ちょっとアイルランドへ行くのでトレーニングをお休みします<(_ _)> |
あ、親の許可はとってあります むしろプレミア・リーグ選手のサインもらってこいって言われたくらい(*´∀`*) |
| 了解。 ちなみにパスポート持ってますか? |
トレセン合格祝いでハワイに行ったんで、そのときのがありますよ(^^)/ |
| 答えたくないなら答えなくていいけれど、 |
| 誰かと一緒に行くのですか? |
ファインモーションちゃん! |
「あれ? 返事が来なくなっちゃった」
おかしいな。犯罪に巻き込まれたと勘違いされたくなかったから「拉致だよコレ!」とか書き込んでないんだけれど。
まあもう流れは完全にバラエティ番組の拉致枠だけどね~……雑談してるだけでアイルランドに行くとかありえなくない?
まあ乗っちゃう私もアレなんだけれどさ。
なんかファインちゃんと黒服さんたち色々お話してたし。親に許可取ろうかなーとLANE開くより前にお母さんから「あんたなにしたん?」って電話きたし。
まー、なにもしていないんですけれどね。
なんか流れでアイルランドに行くことになりそうです。
――――えっ?
「ええええええ!?」
「どうしたの急に?」
あーいや。ズブすぎて驚きが今さら来たと言いますか……。
えっ? えっ?? 本当に今からアイルランドに行くの?!
「そこはこう……『アイルランドにぃ~、いきたいかぁー!?』みたいなフリがあるものじゃないの!?」
「ふり?」
なにを言っているのか分からない、みたいな顔をするファインちゃん。吹き出したのはタクシーの運転手さん。
そして助手席に座った黒服のウマ娘さんがちらり。めっちゃ見てくる……。
「それにしても楽しいね! 私、お友達と公共交通機関で移動するって、一度でいいからやってみたかったの!」
「タクシーって公共交通機関なの……?」
ちがくない? 公共交通機関っていうのは、もっと大人数で乗れて、混雑していて……。
いや、やっぱり異常だよこの空間。
パーパパパーパパー♪
ドッドドン♪
パパパパー♪ドッドドン♪
パパパパー♪ドッドドン♪
「あっ! それってG1ファンファーレだよね?」
「うんそう。あ、ごめんねコレ着信だから出るね」
「どうぞ♪」
スマホを見れば画面には「カレンブーケドール」。
ブーケさんからの電話なんて珍しいなとスワイプして通話開始。
「もしもし?」
『トレーナーさんから伝言です。成田か羽田か教えてくれと』
「はい?」
あー、空港の話かな。
見送ってくれるなんてトレーナーさんらしくないね。
「ファインちゃん。空港って成田? 羽田?」
「横田だよー」
「ちゃうちゃう。『なり田』か『はね田』の、どっち?」
「ううん? 横田だよ?」
いやいやいや、横田がどこか知らないけれどそんな空港聞いたことないよ?
『あ~、トレーナーさん。方向逆です、横田です。ミラクルさん、すぐ行くから横田で待っててくださいね!』
「いやいやブーケさんまで。横田に空港なんて……」
「…………はい?」
空港って、空港っていったじゃん!!
これ基地だよ! 基地だよこれ!!!
「さあいこうっ! アイルランドへ!」
「って、いやいや!! いやいやいや……!!!」
さすがにこれはないって!
トンデモ展開だって!!!
「まってまってファインちゃん!」
「? どうしたの?」
「えっこれ本当に行くの? アイルランドにいくの???」
「うん。そうだけれど?」
「いまから!?」
「うん。プレミアリーグみたいんでしょ?」
「いや、それはまあ……三○がドイツに移籍する前にサイン欲しいし……」
「じゃあいこう!」
いやいや、いやいやいや!
そりゃプレミアリーグ観れるしいいね~なんて言っちゃった私も悪いかもだけれどさ!
冗談じゃん! こういうのって学生の冗談じゃん!?
「えとえと、えーと……アイルランドって海外だよね? 本当にここから出国して良いの?」
「問題ありませんよ」
急に割り込んでくる謎の制服。あなた誰?
「東京入管、横田分室*1の入国管理官です。パスポートを」
「あっハイ。どうぞ」
「あっ!? 出国マークおされたッ?!*2」
「お気をつけて」
「ええええ?????」
お気をつける状況これ?!
止めてくださいよ! ねぇ!!
「いきたくないの?」
「えっ……いや……」
いやそりゃ、いきたいけれど。生のプレミアリーグ観たいし。
や、でも……これはおかしいじゃん? おかしいよね?
「ご安心を、ヒシミラクルさん」
「また知らないヒト出てきた……」
いきなりやって来てお辞儀する謎のヒト。誰ぇ……?
「我々は殿下のご学友を安全に送り届けるよう申しつかっております。どうか安心していただければ」
「ファインちゃん、このヒト誰……?」
「紹介するね、こちら駐日大使館のウィルストーン伯爵です」
……は、伯爵。
どうしよ、華族さま出てきちゃった……。
「殿下。ここでの小官は航空艦隊から派遣された
「ああ! そうでしたね。これは失礼しました中将。今日はよろしくね?」
「仰せのままに。快適な空の旅をお過ごしください」
え、どうしよ。
もうついていけない……。
別に豪邸とか、リムジンはいいんだよ。
いや、あんまりよくないけれどいいんだよ。
だってメジロとかサトノとか知ってるし。
トレセン学園はそういう良いところのお嬢様が集まるところなんだし。
でもさ……いや、これはおかしいよね?
「ねえねえ。ファインちゃん」
「なあに?」
「ファインモーションちゃんって、もしかしてすごーく偉かったりする?」
「そんなことはないよ?」
「そっかぁ……じゃあ、すごい血筋だったり?」
「うーん……――――」
――――どうだと思う?
……あっ、やばい。やばいでーす。
これホンモノです。やばいでーす。
「えぇぇ……まだくるのぉ……?」
そして向こうからやってくる自動車。
もうカンベンして……。
「きみは本当に恐ろしい才能を持っているな、ヒシミラクル学生」
「誰ぇ……――――ってトレーナーさん?」
ところがなんと!
自動車から降りてきたのはトレーナーさんだった!
「とととトレーナーさぁん。なんか、なんかこう、こう……!」
「分かった分かった。まずは落ち着きなさい」
「ミラクルさん。もう大丈夫ですよ~」
へなへなと崩れ落ちそうな私を抱き留めてくれるブーケさん。
うぅ……普通な優しさが身に心に染みる…………。
そんな私を脇において、トレーナーさんは
「しかし
「はて。君と私は知り合いだったかな?」
「シャーガー嬢のエプソム・ダービーを忘れたとは言わせませんよ?」
あれ……?
トレーナーさんもなんの話を……?
「懐かしいな! あのあとは大変な騒動になったが……いまは母国でトレーナーを?」
「お恥ずかしながらリーディングに乗ることもできず。教授に顔向けできません」
「そんな理由で顔を出さないのは教授も悲しむぞ?」
あーもぅ、無理ぃ……。
「ブーケさん。解説。解説ください。おいていかれます」
「トレーナーさんは愛英*3でトレーナーの勉強をしていたんです」
あっへぇ……そうなんだ。
「まあ。日本のトレーナーさんともお知り合いなんて、さすがはウィルストーン伯爵ですね!」
そしてニコニコなご様子のファインちゃん。
楽しそうですね。
「ちなみに
「え? でもさっき『知り合いだったかな?』って……」
「
……た、確かに。
え、じゃあなに? この会話はなに?!
「ところで、ウィルストーン先輩。紹介したいウマ娘がいるのです」
「ほう?」
「非常に有望で、オークスの冠も疑いない逸材なのですがね……いかんせん日本籍で、ジュニア級なもので……紹介していいものか……」
大げさに、
これはいわゆる……「フリ」ってやつ、だよねぇ。
「まあ。そんなにスゴいウマ娘さんがいるの?」
ほらぁ、日本のレースに興味があるファインちゃんが反応しないはずがない。
で、あれですよね。ここで出てくるんですよね。
「では失礼しまして……アーモンドアイ学生!」
そして後部座席から――――アイちゃんが登場!
「私は、ブリティッシュ・チャンピオンズシリーズで頂点に立つわ!!!」
「わぁ~すごい! じゃあ一緒にいこう!
「ミラクルさん。覚えておく必要はありませんが……」
うちのトレーナーさん、結構あくどいですよ?
うん。それはまぁ……しってます。
ウィルストーン伯爵のお名前は「明日の敵と今日の握手を(秋田書店)」よりお借りしました。
あの作品面白いのでみんな読もう!!!