|黄泉人《よもつびと》の冥途旅   作:何 か

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 まずは、久々の投稿になってすみません。そして久々なのに新連載なこともすみません。
 このシリーズは、内容をしっかり考えて連載したいので他のよりも圧倒的に更新が遅くなると思います。


願い、それは呪い

 マンションの屋上に立つ、心地良い風が吹く、綺麗な斜陽が眩しく顔を照らす、スマホを場違いな桜の木に立てかける。

 ある春の日、少年は飛んだ。

 周りには桜が舞い散る、少し寒いくらいの風が体を包む、残陽が体を消す。

 少年はアスファルトの地面に激しく打ち付けられる。

「痛え…」

 真っ暗の視界に光が少しずつ入ってくる。生きている、血も出ていない、というか無傷だ。立ち上がる、そこで1つ気付いた。地面には綺麗な桜の花びらが広がっていた。まるで血が桜に変わったかのように見えた。

 少年は外傷はないかや、骨に対するダメージなどを確認してもらうために病院に行くことにした。結果は何もない、それだけだった。 

 病院からの帰り道少年は考えた。

 あれは夢?不死にでもなった?そんなわけがない、非現実的すぎる。自分が人なのかどうかすら怪しくなってきた。

「そうだ、君はもう人じゃない。」

 なんだ、今のは、誰だ。

「そして不死に近い。」

 不死に近い…要するに死にはするのか?いや違うな

「僕はもう死んでいるんですね?」

「御名答、君はいや、私達は既に死んでいる。詳しい話してあげるからおいで。」 

 少女が現れた。それも自分と同い年かそれ以下の年齢だ。いたずらかもしれない、でも何故か信用していいような気がした。なのでついて行くことにした。少女の行く先には静かで、綺麗な喫茶店があった。看板には「黄泉」と書いてあった

 店内には客が3人点々としていた。少女はいつも座っているのだろう、迷いなく窓際の角の4人掛けの席に座った。

「マスター、エスプレッソ2つ、私の奢りだからお金は気にしないで。」

「はい、ありがとうございます。」

「敬語なんてやめてよね。多分タメでしょ?名前は?覚えてる?」

「はい、名前は…」

「敬語、やめてって言ったでしょ。」

「すみ…ごめん、」

「いいから名前は?ちなみに私は六花(リッカ)。」

「六花さん、上の名前が思い出せない。親もいないし、そもそもあって無いようなものだったけど。」

「初期症状ね、とりあえず下の名前教えて。」

「下の名前は咲月(サツキ)です。」

「咲月か、良い名前だね。じゃあ今のあなたの状況を教えるんだけど、落ち着いて聞ける?」

「そりゃまぁ、死んでるなんて言われた後だしなんでも受け入れられるよ。」

「そうじゃあ言うね、あなたは今7体の怪異に魂を無理やり体と繋げられてる状況ね。」

「その、7体って多い方なの?」

「うんとっても、私が4体。で、私達はその怪異の名前とか見つけて主従関係を築いたりして力を使ったり借りたり出来るの。」

「あのさ1つ聞いていい?」

「どうぞ。」

「僕が飛び降りたビル屋上に桜があったんです、2種類の」

「それ、飲み終わったら行ってみようか。」

 そう言って六花さんは、いつの間にか届いていたエスプレッソを勧めて来た。

「ありがとう。」

 感謝を伝え、飲み干すようにエスプレッソを飲んだ。

 

「ここ?」

「はい」

「とりあえず登ってみよっか。あと敬語。」

「ごめん、慣れなくて。」

 僕達はビルを階段で登った、夏の満員電車のような暑さだった。

 

「あれ、見て。」

 屋上一歩手前の踊り場でピンク色の光を漂わせる神秘的な木の根が生えてきていた。

「屋上に急ごう。」

 僕達は少しスピードを上げて階段を登った。階段を登るたびにピンク色の光は強くなった。

 光の神秘に押されながらも屋上の扉を開けた。

「ふーん」

 扉はとても重かった。

ガチャ

「開いた!」

「っ!」

「あれね、光の正体は。」

 神秘的な光を放ついや、神秘そのものである桜が目の前に一本立っていた。周りは暗く、夜の桜をしたからライトアップしたかのような桜だった。

「満開ね…」

「うん、とても綺麗。」

 さっきまでは圧倒されていたが、今は、圧巻されている。「あ!あのスマホ、僕のです。」

「とってきてみて。」

 まるで試すかのような口調だった。

「電源がついてる、」

 動画の再生ボタンがあった。

「六花さん動画が開かれてます。見てみませんか?」

「動画は良いけど、敬語はダメ。」

「ごめん。」

 そうして僕らは再生ボタンを押した。

 

『咲月見えてるか?』

 父さんと母さんが写っていた、それも場所はここだ。

『それと六花さんかな?居ると思うんだけど。』

「これは、未来視?」

「多分ね。」

『えっとね、時間ないからさっそく本題なんだけど、咲月が死んだのはね、怪異のせいなの。』

『怪異が取り憑いてたらしくて。だからこの【願い桜】〈ヤエベニシダレ〉に願い事を書いた。まっ、詳しくはその願い桜に聞いてくれ。』

『そうそう、咲月には八重って名前で生きてもらうから。』

「えっ?なんで!?」

『それは"佐倉咲月は死んだ"から。』

『じゃ!達者でな、ちなみに私達はしばらく顔出せないから。』

 

「なんだったんだ…」

「多分だけど、あんたを殺した怪異、相当強いよ。」

「なんでそんなのが、僕なんかに…」

「まぁ、とりあえず願い桜を調べてみましょう。さっきの動画によると、願ったみたいなこと言ってたし。」

 そうして僕達は願い桜を見渡した。

「ここ!あんたの名前書いてあるよ!」

「ホントだ。」

〚佐倉咲月は死ぬ、佐倉八重として生き返してほしい〛

〚佐倉八重になった彼に咲月という名前を覚えさせてあげてほしい〛

 と桜の幹に彫ってあった。

「なるほど、でっ今後どうすんの?咲月くん」

「八重です、佐倉八重です。僕は、佐倉八重として生きます。そして僕は、両親からもらったこの機会を無駄にしたくない。だから、だから、戦います。怪異と。それが両親が与えてくれた仕事だと思うから。」

「そう、なら願い桜に言って来なさい。」

「はい!」

(願い桜、君のことは知らないけど、僕に機会を与えてくれたことと、両親の願いを叶えてくれたこと、感謝します。)

〔そうか、ならば戦いと向き合う覚悟をしたのだな?〕

「はい!僕は戦います!自分とも向き合います!」

〔ならば良かろう!私の力を貸そう〕

 神秘的な桜と共に、暗い夜の結果は消えた。その代わりと言わんばかりに目の前にはらシンプルな刀が刺さっていた。

〔この刀は私自身だ、そしてお前自身でもある。どう使うかも、どう強くなるかもお前次第だ。〕

 もう、後戻りは出来ない。そんな気がした、いや後戻りなんてしないと、決意した。

 

 




 読んでくださりありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
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