小賢しミラ子の借り物競走【完結】   作:帝都造営

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ここまで4コーナーです。


閑話13 あなたとわたしのこと。

 

 

 

 東京都府中市は、学都である。

 

 

 江戸幕府の時代から連綿と続く国際研究の舞台である帝都外国語大学に、殖産興業の試験場に端を発する帝都農工大学。

 

 そして、長らく特権階級の象徴であり、現代においても国民的エンタテイメントの中核として存在感を放ち続けるウマ娘。

 彼女たちのための研究・教育機関たる日本ウマ娘トレーニングセンター学園。

 

 

 そんな学術界(アカデミア)にて存在感を放つ学園は、常に新しい人材を求めている。

 

 

「歓迎ッ!」

 

 

 言葉と同じ扇子をパッと広げてみせる理事長に。微笑みながら学園生活に必要な諸資料を詰め込んだ分厚い封筒を手渡してくる理事長秘書。

 

 

「微力を尽くさせて頂ければ幸いです」

 

 

 そんな2人に、頭を下げる若者。

 胸には真新しいトレーナーバッジ。新人を名乗るには少しばかり年季の入った風貌。

 

 レース・ウマ娘先進国である愛英王冠連合に学んだ彼は、学校組(トレーナー学校)の画一的カリキュラムにも、実地組(トレーナー補)の慣例にも染まっていない。

 

 

「すべては、強いウマ娘作りのために」

 

 

 そんな彼は、きっとレース界に新しい風を吹き込む存在になる。

 誰もが――――あの人自身すら、きっとそう思っていた。

 

 

 ええ、ですから。

 

 これはきっと、私のせい。

 

 

 

 

 


 

 

 

 あの人と出会った日のこと、私は今でも覚えています。

 

 春の陽気に誘われて、みなさんがお顔を出し始める頃。

 

「……負けるなよ」

 

 道端の、小さな黄色いお花に。

 話しかけていたあの人。

 

 その横顔が、あまりに悲しそうで。

 

「負けませんよ」

 

 声をかけてしまったのが、はじまり。

 

「セイヨウタンポポは、とても強いお花です」

 

 西洋(セイヨウ)と名のつくとおり、そのお花は外来種。

 開国の折に持ち込まれ、在来種のタンポポと競合こそしないものの、雑交のリスクを指摘されている外来種。

 

 道端の、ほんの僅かな土と雨と太陽の光だけで、根を張り、茎を伸ばし。

 そして、太陽みたいに輝く。

 

「詳しいな、カレンブーケドール学生」

「いえ。……え? どうして私の名前を」

 

 そして、あなたが私を――――トレセン学園の未契約ウマ娘のほとんどを把握していたのが、あなたの運の尽き。

 

 

 


 

 

 

『――――ゴールイン。1着は――――』

 

 それから。

 何度も何度も、たくさんのG1レースを2人で走って。

 

 下を向かないように。

 ため息で、幸せを逃がしてしまわないように。

 

 あなたの努力に、報いるために。

 

 

『金本トレーナーは干されました。これは間違いないです』

『造営さん、あんまりホラ吹くとあなたが干されますよ?』

『まず干されるくらい有名になりたいですね僕は。それにね、僕らみたいな零細が黙っちゃだめでしょと』

『まあ零細の声なんて世間には響きませんけれども』

『ちびっこ理事長を看板に大改革なんて言ってもね、URAの体質はそう変わらない。現に、愛英の叡智を引っ提げてやってきてくれた金本トレーナーは重賞も勝てないウマ娘しか担当させてもらえてない』

 

 

 ノイズです。

 けれど悪いノイズは、言葉を解さない植物にも悪影響を与える。

 

 いいえ。

 植物は確かに言葉は解さないでしょう。

 けれど音は、私たちの言の葉を届ける風(おと)ならば、敏感に理解する。

 

 

「ブーケ」

「はい」

「今日は集中してないな」

「……はい」

 

 そして、URAファイナルズの開催も迫ったある日のこと。

 トレーナーさんは、ひとこと。風の吹かない声音で。

 

「――――強いウマ娘とは、なんだと思う?」

 

 つよい、ウマ娘。

 

 その言葉には、きっと。

 多くの、たくさんの感情が詰まっていて。

 

「俺は、自分のために走れるウマ娘が1番強いと思う。けれど」

 

 けれど。と言葉をそこで切って。

 

「けれど。自分のためだけに走るなんて、そんな無理は続かないものだ」

 

 それは、まるで私を慰めるよう。

 私が応援してくれる皆さんのために、私を育ててくれたあなたのために走ることを知っていて、そんな私を「強いウマ娘」と定義する(ということにする)ために構築された理屈(ロジック)を並べるあなた。

 

「夢の祭壇に恐怖を捧げよ」

 

 勝てない私のために、遠い国の故事まで引用してみせるあなた。

 

「夢を叶えるのに必要なのは夢ではない。レースで転倒したウマ娘の生存率は知っているな? トレーニング中に骨折して選手生命を絶たれるウマ娘がいることは知っているな?」

 

 そんな可能性が生み出すのは恐怖。

 恐怖とは、生き物が生き残るために編み出した生存本能。

 

「そして自分のために走るウマ娘は、どこかで踏みとどまる」

「だから俺は、自分のために走るウマ娘が1番強いとは思わない」

 

 けれど、私は勝てなかった。

 なんどやっても、善戦止まり。

 強い強いとは言われても、1着の栄冠は遙か遠く。

 

「……もうしわけ、ないです」

 

 それがイヤで仕方なくて。

 

「私が、もっと踏み込めれば、最後の最後で残酷になれれば」

 

 あなたを悪く言う人たちが。

 気持ちを抑え込んで、レース後にも声援を送ってくれる人たちが。

 前回からの成長と次への課題をライブ終わりまでにまとめて見せてくれるあなたが。

 

 たったひとり、勝者(だれか)から勝利を奪うだけでなくなってくれるのに。

 

「なにを言っているんだ。ブーケ」

 

 けれど、あなたは優しい。

 優しいから、残酷なんです。

 

「きみが優しくないことを、俺は知っている」

 

 私が本当は全部出し切っていることを知っているのに。

 もうこれ以上の全力が存在しないことを知っているのに。

 

 それでも、私を咲かせよう(勝たせようと)としてくれる。

 

「……トレーナーさん。ひとつ、約束してください」

「なにかな」

「次のレース、URAファイナルズのことです」

 

 URAファイナルズ。

 秋川理事長が就任して。変わり始めたURAの象徴だというレース。

 勝ち上がり式、予選から準決勝、決勝へと――――1着のウマ娘だけが次のステップに進めるレース。

 

 それはある意味、チーム戦(アオハル杯)や善戦止まり(シルバーコレクター)を間(・)引(・)き(・)し(・)て(・)、本当の「強いウマ娘」を作るための仕組み。

 

「私が勝てなかったら」

「勝つさ。きみは勝つ」

 

 あなたは、その変化についていけなかった、ひとり。

 

「私は」

 

 わたしは。

 

「トレーナーさんに、ひとつのお花だけを見ていて欲しく、ないです」

 

 それでも走るのをやめられなかった(あなたを手放せなかった)、ひとり。

 

 

 

 

『並ぶか、並ぶか並ばないッゴール!』

 

 

『1着は――――、僅かに遅れて2着カレンブーケドール、1番人気の――――』

 

 

 

 


 

 

 

 競走師(トレーナー)。

 

 URAから交付されるのは平地・障害と2種類の免許。

 その免許を持つ者だけが、トレセン学園のウマ娘と契約してトゥインクル・シリーズに挑戦することを許される。

 

 そんな競走師(トレーナー)の免許を得るために突破するのが、いわゆるトレーナー試験。

 

 その受験資格を獲得するために、未来のトレーナー達はトレーナー学校を卒業するか、現役トレーナーの指導の下、実地経験を積むことを求められる。

 

 そんな2種類の後者、いわゆる実地組の正式名称が競走師(トレーナー)補。

 正規トレーナーの裁可したレース、トレーニングの監督行為を代行する、まさにトレーナー見習いと呼ぶべき存在。

 

「どうして、スカウトをされないのですか?」

 

 トレーナーさんとトレーナー補(わたし)。賃料の一番安い物置みたいなチーム部屋。

 とりあえずの立ち上げとなったチーム〈クエーサー〉に所属するウマ娘は、まだ私だけ。

 

「理由はいくつかある」

 

 部屋の真ん中に置かれた食卓みたいな机。2つしかない椅子の片方に座りながらあなたは言う。

 

「きみは、病葉を切り落とすだけが治療だとは思わないだろ?」

 

 この時、ようやく私は気付いたのです。

 トレーナーさんは、きっと戦い方を変えたのだと。

 

「変色した病葉は植物全体が病に侵される前兆。だから切り落としてハイ終わりではなく、その植物の周囲環境や栄養状態にも気を配らなくてはならない」

 

 例え話のようでいて、その中身はそのまま伝わってくる。

 それだけ、分かりやすくトレーナーさんは話をしてくれている。

 

「枯れてしまった葉は、救えない」

 

 その言葉は、重い。トレーナーさんも辛そうなお顔をしている。

 

「だが、枯れる前。もうじき輝きを失ってしまいそうなウマ娘は、まだ走れる」

 

 それから、一呼吸よりずっと長い間をとって、あなたは続ける。

 

「以前、きみは話してくれたな。セイヨウタンポポは強い花だと」

「ええ」

 

 場所を選ばず、どんなに小さな隙間にも根を下ろす。

 

「俺は、花の『強さ』なんて考えたこともなかった」

 

 あの日のあなたは、タンポポを見下ろしていた。

 都会のコンクリートに大地を塞がれて、芽吹く場所を探して旅をして、どうにか落ち着けた狭い場所で懸命に生きようとする。

 

 

 ――――負けるなよ。

 

 

 トレーナーさんがそう言ったのは、きっとタンポポの限界を見ていたから。

 

「だが、きみが教えてくれた。タンポポは強い花だと」

 

 タンポポは花弁も、茎も、全てに使い道がある。

 そしてトレーナーにも、ウマ娘にも。必ず輝ける場所がある。

 

「俺は、自分にも使い道があると信じている、だからトレーナーを続ける」

「……」

 

 だから、と。

 トレーナーさんは続ける。

 あのひとなりの、誠意で。

 あのひとの誠意は、嘘を吐かないことだから。

 

「きみも走り続けるんだ。きみの輝く場所に辿り着くまで」

 

「だから、それまで。きみはここで自(・)分(・)の(・)使(・)い(・)方(・)を考えてみてくれ」

 

 あなたは、残酷なひと。

 優しさを装って、私に決断を迫る人。

 

「はい」

 

 わたしも、ひどい子。

 あなたが優しさを装うしかなくなるまで、追い詰めた。

 

 

 


 

 

 

 それから、いくらかの時が流れて。

 

 わたしは競走師(トレーナー)補とドリームランカーを掛け持ちする競走ウマ娘として。

 あなたは「名義貸し」と呼ばれる指導をしない監督専業の競走師(トレーナー)として。

 

 そんなチーム〈クエーサー〉の日々が、2人だけでなく学園の日常となって来た頃に。

 

「あの!」

 

 最初に、彼女がやってきた。

 

「ここで名義を借りられると聞いたのですが!」

「……そんな直裁な言い方をする学生は初めてだな。クロノジェネシス学生」

 

 名乗る前に名前を呼ばれた彼女は、顔を驚き一色に染める。

 

「えっ! どうして私の名前を……?」

「広報は学園の顔だからな。職員顔負けの大型新人(ライター)が現れたと聞いた」

 

 本当は未スカウトのウマ娘についてはひとしきり頭に入れているあなたが、そんな風に返して。

 

「それで? こんな場末になんの用事だ? ウチには取材されるようなウマ娘もいないし。学園(ここ)における名義貸しはいわゆる違法行為(名義貸し)ではないぞ?」

「いえ。だからこそ名義を貸して頂きたいのです!」

「クロノジェネシス学生。少し勉強だ、数多の選抜をくぐり抜けた競走ウマ娘はプライドが高い。彼女たち、つまり名義貸しチームに所属する(スカウトされなくて名義を借りている)彼女たちの気持ちも考えてやってくれ」

 

 真っ直ぐで、レースを心から愛しているクロノさん。

 元はといえば、学園の閉架書庫を閲覧するための名義を貸して欲しいという話でした。

 

 

 

「帝都農工大学の競走ウマ娘枠で入学します!」

 

 次にやって来たのが、彼女。

 

「ヒシミラクル学生。大学に入ってどうするんだ?」

「いい企業に入ります」

「どんな企業だ?」

「えーと……サデーとか日高ですかね?」

「ふむふむ。デジタルコンテンツのSADY(サデー)とか、IoT機器のHIDAKA(日高製作所)ね。他には第一商事とか読白新聞、新堀石油とかはどうだ?」

「おぉ~いいですねぇ~!」

 

 レースに興味はなし。将来の進路も定まっている訳ではない。

 それでも、努力の向こうにある「何か」を、何とは知らずに突き進む強いウマ娘。

 

 そう、強いウマ娘。

 

 

「私に名義を貸しなさい!!!」

「きみ、名前は?」

「アーモンドアイよ。よろしくね、トレーナー」

 

 

 アイさん。

 強い、間違いなく強いウマ娘。

 きっと日本のウマ娘界(トゥインクル・シリーズ)が、待ち望んだ存在。

 

「はいよろしく。でも誰もまだ契約するとは言ってないよ?」

 

 けれど、あなたは決して方針を曲げなかった。

 名義は貸す。課金あれば(求められれば)応じる。危ういなら止める。

 

 けれどそこから、それ以上は。なにもしない。

 

「トレーナーさん」

 

 それは、あの宝塚記念でも変わらなかった。

 

「誰が勝っても、喜んでくださいね」

「喜ばないよ」

 

 私のトレーナーは、名義貸しトレーナー。

 だからこそ彼は、ハッキリ言ってのける。

 

 

「トレーナーの存在価値は、競走ウマ娘を勝たせるためにあるんだ」

 

 

 なら。

 競走ウマ娘を勝たせるわけではないトレーナー(あなた)に。

 勝てないウマ娘(わたし)を手元に置くあなたに。

 

 なんの価値が、あるというのでしょうか。

 

 

 


 

 

 

 そうして、ジャパンカップが終わり。

 あなたは年始めに放った狂言(クエーサーが台風の目になる)を現実のものにして。

 

「トレーナーさん」

「ブーケ?」

「次の競走師(トレーナー)試験。私を推薦して頂けませんか」

「いつも推薦してるだろ。指導競走師なんだから」

 

 なにを当たり前のことをという風に答えるあなた。

 突き放すときのあなたは、いつも少しぶっきらぼうになる。

 

「強く、推してはいただけませんか」

「……」

 

 それからあなたは、一歩寄せる。

 上司(競走師)と部下(競走師補)としては近すぎて、トレーナーとウマ娘としては遠い距離。

 

 そこでそっと肩に、触れるか触れないくらいの距離に手をおく。

 敵ではないと示すように。

 

「落ち着いた場所で話そう。たしか向こうに公園があったよな」

 

 それでも、二人きりはダメと諭すように。

 

「私がドリームトロフィーを走るようになって。もう何年も経ちます」

「私が競走師補としての実績を積んで、何回も試験を受けました」

「なのに私は、止まったままです」

 

 公園への道すがら、私はぽつりぽつりと言葉を零す。

 

 みんな進んでいる。

 クロノさんも、ミラクルさんも、アイさんも。

 

 そして、あなたも。

 

「ブーケ。俺はいつも強く推してるよ」

「……」

「だがそれは、傍目には身内びいきにしか映らないんだ」

「…………」

「競走師が免許制なのは、競走師の許可がなければウマ娘はレースに出走できないからだ。つまり、制度としてのトレーナーは事(・)故(・)を(・)防(・)ぐ(・)ために存在している」

 

 だからこそ、そうホイホイと免許を発行する訳にはいかないとあなたは言う。

 

「もしかすると、きみは優しすぎるのかもな」

 

 いいえ。私は残酷です。

 あなたをこんなに栄光から遠ざけた。

 

「トレーナーには、時にウマ娘の想いを潰す役目が回ってくる。きみにそれは出来ないと、判断されたのかもしれないな」

 

 そうかもしれません。

 けれど、あなたは誤解している。

 

 出来るけれど、やらない――――ではなく。

 やろうとしても出来ない――――なのです。

 

「ブーケ。きみはなんのために走る?」

 

 あなたのため。

 

「……私は、チームのリーダーとして。ドリームランカーとして。応援してくれる皆さん、支えてくれるトレーナーさんのために。走り続けます」

「それは、目的か? 目標か?」

「…………目標です」

 

 なら、目的は?

 そんなの決まっている。

 

「俺の目的は、強いウマ娘を作ることだ」

 

 私の目的(それ)を聞かず、あなたは続ける。

 

「そのために、名義貸しチームで『心の強い』ウマ娘を守る。模擬レースで才能が測れると思うか? スカウトされなかったウマ娘は病葉なの(害のある存在)か? そんなことはない。走る意思のあるウマ娘がいれば、その中から自然と、強い心を持つウマ娘が奇跡のようなレースを起こす」

 

 だがそれは、決して奇跡などではないのだとあなたは続ける。

 

「いるんだよ。誰も気付いていないだけで、奇跡(ミラクル)はいつもそこにある。俺はそれを、より多くのウマ娘を見ることで見つけることにした」

「……」

 

 そして私は。

 あなたの奇跡(ミラクル)にはなれなかった。

 

 言葉が続かない。

 続かなくても、公園の入り口が近づいてくる。

 

「ほらママ、見てー! あたし、また速くなったでしょ!」

「あっ、待ちなさい! ちゃんと周りを見て――――」

 

 だから。

 

 あなたがウマ娘の子供を助けるのは当然として。

 

 その前に、どうして私(・)の(・)体(・)勢(・)を(・)崩(・)さ(・)せ(・)た(・)のかもよく分かります。

 

 きっと、私は助けに入ったでしょうから。

 それで、きっと私なら間に合ったのでしょうけれど。

 あなたは、私を一片のリスクにも触れさせたくなかった。

 

 だから、私が助けに入れない(危ないことをしない)ように。

 

 

 

 ――――。

 

 

 

「どうして」

「どうして私をかばったのですか」

「私はトレーナー補でしかないのに」

「あなたの裁可が……あなたがいなければ、何もできないのに」

「あなたと、あなたと。あなたを――――勝たせられなかったのに」

 

「私に価値(勝ち)はなかったのに」

 

 

 




 

 

 

「…………いや。うん。分かるよ?」

 

「私も勝てなかったし、分かるんだけれどさ」

 

「み、ミラクルさん? あのちょっと」

「止めないで、クロノ。これはミラクルにしか言えないことよ」

 

「でもそれってさ、要はブーケさんが勝てばいい。ていうかブーケさんが勝たないとどうにもならないよね?」

 

「なら、勝とうよ」

 

「勝つしかないんなら、勝つしかないよ」

 

 

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