拾って調教したサメが最近反抗的過ぎるので、新しい奴隷でも見つけようと思う 作:ポプ子
一発ネタです。
──懐かしい夢を見ていた。
ホロウによってあらゆる物が崩壊した街、そこで鮫のような小さい尾を生やした一人の
『そこのサメっ子、お前両親はどうしたんだ?』
『グッス、皆……居なくなっちゃった……』
『そうか。ならお前、俺に着いてくる気はあるか?』
『グスッ…………え?』
少女は呆けたような顔で俺を見詰めてくると暗く淀んだ瞳に一筋の光を映し出した。
『俺に着いてくるならこのホロウからお前を助けてやるって言ってるんだ。ただし、その代わりお前はこれから一生俺の奴隷として生きて行かなきゃならねぇ。俺が口にする事は絶対服従。それが助けてやる条件だ』
『──本当に、私をここから出してくれるの?』
『ああ、俺は口にした約束は絶対に破らねぇ。傷一つ付けずにお前をホロウの外に連れ出してやるよ』
『…………────っ!』
ホコリだらけの服で涙を拭き取った少女──エレンは俺の手を強く握り締めると覚悟を決めたのかいつもの鋭い目付きを取り戻した。
『いい表情だ。家に着いたらタップリと調教してやるからな(ニチャア)』
そう口にすると夢の中の俺はエレンを抱えながら軽々と飛び上がり、夢の中の世界も移り変わるように場面が切り替わる。
『先ずは風呂に入れ。ホコリまみれの奴隷なんて俺は大嫌いだからな。待て、逃げるんじゃねえ。なんだと? 熱い風呂は嫌い? 35℃のぬるま湯じゃねぇか!』
『次は飯を食え、そんな貧相な身体じゃこれからの命令に何も答えられねぇからな(下卑た笑み) は? 一体何をさせるつもりかって? そんなの家の大掃除に決まってるじゃねぇか(片手に箒)』
『ここがお前のベッドだ。今日は何もしねぇが、明日からの地獄に震えて眠りやがれ(暗黒微笑) あ? 眠りに着くまで傍に居て欲しい? 今日の事が頭から離れない? ……チッ、仕方ねぇ。だったら俺の恐怖の読み聞かせで更に眠れなくしてやるよ』(数分で眠り付いた)
そこからの出来事は俺がエレンに仕打ちしてきた数々の調教──もとい、俺の命令に絶対服従させる為の虐待に近い圧倒的な躾だった。
『なんだと? 服のセンスが良いと周りに褒められた? フッ、そんなの当たり前だろうが。お前の着る服は全て俺が選んで、選択する権利は一つも与えていねぇからな!』
『学校の食事だけじゃ満腹になれない? ハッ、随分と生意気な口を利くようになったな。いいだろう、だったらお前が嫌だと口にする迄、今晩は俺自ら死ぬほど手料理を振舞ってやろうじゃねぇか!』
『おい、お前最近帰るのがいつもより遅いんじゃないか? なに? 他クラスの生徒に尾ビレの事で馬鹿にされてる? ……どうやらお前は本当に自分の立場を理解してないらしいな。お前は俺の奴隷であり、俺の所有物だ。そんなお前のアイデンティティが否定されたという事は──俺自身の尊厳がソイツらに全否定されたって事だ。……今から何をするのかって? 安心しろ、別に痛い思いはさせねぇよ。ただ少しばかり──お前の尾ビレをオシャレに改造させるだけだ(ニチャア)』
──ああ、この頃の俺が本当に羨ましい。
かつての夢を見ていた俺は当時を思い出すように若い頃の全能感に痺れていた。
この頃のエレンはまだ幼く、従順で、素直で、可愛いらしさもあって、俺にとって最高の癒しの存在だった。
だがしかし、女子高生になった今のエレンは一体どうだろうか?
俺は自分の夢の中という事もあり、高校生になった今のエレンを鮮明に思い浮かべてみる。
『小父さん、まだお腹空くんだけど。え? 今晩はこれだけしかない? あっそ、ならあたしは先に部屋戻るから絶対に入ってこないでよね』
『いや、もう小父さんが選ぶ服なんて着る気ないから。昔みたいにあたしを子供扱いするの辞めてよね。あたしだって自分に似合う服ぐらい選べるし』
『あたし最近バイト始めたから暫く帰ってくるの遅いから。えっ、そんな話聞いてない? 別にいいでしょ。お金が入れば私の食費だって浮くし小父さんも生活で困らなくなるでしょ?』
あまりにも反抗的だった。
アレだけ調教して俺だけの奴隷として時間を掛けて大切に育ててきたのに、それら全てを否定するようにアイツは無情にも俺に反抗的な態度を取るようになってしまったのだ。
俺が何のためにアイツをここまで育ててきたのかもうそれすらも忘れてしまうぐらいに当時はショックが大きく5日間ぐらい寝込んだのは今でもハッキリと覚えている。
──ああ、新しい奴隷でも探しに行こうかな?
10年という膨大な時間を無駄にしてしまったという圧倒的な喪失感。そんな現実を忘れたい一心で、俺は夢の中で新しい奴隷でも見つけてまた一から人生をやり直すか本気で頭を悩ませていた。
「──小父さん、いい加減起きないとあたし遅刻するんだけど」
「っ……!? なんだ、エレンか……。待て、今何時なんだ!?」
「7時15分だけど」
「すまない! 急いで朝ご飯支度するから待っていてくれ!」
ソファでうたた寝していた俺を冷めた目線でエレンが起こしてくれると俺は彼女の登校を間に合わせる為に大人3人分の朝食を寝起き直後から大急ぎで作り始める。
「今日は午前中から体育競技があるだろ? お前は体力をしっかりと付けないと行けないから昨日から用意しておいたんだ。ほらよ、スタミナ抜群料理──生姜焼きだ!」
「頂きます」
「どうだ? 美味いか? 昨日から漬け込んでおいたからいつもより柔らかいと思うんだが」
「ご馳走様。あたしはこっちの方が好きかも。じゃあ、もう行くから」
「あっ、エレン! 少し待ってくれ! お前に少し話したい事があるんだ!」
「なに、早くしないと友達待たせてるんだけど」
「お前、一人暮らしとかに興味はないか?」
「───」
俺のその言葉にエレンは珍しく目を見開くと食い入るように俺の額まで顔を近づけて来た。
「なんで今、そんな話するの」
「……い、いやな? お前も最近年頃の女子高生だろ? いい加減、俺みたいなおっさんと一緒に暮らすのも窮屈だと思ってな。俺ももうすぐ本職に復帰しようと思っているし、そしたらある程度の金が手に入るから──」
「っ、意味分かんないんだけど。勝手にそうやって一人で色々決めつけないでくれる? あたしはこの家から出る気、微塵もないから」
「あっ、おいエレン! はぁ……最近アイツが何を考えてるのかサッパリ分からねぇよ……」
俺は自分の生姜焼きを焼きながらエレンの意味不明な行動に頭を悩ませると『やっぱり新しい奴隷でも見つけて人生やり直すか!』と夢の中で決め兼ねていた案を本気で採用した。
「うん。この焼き具合、渾身のデキだな」
俺は新たな奴隷とのセカンドライフに胸を踊らせながらエレンを一人暮らしさせる為に今日から資金集めでも始めるかと数年ぶりにかつてのホロウレイダーアカウント──『
◆◇◆◇
エレンにとってこの世界は退屈で残酷で突如として大切なものが奪われる恐ろしい場所だった。
それは彼女が経験してきたホロウ災害での絶望、そして彼女がそこで出会った不思議な小父さんとの邂逅。
これら全ては彼女の運命をゼロから作り変えた要因であり、またこの世界で生きる意味を新たに与えた理由でもあった。
『今日はお前が奴隷になって一年目だ。どうだ? 今までの生活と違う俺だけの為に生きていかなきゃ行けねぇ屈辱的で地獄のような日々は? ハ? 毎日が新鮮で楽しくて最高だぁ? ……ブッハハハ! まさかお前がそんな特殊な性癖の持ち主だとは思わなかったぜ! それなら今度からは更にキツく調教してやるよ!』
『大バカ野郎! なんでお前は俺の仕事場にまで勝手に着いてきやがるんだ! あ゙!? 一人で家で待ってるのが寂しかったからだ!? ここはホロウの中なんだぞ分かってんのか!? チッ、エーテリアス共が集まってきやがった。エレン、お前はそこで大人しく見ていやがれ。奴隷の分際で勝手に命令違反したツケはご近所の清掃回りでしっかりと払ってもらうからな。その為にも先ずは──コイツら全員を吹っ飛ばすッ!!!』
『エレン、何度も口にしてきてるがお前は俺の奴隷で、俺の所有物だ。勝手に俺の周りから居なくなったら絶対に許さねぇからな。……あ? なんでお前頬を赤らめてるんだよ? ね、熱だと!? なんで早く言わねぇんだバカ野郎!』
エレンにとって小父さんとの生活は毎日が刺激的であり、決して色褪せることの無い充実した連続の毎日だった。
しかし、自分の身勝手な行動により小父さんが仕事を引退してしまってからはエレンは自分自身を追い込むように日常生活でも必死に立ち回るようになっていた。
『うぅ゙……最近あたしマジで食べ過ぎだ。さっきの晩御飯なんてモロに小父さんを困らせちゃったし。少しでも食欲落として家計軽くしないと……』(部屋中小父さんとのツーショットだらけ)
『小父さん、あたしに似合うからっていつも高い服ばっか買ってくるんだよね。口癖で家計が厳しいってボヤくくせに……まあ、あたしよりも服のセンスが良いのはガチで悔しいけど』
『ボス、あたしのシフトって増やして貰うことできます。……いきなりどうした? 別に、ただうちの家計が少し厳しいんでやり繰りしたいだけです(殆どあたしの食費が原因なんだし)』
そう、例えそれが小父さんの口にする──反抗的な姿であろうともエレンは決してその姿勢を崩す事はなかった。
それは全て、小父さんから与えて貰った数え切れない恩義をその身で返す為に。そして、それらから生まれた自身の密やかな想いを必死に隠し通す為に。
叔父さんから救って貰った恩。
叔父さんから育てて貰った恩。
叔父さんから愛して貰った恩。
その全てを返す為にエレンはこの世界で毎日を努力しながら頑張り続ける。
何故ならば──それが今のエレンにとっての生きる意味だからだ。
「おシャメちゃん〜、なんか今日やけに機嫌悪くない?」
「別に悪くないし」
「いやいや絶対に悪いでしょ! 一時限の体育なんて過去類に見ないぐらいに凄かったし! 絶対にストレス発散か何かでしょアレは!」
「確かに、最初のランニングの時点でエレンだけ一周速かったもんね」
「別にそんな事ないって。あたし自販機で飲み物買ってくるから」
「あ〜エレンちゃん怒ちゃったよ。2人ともああゆうのはそっとしておかないと〜!」
友達からの質問攻めから逃れたエレンは自販機のいちごミルクジュースを選ぶと下の蓋を開いて差し込み口にストローを突き刺した。そのまま物凄い勢いでエネルギー補給を開始すると叔父さんとの朝の会話を再び思い出したのかグシャ!とジュースの箱を握り潰した。
「……帰ったら絶対に問いただしてやる」
エレンの反抗期は決して終わらない、叔父さんに一生の恩を返すまでは──。
続きはないです(現在進行形)
エレンって可愛いですよね。
あと主人公はエレンを捨てるって言うより一人暮らし(援助あり)をさせて自分は新たな奴隷とゲヘヘするつもりです。
……ん? やっぱりこれって捨ててるのでは?()