「いつまで休憩してんだよっ!!」
店長に起こされる迄気が付かなかった。
ここは、ま〇〇書店。キャ〇レー王で有名な会長が「道楽」で作った、ま〇〇書店だ。
既にビニール本の書店を経営していて、販売ルートがあった。
俺と店長(部長)は、2週間以上、まともに休みを取っていなかった。
開店3日前。俺は風邪を引いた。熱もあったようだ。
でも、開店準備をし、客引きの為のチラシを配った。
駅前で、店の前で。
開店前日。店長の提案で3階の部屋を使い、交替で仮眠を取ることになった。
元は、キャ〇レー嬢の控え室だったところだ。
店長が叩き起こしに来たのは、4度目か何かだった。
店は2階で、喧噪は聞こえなかった。
俺は、ぐっすりと眠っていた。疲労と風邪薬で。
3日前。風邪を引いたのは、寒い中、1人で「立て看板」を作っていたからだ。
大道具のアルバイトをしていたから、比較的簡単に作れた。
それで油断してしまったのだ。
最初、起きないので、若手社員が交替で、客の相手をしながら俺を起こしに来たが起きなかったのだ。
店に行くと、驚いた。元々狭い2つのエリアに、客がぎっしり、レジ前に列。
ここまでとは思わなかった。
時は師走だった。
アクシデントは、それが始まり。
給料の不払いが続いた。
俺も、入社当初の分しか貰っていない。
これは、店長の責任ではない。社長だ。
数年後に似たケースに遭うが、社長が現場に経営にも疎いから発生したことだ。
当然、バイトは辞める。
若手社員も、辞める。仕事中に、堂々と就職雑誌を読んでいた。店の商品の。
最後に、私も。
「お前もか。そうか。」
店長は、それ以上言わなかった。
給料は、辞めるとき、会長に直訴したから、他の店の会計係からちゃんと払って貰った。
会長に気に入られて入社したからか、会長は頭を下げて謝った。
社長は、右も左も分からない「お坊ちゃま」だったのだ。
会長の義理の兄弟らしかった。
開店前の2ヶ月は充実した毎日だった。それなりに楽しかった。若いの4人と共に。
開店時がピークだった。
噂では、数週間休業して、従業員を他の系列の社員や新しいバイトを入れて立て直したそうだ。流石、キャ〇レー王だ。
売り上げは、勿論、今で言う「V字回復」。繁華街から遠くない立地もあり、秋葉原以外のま〇〇書店は、成長していった。
今でも、あの時の、鬼の形相の店長とのやりとりを覚えている。
「部長、休憩は?」「なし、だ。お前は、『大分(だいぶ)』、休憩したみたいだがな。起きないんだからな。忙しいのによ。」
今、どうしてるかな?まだ、生きてるかな?
―完―