幻想郷を支配?…いや無理だろ   作:KAGENARI

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第12話 逃げ場なし

「では、作戦通りに」

「「「「ハッ!!」」」」

 

攻撃目標、博麗神社…幻想郷東端に位置する神社。俺たちは戦力不足である以上、余計な戦闘を行う余裕は無い。そのため幻想郷を守る巫女と、それを後援する妖怪の賢者を狙う―――博打も博打だがこれ以外の小細工はジリ貧になるのは全軍が理解できていたから、内心はどうあれ夜闇に紛れて速やかな行軍で戦場近くに到着した。

 

(やれやれ…そりゃ信用できねえ俺がこっちに回されるのは当然だわな。

 どうやりゃ生き延びることが出来るか…)

 

全軍の前で堂々と大将に意見したのだ、後方に置けば敵前逃亡すると判断されて当然。俺は先鋒に配置されている。大将直々に率いる先鋒は、俺のほかに大将・男性大佐・俺・大尉・男性工兵…要は大将とその狂信派2名の監視付きで最前線に連れてこられたわけである。

 

今の状況で総大将である大将が陣頭指揮を執るのはどうなんだ、と思う(それこそ配置を聞いた狂信派2名は反対してた)が、これはタンクを戦場に空間魔法で移動させるため必要だそうだ。まあたしかにいくら夜中だろうとタンク2輛が森道を走れば目立つし、森道によっては車体幅で通れない道もあるだろう…そしてタンク2輛を空間魔法で移動させられるのは大将しかいないってのがこの配置の理由だ。要するに大将がタンクを召喚するための時間稼ぎ役…捨て駒として俺は選ばれたわけだ。狂信派の2人はそこを理解してねえのか、大将に信頼され俺の監視を任されたと思い込んでやる気に満ち溢れてるがな。

 

(まあ、それでも大将がある程度マトモだと確信できたのは大きいが)

 

大将は俺が先頭に立つよう命じ、その後ろに自身。最後尾に男性大佐という配置をしてくれたのだ。要するに【狂信派二人が妙な真似をしても、大将を巻き込みかねないうえ大佐が後ろから撃てる】ワケだ。察した二人は強く反対したのだが、大将の厳命には逆らえず屈した…少なくとも大将自身が俺を粛正する気は無いと判断できる。

 

(まず間違いなく俺らの侵攻は察知されてるだろう、つまりこの坂を上り切ると同時に先制攻撃されると考えるべき…それを凌がなきゃ話にならねえ。初手で魔理沙の大技みたいなのをぶっ放されたらジ・エンド、そうならねえことを祈るしかねえのはキツい。対策のしようがねえ)

 

攻撃目標の博麗神社は高台に位置することもタンクを空間魔法で移動させる理由の一つ。後方からの射撃に専念させるのが難しい戦場になるため、むしろ質量弾として突撃に使う方針で将官3人が一致したそうだ。そのタンクの空間魔法による移動を囮に、中将率いる本隊で巫女の確保と神社の制圧を行うって作戦なんだが…

 

(別動隊と同時攻撃なら俺が狙われない可能性もあるんだが、呼応してって指示じゃまず有り得ない。おまけに騎兵ちゃんが危ない)

 

少将と騎兵ちゃんは別動隊として、【俺ら先鋒に呼応して側面から陽動】という役回りを受け持っている。大将がタンクを移動させるまでの隙を潰すために先鋒の俺らが捨て駒になるわけだが、捨て駒4人が短時間で壊滅した場合の対策として機動力のある騎兵ちゃんが抜擢されてしまったのだ。速度を活かし側面から神社制圧に向かうことで敵戦力を分散させ、少しでも時間を稼ぐ第2の捨て駒。そして敵戦力の数が少ないのであれば敵拠点の速攻制圧を狙う本命である。

 

博麗神社という拠点に関しては、制圧不可能であればタンクの砲撃と高位魔法で破壊する方針だ。大将に与えられた情報の中に【博麗神社が外界との境界】という、幻想郷の核心を突くような情報があった。それはつまり、博麗神社さえ制圧もしくは破壊できれば増援が見込める可能性があるということ…幻想郷の重要人物の首を取れずとも、神社さえ破壊できれば一時撤退し援軍を待つという選択肢が出てくる。圧倒的戦力不足が最大の問題点である以上、俺らに勝ちの目が出てくる可能性がある拠点が博麗神社だという大将の判断だ。

 

(…正直言えば、こんな少ない戦力で幻想郷を支配しろなんて命じる奴が増援なんて送ると思えないんだが。少しでも希望を持たせねえと士気が保たないって判断したんだろうな)

 

たとえ博麗神社を制圧・破壊したとしても、俺らを操る黒幕にそれをどう伝えるのかという問題は残る。そこまで考えが及んでいるのは、阿求から聞いた話を伝えた面々だけだろう。もし黒幕が【外界】とやらにいるのであれば、どうやって博麗神社から外界に繋がるのかという問題を解決しなければならない。そしてそれを簡単に知る方法としては、迎撃に出てきた敵戦力から聞き出すことだ。

 

それはつまり【魔理沙並の相手を生け捕る】ことが望ましいということ。ただでさえ格上の相手と闘り合うってのに、死なないように加減なんてできるはずもない…しかしそうしなければ博麗神社を制圧・破壊する意味がほとんどなくなる―――本気で無茶な状況だ、成功する場面が想像できない。

 

(しかも俺の考えだと、軍っていう組織の内情を知らない奴が黒幕。外界ってのがどういう世界なのかはわからねえが、俺に知識があるのに創造した方に知識が無いって状況からすると…人里の名家の阿求が知らなかったってとこから幻想郷内の住民の方が怪しく感じる。

これが合ってる場合、博麗神社を制圧しようが破壊しようが意味が無い)

 

つまり現状を俺なりに整理した限り、この博麗神社夜襲に参加するメリットは皆無なのだ。オマケに同じ考えを持ってくれそうな騎兵ちゃん・大佐・中尉・少尉との連携も不可能な位置。切り抜けられる未来が見えない。

 

(それでも、諦めるわけにはいかねえ…!)

 

坂道の終わりが見えてきた。タイムリミットだ。

 

「…俺が知り合えた現地住民を見る限り、先制攻撃されても何も不思議じゃない。警戒を」

 

それだけ口に出し、俺一人先行して坂を上り切る―――!

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで、こんな時間に押しかけて来たわけ?」

「そう言うなパチェ、中々面白そうな話だからな。

幻想郷に移住してから将棋を知ったけれど、そこからさらに派生したボードゲームがあるのは知らなかったわ。それに聞けば割と新しいそうじゃない、流行に乗るのは悪くないでしょう?」

「レミリア、たしかに歴史は浅いらしいけれど流行しているかどうかは微妙だそうよ?魔界でもそうだし、外界でも珍しいと命蓮寺の化け狸が言ってたそうだから」

「それでも構わないわよ、私が楽しめそうなジャンルなのだからね。

屋内で楽しめるモノであれば私は歓迎するわ、ヴァンパイアの退屈を解消できるのだから」

「ああ、言われてみりゃその方向でレミリアは興味あるか」

 

善は急げってやつで、早速紅魔館までアリスを連れてひとっ飛び。相変わらず居眠りしてる門番を無視して中に入れば、珍しく咲夜より先にレミリアに見つかったんだぜ。どうも今日は機嫌が良かったらしく要件を先に聞いてきたから、軽く状況を説明したら興味津々で図書館入室をOK。それどころか少し遅れてロビーに出てきた咲夜に現物が取引リストに入ってないか確認させてたぜ。

 

「というか、レミリアは将棋を打つの?チェスなら違和感ないけれど」

「甘く見ないで頂戴、私がどれだけ屋内でストレス解消してると思っているのかしら?

チェスは当然、将棋だけでなく麻雀や花札も履修済みだ。幻想郷内でも流通してるゲームに関しては大体網羅しているさ」

「麻雀に関しては美鈴に中々勝てなかったのが悔しくて、外界のマンガを取り寄せたりしてましたわ。実際に試してみてメイン勢の鬼ツモやイカサマの見事さに別方向で悔しがっておられましたが」

「咲夜、余計なことは言わないでいいわ」

「ああ、そういえば一時期能力禁止で対戦相手募集なんて言ってたのは麻雀だったの。

レミリアの能力はイカサマに使えないものね」

「その言い方、お前も打てるのだな?一段落したら付き合え、参加させたい者がいれば連れてきて構わん」

「アリス、変な方向に話を進めんなよ」

 

なんて思ってたら話が明後日の方向に逸れてやがった。そういやアリスも人形遣いなんて引きこもり作業メインの魔法使いだもんな…そういう意味でレミリアと趣味が合うのか。あまり時間はなさそうなんだから後にしてもらいたいもんだぜ。

 

「…それで、結局私に何の用なのよ?」

「中佐を直接探したいから、索敵魔法に手を貸しな!それが済んだらすぐ出てくからよ!」

「行使した後で妨害されるのも面倒だから、先にレミリアとパチュリーに言いに来たわ。面倒なら無理にとは言わないけれど、研究に影響が出ても文句は受け付けないわよ?」

「………はぁ、たしかに余計な魔力干渉で中断は二度手間ね。

いいでしょう、レミィも変な方向にやる気だし手を貸してあげるわ。さっさと終わらせるわよ」

 

よっしゃ、これで索敵の範囲も精度も上がるぜ。私はこういう系統の魔法は最低限しか習得してないからな。やっぱ個人的にはパワー最優先で習得してえから、他の魔法使いに任せられるなら押し付けるべき!研究時間の効率化のためにもだぜ。

 

「それじゃ、もう魔力は散ってるけどこれ使えるか?私が持ち出せたのはこれだけでな」

「…魔理沙に期待するのが間違ってるか。アリス、協力はしてくれるのよね?」

「もちろん、私も中佐の行先は知っておきたいから」

 

そう返したアリスも回収してた駒を全てテーブルに置き、そこにパチュリーが魔法陣を描いていく。さらにアリスも術式を展開すると…わかりやすく反応が集中していた。そしてアリスが大きく反応する。

 

「…って、ほとんど博麗神社に集結してる!?」

「はぁ!?それじゃまさか…!」

「ええ、魔理沙とアリスの言う中佐も含めて総攻撃を仕掛けるようね。

急いだほうがいいんじゃない?」

「言われなくてもだ!アリス、行くぜ!!」

「ええ!」

 

思ってたより行動が速すぎる!ちょっと離れただけで残りの駒が集合してるとか、中佐の話から予想できるかよ!

大慌てで箒に飛び乗り、窓を「窓を突き破って出て行くのは認めんぞ。

その代わり私も付き合ってやる、夜間の異変は久々だしね」

「…っ!

わかったよ、一番近い開けられる窓は何処だ!?」

「こっちだ」

「お嬢様、お気をつけて」

 

そう言ったレミリアが図書館から出てすぐの窓を開き、そのまま飛び去る。

 

「って、ちょっと待て!中佐が誰か話す前に行くんじゃねえ!!」

 

慌ててレミリアを追いかけて博麗神社に向かう!アリスもすぐ後ろについてきた。

レミリアもそうだが、霊夢も問答無用で中佐を退治しちまう!急がねえと…!

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