NameLessSEED's -名無しの種子達-   作:マサンナナイ

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喰らって、産み、滅ぼす

そのために、それは産み出された

敵を喰らい、産み、次なる敵を喰らい、また産む

敵を滅ぼした後もそれは喰らい続け、産み続けた

わずかな時が流れ、全てを喰らい尽くした後も

それは産み続けた

敵もないままに産み出された兵器たちは

それのナカを彷徨って

ワケも無いのに争っている
 


名無しの種子達

 

「するってぇと、あれですかい?」

 

 歯ごたえは妙に硬いのに噛み砕くとシャクリと口の中でそんな音がするなんとも形容しがたい味のするエナジーバーっぽい何かに顔を顰めつつ、私は横倒しになったドラム缶に腰かけている錆び付いた機械の手足を纏う幼げな顔立ちの少女と向かい合う。

 

「アッシ等はそのネマさんとやらの使いッ走りとして生み出されたてぇわけだ」

「まぁ、大体そんな感じですね」

「なんともまぁ、そりゃ・・・難儀な事じゃありやせんかい」

 

 明るい茶色っぽいふんわりとした髪色とオレンジ色のリボンで短くまとめられたショートポニー、パッと見は可憐な乙女な容姿から吐き出される妙に時代がかかった言葉遣い。

 

「しかしまぁ、でっけえ大穴だこと・・・踏み外しゃぁ、どこまで落ちんですかねぇ」

 

 なんと言うか、時代劇の岡っ引きとか任侠道な方々ぐらいしか使わなそうな口調で喋る自分の同種としてこの場に存在している相手へと憂鬱な溜め息混じりの返事を返せば彼女の視線は不思議そうな表情でキョロキョロと周囲を見回す。

 

「確か、この下は・・・深層、ホントに何にも見えないぐらい真っ暗な場所だった筈ですが、多分無事に着地するのは無理だと思いますよ?」

「はん・・・この花火の吹き出るぶっとい脚と尻尾も存外頼りねぇですなぁ」

「まぁ、私達が付けてるコレってジャンク装備ですし」

 

 でこぼこザラザラとした今にもひび割れて穴どころかバラバラに分解しそうなジャンクパーツ、なんとなく触れてみたそれをガラクタなどと言ったものの、これが無ければ数十m先の闇の中にウジャウジャと存在している命の危機から自分の身を守る事すらできない。

 幸か不幸か手足の延長線に存在しているそれら、鎧殻と呼ばれるパワードスーツじみた兵器の動かし方は誰に教わる事もなく当たり前に扱える様だった。

 

 この奈落の底で目覚める(起動する)前の自分、銃どころか喧嘩事とすら縁の無かった日本で生きていた時の記憶とは裏腹に今の自分が握っている壊れかけのアサルトライフルは嫌なぐらい手に馴染み。

 

 一度もやった事が無いくせにその気になればスムーズに弾薬の補充が出来ると言う確信があった。

 

「はてさて、・・・何やら燥いで穴に落っちまった連中も戻って来ねぇようですし」

「やっぱり、ゲームじゃないって事なんですかね、は、はは・・・」

 

 高所から落下しても多少のダメージと引き換えに落ちる直前の足場へと帰還する、そんな都合の良い現象は今の自分達には起こってくれないらしい。

 

「そのげぇむ(・・・)だの、どぉるずねすと(・・・・・・・)だのってのにゃ、アッシは皆目見当も付きやせんが・・・こんな辛気臭ぇトコでくだ巻いてるだけじゃ二進(ニッチ)三進(サッチ)も行きゃぁせんでしょう」

 

 元々これと言う確証はない、見覚えのある風景とか変わり果てた自分の身体とか状況証拠的なモノの連続からの推測と言うあまりにも曖昧、それでも一通り自分が知っている事を目の前の彼女に伝えたわけだがそれでも危機感の欠片も感じさせない暢気さに毒気だけでなく身の内を委縮させていた怖れまでを抜かれてしまった様な気がしてくる。

 

「・・・ですね」

「では此処で一つ、アッシよりゃ学のありそうなお嬢に飯のタネでも教えていただきたく、何処に行きやしょうか?」

「お嬢は止めてくださいよ、今はこんな見た目ですが中身は男です」

 

 よっこいしょ、と錆び付いた鎧殻を起こしてからそこら辺に落ちてた鉄パイプを肩に担ぎこちらを見る美少女にしか見えない人形(戦闘機械)へと苦笑いを浮かべて肩を竦めて見せてから自分も機械の脚を軋ませて立ち上がった。

 

 煽てられても自分は考察班と言われる程に此処に詳しいわけではない、そもそもからして製作者の脳内にしかない情報が無数に存在してるだろうと仮定できる世界の表面に立たされているのだから何が起こっても不思議ではない。

 

「一歩目からして前提が崩れてるんだし、今更か」

 

 未練がましく自分が凭れ掛かる様に座っていた薄っすらと光っている金属で出来た太い樹木へと振り返り、自分達にとって最低限の命の保証だけはしてくれるオーバーテクノロジーの塊へとしばしの別れを心の中で呟く。

 

「どうかしましたかい?」

「いえ、とりあえず安全な拠点を確保しに行きましょう・・・一応の心当たりはあります」

「へへっ、そりゃ有り難い事で」

「あと、人手が欲しいですね、何人ぐらい協力してくれるかは分かりませんけど」

 

 ここまででパッと見ただけでも数十人、下手したら百人以上の同種が奈落の底と言っていい場所で戸惑いながらもワラワラと動き回っている様子が見え。

 

「たった一人でホドに挑むわけじゃない時点で、もうどうなるか分かったもんじゃないよ」

 

 つい独り言を漏らせば自分が機械の大樹に辿り着く前に通った坂道から顔を出す新顔と目が合い、つい軽く会釈をすれば相手も困惑しながら日本人特有の頭の後ろに手を当てる仕草をしつつお辞儀を返してくれた。

 

 

・・・

 

 

【悲報】種子デビューから十年経ちました【ええんか? お前ら?】

 Time-Record=5,256,810/minutes

 

1:名無しの種子

 今計算してみたがもう十年・・・十年ろくな進展が無いってどう言う事よ

 

2:名無しの種子

 ボスが、ボスがどこに居るのか分からないんです

 いるはずの場所にいないんですぅっ!

 

3:名無しの種子

 だったら菌域の害悪種子、どうにかしてクレメンス

 

4:名無しの種子

 正規ルートがどこにもないのが悪い

 原作で通った道が崩れ落ちてるとか塞がってるとかやってらんねー

 

5:名無しの種子

 マップ広過ギィ! んぁああ!!(発狂)

 いや、ホント今俺どこに居んの? 断層から滑り落ちて以来なんも分からん

 

6:名無しの種子

 普通に知らないニンフちゃん達が割と中層とかウロウロしてるし

 なのに居るはずのキャラはいないし、どういう事よ?

 

7:名無しの種子

 ・・・なぁ、小教会に住んでる種子さん

 

 シラス どこ行った?

 

8:名無しの種子

 ≫7 ・・・君のような勘の良い巡礼は嫌いだよ

 

9:名無しの種子

 ≫7 教会の女王樹「あああっ、私こそが新たなる子を授ける聖母にぃい♡」

 

10:名無しの種子

 教会の近くに寄る度にシラタマ要求してくるのマジでうざい

 

11:名無しの種子

 大断層には懸命に信仰に身を捧げて教会の再建に努力していたシスターから文字通り全てを奪った上に人の良さそうな聖職者を装ってシスターに産ませた子供達を私兵化してる悪徳種子の集団がいるらしいゾ

 

12:名無しの種子

 こわいなぁ、とずまりしとこ

 

13:名無しの種子

 ≫11 その教会組、ところかまわず毎日テロ起こしてる害悪種子と比べればマジで聖人だからな?

 

14:名無しの種子

 それはそうと宿代にハクジュ要求してくるの止めてくれません?

 いや、パンとスープの代金に白珠は暴利が過ぎんだろ

 

15:名無しの種子

 ≫14 しーらーたーまー!!

 

16:名無しの種子

 本当に善良な聖人は先住民を無理やりママにしたりしないんじゃないかなって

 

17:名無しの種子

 木にされた当事者は喜んでるし、良いんじゃない(目反らし)

 

18:名無しの種子

 ≫15 ええい、公式名称に従えシラタマ派めが!!

 

19:名無しの種子

 子作りがそんなに楽しいか、淫獣ニンフ共めっ!

 

 ・・・あ、今月の白珠っス、へへっ今回も一発頼みます

 

20:名無しの種子

 自由過ぎかよ

 

21:名無しの種子

 まぁ、このだだっ広いホドの中で十年もグダグダしてる連中やぞ、さもありなん

 でも、セルから人工肉を合成してのけた料理部の種子には足を向けて寝られんわ

 

22:名無しの種子

 下層は浸食ジャンキー種子もそうだけど敗残兵レキ親衛隊とか言うイミフ集団が聖智廟への最大の障害と化してる

 

23:名無しの種子

 ネマ様語って曰く「糸切れてるから自害させられないし、そのくせ機械根で復活するし、マジで何なのあいつら?」

 

24:名無しの種子

 お労しやネマ上

 

25:名無しの種子

 あーもー、無茶苦茶だよ

 

26:名無しの種子

 ≫24 ネマは黒〇牟じゃなくて〇惨だろ立ち位置的に

 

27:名無しの種子

 ワイらは人食い鬼だった・・・ってこと!?

 

28:名無しの種子

 人間・・・炭素生命体どこ・・・? ここ?

 

29:名無しの種子

 (人間はとっくに絶滅して存在して)ないです

 

30:名無しの種子

 ド、ドールズネストの外にはまだいるかもしれないし(震え声)

 

31:名無しの種子

 ぶっちゃけ、ワイらがネママのパーツ集めする必要ってあんの?

 

32:名無しの種子

 真面目に集めても「はい、ご苦労さんお前ら用無し、さっさと自害してね♪」されるだけだしなぁ

 

33:名無しの種子

 なんと某所で行われたアンケートの結果では驚くべき事に実に八割の種子が我らが主ネマに命じられた任務を放棄していると言うのです!

 ゆゆしき事態とは思いませんかアナタ方!

 

34:名無しの種子

 むしろ二割が真面目にネマパーツ集めの為に働いてる事の方が驚きだわ

 

35:名無しの種子

 カンリニンサンのグループとか今はホドの外へのルート探してるらしいしな

 

36:名無しの種子

 起動一年未満にしてザトウ1さんと一緒に中央大洞穴の一週目で入れない筈の隠し部屋を拠点にして、パソコン作ってーの、プログラム組んでーの、ネットワーク掲示板作りました、は偉業過ぎるんだよね

 

37:名無しの種子

 流石、元システムエンジニアだぁ・・・

 

38:名無しの種子

 カンリニンサン「サーバーヨシ! キーボードとかアンテナは自動機械から部品剥いで作れば良いですよね」

 ザトウ1サン「そいじゃまぁ、生きの良いの何匹か仕留めて来まさぁ」(主腕装備:鉄パイプ)

 コウサクブサン「基盤どころかCPUまで作れるとかcell万能すぎるだろっ! 反省しろ!」

 シャチクサン「はい、デバックします、納期には間に合わせます・・・え、仕様変更?」

 ダイクサン「ホドって全部cellの塊なんだろ? じゃあ、この壁とか分解して建材に使っちまおう」

 

39:名無しの種子

 はぁい、\テッテレー/ 種子通信ネットワーク!(CV:水田〇サビ)

 

40:名無しの種子

 そういや、俺達人間じゃなくて機械兵器だったわ、ってなった瞬間

 

41:名無しの種子

 そりゃ、頭ん中に通信システムぐらい搭載してるよねって言う

 

42:名無しの種子

 そこから敵味方識別に欺瞞情報噛ませて匂い偽装してガーディナの本拠地に潜り込むスネーク種子まで現れるとかどうなってんだよこのドールズネスト

 

43:名無しの種子

 スネーク「性欲を持て余す」

 

44:名無しの種子

 いきなり三本の新女王が誕生したせいで発生した中層最大の組織であるガーディナの大分裂事件

 

45:名無しの種子

 ガーディナ女王は娘達に殺されたけどホドには新陳代謝が必要だって窟帝様も言ってるし、へーきへーき

 

46:名無しの種子

 ≫43 こいつのせいで「主の廻る一部」が行方不明なんだよなぁ!

 せめて先に回収しとけよスネークぅ!!

 

47:名無しの種子

 まぢでどこに行ったんすかね、アレ

 

48:名無しの種子

 わからん、全然わからん

 

49:名無しの種子

 ホド攻略不可能なのもうバレバレ

 

50:名無しの種子

 リセットボタンどこ・・・?

 

51:名無しの種子

 俺達のいる此処はゲームじゃねぇんだ現実にニューゲームなんて都合の良いシステムは存在しねぇ

 

52:名無しの種子

 ↑なお、平均すると我々は一万四千回近く爆散して復活を繰り返している下手なゲームキャラより出鱈目な存在だと言う事を忘れてはならない

 

53:名無しの種子

 いっちまんよんせん!?

 

55:名無しの種子

 殺されて何が悪い! 爆散もせずに一人前になった種子がいるモノか!!

 

56:名無しの種子

 ≫52 それ禁域の浸食ジャンキーや同種狩りの害悪種子どもが殺害死亡回数の両方を爆上げさせてるだけやぞ

 

57:名無しの種子

 へぇ、お前イイ感じの鎧殻もってんじゃーん♡

 

58:名無しの種子

 そろそろ狩るか♠

 

59:名無しの種子

 ジャベリンありがとね!

 

60:名無しの種子

 ≫57 ≫58 普通に頼まれたら機械根でcellから作ってやるよ!?

 なんでいきなり襲い掛かってくんだよ! ちゃんと会話しろその口は飾りか!!

 

61:名無しの種子

 害悪種子と比べたらネマ様の為に頑張ってる無口ちゃんの善良さがもう身に染みて困る

 

62:名無しの種子

 でも、あの子誤射だったとしても一発でも攻撃かすったらガチで殺しに来るからコワい

 

63:名無しの種子

 瞳孔かっぴらいた目してギュルンって首がこっち向くよね、正直人間の反応じゃない

 

64:名無しの種子

 無口ちゃん(今撃った? 私の事撃った? じゃあ殺すね?)

 

65:名無しの種子

 やだ怖い…止めてください……アイアンマン!!

 

66:名無しの種子

 無口ちゃん、会話はしてくれないけどクッキーとかお菓子あげたら嬉しそうに食べてくれるのホントすこ

 

67:名無しの種子

 わかる。

 

68:名無しの種子

 あんな可愛い子が消滅するかもしれないネマ復活は絶対に阻止しないとな

 ワンチャン勝利に賭けるギャンブラーにはなれんのよ

 

69:名無しの種子

 無口ちゃんだけでなくアルカンド教団の新たなる革新にして真実の探求者であるハティもすこれ

 

70:名無しの種子

 なんで、聖智廟に誰も辿り着いていない筈なのに育房にギリー・ベル=サンがいるんですか?

 

71:名無しの種子

 スネークに故郷を大分裂させられたせいで唖然とする調査員ヨドちゃん、目は見えないけど匂いで敵味方を判断できるの偉いね♪

 おらっ! 匂い偽装! 偽装解除! 偽装!

 

72:名無しの種子

 俺は! いつまでも霧の刺客が来ない事に困惑するヴォーグ姐さんの隣で合成肉を焼く種子、スパイダー鎧殻!

 

73:名無しの種子

 スパイ行商人と脱走輜重兵の後をなんとなく尾行してたらいつの間にかキャラバンがデキあがってたぞい

 あと、おっきなぬいぐるみ型鞄を背負ったヨヨちゃんが物々交換にやってくるのが最近の密かな楽しみ

 

74:名無しの種子

 イーデンはなんかムカついたから荼毘に付したよ・・・

 

75:名無しの種子

 浄水槽でイーデン奇襲の為に有志を募ったら意外に多く種子が集まってきて驚いてたのは俺なんだよね

 

76:名無しの種子

 ご報告いたします! 伝説の近衛レームが浄水槽に現れました!

 

 飛んで逃げた!?

 

 逃げた!! 逃げた種子さん! レームが逃げた!!

 

 仮にも近衛隊が聖女置いて「主の謡う一部」持ち逃げしてんじゃねぇ!!

 

77:名無しの種子

 俺がホドにやってきてから十年経ちました

 初日で大洞穴の穴から転げ落ち、三重シャッターの向こうで出会った正体不明ちゃんのビームブレイドにぶった切られ続ける毎日

 

 なんで他の人達が誰も来ないんです?

 

 一緒に落下した奴らどうやって此処から脱出できたんだよ、俺を置いてくなよ!!

 

78:名無しの種子

 そもそも、なんで馬鹿正直にシャッター開けてんだよ

 

79:名無しの種子

 はー、つっかえ・・・十年も経ったのに何やってんだお前ら(呆れ)

 

80:名無しの種子

 

 ホドに平穏が有らんことを

 

 

 

・・・

 

 

 




 
色々と妄想は尽きないけれど、これ以上深入りすると蛇足になる

個人的には満足したから 俺達の満足はこれからだ! またホド周回に行ってきますね!

あと、設定的な矛盾とかあると思うけど「こまけぇ事は良いんだよ」の精神でお願いします

なにはともあれ

ドールズネスト、steamで好評発売中! 2160円と言う良心価格!

みんなもやろう!
 
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