いや、わかるんです。みなさんの言いたいことは。「アオバはガチぼっちで先生としか関わりを持ってない闇深女子だからいいんじゃねえか!」と言いたいのでしょう。わかります。ハルカや宇沢と違い、ついにマジモン正真正銘の孤独な生徒が来てくれたわけですからね。それも、先生にどっぷり依存してる感じの。
でもアオバの小説ってあまりにもそんなんばっかじゃねえか!!!!こういうの一つぐらいあってもいいだろ!!!!レイサにとってのカズサやモブ友達がいる世界線も悪くねぇだろ!!!!!
はい。そういうわけでした。
今日はやけに太陽が眩しい。地球が極寒になることを承知の上で、太陽を破壊してやりたくなるぐらいに。
「……あっつ……」
いつの季節だって憂鬱なものだが、季節の変わり目が一番辛いということは言うまでもないだろう。
とりわけ、冬から春。これが本当に辛い。全然安定しない寒暖差は地獄だ。そして今日は、夏が少し顔を出したんじゃないかというぐらいに太陽が暴れる日。
あまりにも眩しすぎて、海辺で殺人でも犯してしまいそうだ。
……でもまあ、あの小説とは違って、私にチャラい友人はいない。……あとまあ、彼女もいない。
なので実現はしないのだが、もし不条理なお膳立てを神様が私に用意したりしたら、本当に引き金を引きかねないかもしれない。
まあ、キヴォトス人はそんなんじゃ死なないけどね。
「……はーあ」
D.Uの町中を歩く私は、一人きりだ。
まあ、だから、孤独だ。
……私を除く全ての雑踏がそれぞれ友達同士なんじゃないかと錯覚しそうになる。いや、錯覚とも言い切れない。私にとってはもはや事実だから。
ああ、息苦しい。
「……どーせ私に友達なんていませんよ……」
「え?」「えー?」
「だってそうでしょう。事実……ん?」
私は足を止めた。
念の為言っておくが、この二人と会う約束なんて、していない。全くの偶然だ。あの事件以来の再会だった。
両隣の二人が私を追い越し、私の前に出た。そして、一糸乱れぬ動きでポーズを決めた。
「「参上〜!!」」
私は無視して歩き出した。すぐに追いつかれた。
流石に走ると目立つので、逃げることを諦めた。
「いやいや待ってよ!」
「さびしいひとりぼっちのきゅーせーしゅだぞー。しかも、ふたりもー」
「はあ。……本音は?」
「パヒャヒャッ!暇だから遊ぼ?」
「ぐーぜんのであい、いや、うんめいー。さあ、ごいっしょにダンスをー!」
私は振り向いて歩き出した。
しかし回り込まれた。
「…………なんですか。さっきから」
「つれなさすぎだよ!別に知らない仲じゃないでしょ!」
「ヒカリとあそびたくないのー?」
「はい。遊びたくありません。……言わないと分からないタイプですよね、二人とも」
「そんなことないー」
「何が違うんですか?」
「だって私達、言っても聞かないしー♪」
「ああ、そうでしたね。とんだ間違いでした。お馬鹿さんは適当に相手すればいいですが、話を聞かない人はどうしょうもないですね」
「そんなこといわないで、あそぼー?」
「もう解放してください……疲れてるんですけど。撃ちますよ?」
「パヒャヒャッ!怖い怖いー!……じゃ、こうしようよ。マジで嫌になったら、即離脱していいから!」
「……何の譲歩ですか?私に何の得もないんですけど」
「かわりに、おごるよー。ヒカリ選手のへそくり全開放ー」
「私も奢るよ!どう、アオバー?付き合ってみない?」
「…………」
私は本来、物欲で動くような卑しい人間ではない。
ないのだが。
実は今、私は、人生最大の金欠の最中にあった。
訳は単純だ。先生は最近、よく任務に呼んでくれる。
そして私は先生の役に立ちたいので、大枚はたいて
必然的に、カスタム代と射撃訓練代で、ずっと使い道のないまま腐っていた貯金は、溶けた。
……という訳もあるし。
それに、本来の予定の行き先に行くのも、まあ、どうかと思い始めていたし……。
「……わかりましたよ。……今回だけですから」
「やった〜!!」
「アオバ選手の加入ー!」
「……そ、そんなにテンション上がるようなことですか……?」
「ほら、私達二人でも楽しいけどさー。いかんせん私ら姉妹には、毒が足りなかったんだよねー!」
「アオバどくどくで、わたしたちはつよくなるー」
「もしかして実は撃たれたかったりします?」
「パヒャヒャッ!ごめんごめん!でも、アオバのこともっと知りたいって気持ちはあるよー?」
「なんでですか……」
「アレよ。アレ。私達友達でしょ」
「……………………………………?」
私は周囲をきょろきょろ見回してみた。
しかし、それらしき人は誰もいない。
「どこをみているのだー。アオバだよー?ともだちー」
「………………はい!?な、なんで!?」
「え?アオバ的には違うの?」
「いや、せいぜい顔見知りだと思うんですけど……」
「ええー!?あんな苦楽を共にしたじゃん!」
「ともだちいこーる、なんとなくー。マニュアルとか、なーし」
「…………え、すごい嫌なんですけど……」
「食わず嫌いは人生損だよ!」
「そうだそうだー」
「食べ物はこんなに騒がしくないんですけど。……はあ。……まあ、嫌になったら本当に無言で消えますからね」
「あいあいー。さ、アオバ!私とともに、ヒカリ選手に続けー!」
「はっしーん!」
これが小説であれば、ここで場面転換するだろう。
私は、今のヒカリさんの「はっしーん!」で、バッと切り替わるのだろうと思っていた。それで、次の瞬間にはカフェとかゲームセンターとかボーリング場とか、まあなんらかのロケーションに移る。そういうシチュエーションだ。
しかし、そんなことはなかった。
私達は歩道の隅っこへ、ほんの数十メートル移動しただけだった。
「……え?どうするんですか?」
「まずは、しゃがむー」
「はいしゃがんだ!ほら、アオバも!」
私はとりあえず合わせることにして、しゃがんだ。
「さあ、ごらんあれー」
ヒカリさんは地べたを指差した。
ヒカリさんがなんらかの薬をやっているのかと思ったが、どうやら、それより質が悪かった。そこには、アリの群れとまた別の群れの激突が演じられていたからだ。
「パヒャヒャ!ヒカリはほんとアツい戦場見っけるんだよねー」
「アオバ、どっちに賭けるー?」
「…………えっ、本気で言ってます?」
「アオバはアリきらいー?」
「好きでも嫌いでも無いというか、無なんですけど。愛の反対なんですけど」
「アリには無関心ー?パヒャヒャ!忙しい現代人らしいねー」
「え?さっき、奢るとか言ってたのは?」
「ヒカリのへそくりー、なんとゼロ円!ぜんかいほー」
「パヒャヒャ!太っ腹ー!」
私は立ち去ろうとした。
しかし、回り込まれた。
「なんですか!もう嫌になったんですけど!?」
「ごめんー。先生はこれ好きって言ってたから、アオバもそうかなあっておもってー……」
「……は、はあ……」
先生も、大変だなぁ……。
「パヒャヒャ!じゃあじゃあ、次は私が案内するねー!」
「気を取り直して、ノゾミ号、はっしーん。アオバはヒカリにつづけー」
「連結を解除させてください……」
「次はアリじゃないよ!」
「なるほど。じゃあアリ以下になるんですね」
「アリ観察イズ、プライスレスー。うえもしたもないよー」
キレそう。
「まっ、次はこう、有料の場所だよ!すっごいベタなやつ!安心して?今度こそ奢るから!」
「ほんとでしょうね……」
今度は場面が転換した。
私達は、回転寿司のお店にいた。
本当に普通すぎて逆に拍子抜けした。
「さー、注文いくよー」
「ハイランダーとコラボしてるから、お皿は新幹線が届けに来るよ!アオバ、新幹線好き?」
「別に……というか、聞きたいんですけど」
「パヒャ?」「んー?」
「なんでテーブル席なのに全員片側で、しかも私は挟まれているんですか?」
「嫌なの?」
「正直に言えば、はい」
両者のしっぽが、私のほっぺにペシペシ当たってきてすごい鬱陶しい。というか二人ともなんか妙に近い。うざい。
あと、注文用のタッチパッドをヒカリさんが独占している。奢ってもらってる手前言いづらいけども……。
「拒否権なーし。しかもヒカリの承認をもとに、アオバを名誉橘姉妹ににんめーするー」
「辞退します」
「パヒャヒャッ!逃がさないよー!さあヒカリ選手!いつものおねがい!」
「タッチパッド、十六連打ー!」
「え?は?は?ちょっと?」
信じがたいことに、本当にメニュー表を高速連打し始めた。両手で。たぶん恐らく間違いなく、適当に。
「ちょっと、何やってるんですか!?」
「大丈夫ー。お残しはしないー」
「いや、そうじゃなくて……」
『ピピー♪お届けにあがりましたー♪』
「早っ!?」
「回転が売りの回転寿司だからね!」
……焼サーモンとか貝とかマグロとか軍艦とかただのシャリとかラーメンとかが、大量に来た。あろうことか、パフェとかポテトとかアイスもあった。本当に適当に押したらしい。
「これが、橘姉妹のちゅうもんほー」
「さ!まずはラーメンからがオススメだよー!のびるからね!」
「……な、慣れてますね」
「どうぞどうぞ、お食べなさいー」
「…………い、いただきます」
……最近は食費も切り詰めてたから、ものすごく美味しそうに見えてくる。
私は割り箸を割り、容器が独特な味噌ラーメンを手に取った。プラスチックの蓋を取ると、食欲をそそるまろやかな香りが立ち上ってくる。
「遠慮しないでね、アオバ」
「つけにしておくよー」
「ツ、ツケ……?」
「んー?友達なんだから、またごいっしょするでしょー?」
私はなぜか一瞬、胸の奥で、じわっとするものを感じた。
その感覚に戸惑い、心中のそれを、反射的に突き放した。
「……まあ、そうかもしれませんね」
「ノゾミー。アオバが、なかなかデレないー」
「パヒャヒャッ!私の見立てだと、あと一押しってとこだよー?」
「そんなことは、ずるずる、ありません……もぐもぐ」
「はい、醤油皿!気をつけてねー」
「……あっ、ど、どうも」
「食後のおしぼり、おいとくよー」
「……どうも」
「今、『二人とも意外と気が利くな』って思ったでしょー?」
「………………」
どうしよう。
流石にここで否定するほど性悪にはなれない。
……そういえば二人とも機関士だし、車掌もやるものだろう。そりゃサービスもできて当然だ。
……当然、なんだけど。
「パヒャヒャッ!ヒカリ!これ多分落ちたよ!」
「てってれー。アオバは本日より、橘アオバー!」
「なりませんから!……あっ、たまご、おいし……」
ああ、ラーメンが、全身に染みる。
……今朝は体がだるくて、朝食をとるのをサボってたんだった。ああ、染みる。
「アオバー。サーモン、あーんしてあげよっか?」
「なっとうまきー、いるー?」
二人が左右から聞いてくる。
「あ、い、いえ、その……」
「照れてるー!可愛い!」
「きゅーとアオバー」
「……ぐぬぬ……」
「パヒャヒャ!先生はぱくってしてくれるのになー。アオバにはまだ難しいかー」
「…………はあ?」
「なっとうまき、おいしー……」
「あれ?……ははあ。ごめんねー、アオバ。あれかあ!結構先生のこと……これな感じだった?」
ノゾミさんは手でハートマークを作った。
「……………………う、うう……」
「アオバ選手、羞恥ダウンー。ワン、トゥー、スリー」
「い、いや、好きとかそんなことないんですけど!」
「そっかー。よし、ヒカリ!ライバルが一人減ったよー?」
「……ライバル?」
「ヒカリねー、先生、だーいすき」
「…………」
「パヒャヒャ!先生、からかうと面白いんだよねー。私も、まあ、好き。……アオバ的にはどう?先生って、どんな人だと思ってるー?」
「…………」
私の頭の中は、いろいろぐちゃぐちゃだった。
……一つ確かなことは、私は、この二人が羨ましいと感じたことだった。
この二人は別に、告白とかをしたわけではないのだろう。
でも……そういう想いを誰かに気軽に打ち明けられるっていう感覚自体、私にはない。
だって、プライベートで話す相手がいないから。いたことも、なかったから。
「おー。……こりゃアオバ、すっかり先生に……やるな、あの人」
「先生おそるべしー」
「…………まあ。その。…………うん。……私の……うう…………」
「アーオバ。無理に言葉にすることないよ!そんなマジで聞いてないから」
「…………は、はい」
「これでアオバは、ヒカリとノゾミのしんゆうー」
「は、はあっ……?」
「恋バナしたんなら親友って言えるんじゃない?知らないけど!」
「…………恋、バナ」
「そーだそーだー。ノゾミ、てーとまってるよー」
「あっ」
「まだまだあるよ。アボカド、いけるタイプ?」
「ふふん。みんなでたべるのはしあわせー。科学者もそう言ってるらしー」
「そうそう!パヒャヒャッ、やっぱりあーんしてあげよっか?」
「い、いえ!自力で食べられます!」
「ちぇー。ノゾミー、はい、あーん」
「ぱくっ!んー、おいしい……」
「わ、私を挟んで食べさせ合わないで欲しいんですけどー!」
私達は完食し、外に出た。
「アオバ、ちゃんとお腹いっぱいになった?」
「は、はい……」
「そっかー。アオバ、損したねー」
「……えっ?」
「ああ、この後私達、シャーレに行くからさぁ」
「せんせー、お菓子くれるよー。ヒカリはすこーし、抑え中だけどー……」
「あ、ああ、そういう……」
……私も、そうだった。
先生にアポも取らず、電車に乗ってD.U.まで一人で来ていたんだ。シャーレに突然行ってみよう、なんて思い立って。
あまりに憂鬱な休日だったから、突飛なことをしたくなった。理由は、それだけだった。
でも、D.U.まで来てみたら……いきなり行ったらやっぱり迷惑かもとか、そもそもいないかもとか、そういう考えが頭の中でぐるぐるしてしまって……そのうちに、暑いし人多いし自販機のジュース代も無いしで、おかしくなりかけていたんだ。
……そこで、この二人と出会った。
「さっ、シャーレの前にちょっと寄り道するよ!」
「すぐちかくー」
「は、はい……」
私達はてくてく歩いた。五十メートルも歩かないうちにヒカリさんは言った。
「うぇるかむとぅ、しゃしんかーん」
「……写真館!?」
「パヒャヒャッ!大丈夫ー、学生にウケがいいとこだよー」
確かに、まあ、そんな感じはする。
看板の文字のフォントからしてもう、お洒落で軟派でチャラい雰囲気がある。そんな店だ。
「にゅーてーん」
「おっ、空いてる空いてる!すぐじゃん!」
私は慌てて追いかけ、お店に入った。
「ちょっとノゾミさん、そういう事は言わないほうが……」
「いらっしゃーい」
人の良さそうなスズメのおばさんがお店番だった。個人経営なのかな。そんな匂いがする。
「ロケットプランでお願いしますー!」
「ろけっとー」
……ロケット?なんだろう、ロケットって。
「はいはーい♪衣装は何にするの?」
「全員このままで!」
「はい!では千五百円ね」
「はーい」
……うう。
なんか、やっぱり……先生以外に奢ってもらうの、すごい、むず痒い……でも、帰りの電車賃の分しか持ってないから、どうしようもない……。
私のそんな考えをよそに、二人は手慣れた様子でずんずん店の奥へ進んでいった。
奥の方には、それはそれは多彩な種類の撮影台があった。そして二人が登ったのは、電車と青空が背景にある、いかにもハイランダー風のステージだった。
「アオバ、まんなかー」
「おいでよー!まさか、怖気付いたー?」
「う、い、今行きます……!」
……こういうステージに登るって、変な感じだ。
私がこんな場に出るのは、小学生の頃の発表会とかぐらいじゃなかったかな。
「はい、捕獲ー!」
「げっとだぜー」
「へっ?」
私の右手がヒカリさんに、左手がノゾミさんに捕まった。
「おばさん!三、二、一でお願いー!」
「はいはいー♪三、二……」
おばさんがでっかいカメラを構えていた。……いつの間に。
「はいアオバ!ポーズ!」
「えっ、えっ……!?」
「一、はいチーズ!」
フラッシュが炊かれた。
目はつぶらずにすんだ。私にできたのはそれだけだった。
「はい、オーケーですよー♪ロケット、すぐできるからね」
「はーい!」
「いえーい!」
「……うう、なんで二人とも挟んでくるんですか……」
「いいじゃーん。ほら、戻ろ戻ろ」
「はっしーん」
「……」
未だに手を握られてるけど、もう気にしないことにした。なんかもはや、慣れた。
私達はすたすたと、受付の前に戻ってきた。
「はい!ロケット、毎度あり!どなたが持っていくの?」
「アオバのだよ。どうぞー?」
「ぷれぜんとー」
「……私に?」
おばさんが渡してくれたのは、ペンダントだった。
ああ、ロケットってそれか。ロケットペンダントか。
わざわざ、アクセサリーまでもがハイランダーっぽい電車柄になっている。この部分を開くと、さっき取った写真が入っているのだろう。
「じゃ、お代金、丁度で」
「はーい♪」
「……これを、私に?……ふ、普段使いはなんか、し、敷居が高いんですけど……」
「別に普段から着けなくていいんだよ」
「おへやのテーブルとかに置いておくとかでもいいよー」
「……どうして私に、これ、を?」
「えー?そりゃ、思い出だよ」
「おもいでー。せいしゅんー」
「疲れたときとかに、これを開けばいつでも……なんかこう、心の余裕的なものが湧くんじゃない?まっ、知らないけど!そこまで考えてないし!パヒャヒャッ!」
「…………」
私が、黙っていると。
ヒカリさんが不意に、カウンターに置かれたままだったペンダントをひょいと拾い上げた。
「一旦、ぼっしゅー」
「へ?」
「ヒカリ?どうしてさ?」
「せんせーにみせるー。アオバはおそらく秘匿するからー」
「あ、それナーイスアイディア!」
おい待て。
「あ、あっ!ちょっと!やめてください!!返して!!」
「ヒカリ選手、シャーレまで全力ダッシュー」
「よーい、どん!」
「ちょっと…………!?」
ヒカリさんは本当に走り出し、店の外に出ていった。
ノゾミさんがにやにやしている。
「ほらアオバ、なんとしても追いつかないとー♪」
……あれが、先生に、見られる……?
……無理だ駄目だ恥ずかしすぎる絶対駄目だ!
「……ぐうう!ま、待てー!と、止まらないと……撃つんですけどー!?」
私は
今日も今日とて、オフィスで仕事をしていた。
そろそろ休憩しようかと思ってうーんと伸びをした瞬間、汗ばんだヒカリがダッシュで突然現れた。
ヒカリが「せんせーこれみて!」と言って私に何かを渡そうとした瞬間、後ろからアオバが爆速で現れ、ヒカリを床に引き倒して捕獲した。
二人とも凄まじく息切れしていて、もはや何がなんだかだったけど、後からやってきたノゾミが訳を教えてくれた。
「ははは、そっかー!一緒に写真撮って作ったんだね」
「そー。私とノゾミ、アオバの親友第一号ー」
「や、やかましいんですけど……!」
「ええー?私達、奢ってあげたのにー」
「……う、うう、言い返せない……」
「次回はアオバがおごってー。あ、でも、アリの観察代でもいいよー」
「いや、それは流石にちゃんと返したいんですけど……」
「そっか。アオバ、すごいね。友達すっ飛ばして親友作っちゃうなんて。……それにしても、ほんとに写真見ちゃだめ?気になるんだけどな」
「ダ、ダメです!」
「ちぇー」「ちぇー」「ちぇちぇちぇー」
「ちぇーと言われても、私の目が朱色なうちは絶対駄目です……!」
「パヒャヒャッ!まあいいけど。ねえアオバ、次回は何やるー?私らみたいにピアス開けちゃうー?」
「アオバ、にあいそー」
「チャ、チャラいの反対です……!不良っぽいじゃないですか!」
「へんけんー」
「キヴォトスじゃ珍しくないのにー」
「あははは!すっかり仲良くなったみたいだね」
「……まあ、そう、なんでしょうか……」
「アオバー。モモトーク、いつでもいーからね」
「……は、はい」
「ま、送ってこなくてもこっちから飛ばすけど!」
アオバは、もじもじした。
そして、これまでで一番小さな声で言った。
「…………ありがとう、ございます」
「へ?なんか言った?」
「いえ、何も!」
……位置関係の都合で、私だけが聞き取れたと思う。
「アオバ、おかしたべよー。一つだけすっぱいの当てたら死亡ー」
「……はい、まあ、やります」
アオバは、ちょっと笑っていた。
なんか、娘が自立したような気分になった。
その晩。
なぜか、シッテムの箱の生徒一覧のアイコンに、赤い通知マークが点灯していることに気付いた。
画面をスクロールして、誰のデータに赤い印が付いているか探すと、それはアオバだった。
……サブスキルが赤く点灯している。
サブスキル『期待なんてしてません!』
通常攻撃12回毎に、防御力を34.4%増加(20秒間)。同じ部隊にノゾミとヒカリがいるなら、追加でノゾミと自身のコスト回復力が300増加し、ヒカリが「発車信号」を一つ獲得。
アオバ「どうせ私に友達なんていませんよ……」ノゾミ&ヒカリ「えっ?」アオバ「え?」 完
だれのお話が好きですか?
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コユキちゃんが私を泣かせた
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ミサキ「先生が高熱だって」〜
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ミユとの絆レベルが100の状態で〜
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二年生コユキは諦めない
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シャーレに来たシグレが多忙で〜