NameLessSEED's -名無しの種子達-   作:マサンナナイ

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下層にニンフの()は無いのかって?

昔は結構たくさんあったみたい

ナガラとかは下層のあたりだったかな

いつだったか…異形が大量に発生したの

そのあたりで下層にあったコロニーは

ほとんど異形に飲まれたよ




探す種子達

 

 地獄への道は善意で舗装されている、とは誰の言葉だっただろうか。

 

 ――これから伝える事は私を含めた五人のスネーク以外ではアナタだけが知る事

 

 たった5人の種子達による謀によってガーディナと呼ばれるこの広大なホド(世界)でも一二を争う大勢力の女王(支配者)が他でもないその娘達(部下)に殺され、血脈と暴力によって維持されていた組織は驚くほど容易く崩壊し未曽有の内戦へと中層全域を突き落とした。

 

 さらに内乱の発生から間を置かず義勇兵あるいは傭兵として私の同種達(死なないニンフ)までもが戦争へと介入し、弱者救済を掲げ現地の小コロニーを保護し、もしくは正義感から純粋に混乱そのものを治める為に人道に悖る非道を討たんと、あるいは戦闘兵器として産まれた本能に従って更なる争いを求め。

 

 数え切れない鎧化兵(戦闘型ニンフ)がガーディナ分裂戦争の発生から一年経った今もなお消えない残火の中で延々と相争っている。

 

 しかし、ホドの下層のさらに下に広がる中央大洞穴に拠点を持つ私達にとって無関係である対岸の火事。

 

 表向きは私と蛇達との取引は誰の目にも触れる事が無かったから・・・しかし、目を背ける事は出来ない、自らが望んだ結果では無いなどと言い訳でしかないのだから。

 

 少し考えればそうなる事など予想できて当たり前だったと言うのに何一つ疑問にも思わずに私は自分の持ちうる技術と発想で編み上げた依頼通りの品を白い蛇へと渡してしまった。

 

 全ては後の祭り、数千のニンフが数万の銃火を交える戦乱に最初の火種を落とした犯人の一人となった私は乾いた風に身を任せる様に立ち尽くす。

 

 そして、彼女達を私に紹介したサトウさん曰く会う度に名を変えると言う小隊のリーダー、私に対しては【ジェーン・ドゥ】と名乗った白い鎧化兵が自嘲する様に苦笑いを浮かべる姿を思い出す。

 

 ――そうね・・・一言で言ってしまえば、このホドに生きるニンフを生き延びさせる為よ

 

  何故、こんな戦争を起こしたのか、その疑問に対するジェーン・ドゥからの答えは酷く短く、巻き起こされた結果だけを見れば到底信じられないモノだった。

 

 まさか、ガーディナが保管している主の躰の欠片を戦争と言う大混乱を利用する事で同種達の手に渡らない様にする為だとでも言うつもりだろうか。

 

 確かに私達がニンフとして産み出された理由にして使命である我らが主から奪われた躰の欠片、一つでも揃わなければ主たる【ネマ】は復活する事はない。

 ここで生きるニンフ達がホドと呼ぶ巨大な竪穴、その創造主である彼女の復活は私達にとって世界の終わり(ホドのリセット)を意味する。

 小を殺し大を救う事は私の記憶にある人間の世界でもごく当たり前に行われていた事だけれど、それにしたってガーディナの三人の鎧化兵を唆した白い蛇によって引き起こされた戦乱はあまりにも極端で規模が大きく。

 

 極論すれば誰にも必要とされていない無意味な行為にしか見えなかった。

 

 ――アナタのそれこそ(・・・・)が証明、ネマによって産み出された私達の歪さがこのホドが抱える最も重大な問題を見えなくしている

 

 ――もっとも責めるつもりなんか無いわ・・・自覚的にそれを理解できている同種なんて数えるほどでしょうし

 

 ――私ですら気付くまで遊び気分で楽しんでいたんだもの

 

 困惑する私へとその問題点を語り始めたジェーン・ドゥの声に耳を傾け、聞き入ってしまった後に待っていたのはどうしようもない焦燥と声も出せない程の喉の渇き。

 

 ――どれだけ先延ばしにしてもネマは復活する

 

 ――私達が手に入れた(・・・・・)【主の廻る一部】をどれだけ誰の手にも届かず目に触れない場所へと秘匿しても

 

 ――いつかはネマの元へと届く、他の二つも・・・何年、何十年掛かったとしても

 

 ホドにとって異物である私達が現れた時点でそれは決まってしまっていると呟く諦めに似た感情が見える苦笑に、その瞳の奥に宿る全く諦めてなどいない火を宿すニンフに気圧されて呻く声も出せずに私は蛇が語る暴露に立ち会う。

 

 ――アナタは気が付いている?

 ――ホドが、ドールズネストがその役割をとっくの昔に終えている事に

 

 喰らって、産み、滅ぼす・・・そのために、それは産み出された

 敵を喰らい、産み、次なる敵を喰らい、また産む

 敵を滅ぼした後もそれは喰い続け、産み続けた

 わずかに時が流れ、全てを喰らい(・・・・・・)尽くした後も(・・・・・・)それは産み続けた

 敵もないままに産み出された兵器たちは、それの胎内を彷徨って理由も無いのに相争っている

 

 白い蛇の指摘で他でもないドールズネストの化身である記憶の中にあるネマ本人が語った短い物語を思い出す。

 

 それが正しいとするならばホドの外に敵は存在しない、少なくともドールズネストの化身であるネマが感知できる範囲に彼女を脅かす危険性があると認識できるレベルの戦力を保持した存在(軍隊)は無い。

 それ故に外敵のいなくなった彼女にタイムリミットは存在しない、肉体的な死すら意味をなさず、いつか本体(ホド)へ接続できる(権限)さえ戻るなら同種達へとやる気の感じない大らかな声を掛けながら鷹揚に何百年でも待ち続けるだろう。

 

 ――私やアナタの様に消極的であるか、あの灰色の子の様に積極的であるか、自覚の有無の差はあれど皆同じ

 

 ――私達は生まれた時点からネマを『我が主』であると認識してしまっている

 

 ――育房にあるあの残骸を自らの『ご主人様』だ、とね

 

 本能的に種子は母樹を裏切る事が出来ないのだ、と。

 

 そんな事を言う白い蛇に私は人間だった頃の常識から「身命を賭してでも果たさねばならないなんていつの時代の主従関係なんだ」とバカバカしい冗談に笑いかけ、直後に「それの何が問題なのか、何もおかしい事など無いではないか」そう私の内側から答える自分が存在している事に気付いて背筋をゾッとさせた。

 

 ――だからネマが何もしなくても私達に刻まれた種子としての本能が、なによりこの人形の身体に入り込んだ記憶が終わりへの到達を加速させる

 

 ――美味しい食べ物なんて序の口、私達が各々持つ価値観、そのイデオロギーを形作る歴史や文化、宗教観ですらホドでは劇薬

 

 ――同種達が抱える記憶からcellを介して現実へと引きずり出されたそれらは必ずホドに生きるニンフの意識改革を齎す

 

 ――知ってしまった彼女達の欲望に消せない火が付くのはもう時間の問題だった

 

 訪れるのは大量生産と大量消費の社会、いかにcellが無限とも言える自己増殖と無数の性質変化と言う万能性を持っていたとしても種子だけでなくホドに産まれ生きる全てのニンフを同時に満たすにはちょっと考えただけでも難しいと分かる。

 

 新しいモノを欲しがるままに、より良いモノを乞われるがまま、良かれと思い教え、創り続ければ待つのは枯渇。

 

 ――死んでも終わらないからと言って、いつか生きる事に飽きる日が来たとしても

 

 ――あの高慢な残骸(・・)に情けを乞う様に終わりを願うみっともない(・・・・・・)結末なんて

 

 ――私は絶対に認めない

 

 今あるだけの異形の戦闘機械(野生動物)整備不良な自動工場(放置された田畑)から手に入る程度の資源(cell)はアッと言う間に尽きるだろう。

 

 だからこそ、かつての人間社会を支えた油田の様なモノが、鉱脈に代わるモノが・・・燃え広がり続ける文化と思想にくべ続けられる燃料の源が必要とされる。

 

 ――残念な事にかつての人間が無闇矢鱈に創り上げた多様性と言う名の無駄遣いを許容できる地盤が今の此処には存在しない

 

 ――無いから手に入れる必要があった、それであらゆるニンフの命と心を踏み躙る事になるとしても

 

 

 それこそが巨大な竪穴(ホド)のほぼ三分の一を占める中層領域、そこで権勢を誇っていた大勢力ガーディナがその巨体を維持する為に保有していた各地の大規模工場。

 ガーディナのニンフだけが独占していた古びた大型cell増殖炉は内乱状態となった事で分裂した各勢力により最大稼働を強いられ、現在進行形で大量の万能物質を吐き出し、それぞれの勢力に所属する技師型や普通型のニンフ達の手で必要な物へと加工されている。

 

 それだけならまだしもガーディナによって独占されていたニンフの手では再建造不可能だった物資生産メカニズム(ロストテクノロジー)は五人の蛇によってマトモなニンフとは異なる人間としての視点から構造を解析された上で大小問わず中層にある全ての勢力へと拡散。

 

 そして、スネークが介入する前にガーディナによって女王(母親)を殺された小コロニーの生き残り(復讐者)の手にまで品質はマチマチながら乱造されたcell増殖タンクが渡り、灰色の天井が見下ろす廃ビル群のあちこちから戦火と比べてもなお多く溢れんばかりのエネルギー発光が瞬く。

 

 加えてガーディナから派生した組織に忍び込んだ五人の蛇達は互いに連携し、(cell)が溜め込まれた狩場(コロニー)へと略奪部隊を送り込み、激戦にさらされ弱った洞穴(コロニー)には態とらしい忘れ物(救援物資)を残し、かつてのガーディナの様な独り勝ちを許さず。

 

 極めつけには戦いの匂いに惹かれた下層と上層からやってくる傭兵に美味そうな獲物(手強い新兵器群)を見せびらかし、否応なく広がる噂が目ざとい商人すらも戦火へ誘い込む。

 

 ――私達はcellと言う名の血液をホドの末端まで送り付ける

 

 ――かつての人類が歴史の中で編み出してきたありとあらゆる悪業を使って

 

 だから、とある物語(ゲーム)の中で愛国者と名付けられた血の通わぬ(AI仕掛けの)人非人(ひとでなし)達の様に。

 

 真実を虚構で覆い隠して、自身の同種である種子達だけでなくこれから新しい女王達が産み出すだろう数え切れない子供達の命を含めた多大な犠牲を強いるの、と。

 

 そう、中層領域を焼く(中層の命を犠牲に)戦火へ薪を(ドールズネストへ)くべ続ける(歪な延命を行う)と彼女は言い切った。

 

 ――いつか本当の意味での自由を勝ち取れると確信させてくれる者に結末を託す時が来るまで、ね

 

 そうして自己完結してしまった彼女に対して私が出来たのは「きっと酷く恨まれます・・・貴女達の存在そのものを否定されるぐらいに」と。

 

 もうその時点で・・・手遅れで無意味な言葉を言う事ぐらいだった。

 

 ――ふふ、あまり嬉しくは無いけれど

 ――この頭の中の自衛隊員だった記憶のおかげか、他人から罵倒を受けるのは馴れてるの

 

 そう言って、淡く光る尖った花弁が咲き誇る花畑からの去り際に彼女は・・・名無しの白蛇(ジェーン・ドゥ)は肩越しに一度だけ振り返り穏やかに微笑んだ。

 

 

『それに()はいつか、いらなくなるものでしょう?』

 

「お嬢、そんなとこで居眠りしてちゃぁ落っこちますぜ」

 

 

 断崖の下から吹き上がる風に前髪を揺らされて私はスネーク達から頼まれた依頼を完了した日から意識を今へと戻す。

 

「寝てなんかいませんよ・・・あと私はお嬢じゃありません」

「つっても、アンタさんがアジトで突っ立ったまま鼻提灯膨らませてたのは二度や三度じゃねぇからなぁ、ここまでの散歩道ですら何度すっ転んでたか」

 

 もう仏様だったとしても恥ずかしくて言い訳できやしないだろう、と揶揄う様に笑うのはショートポニーの金髪と縞模様の着流しの裾をふわりと風に揺らす軽装の鎧化兵、健康的な褐色肌の可憐な顔立ちに全く似合わない『サトウイチエモン』と言う名を名乗る私の友人が愉快そうに肩を震わせる。

 

「で、こんな殺風景で埃くせぇトコに何の用事があるってんですかい」

 

 そう言いながらサトウさんは砂漠化した足元の砂をザッザッとハイヒールの様に(機動外肢-Takamaの)尖った爪先で蹴とばしつつ斜めに傾いた廃ビルが凭れ合う廃墟から漂ってくる砂埃に小さく鼻を鳴らす。

 

「サトウさんは・・・スネークへ【ポプリ】や【ヴァルゴ】を提供しておいて中層の戦争と無関係な顔を装っている私を無責任だと思いますか?」

 

 かつてホドの創造主を弑逆したニンフ達の一人であり後に上層にて自分が排した女神(ネマ)を象徴とした中央教会を組織してニンフコロニー連邦国家であるアルカンドを造り上げた英雄と言っても過言ではない技師型ニンフが気が遠くなるレベルの試行錯誤を経て完成させた創造主の力・・・の不完全な複製品。

 

 ホド下層に広がる中央大洞穴の一室に放置されていたそれを手に入れた私達が解析し、分解し、改変し、紛れもなく天才であったイーデンが唯一持ちえなかった特殊性、女神(ネマ)が直接産み出した種子と言う希少存在が使用する事を前提に製造したコピーデバイスが何を引き起こしたかは最早説明の必要はないだろう。

 

「はんっ、しゃらくせぇ」

 

 別に責め立てて欲しいとは思ってなかったけれどまさか鼻で笑われるとは思ってなかった。

 

「んな下らねぇ事ウジウジ悩んで黄昏てぇからこんな辺鄙なトコまでってかぁ? なんとまぁご苦労さんなこって」

 

 確かに悶々と悩んでたし自罰的な気分にもなっていたけれど欠伸混じりの声と心底どうでも良さそうな顔で揶揄われるとちょっとイラっとする。

 

「そんな感傷でこんな浸食毒に犯された異形だらけの危険地帯に来るもんですかっ、やるとしてももっと安全な場所でします!」

「ほぅ、気色悪い赤蜘蛛だのハエ頭共に苦労させられたのが無駄骨にならなねぇようで何より何より」

 

 そして、ニッと嫌味っぽくない爽やかな笑みを浮かべるサトウさんにいつもの様に毒気を抜かれ、私は憂鬱な気分を胸から追い出す様に敢えて大き目に溜め息を吐き出した。

 

「自分の目で確かめたい事があったんです・・・人間だった頃にモニター越しにホドの内側を見た時から引っかかっていた疑問の答えを」

「で、そいつはハッキリしたんですかぃ?」

 

 その問いかけに小さく頷きを返してから改めて目の前の深く深く切り立った断崖絶壁へ視線を向け、その先に広がる気が遠くなりそうなぐらい深く抉れたホドの下層領域に広がる不自然な地形と私の足元にある崖から桟橋の様に突き出た幾つかの線路の残骸を見比べ。

 

 通る物が無くなって久しい錆び付いた線路、ゲームで見た時よりも本数が多く大型貨物列車でも通れそうな軌間の広いレールの間にしゃがんでかつてその先に繋がっていただろう何かを見る様な気分で目を眇めた。

 

「サトウさん、この線路の先に昔・・・ニンフのコロニーが存在していたと言ったら信じますか?」

「・・・そりゃぁ、どっからどこまでの事言ってんっです?」

「あくまでも推測になりますが、この線路の先からあの底に見える聖智廟を覆う鉄骨の群れまでの範囲・・・もしかしたらあのホドを支える大脊柱の根元まで鉄橋が繋がっていた可能性もあり得るんじゃないかと」

 

 そう言いながらサトウさんへと指し示す様に穴の底、方角的に考えてホド下層の最深部である【聖智廟】と思われる疎らな鉄骨の屋根に覆われた場所を指さしてから遥か遠くに聳え立つ私達がいる下層の天井と地面を繋ぐ大柱までの範囲に指先を滑らせる。

 

「は、はは・・・そいつぁ面白れぇ冗談だ」

 

 さっきまで私を揶揄い笑っていた顔が引き攣り、ペロリと指先を舐めたサトウさんが自分の眉を撫で付けている(眉唾話だと態度で示している)のを横目に私は絶対に自然に形作られる筈の無い不自然な地形へと視線を巡らせつつ推測と仮説を片手で自分の顎を撫でつつ組み立てていく。

 

「少なくともこの線路の先はあった筈なんです、私達がここに来るまでに倒してきた敵の数とは比べ物にならない、大量発生した異形の大攻勢に僅かでも抵抗できたニンフコロニーが、独自の鎧殻や武器の開発を可能とする工業力、そして、それを支える労働力を保持していた勢力が」

 

 きっと育房に佇むネマに聞けば語ってくれるだろう昔話、下層に存在してた全てのニンフの()が原因不明の異形機械の大量発生によって飲み込まれて全滅した時の事。

 もしかしたら今私達のいるここが降積地帯と呼ばれる前、確かに存在していたとあるコロニーがどんな姿をしていたのか超巨大なクレーターと化した現在からは想像する事すら出来ない。

 

「そのコロニーは異形の大群に飲み込まれる直前にそれまで自分達の住処に溜め込んできた全ての燃料弾薬、可燃物全てに着火して女王もろとも大爆発を起こしてホドから消滅したと言われています」

「はぁ~・・・それでこの大穴が出来たってんですかい? なんとまぁ、そりゃあ・・・剛毅な連中だ事で」

 

 とてもではないけれど人の手どころかニンフの力ですら造れるわけがないと言い切れる光景へと向けられる半信半疑な胡乱そうな目。

 

「でも、そのコロニーの最期にはもう一つ説があるんです」

 

 異形の大群に追い詰められたそのコロニーを中心に発生した大爆発、それは一匹でも多くの敵を道連れに死なば諸共となる為の自爆などでは無く。

 cellを分解した際に発生する熱塵エネルギーを推進力に変換する超大型推進機関によって自分達の住処と女王樹ごと下層から脱出しようと試みて・・・勢い余って階層を隔てる強固なプレートを貫通してさらにその上に存在する仮初の空まで穿って外の世界へと飛び出して行ったと言う御伽噺。

 

 普通に考えれば考慮の余地など存在しない馬鹿な妄想、妄言の類だろう。

 

「此処に実際に来て、見て・・・これは個人的な直感でしかありませんがその無謀極まる脱出劇が本当に起こったのではないか、と私は考えます」

 

 何故なら目の前に広がる光景には大爆発の後に残る筈のモノが無い、・・・自爆したコロニーの残骸だ。

 

 土地を消し飛ばすほどの大爆発で吹き飛んだ土砂、爆発の後に降り注いだ筈のガレキは何処に行った?

 

 たとえ大規模破壊によって土や建物を構成していたcellの分解が発生したとしても、全てが万能物質に戻るなんて事は無い。

 

 逆に全てがcellへと戻ったならここは今頃、超巨大クレーターを埋めてなお溢れる純粋cellの海になって無ければおかしい。

 

 もしくはそれを喰って育ち大増殖と異常発達を果たした異形が身動ぎする隙間も無く犇めくこの世の地獄になって無ければならない。

 

 なのに、下層どころかドールズネストそのものを内側から破裂させてお釣りがくるんじゃないかと思える大爆発の後に残った痕跡は廃ビルの谷間で堆積物を分解して育つ金属の花畑や他の階層より多少は異質な程度の生態系、そして、断崖絶壁から見える直径を計るのも気が遠くなりそうな大穴だけ。

 

 しかも推定でしかないが爆心地の真下、ニンフのコロニーの消滅に伴う爆風を直接浴びただろう聖智廟の天井を支えていたと思われる太い鉄骨は多少曲がっていても今も現存していると言うのだから変な笑いが漏れる。

 

「だから、私はそのコロニーがここから飛び立ったと・・・【ポロッカ】は出発(・・)に成功したのだと仮定します」

 

 ちょっと考えただけでも粗がある上に自分にとって都合の良い部分だけを切り取った推測を言い切って私は立ち上がり、線路の先に繋がる陸地を失った後も崩れる事も無く、切り取られた当時の形を維持している大断崖を背にサトウさんの方へと振り返る。

 

「それで、これからどうするってんですかい?」

「【ポロッカ】の足跡を追います・・・おそらく唯一、このドールズネストからの脱出を成功させた存在の痕跡を」

 

 私達が蟲毒の壺の底で無意味に殺し合い共食いをするだけのみっともない(・・・・・・)存在ではないと証明する為に。

 

・・・

 

【禁域】ドールズネスト攻略最前線 part114【決戦】

 Time-Record=5,541,919/minutes

 

1:名無しの種子

 ここはドールズネスト攻略組による最新情報共有スレッドです

 前回スレ見てない種子はまずこちら↓

thread/rog/DN-kouryaku-p113

新しく攻略に参加した種子は↓で現在の攻略進行度とかまず見てくるべし

document/DN-kouryaku

 

 

375:名無しの種子

 決着ゥッ!

 

376:名無しの種子

 つかれた・・・ほんとに、つかれた

 

377:名無しの種子

 眠れ敗残兵レキ、お前もまた強敵だった

 

378:名無しの種子

 灰色ット、お前がNo.1だ

 

379:名無しの種子

 ダニー、グレッグ生きてるかぁ!

 

380:名無しの種子

 なんだかかんだ結構生き残ってるな

 

381:名無しの種子

 ≫379 あ”ぁ”、なんとかなぁ!

 

382:名無しの種子

 うわ、下半身もげかけで喋ってる、キモ

 

383:名無しの種子

 ≫379 コッチだぁ、エチゼェン(機械根ナウ

 

384:名無しの種子

 ダニー死んでんじゃんよ

 

385:名無しの種子

 どうせみんないなくなる(レキハンマーで壁にめり込みナウ

 

386:名無しの種子

 ↑バカ野郎! どうしてそんな事を書いた!

 

 ところで・・・誰か修復剤余ってない?

 ジェネリックナガラ民共の示現流で達磨にされて動けない、タスケテタスケテ

 

387:名無しの種子

 敗残兵レキ親衛隊の情報交換スレ見つけたのが攻略の鍵でしたね

 

388:名無しの種子

 で、親衛隊どうするよ?

 

389:名無しの種子

 ↑なお書いてある暗号・・・にしか見えない鹿児島弁の解読に消費させられた時間

 

390:名無しの種子

 もうどうでもいいよ、レキ死んだら俺らの邪魔なんかしないだろ

 

391:名無しの種子

 制裁とか、なされないので?

 

392:名無しの種子

 (レキに加担してた害悪種子の)数が多すぎるっぴ!

 

393:名無しの種子

 こいつら、レキに元ナガラの仲間判定もらう為のポプリ持ってたし

 ・・・やっぱここでもスネークが暗躍してたんすねぇ

 

394:名無しの種子

 攻略組の前に立ちふさがる最大の障害、テロ種子の大元締め、何がやりてぇんだよアイツら

 

395:名無しの種子

 もうさぁ、スネーク先に潰そうぜ

 

396:名無しの種子

 軽く言うな、どのスネークがやったか分かんねぇんだから

 

396:名無しの種子

 下手なとこに喧嘩売ったら収拾が付かなくなって攻略どころじゃなくなんだよ

 

397:名無しの種子

 ボス部屋前の要塞化されたエリアで万歳語録で喋る傭兵ニンフいたしオルカのスネークじゃね?

 

398:名無しの種子

 ゲームならほぼほぼ一本道だった廃墟をRPGのダンジョンかよってレベルに改装すんのクソオブクソ

 

399:名無しの種子

 どのスネークって、スネークはスネークだろ

 

400:名無しの種子

 ↑情弱種子がよぉ

 

401:名無しの種子

 は~、ダイクサン達じゃなくてもホドの改築って出来んだなぁ・・・魔改造し過ぎだろよ、ふざけんなよ

 

402:名無しの種子

 ≫399 今分かってるだけで少なくとも三人いるんだよ、スネーク

 

403:名無しの種子

 ネタとしか思えなかったガーディナ基地潜入RTA動画を後から考察した結果

 動画に映ってる主役とそれを撮ってる撮影役と裏で監視カメラ潰してサポートしてる補助の少なくとも三人いたって事が分かったからな

 

404:名無しの種子

 しかもこいつら、同じ服と鎧殻ってだけじゃなく顔とか体型も同じ造形情報使ってるせいで見分けがつかねぇんだ

 

405:名無しの種子

 実際、中層攻略班の過去ログでもゴーシュカコロニーとルズコロニーで同じ時間に目撃されてるからスネーク複数説は確定

 

404:名無しの種子

 ≫404 かろうじて声質と喋り方に違いがあるから実際に会えば判別は可能ゾ

 会っちゃった後? 軍隊仕込みの技くらって死ゾ(無慈悲

 

 

 

777:名無しの種子

 大体こんなもんか後処理

 

778:名無しの種子

 これからどうするよ?

 

779:名無しの種子

 残ってるのは中層とアルカンドと聖智廟と深層の右目か

 全部じゃん・・・攻略遅すぎて嫌になってくるわ

 

780:名無しの種子

 アルカンドってイーデン死んでるけど、謡う一部どうなってんだっけ?

 

781:名無しの種子

 謡う一部持ってる近衛隊が浄水層中逃げ回ってる

 んで、アルカンドの攻略班と毎日追いかけっこよ

 

782:名無しの種子

 サボり種子がいつレーム捕まえられるか賭けしてるのホントムカつく

 

783:名無しの種子

 ↑やる気がないヤツはほっとけ

 

784:名無しの種子

 打ち上げどこでやってんだっけ?

 私、スパイダー&ヴォーグの焼肉屋だったら嬉しいんだけど

 

785:名無しの種子

 打ち上げ、無口ちゃん行ってないみたいだしアタシもう帰って寝る、疲れた

 

786:名無しの種子

 ≫784 下層の大倉庫の中華飯店、参加するなら会費ちゃんと払えよ

 てか誰だよ浸食エキス持ってきたの飲むなってそんな危ないもん、何が大吟醸だよバカがよ

 

787:名無しの種子

 先に深層いく?

 カンリニンサンに偽装コード借りて聖智廟開ける?

 

788:名無しの種子

 そういや、カンリニンサン達って今何してんの?

 

789:名無しの種子

 依頼したら攻略に使えるデバイスとか色々作ってくれるけど、直接戦力にはなってくんないよねあの人達

 

790:名無しの種子

 確か、何年か前からポロッカ探してる

 

791:名無しの種子

 ポロッカ・・・イズ 何?

 え、本当に何?

 

792:名無しの種子

 何それ? 外人? 歌?

 

793:名無しの種子

 ポロロッカなら知ってるアマゾンで売ってる何かだった筈

 

794:名無しの種子

 ↑売ってるわけねぇだろが!

 

795:名無しの種子

 ポロロッカ(Pororoca)は、潮の干満によって起こるアマゾン川を逆流する潮流[1]。いわゆる海嘯のこと[1]。ポロロッカの名称は、トゥピ語で「大騒音」を意味するオノマトペのpororó-káからきている[1]。

 

 やっぱ、昔見たwikiを脳内からそのまま貼れるの便利だわぁ

 

796:名無しの種子

 うんっ! カンリニンサンが探してるのとは関係ないな!

 

797:名無しの種子

 あー、なんか鎧殻とか武器の生産コロニーにそんな名前のがあった記憶が・・・なんだっけ

 

798:名無しの種子

 ポロッカって公式トンチキコロニーじゃん

 

799:名無しの種子

 え、もしかしてあのバカ話本気で追いかけてんのカンリニンサン

 

800:名無しの種子

thread/rog/procca-explore-No.88

 

 検索したらヒットした、マジでやってるwww

 

801:名無しの種子

 ポロッカはホントにあったんだってかwww

 

802:名無しの種子

 やっぱ、真面目にやってんのオレ達だけなんだなぁ(クソデカ溜め息

 

 




 
とあるドールズネストのssでアンケートが行われてたんですよ

軽い気持ちで答えてから次の投稿を楽しみに待ってたら・・・待ちに待った次話で

『アンケートに答えた人ら全員そのコロニー題材でSS書いてみない?』

とか言う不意打ち喰らったわけですよ!

だから、私はこんな捏造設定を大真面目に考えなきゃならなくなったっ・・・!


もう全部、ファ〇ラーのニンフが悪い(責任転嫁)

 
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