な勲章がついていた。
そんな「生き返った」イサオは空に向かってこう呟いた…
「まだ、まだ終わっていないんだ。まだだ….」と。
映画は暗転し右下に「終」という文字が出て正式にそこで終了したわけだが、最後の表現に誰もが驚いている。
私は衝撃的なシーンに言葉が出なかったが、終わったと気づくと急いでポップコーンの入れものや飲み物のカップなどのゴミを持ち劇場外にあるゴミ入れに入れてシアターを後にした。
私の意見としては予告編を見た者たちと同じ物であったが、一月になることがあった。
主人公、イサオの姿が総監督の駒丘佳織と似ているということであった。
…早速、彼に聞いてみるべきだろうか?私はそんなことを考えつつ帰路に就くのだった…