⚠刺激の強い曇らせ&ヤンデレ描写が含まれます。
……あぁ、先生。
……おはようございます。ご気分はどうですか?
陽の光が眩しいですか?……当然ですよね。ずっと、暗かったでしょうから。先生にとっては一瞬であったことを願うばかりです。
ふふ。……大丈夫ですよ、慌てないでください。
もう何も、急ぐことなんてないんですから。
……耳を澄ましてみてください。……はい。そうです。シマエナガさんたちが
セイアさんが飼っていた子たちが、随分増えたものでして。ほら、そこの木に、かわいらしく並んでいます。
……ああ。
夢じゃ、ないんですね。本当に、起きてくださったんですね。
ずーっと、ずーっと……待っていました。
……うふふ。
ええ。理解できなくて当然です。
こちらです。先生。お目覚めのティータイムと致しましょう。私が、一から育てた茶葉ですよ。
よいしょ。
……お湯が沸くまで、しばらく待ちましょうか。
……まずは、ここについてお話しましょう。
この場所は……ミレニアム自治区の隠された都市。その中に私が見つけた、巨大なテラリウム施設です。
周りを見てみてください、ほら……一面、とりどりの花畑ですよ。
さすがはミレニアムの技術力といったところですね。まだ動いているんですから……。
この辺りのオートメーションには、衣食住全てにおいて、本当に助けられています。駄目元で来てみたら、ちゃんと動いてくれていて……それからずっと、住み込んでいるんです。
……え?
……エリドゥ?それが、この都市の名前……?
……なるほど。ご存じだったんですね。
ええ。薄々、ミレニアムのビッグシスターの遺産ではないかと考えてはいました。
町の外装を見るに、一大事の際は「一般開放」される仕組みだったようですね。ほら、真上を見てみてください。ビーコンが空へ伸びているんです。……まるで、無くなる前のサンクトゥムタワーのようですよね。
最も……この都市に助けられたのは、私と先生だけだったようですが。
……あっ。
ごめんなさい!……私としたことが、不謹慎なことを。
…………『遺産』だなんて。
ああ、先生……落ち着いてください。
大丈夫ですよ。もう、何も……心配することはないんです。
…………。
みんなは、どうしたか?
ああ。
やはり、記憶が欠落しているんですね……。
さあ。……まずは、お紅茶をどうぞ。
大丈夫ですよ。物には、順序があるものです。
ひとまず、おあがりください。
…………。
美味しい?……ふふ。
嬉しいです。
では……。その。
心の準備を、お願いします。
覚悟ができたら、教えてください。
……わかりました。
……では、参りますね。
きっかけは、ミカさんの死でした。
……いえ。もっと前からだったのかも知れませんね。
実を言いますと、私も……本当に時間が経ったものですから、あまり、覚えていないのです。
あの時は私自身も、半ば……錯乱したものですから。
それでもずっと……ミカさんの死の瞬間と、燃え上がるトリニティの街並みと…………。
……身体中から血を流して倒れた、先生の姿は、決して忘れたことはありません。
……大丈夫、ですか?
よかった。
……あなたが、いきなり全部思い出して、ショックを受けたらどうしよう……と、ずっと気がかりだったんです。
あなたが目覚めてくれる日をずっと待って、あなたが起きたらどうしようか、そればかり考えてきたのです。
でも……結局、ストレートに伝えるのが一番でしたね。
正解で、よかったです。
先生が倒れた瞬間、私の中で何かが……壊れました。
ぶわっと、自分の世界が変わる音がしたのです。
……奇妙な、黒い光を私は見ました。
それに、手を伸ばしてしまった私は……。ふふ。
……とある、見知らぬ黒服の大人が私を見て言いました。「座天使の長、癒す天使」……と。
それが、私の本質だったようです。
私は、何もかも、嘘みたいに失いました。
この広いキヴォトスで、先生と私で、たったの二人ぼっちになりました。
……でも。
私は、私の本質に気づいたのです。
「癒す」天使だということに。
……先生の傷はすべて、私の力で塞がりました。
でも、目覚めてはくれず……ただ、ゆっくりと、心臓が動いているだけ。
でも、私にとっては、あまりに大きな希望の灯火でした。
この世界にただ一人、あなたがいてくれました。
……そして、ミカさんは……「生きて」と言い残してくださいましたから。
だから、待っていました。
この花畑で、ずっと、ずっと。
あなたのための寝床を作って。
たくさんの花で、飾り付けて……。
……。
時間?さあ。数えてすらいません。
何年目……十何年目までは、数えていた気がしますが。
あまり意味のある行いとも思えませんでしたし。
それに、私も……「変わった」せいか、歳を取らなくなりましたしね。
ふふ。
……ごめんなさい、笑ったりして。
その……きっと、この話を聞いた先生は、そう聞いてくると思っていたものですから。
……残念ですが、夢ではないのです。
謝らないでください。
みんな、最善を尽くしたのです。
その上で、幾多の奇跡が重なって……私と先生だけは、生き延びることができたのです。
…………先生。
一つだけ、お願いがあるんです。
……褒めてください。
いっぱい頑張ったねって、褒めてください。
あなたが倒れてからの十年間は、地獄でした。
……「死にたい」って、何千回思ったことでしょう。
私は自分のことを責めて、責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて責めて……ふふ。もう、自己嫌悪の仕方も忘れてしまいましたよ。おかげで今は、なかなか晴れやかに生きていけています。
ねえ。
食べるものも無かったんです。
色んなところを転々としました。無理やり、車の運転の仕方を覚えて……あなたを連れて、色んなところを回りました。
ゲヘナにも、ミレニアムにも、レッドウィンターにも、山海経にも百鬼夜行にもオデュッセイアにもアリウス自治区にも……。
本も、頭がおかしくなるぐらい読みました。
小説も、実用書も。
文字すらわからない大昔の本も……サクラコさんにも出来たのだから私に出来ないはずはないと考えて、沢山読んで、文字一つ一つ、単語一つ一つを照らし合わせて、解読して。
……うふふ。
古書館の本は、読破してしまいました。
……この場所を……エリドゥを本拠地に、あらゆる場所に遠征してみました。あらゆる概念を知ろうとしました。あらゆる物に、景色に、世界観に、宇宙に……触れてみました。
……私の頭が、おかしくなってしまわないように。
……孤独に、殺されないように。
……あなたを死に至らしめかけたこの責任を、ちゃんと取るために。
ええ。
あなたを起こす方法を、血眼になって探したのです。
でも……。
私のような生徒の「力」についても、あなたの仮死状態についても……何処にも、伝わっていませんでした。
だから、アプローチを変えてみたのです。
まあ……「信じて待つ」ことにしたのですよ。
ふふ。
先生。
顔色も悪かったのに、すっかり元気になられたようですね。
湧き上がるような力を感じませんか?
どういう意味かって?
……ふふ。すぐわかりますよ。
ねえ。
ずっと、ずっと、一緒にいてくださいますよね、先生……?
私、やれることをやったんです。
たくさん後悔したんです。
たくさん、努力したんです。
ねえ?……先生?
あぁ……お気付きになられました?
ええ。
あそこにある、四つの墓石。
……はい。
一番左と、その隣には、ミカさんとセイアさんが眠っていますよ。亡骸をここまでお連れしたのが懐かしいです。
はい。
一つは私の、もう一つは先生のものです。
いえ。違います。
……その逆ですよ。
……だって私たちは、あんな大惨事から助かったのですから。
それに、埋めるのは嫌ですし、埋められるのも嫌ですし……。
ふふ。
最初の人間は、土から作られたと言うでしょう?
でも私は、「塵は塵に」なんて信じたくありませんからね。
まあ、自己満足というか……アンチテーゼのようなものですよ。その二つの墓石は、決して役目を果たす日は来ないのです。
まず、私は死にません。
どうやら、不老か……それに極めて近い状態のようですからね。
問題は、先生でした。
先生はヘイローのないお人ですからね。
…………ふふ。
ええ。
頑張ったんですよ?
……薬学の知識なんて、全くなかったというのに。
本当に頑張ったんですよ、私。
この要塞都市には幸い、化学実験施設もありましたし……テラリウムで、「材料」も育てられましたから。
まあ、あの特別な「部屋」を使う際だけは、わざわざ山海経まで赴かないといけませんでしたけどね。
薬師サヤさん、でしたよね?
それから……どうも、在校していた事実が念入りに抹消されていたようですが……申谷カイさん。
ええ。
引き継いだんです。
あれは、四十年ぐらい前でしたでしょうか。
……あなたを起こすことはできないようでしたから……「起きてくれたあと」を考えることにしたのです。
ええ。「不老不死の霊薬」です。
私が、完成させました。
……ふふ、何万匹のマウスさんが、天に召されたことやら。もう思い出せません。
ああ。
そんなに、震えないでください。
……震えるほど美味しかったのですか?
私の、お紅茶。……ふふ。
先生。
ここは楽園ですよ。
私たち、二人っきりです。
誰も邪魔しに来ませんし……来たとしても、私は誰にも負けません。
さあ、まずはどこに行きましょうか?
ゲヘナの温泉にでも浸かりに行きますか?ここ二十年ぐらいは足を運んでいないので、せっかく作った浴場もきっと荒れてしまっていますがね。
まあ、また作ればいいですけど。
逃げてもいいですよ。先生。
だって、逃がしませんから♪
ついでですから、私の言うことに逆らえなくなる薬も混ぜておきましたよ。
どれ。試してみましょうか。
逆らうな。
はい、と返事をしろ。
……ふふ。
ほら、跪いてください。
……よしよし。
撫でてあげますね。
……いい子、いい子。
……ああ、先生。
私、寂しかったんですよ?
……寂しくて寂しくて、もう何回狂ったのやら。
いえ……もう既に狂っているのかもしれませんね。
でも、いいんです。だって今の私は、何百年ぶりに幸せなんですから。
……まずは軽く、ボートにでも乗りに行ってみましょうか?
海は随分広がったんですよ。キヴォトスの半分ほどは、沈んだんです。
少し前に、洪水が起こりまして。山海経とトリニティ、それからアビドスはもう水の底です。
ああ、そうそう。
二人ぼっちだと、また淋しくなるでしょうし……。
ええ。
二人きりにいつか飽きたら、子どもを作りましょうね。
「
実演は……これからですが。
……ふふっ。
……ずっと一緒ですよ、先生。
この楽園で、ずっと、ずっと。
ずーっと寝ていた先生と、ずーっと待っていたナギちゃん 完
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