普通に叡智でズボラで普通に強いお姉さんがプロガンのパイロットは駄目ですか?   作:単眼駄猪介

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アムロの母、カマリアとガンダムに爆弾を仕込まれる話はサラッと触れる程度にカット。
モチベ的にも個人的にも書いている時間がないのです()

ククルス・ドアン?サザンクロス隊が壊滅してるので多分ガンダムがいなくても撃退できる上に劇場版ではカットされてるので軽く触れる程度ですね…



第8話 兄妹

 

ランバ・ラルとの戦いからどれだけ経ったのだろうか。

勿論、相手があの青い巨星だなんて知らないレナは今日までの戦いの日々を思い返す。

 

 

まず、アムロの故郷が近いという事でアムロが帰郷、母に会いに行くもジオンの偵察兵と鉢合わせて一人銃殺。

この間にレナ達は何をしていたかと言うと水遊びである。

水着なんてものは持ち込んでいないレナはタンクトップ姿で泳いだものだから、ミライやフラウが止めなければ子供達の性癖が壊れるところであった。

後からアムロから話を聞くに、母とは完全に決別してしまったようだ。

そんな彼にレナは抱き締めて慰める事しかできなかった。

泣いても良い、と言ったのを皮切りに少し震えながら泣いていたのはレナの記憶に深く刻まれた。

その後はガンダムに小型ながら高威力の爆弾を仕掛けられたりしたがなんとか無事に解除し、その後にとある島でジオンの脱走兵と一悶着あったが現在に至る。

 

 

 

現在はアジア中央のタリム盆地を突き進むホワイトベース。

事切れた伝令兵からの「オデッサデイまでに海を越えろ」という指令もあり、かなり速度を出しているがそれでもオデッサまでは遠く、またとある問題が発生していた。

 

「塩が足らんのです」

 

そうブライトに告げたのはホワイトベースのコック長のタムラ。

塩がなんだ、と思うかもしれないが塩は戦う上で非常に重要な物資だ。

戦場で戦う以上、身体は汗をかくし日々の食事も保存食が多いために味は良いとは言えない。

しかし、塩があれば塩分不足による熱中症や立ち眩みを防げるし、食事も塩という最低限のアクセントで食事という戦場での数少ない娯楽が豪華になる。

そして士気の維持は兵士を指揮する指揮官にとって重要である。

なればこそ、ブライトもタムラの言葉に眉間にシワを寄せる。

 

「何とかならないか?この辺りには海も街もないし…」

 

「そんな簡単に手に入れば塩が足らない事もないですよ。まあ、なんとか持たせてはみますが…」

 

悩むそんな二人のもとにレナが丁度やって来る。

悩んでいる様子の二人に話を聞き、レナも一度ホワイトベースが現在いる場所を地図で見ながら塩をどうするか考える。

 

「あ、ここになら塩があるんじゃないか?確かここは塩湖だった筈」

 

「なに!?それは本当か!?」

 

「アタシもちゃんと知ってるわけじゃないがな。でも、枯れてても底に塩がある可能性はあるし、探すだけ探してみるのも良いと思うぜ」

 

「ふむ……見ないことには分からないな。よし、ホワイトベースの進路を塩湖に一旦変えるぞ」

 

こうしてホワイトベースは進路を塩湖に替えて空を突き進む。

しかし、そんな彼らにある者達が迫っていた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

「グラハム、コズン、一気に攻めるぞ。ゲリラ屋の戦い方を見せてやれ」

 

「「了解ッ!」」

 

ある者達、そうランバ・ラル隊である。

青いグフと脚部にミサイルポッドを装備したザク2機が、ホワイトベースを狙っていた。

そんな彼らが攻撃のチャンスとしたのはホワイトベースが塩湖に到着し、塩の採取を始めたときである。

 

「岩になってるなんて、想像もつかないや」

 

と言いながらいつもの宇宙軍の青い軍服を脱いでツナギで作業するアムロ。

カツ・レツ・キッカら幼い子供達や普段は艦内で各々の業務に務めているクルー達が枯れた湖の底にある塩を採取していた。

 

「宇宙で育つと、そう言うのも知る事がなくなるんだなぁ…」

 

「宇宙に水はあっても海はありませんからね。名前だけ知ってるってだけです」

 

「本当に塩かよ?……しょっぺ」

 

宇宙育ちの人々の反応にレナは地球育ちと宇宙育ちの乖離を感じ、義務教育の敗北を感じる。

宇宙には地球に興味がない子が多いのかと思うのと同時に、教師陣もまた地球に対してさほど興味も教える意味もないと考えているのが薄っすらと感じさせる。

一方、未だよく見る白い塩らしくない茶色っぽいそれに疑心暗鬼なカイは試しにハヤトが集めた塩を摘んで舐めると、途端に舌に広がるよく知るしょっぱい味だった。

思わず口をしょぼめるカイにレナは笑いを堪えつつ、プロトタイプガンダムのレーダーを確認して索敵を継続する。

パイロットの方が多く体力があるから、という理由でジョブ・ジョンとリュウ・ホセイを除いたパイロット達が駆り出されているがぶっちゃけ元民間人であるアムロ達への気晴らしである。

外の空気を吸うだけでも、気分は好転する時はするもので実際、キッカ達を筆頭に元気が出ている。

とはいえ、僻地と化したこの場所にも塩を求める者がいるのかそれとも元々そう多くはなかったのか、採取できる量は多くない。

とはいえ、オデッサ作戦までにケチればなんとか持たせられる程度には補充できただろう。

タムラコック長も大喜びである。

 

「ん?」

 

そんな忙しくも穏やかな時間に敵が来た。

 

「ブライト!敵の反応!周囲を警戒しろ!アタシはアムロたちから離れる!」

 

「アムロ達を見捨てるのか!?」

 

「違う!アタシを狙う攻撃に巻き込まれないようにだ!」

 

あわだたしく戦闘配備を進めるホワイトベース。

ビームライフルのセーフティを外してプロトタイプは塩湖から離れて迫りくるモビルスーツの方へ向かう。

 

「クソ!コイツじゃ狙撃できる程の出力がねぇのが痒いな…!」

 

白兵戦に調整されたプロトタイプガンダム。

その都合上、得意分野である狙撃から機体の役割と経験値からどう足掻いても前に出ざるを得ない。

レナは歯がゆく感じるが、敵からの攻撃にそんな思考をする余裕は失せる。

 

「チッ!丘を壁にして!」

 

敵は丘の向こう側から一方的に撃ってきている。

曲射で撃ってこれる相手と違い、プロトタイプは現在ビームライフルを装備しており、直射しかできない。

仮に敵がいるだろう方向に撃っても大地を焼くことしかできない。

より高威力のビーム兵器なら別だろうが……どのみち相手が先手を取った以上、有利なのは相手である。

 

「ジャンプして上から狙い撃つ!」

 

結果、レナは上空からの狙い撃ちを敢行する。

集中攻撃を食らう可能性は大いにあるが、ガンダムの堅牢な装甲ならばザクが持てる武装では大抵の物は効かない。

プロトタイプの性能を信じてスラスターによる大ジャンプで空に飛ぶプロトタイプ。

だが、思いも寄らない攻撃がプロトタイプに飛んできた。

 

「なあぁっ!?」

 

プロトタイプの左足を持っていったのは黄色いビーム。

その下手人はデザートイエローに塗られたザクⅠ*1だった。

 

「畜生!やりやがったなぁ!?」

 

ジオンのビーム兵器の運用の事実に驚きつつも、それを当ててきた敵の腕に一番の驚きを見せる。

 

「野郎!こっちの優位性を奪いに来やがった!」

 

ビーム兵器という、現状連邦が持つモビルスーツが持つ武装の中で破格の火力を誇るそれを、ジオンが使う。

いざ自分達が使っている物を向けられれば、ひたすら恐怖心が心を蝕む。

だが、この程度で折れるような貧弱な心はしていないのがレナである。

 

「そっちの射程なら、こっちだって既に射程内なんだよ!」

 

戦艦並みのビームライフルという、シャアのガンダムが持つビームライフルへの評価は過大評価ではないのだ。

大気圏内であるため、射程は宇宙と比べれば短いがそれでも射程・威力共に高い。

携帯性に優れながら高威力とそれなりの長射程を持つビームライフルは、戦場のバランスを大きく破壊する力を持っていた。

左足を失った事で機体の体勢を崩したプロトタイプだが、その状態でレナは照準器を引っ張り出してカウンタースナイプを決める。

 

「カウンタースナイプ!?」

 

「イーサンがやられた!」

 

スナイパーをやられた残りのザクⅠ3機は、ラル隊の別働隊の要であるスナイパーがやられた事で動揺が走る。

まさか、あの不安定かつ体勢を崩した状態でカウンターしてくるなど予想もしていなかったのだ。

 

「クソ!1機だけじゃなくてもう1機寄越してくれてもよかっただろうに…!」

 

「あの蛇女(キシリア)にケツ振ってるデコ助野郎(マ・クベ)に期待する方がおかしいだろ」

 

「おいやめろ、想像しちまったじゃねぇか」

 

彼らが陰口を叩くのはジオンの重力戦線で最も重要な物資の供給源であるオデッサ基地の司令、マ・クベ中将。

マ・クベはキシリア派閥の人間であり、また優秀な指揮官でもある。

骨董品への造詣が深いことでも有名だが……

前線に立つ兵士としてはオデッサに籠る陰湿なモヤシ男にしか見えないのだろう。

それに加えて補給されたモビルスーツもザクⅠばかりと、明らかに不遇の扱いである。

文句の一つでも出るのは仕方ないだろう。

が、しかしマ・クベはオデッサ作戦の情報をキャッチしており、それを見据えて戦力の温存をしているのである。

末端の、しかも他派閥のラル隊への扱いが不遇になるのも仕方ないだろうが、それを知る由もない彼らはひたすらマ・クベへの恨み節を呟く。

 

「チッ、とりあえずあの黒いのを抑えておけばいいんだ!本命はラル隊長がやってくれる!」

 

ザクⅠはザクIIと比べてあらゆる面で劣る。

その最もたる所は稼働時間の短さだろう。

故に、ザクⅠが前線に出るということになるのはそれほど戦力に不足しているか運用できるものがそれしかないということにもなる。

逆に長所というと、ザクIIでは露出された動力パイプを中に内包できているという点だろうか。

とはいえ、ザクⅠとて武装次第で最前線は無理でも前線で戦う事自体は可能だ。

まあ、ラル隊に支給されたのは脚部に装備するミサイルポッドと初期型のザク・マシンガンのみだが……

 

「ぐあっ!?」

 

「ミゲル!?」

 

ビームライフルのピンクの光線が再び飛び上がったプロトタイプから放たれ、頭部を破壊する。

 

「く、黒い奴め!足を失ってもやるのか…!」

 

まるで黒い悪魔だ、と別働隊の隊長を務める男はそう思った。

1分後、ザクⅠ部隊は壊滅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ホワイトベースではガンダムに乗るはずのアムロがガンキャノンで出撃するという事態になっていた。

その原因はセイラ・マスという、金髪の美少女の暴走である。

 

「セイラさんがガンダムで!?」

 

そんなアムロの驚きを余所に、セイラはホワイトベースに近付く3機の敵影に向かっていた。

が、初めて乗るガンダムをほとんど訓練もしていないセイラが扱えるはずも無く、カタパルトの射出で気を失いかけながら着地も上手くできずガンダムが地面に転がる。

セイラがあたふたとしている内にラルが率いる本隊がガンダムと対峙する。

おぼつかない動きのガンダムにラルはパイロットに何かあったのかと予想するが、それはそれで好機である。

コズンが鹵獲を試み、ラルも碌に動けない相手なら援護は必要ないだろうとコズンに任せる。

そこにやって来たのはアムロが乗るガンキャノン。

アムロはセイラに通信を試みるが、ガンダムの通信回路を切っているセイラは気付かず、アムロは軽く舌打ちしながらキャノンを撃つ。

 

「なんだってこんな事に…」

 

「むっ、コヤツ、動きが良いな」

 

ガンキャノンの砲撃に堪らずラルとグラハムは距離を取る。

そしてホワイトベースとコア・ファイターからの支援攻撃に更に距離を離さざるを得ず、コズンのザクが孤立する。

彼のザクが攻撃されないのはガンダムと密着している為であり、FF(フレンドリーファイア)しない為である。

いくらガンダムが頑丈でも、戦艦の砲撃を直撃すれば大破するのだ。

 

「クッ、あっ、うう!?」

 

「へ、へへっ、誰が乗ってるのか知らんがそんな腕ででてくるとはな…!」

 

完全に油断したコズンのザクの横顔に、ガンキャノンの鉄拳がクリーンヒットした。

 

「うおおぉぉぉ!?」

 

パンチの衝撃で動力パイプが千切れ飛び、頭部センサーがエラーまみれになる。

 

「な、何が!?」

 

「このぉ!」

 

膝蹴り、正拳突き、裏拳、回し蹴り、背負投げ……殴打の数々がザクを打ち据え、中のコズンを気絶させる。

というか、腕の骨をやってしまっていた。

 

「て、敵は逃げたのか…」

 

コズンのザクを鎮圧した後、周りを見ると既に敵影は見えず、アムロは気にする余裕がなかったが、ホワイトベースに半ば奇襲で砲撃を仕掛けていたギャロップもその姿を消していた。

 

「次にあの青いのが来たらマズイぞ……」

 

先程、レナのプロトタイプも被弾しているとの情報が入り、アムロは危機感を覚える。

話を聞くにビーム兵器を使ってきたというのだ。

増設ジェネレーターで無理矢理運用していたのは回収した残骸から解析できたが、それでも今後敵にビーム兵器持ちのモビルスーツが増えることは間違いないだろう。

 

アムロの危機感は正しいものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘の後、ガンダムの無断使用で独房に入れられたセイラ。

捕虜となった隣部屋のコズンから、赤い彗星シャア・アズナブルの情報を聞き出し、セイラは安堵する。

 

「兄さん……」

 

シャアのガルマの件での失態で左遷されただの謹慎処分だのと言われている、とコズンから伝えられた事でここ最近はシャアの追撃ではないことに疑問を感じていたセイラは兄であるシャアの無事に安堵する。

セイラ・マス、その実の名をアルテイシア・ソム・ダイクンという。

 

 

そして兄であるシャア・アズナブル、彼の名はキャスバル・レム・ダイクン。

二人はかつて、ジオン公国の礎を築いた思想家ジオン・ズム・ダイクンの忘れ形見である。

 

 

 

 

 

 

 

*1
通称【ザクⅠ スナイパータイプ】。ロートル化し前線から身を引いたザクⅠを金欠にあえぐ前線のジオン兵士達が再利用するべく改良を施した機体。ジェネレーターを増設して稼働時間を伸ばしたり、スナイパーライフル型のビーム兵器の運用を可能としている。





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