普通に叡智でズボラで普通に強いお姉さんがプロガンのパイロットは駄目ですか? 作:単眼駄猪介
あと仮題から良さそうなのが思い付いたのでタイトル変えました。
最初からそうしろよ!って話ではある
尚、プロガンについては媒体で色々設定や解釈が違う、というのはガンダムあるあるだから、Gジェネエターナルでサイド7で破壊されてる記述なんて気にするな、初心者さん!()
まあ陸戦検証にサイド7に1機、宙戦・武装検証でルナツーにプロトタイプが2機ぐらい製造されてもおかしくはないけども。
そして早速本作をお気に入り登録してくれた方々に感謝を。
評価もありあとあす!
低評価付けるときは改善点とか挙げてくれると助かります。
丁寧とか綺麗な文体とかではないとは思いますが、面白く感じてくれたら幸いです。
モビルスーツによる大気圏突破という、史上初めての事を成し遂げたプロトタイプとガンダムは現在、ホワイトベースの少ない人員と機材をフル稼働させてオーバーホール*1していた。
その間、レナは青い軍服に着替えたアムロを捕まえていた。
「ありがとな、アムロ。赤い彗星の相手をしてくれて」
「やれる事をやっただけです。どのみち倒せなかったですし…」
「そんな謙遜しなくて良いんだぜ?アタシもちゃんとモビルスーツで戦うのはアレが初めてなんだ。訓練もしてないのに動かしてザクを落とせるだけ、お前はスゲー奴だよ」
褒めちぎるレナにアムロは口の端がニヤけかけるのを自覚し、顔を背ける。
そんなみっともない顔なんて目の前の女性に見せたい願望などないし、男としてのプライドが許さなかった。
アムロはナイーブな少年であるが、だからといって根性がない訳では無い。
そうするしかないという状況も大いにあるだろうが、ちゃんと男らしく度胸もあるとアムロのこれまでを見てレナは第一印象のナヨっとした貧弱で気弱そうなイメージを払拭していた。
「とりあえず、シャワーでも浴びてゆっくり寝な。アタシは軍人だからな。アムロが抜けた穴はアタシが埋める」
「は、はい…お願いします」
とはいえ、史上初の大気圏突入を乗り越えた少年をこれ以上引き止めるのは体に響く。
レナはアムロを部屋まで送り、それから格納庫に戻る。
「おーい!ガンキャノンは動かせるんだよなー!?」
格納庫ではガンダム2機のオーバーホールで慌だたしい整備兵達があちらこちらを行き来しており、時折怒号も聞こえる。
そんな中でレナの叫び声は掻き消える、もしくは余裕がないので対応する人がいなかった。
「…まあ、とりあえずガンキャノンの方に行くか」
誰も応えないのでレナは一人でガンキャノンがある奥の方へ歩いていく。
今後の事を考えると、プロトタイプだけに乗るというのも難しいだろう。
乗れる機体は多い方が良いと考えたゆえの行動だった。
壁際の搭乗用のタラップを歩いて格納庫の奥に向かうと、そこには真っ赤な機体が鎮座していた。
両肩にはどデカいキャノン砲が装備されており、鈍重そうな見た目はガンダムよりも硬そうだった。
事実、スペックでは防御力に関してはガンダムを上回っているのだが。
「ブライトの話じゃ南米からそれて北米に降りちまったって事だから、確かガルマ・ザビの支配域だったよな。頭のキレる赤い彗星の事だし、とっくのとうに見つけられてるかもな」
ガンキャノンのコクピットの中でマニュアルを読みながらこれから起きるだろう事を予測するレナ。
実際、既にガルマが指揮するガウがホワイトベースを捕捉してつけているし、ジオン十字勲章ものだとシャアから言われ、ホワイトベースを拿捕、もしくは沈めるために戦力をかき集めている。
士官学校様々と言えよう。
「レナ中尉!?なんでガンキャノンのコクピットに…」
マニュアルを見ている内に手の空いた者達が出てきたのだろう。
ガンキャノンの方にやってくるメカニック達が開きっぱなしのコクピットにレナがいる事に気付く。
そんな彼の質問に答えることなく、レナは質問で返す。
「お?オーバーホール終わったのか?」
「はい。流石は連邦の最新鋭のモビルスーツ、思っていたより大気圏突入の際の損耗はあまり見られませんでした。精々、関節のパーツの取っ替えくらいでしたよ」
兄弟機なだけあってパーツの互換性もあって整備自体は楽そうです、と付け足すメカニックにレナは肩を叩いて笑う。
「なら、存分にアタシ達が戦えるように頑張ってくれよ?戦争が終わったら皆に酒を一杯くらい奢るくらいはしてやるさ!」
「いや、そこは普通に飯を奢るでいいでしょう?」
「悪いな!アタシは守銭奴なんだ!」
そう言ってレナはガンキャノンのコクピットから出ると格納庫と隣接している酒保ルームに向かうのだった。
北米はジオンの勢力圏。
いつ敵が襲撃をかけてくるのか分からない以上、すぐにでも出撃できるように準備はしておかなければならない。
メカニックに見せていた笑顔とはうって変わって、レナは険しい顔付きで酒保に置かれていたハンバーガーの自動販売機に貨幣を投入するのだった。
ーーー
レナ・ウルレドは、かつては日本と呼ばれた島国の北の大きな島の生まれである。
幼少期から同年代の腕白な男の子に負けない、いやそれ以上の腕白さを持った女の子だった。
そして、彼女の両親は宇宙世紀という宇宙に人類が進出した世の中で猟師という時代に取り残されつつも山林の多い街では未だ重宝される職についていた。
両親から猟銃の扱い方を教わり、罠の作り方や自然の恐ろしさと美しさを学んだ。
尊敬できる両親であったが、レナが義務教育で学校に通い始めるようになった頃に二人は人の血肉を喰らった熊を狩猟直後に別の熊に襲われて、相討ちという形で死んだ。
二人の遺体の第一発見者である両親の漁師仲間の辛そうな顔は、今でも思い返せる。
不思議と幼いレナの目から涙が出る事はなかった。
確かに悲しかったし泣きたい気持ちはあったが、両親の遺体を火葬し、遺骨を墓に納める時も泣く事より毅然とした姿で二人を見送る事が二人への最後の親孝行だと考えたのだ。
そして、それは結果として気味悪がられる事になってしまったが。
周りは黒髪や茶髪が多いのも合わさってか、赤髪のレナはよく目立った。
近くに住んでいた親戚に引き取られるも、その親戚はレナの事を気味悪がってほとんど放置していた。
しかし、レナにとってそれはむしろ自由を与えられたにも等しい。
両親の教えを胸に彼女は猟師の小屋によく籠もり両親に変わって、というには少し傲慢な考えだろうが猟師として罠をあちこちに張り巡らせた。
そして成長し、13歳の時に彼女は初めて猟銃で獣を狩った。
獲物は家畜を食い荒らしていた狼だった。
【本能を研ぎ澄ませ。やり方は自然が教えてくれる】
父の教えは、狩りにだけでなく戦争にも活かせた。
猟銃のアイアンサイトを通していた狼がザクに変わり、得物がいかにも光線銃とでもいうような、というか見覚えのあるビームライフルに変わり、レナは今見ているものが夢だと気づく。
2機のザクが自分を囲み、マシンガンを撃ってくる。
それを盾で防ぎながらビームライフルを撃ち返し、土手っ腹に穴の開いたザクが爆散する。
ホワイトベースの艦底に回り込んだ最後の1機はビームライフルとバルカンで、相手に撃たせる暇を与えない。
そして、奴は大気圏で燃え尽きて爆発した。
ズン、と爆発の振動を感じた。
そう、今のような――
「って敵襲!?」
爆発の振動で揺れる艦内で、ベッド代わりに横になっていたベンチから跳ね起きるレナ。
跳ね起きた代償に転げ落ちて背中を軽く打つが、痛みなど気にしていられる余裕があるわけがない。
寝心地の良かった夢の余韻もすっ飛んでいる。
「仮眠のつもりがガチ寝しちまうとは…!」
急いで自身の機体、プロトタイプガンダムのコクピットハッチまで駆け寄る。
だがそんな彼女に整備員は声を掛ける。
「レナ中尉!まだプロトタイプは陸戦仕様に調整中です!」
「あ、そうだった!じゃあアタシはガンキャノンで出るぞ!そっちは終わってんだろ?」
「とりあえずは!ご無理はなさらず!」
寝ぼけ眼でガンキャノンの方へ向かうレナ。
その間にアムロもガンダム……ではなくガンタンクに搭乗し、出撃準備を終える。
二人乗り*2の機体なので、もう一人は誰かと思えば学徒兵のハヤト・コバヤシであった。
コクピットのモニター越しに見ていたレナは、その事を疑問に感じて艦橋のオペレーターを担当するセイラに回線を開いて問うと、どうやらサラミスの大気圏突入カプセルの搭乗員だったリード中尉の指示によるものらしい。
ブライトはアムロを休ませたいらしかったが、リードのアムロへの認識が甘い故の判断だろうとレナは察しを付ける。
「ったく、民間人だって事を忘れてるだろ」
そう文句を漏らすレナだったが、戦時任官で中尉に格上げされた自分ではリードの意見を抑えることができないのも理解していた。
それはそれとして、いつの間にホワイトベースにいるんだ?なんて思ってるレナだが、戦闘に集中し過ぎてザクの攻撃で大気圏突入カプセルがホワイトベースに着艦している事を忘れているのは彼女がズボラが故だろう。
まあ、そんな事はさておきホワイトベースのハッチが開き、敵のホワイトベースの前を横切る火線が見えるようになる。
「さぁて、ホワイトベースの高度的に出てくるのはジオンのドップ*3とガウか。狙い撃つのは得意なんだ」
空中戦は一年戦争のモビルスーツの領分ではない。
しかし、強力な砲台代わりくらいになるのがモビルスーツの利点と言った所だろう。
戦車でも補う事はできるだろうが、昇降口もないホワイトベースの甲板上に登り、多様な武装で戦車よりも素早く迎撃できるのは人型の利点であるだろう。
「調整はまだ甘いな。重力で銃口がズレる…だが、そこは勘で補うだけだな」
ガンタンクが弾幕を形成し、ドップを狙い撃ちし始める。
レナもガンキャノンでドップを撃つが、宇宙と違い重力のある地球では照準通りに弾が飛んでくれなくなる。
というよりも、銃口が自重で本来の照準より常に下にズレた状態でビームや実弾が飛ぶのだ。
当たらなくて当然だろう。
幸いガンタンクは元々戦車を巨大化させたような物のため、陸戦兵器としての本分を発揮しており照準がズレるような現象は起きていない。
「サイド7のプロトタイプも搬入されてたらなぁ……まあ無い物ねだりしたって無駄だけどよ」
宙戦仕様と陸戦データを取ったプロトタイプガンダム。
サイド7とルナツーでプロトタイプガンダムによるデータ取りは、ルナツーとジャブローで開発中のモビルスーツに大いに役立つだろう。
まあ、それはあくまで基礎的なもので既にデータは送信されているのだが。
今は実戦データが一番必要なものだろう。
時折聞こえてくる話では既に一部でモビルスーツを運用している部隊*4がいるらしいと、レナは聞き及んでいる。
だからこそ、そんな彼らがより活躍できるようにガンダムに搭載されている学習型コンピューター*5は、ジャブローに着くまでに守りきらねばならない。
無論、レナ個人にとってはアムロも守らないといけない存在だ。
彼の父であるテムの、なんだかんだ子供想いの良い父親の姿*6にかつての父を重ね、そして初恋を感じていたのだから。
そんな彼がホワイトベースにいない、となればあとは察しが付く。
アムロへの思い入れは一際強いと言えるだろう。
「レナ中尉!まもなくホワイトベースは地上に接近します!」
迎撃に集中していたレナだったが、セイラからの報告にふとサブカメラで下の方を確認する。
セイラの言う通り、地球の大地が眼前に広がっており宇宙に上がってから久しぶりの重力の感覚に懐かしさを覚える。
「ハハッ、地に足がついた感覚はやっぱ良いな」
そんな事をこぼしながら、ビームライフルでドップの進行先をズラしバルカンで仕留める。
これでも4機は撃墜したが、6機ぐらいはガンタンクが落としている。
やはり、シャアに対して耐えきれたのはアムロの才能のおかげか、とレナはその才に嫉妬を感じる。
「いや、むしろこの異常な民間人登用でその才能で生き抜けられるならそれで良いじゃないか。嫉妬なんてみっともねぇ」
乗り始めて一週間近く、碌に機動変更もできなかったあの頃の自分と初乗りでザク2機を撃破したアムロ。
嫉妬するなという方が無理なのではないだろうか。
それはさておき、リード中尉からガンダムとプロトタイプを出せとの指示で一旦、ガンタンクとガンキャノンは艦内に引っ込む。
その間の隙を見逃すはずがないジオンは、待たせていたマゼラ・アタック*7隊と艦載機のザク3機を出撃させる。
「カイ!シミュレーションやったとはいえ、素人なんだから無理はするなよ!あと照準ズレるから大体対象のちょい上ぐらいを狙いな!」
「おう、任されて!…って素人の俺にできるかよ!」
ホワイトベース艦内では、ガンキャノンから降りたレナと交代するカイ・シデンの姿があった。
大気圏突入前にシミュレーターでガンキャノンの操作を学習したカイであったが、それでもまだ習熟しきっていない。
それでも実戦に出さなければならないのがホワイトベースの人材不足を露呈させていた。
「ったく……カイ・シデン、出るぜ!…ヴッ…!?」
カタパルトを使い、射出されるガンキャノン。
急激に体に強烈なGがかかり、舌をかみかけたカイはシートに押しつけられながらモニターを見ていた。
まあ、見ていたからって着地が成功する訳では無い。
なんとか操縦桿を握って着地体勢は取るものの、スラスターによる減速や姿勢制御が甘く途中まではしゃがんだ状態で地面を削るが途中でコケて派手に体勢を崩す。
「畜生…」
呻きながらもなんとか機体を立ち上げさせ、カイは前から詰めてくるマゼラ・アタック隊に攻撃を開始した。
ーーー
一方でプロトタイプガンダムに乗り換えたレナは、ハイパーバズーカとビームライフルを担いでカタパルトでホワイトベースから出撃していた。
アムロのガンダムは既に出撃しており、まさに獅子奮迅の活躍を見せていた。
「アタシも負けてらんねぇな!」
そう言うが否や、ハイパーバズーカをぶっ放し爆風でマゼラ・アタック隊の一部を一掃する。
それに対応してすぐさま散開するマゼラ・アタック達だが、プロトタイプの頭部バルカン*8がマゼラ・アタックの装甲を貫通し、中身をミンチにする。
「そぅら!」
上空にいるドップにビームライフルを放ち、見事撃墜するプロトタイプ。
しかし、ガンダムはより多くのドップを撃ち落としリーダー機らしいオレンジのドップもあわや撃ち落とされる所だった。
それがガルマ・ザビのドップ等と知っていれば、非常に惜しい事をしたとレナは惜しむだろう。
と、そんな余所見をしているとザク3機が密集してプロトタイプに攻撃を仕掛けてくる。
「さて、地上戦は派手にデビューさせてもらうぜ」
マシンガンを撃ちながら接近して来るザクに、プロトタイプはハイパーバズーカを三発連射する。
「各機、迎撃!」
ザクのパイロットの指示でマシンガンの銃口がプロトタイプからバズーカ弾に向けられる。
「おいおい、余所見かよ」
迎撃されたバズーカの弾の一つが爆発し、残りの弾にも誘爆させながら一時的に爆煙でザク達の視界が遮られる。
そして煙を突っ切ってプロトタイプがザクの目の前に現れる。
「う、うわあぁぁぁぁぁ!?」
狙われた彼にとっては一瞬の内の接近としか見えなかっただろう。
動揺して操縦桿から思わず手を離した結果、固まったままプロトタイプがザクの胸元に押し付けたビームサーベルが起動して機体を貫く。
「1つ目!」
「この野郎ッ!」
機能を停止し崩れ落ちるザクを背景にプロトタイプはガンマンのように腰撃ちのハイパーバズーカでマシンガンを構えたザクの上半身を爆砕する。
「い、一瞬で2機を……ハッ!?」
一瞬でザクが2機やられた事実に呆然とするしかない最後のザクのパイロット。
ふと、近づいてくるものに気付きパイロットはザクをその場から退避させようとするが既に遅く、コクピットにビームが撃ち込まれ爆散した。
「へ、へへっ。俺だってやれたぞ…」
下手人はカイだった。
両手でしっかり構えたビームライフルは限界まで撃ち尽くされたのか、銃口が真っ赤になっていた。
「別になくても大丈夫だったけど、ありがとよ〜!」
とはいえ、横槍を入れられてレナとしては面白くなく文句たらたらの感謝を告げた。
ーーー
「まさかザクが全滅、マゼラ・アタック隊もほぼ壊滅状態とは……ドップも多くがやられた。木馬に対する認識を変えなければならないな」
「言っただろう?ジオン十字勲章ものだと」
撤退し、ホワイトベースの監視に移行したガウの艦橋で次の木馬攻略を考えるガルマ。
その脇に赤い軍服を纏ったシャアが、いつもの仮面を被り友としての姿を演じる。
「しかし白い奴と黒い奴、手強いな。同型機というのもあるだらうが、特に白い奴のパイロットはまるで天才だ。モビルスーツで跳びながら攻撃*9など…」
「天才、か」
天才というワードは、シャアにとってある意味取り柄と言っても良い。
士官学校でガルマより上の優秀な成績*10を収め、天才という称号はシャアにとってプライドの根幹を支える一つだろう。
そんな彼に現れた、ガンダムのパイロット。
その成長は目覚ましく、また自分以上というものを感じ、シャアは無自覚に嫉妬心を感じていた。
「フフ…ジオンにとって厄病神になる前に、今度こそは討ち取ってやるさ」
その嫉妬心は、己が被る仮面のように対抗心という仮面で隠された。
レナの最終的な強さは原作基準で行くなら
天パ>シャア≧ヤザン=レナ≧セイラ>ハヤト&カイ
といった感じ。
普通に強いとは()
そして読了ありがとうございます。
調子に乗って前書き後書きに冷める言葉書き込んでるかもしれんけど、自制頑張ります。
ー追記ー
投稿後になってガバを発見しましたが修正はしてもあんまり変わらない…かもなのでレナの褒め言葉で一時的にもう少し先の戦法を先取りしたみたいな感じで今はご容赦を……
なんだかんだ初な少年だから…(目そらし)
駄目だ、疲れてて謝罪文もガバガバだ。申し訳ありません