INFINITE STRATOS-SEED-盾無き勇者 作:INUv3
臨海学校2日目の朝となった
今日は一日中遊べた昨日とは違い
専用機持ちは、ほぼ確実になるらしいが
午前中から休憩を除いた場合となれば
夜まで丸一日はISの各種新装備試験運用と
データ取りに追われるらしい…
先程、移動中に織斑先生から聞いた
まぁ、俺の場合はシグーの武装の確認が
終わったタイミングで切り上げとなり
他の専用機持ち以外の子達の練習に
付き合う事になっているから良いが
一夏は他の専用機メンバーに付き合う
つまり戦闘訓練なり何なりをやるよう
織斑先生が手配しているらしい
身内なりの甘さだろうがお世辞にも
戦闘技術は他の代表候補生以下だからな
今は天性の戦闘センスだけで勝つという
状態で戦っているため勝率は低過ぎる
打鉄を使う篠ノ之と五分五分では
第三世代IS、それも最新型を使う者として
低過ぎる戦績はIS委員会から苦情が来ているらしい
何でも『男とは言え織斑千冬の弟なのだから代表候補生以上にはなってもらわねば示しがつかないとか』
俺から言わせればナンセンスな苦情だ
幾ら最強の弟とは言え中身は織斑 一夏という
1人の人間なのだ、血の繋がりこそあれど
別人に織斑千冬となれ等、愚の骨頂である
だが、それを指摘出来るほどの人材は
委員会内部には居なかったようだ
女尊男卑も極まれば中々の物だな
「そう言えば、今の所、クラス代表選抜戦以外で何か催し事が起きればよく分からん襲撃や事件に巻き込まれたりするが…流石に今回は何もないだろう」
さて、あまり付けたくは無いが
この、何処でもラウ・ル・クルーゼである
くっそヘンテコなマスクという名の
ISの待機形態を目元に装着してやり
鏡に映る自分を見て思うが
「…絶妙に似合ってないな…俺」
いや、うん、壊滅的に似合っていないな
コレは隊長だからこそ着こなせるのだな
…思えば、あの人、何処で買ってたんだコレ
もしかしてオーダーメイド品だったのか?
とりあえず、付けないでおこう
《he》
さて、今現在、この臨海学校に集った
一学年全員の中に専用機持ちは6人
一夏、俺、オルコット
鈴音、デュノア、ラウラの6人だ。
本当はもう一人いるらしいと聞いたが
専用機開発が滞ってしまったらしく
開発の為に臨海学校には来ていないらしい
何でも一夏の白式開発に人員が割かれ
少人数開発となった為、納期に間に合わず
その子を合わせて何とか二学期までに
開発が終わるかどうかの瀬戸際らしい
まぁ、俺にとっては関係性が無い為
何とも言えないが…それで良いのか日本
「くぁぁぁ…はぁ、とは言え、他の専用機持ちは織斑先生と入江に行ったらしいが、俺の場合は昨日の段階で届いていたらしいアサルトシュラウドを受領する所からだがな」
何でも俺が砂浜で寝ていた時間帯程度に
ドイツの方から送られてきたらしいが
俺の代わりとしてラウラが引き受けたらしい
何でもラウラの部隊、シュヴァルツェ・ハーゼの
副隊長直々に護衛輸送を請け負ったらしい
まぁ、それならば良いんだが計40ページにもなる
謝罪文は流石に読む事が億劫になりかけたぞ
まぁ、きちんと読むから寝不足なんだがな
やはりビーム兵器のノウハウも無い事を考えると
イージスをISに作り直す構想は無謀である事
国家予算を食い尽くしても作れるかどうか
非現実的な制作時間も必須と言うこともあり
この構想を無期限凍結する事を深く詫びるや
資金が足りない場合は援助する等の事や
ドイツへの留学をする場合は全額あちらが持つ等
この項目以外でも手厚く歓迎し出来る限りを
総力を持って取り組んでくれた事が伺えた
織斑先生を始めとする日本の皆には悪いが
短期でも留学をしてみたいと思ってしまったよ
とは言え、それは2年生以降にて考えておこう
今はアサルトシュラウドがどうなったかを
確認したい…頼む、
「あの兵装は隊長とイザークですら眉を顰めた武装なんだ…!誰が被弾しやすい防御兵装に被弾=誘爆の危険性がある武器を搭載したいと思うか!?」
あれこれ思うがアサルトシュラウドが安置されてある
格納庫まで歩きながら、網膜に映るシグーを見る
俺の記憶にあるシグーとは打って変わって
アサルトシュラウドへの換装を考慮した為
機体各部に多数の小型バーニアを増設し
軽量化とダウンサイジングに加え頭部アーマー
つまりヘルム部分はデザインを変更され
何故かイージスやストライクの様な
ツインアイ形式の複眼仕様に変更されていた
勿論、頭部にはガンダム顔らしいV時アンテナは
無いとはいえ、両耳部にアンテナが存在している為
傍から見れば灰色のガンダムにしか見えないが
中身はシグー程度と考えた場合、結構、微妙である
なんなら、バッテリー機だからZGMF-Xシリーズに
乗り慣れた俺としては継戦能力が心配になるが
PS装甲では無いから大丈夫だろうか?
「っと…このコンテナか…え〜っと中身は重突撃機銃、無反動砲に手持ち式のレールガンか、で、この下に…あぁぁぁぁぁ…」
やっぱりかよ!
やはりアサルトシュラウドにはバルカンシステム内装防盾
つまり、盾ガトリング砲が内蔵されていた…!
確かに多対一の場面では優位に事を進めれるが
誘爆等の危険性を考えた場合は冗談ではない!
とは言え、使わなければ内蔵兵装が0のシグーでは
無くてはならないのも事実なんだよなぁ…
「まぁ、実弾兵装ばかりになってしまったから一夏は俺相手では更にキツくなってしまったな」
思い出すのは数日前、アサルトシュラウドも無く
武装幅も少なかったが、それでも専用機を
持っている事もあり一夏の特訓に付き合った時
模擬戦をしてみたいと一夏から提案されてな
勿論、シグーの操作感覚を試したい事もあり
承諾したまでは良いが、実戦で鍛えられた
俺とは戦闘経験の差が着いていたのだろう
ほぼ一方的な試合となり続けたんだよな…
流石に双剣を使い縦横無尽に絶え間ない攻撃
更に言うならばイージスの物騒な足ソードが
消えた、足癖の悪い俺との相手となるとだな
零落白夜をここぞとしか使えない一夏にとって
相性が本当に悪かったとしか言えない結果だ
「さて、さっさと終わらせて各武装と動作性の確認をしなければ」
そう思い、アサルトシュラウドとの接合や
各間接部位の動作確認、エネルギーケーブルの
接触確認等を済ませて行くと何やら不穏な気配
いや、うん、率直に言うならば面倒事が来る予感を
感じ取った為、即座にOSインストールに移行する
流石にOSまで作成する余裕はドイツには無い事を
事前に考慮しコツコツと組み上げておいて良かった
ありがとうアスランの友人君、君のお陰で俺は
OSを組み上げる程度の技術力を手に入れられた為
この世界でも何とか生きていけそうだ。
…出来る事ならば、このマスクと共に解除された
シグーとは違った存在……を使わない事を祈りながら
そうして急いでインストールしたOSが入り
何とか落ち着いた頃、やはり事件と言うべきか
厄介事が舞い降りて来た、そう、織斑先生からの
個人秘匿回線だ、嫌だなぁ、出たくないなぁ…
だが、出てしまうのが元軍人の性なんだよな
「はい、コチラ、アーラン・ドノミコス、織斑先生ですね?要件をお聞きします。」
『ドノミコス、悪いが直ぐさま今送られた座標のある部屋に来てくれ、厄介事も厄介事、最重要案件だ』
「了解、即座に行動します。」
俺は直ぐに展開してあるシグーASを
ポケットにしまい込んでから送られた座標を確認後
旅館に向かって全力で向かっていく
座標のある部屋、大きさ的に小宴会場に来たが
そこはSF作品に出て来るような作戦部屋なのだろう
中央にはホログラム型のモニターがあり周辺には
様々な機器が置かれ複数ある端末にはオペレーターが
付いて何かのやり取りをしていた。
ここは旅館だが最新のIS装備の試験を行う場所兼
学園懇意の場なだけあって設備が充実している
1人場違いな奴が居るのだけが不安だが…
まぁ、到着したならばキチンと敬礼せねばな
「遅れました、アーラン・ドノミコス、只今、現着致しました」
「揃ったな、では状況を説明する、現在より二時間前、ハワイ沖にて試験稼働中であった、アメリカとイスラエル2ヶ国にて共同開発に当たっていた第三世代型のIS【
織斑先生は眉間を抑えながらも顔を変えず
溜息を吐きたいだろう感情すら抑え込み
俺達に向けて通達を続けた
「そして、学園上層部及びIS委員会の通達により我々、教員と生徒がこの事態に対処する事になった。教員は訓練機を使用し空域、海域の完全封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちである、お前達に担当してもらう事となった」
「え!?」 「なっ!?」
「「「「…!」」」」
まさかとは思ったが、何故そうなるのか
上は余程、暴走したISを舐め腐っているか
もしくは何らかの外的要因による決定か…
暴走した兵器をド素人を含んだ学生程度に
破壊、もしくは、捕獲を依頼するなど正気とは
思えぬ決断だ、巫山戯すぎているぞ
はぁ…何故いつも、こうなるのだろうか?
「では説明は以上だ。これから作戦を練る、意見があるものは即、挙手するように」
「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」
「分かった、しかし機密故に絶対に口外をしないように、もし情報が漏洩した場合、諸君らは国際査問委員会による裁判と最低二年間の国際的な監視が義務付けられる」
「了解しましたわ」
「よし、では山田先生、お願いします」
山田先生がコンピューターを操作し
部屋の中央に設置された透明ディスプレイへ
福音だかの情報を送ろうとする前、つまり
情報を目にしてしまう前に俺は挙手した。
「織斑先生、私的になりますが、俺から確認事項が存在した為申します、そのISは有人ですか?無人ですか?」
「無論、有人だ」
「なるほど…では、織斑 一夏の出撃は無しの方が遥かに任務遂行しやすい、彼の退出を進言します。」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
何故、一夏と箒は驚く事に妥当だと思うが
代表候補専用機組、お前らァ…それは無いだろ
確か、代表候補は相応の教育をされると聞いたが
それでも一夏が参戦する事に驚くのは無いだろ…
「ほぉ…詳細なスペックも聞いていない状態で、その結論に至ったか、では、一応理由を聞こうか?」
「無人機ならば人命なぞ存在せず零落白夜を振るえますが、有人となった場合、実戦経験も浅く骨の髄まで甘い織斑では土壇場で必ず剣先が鈍り撃墜、又は、捕縛が100%不可能となるからです、俺にイージスが有れば或いは…そう思っていますが無いもの強請りは出来ません、もし聞かせたとしても代表候補4人のバックアップ、もしくは代表候補4人を軸とした織斑が失敗した場合のサブプラン程度に考えています。」
「うっ…まぁ、うん、そうだな」
「確かに一夏なら必ず剣先は鈍るわ、甘ちゃんだから、そりゃそうね」
「未だに私達にすら全力で振っては来ませんものね」
「うん、付き合いは短いけど僕でも思う」
「そうだな、私でも思う」
俺がそう言うと一夏は苦笑しながら頷く
簡単だが脳内シュミレートが出来たのだろう
自身がもし戦えば必ず剣先が鈍ってしまう
そう結論が出たのだろうな、成長したな、一夏
だが、俺の結論に文句がある奴は居たようだ
「そのような訳があるか!一夏はそんなに軟な男じゃない!貴様は何時もそうだ一夏に対して諭すように嘘をつき下がらせようとする!貴様こそ怖気付いたが自身のプライドを守る為に一夏を出ていかせ、男は出られない等の口実を作るつもりだろう!?」
「篠ノ之、文句は受け付けん、黙っていろ。それと最後まで話を聞いてから反論は待て」
「待たない!常々思っていたのだ!一夏が頑張っている隙をお前は何時も木陰からコソコソと動き、決定打を与える時だけ現れ一夏の戦果を奪う!そんな怖気付き誰かを餌にして勝ち星を得る奴は一夏に不適切だと!お前こそ、この場に不適切だ、出ていけ!」
はぁ…駄目だな、話が通じん…言葉通り出るか
まぁ、俺程度が居ても上手く行くとは思えん
一夏と共にサブプランかバックアップに出られるよう
このまま部屋を出て準備はしておくとするか…
「織斑先生、どうやら篠ノ之は俺との作戦会議は不可能だと判断したようです、という訳で俺は退出しますので作戦が決まり次第通達を、では」
「あぁ、退出を許可する、作戦が終了するまでの間は自室での待機となる。お前には苦労を掛けているからな今回は休め」
俺は何かを言おうとする箒を放置し
一夏の方に向かってから小声でアドバイス
いや、どちらかと言えば忠告をしてやる
「任務遂行が不可能でも追撃などせずに、必ず生きて帰ってこい」
「え?」
「ではな」
これ以上は流石に一夏の無駄な思考になると
判断したからな、という訳で部屋から出た後
さっさと自身の部屋にまで向かっていく
作戦は取り返しの付かない失敗となった
作戦は一夏の零落白夜を使用した一撃離脱戦法
その脚として使われたのは篠ノ之なのだが
何と、俺がアサルトシュラウドを受領している
その間にISの生みの親でありながら国際指名手配犯
篠ノ之 束から直接専用機として未だに前例の無い
第4世代ISを直接手渡されていたようでな
その機体性能を活かしたようだが一夏を信用せず
単騎突撃を敢行し、一夏はそれのフォローに
回るという最初の作戦とは?状態だったが
周りを見ていたからだろうな、一夏は
作戦区域にいた密漁船を庇い重傷を負った
箒によって救助され、そのまま帰還
その時点で既に意識は無く、全身火傷に加え
出血量も合わさり危機的状況となったのだが
織斑先生による即座の判断によって何とか命は
繋げれたが、如何せん意識不明だからな。
そして箒は、そんな状態になった一夏を見た時
自身の誤ちに気付いたのか今は一夏に縋り付き
マトモに戦力にならなくなったという訳だ
そんな状態で代表候補生及び篠ノ之 箒は待機となり
全員が、それぞれの部屋に居る中、俺はと言うと
「ドノミコス…また、お前に迷惑を掛ける事になる」
「いえ、お気になさらず、コレでも元と言え軍人ですので」
「それでもだ、今は大事な一生徒であり教え子だ…すまないが今回は命も掛けてもらう可能性が増えた、教師として不甲斐ない限りだ…っ!」
織斑先生と共に砂浜で並んでいる
そう俺の単独出撃だ、確かに頭数は欲しいが
代表候補の4人が居ては射線管理等を考慮し
満足の行く戦闘機動を行えない事もそうだが
多人数ではヘイト管理と撤退判断が難しいからな
そう結論付けた為、織斑先生に直接連絡し
こうして無理を通してもらったという訳だ
「銀の福音の詳細なデータは見せた通りだが…撃墜まで行けそうか?」
「さぁ、分かりません、イージスの様なビーム兵器は無い事も考慮して…4割でしょうか」
「そうか、分かった、では生きて帰れ。コレは願いではない命令だ」
「了解しました、では時間ですね、行ってきます。」
さて、俺が行うのは福音の撃破では無い
今回行うのは自衛隊やアメリカ軍のIS部隊が到着するまで
此方に低速とは言え接近し続けている福音の誘導
もしくは撃退であるのだが、やはり性能の劣るシグー
それもビームライフルすら持っていないとなれば
話は別、言うなればメビウス・ゼロ戦を思い出すな
あの鷹は最終的に落とす事は不可能だったとは言え
長くは使えない状態まで持っていけたのが幸いしたのか
二度目は無かったな、とは言えだ、鷹がストライクに
乗ってきた時はその才能を羨ましいと感じたよ。
さて、話は逸れたが、やる事は単純だ…
「アーラン・ドノミコス、シグーアサルトシュラウド・カスタム…出るぞ!」
長距離移動の為、プロペラントタンクを増設した
シグーのバーニアが一気に青い炎を吐き出すと
同時に機体各部に接続されていた充電ケーブルが
外され一気に夜の大空へと飛び立っていく
今回のアサルトシュラウドは余程の事が無い限り
ビーム一発は耐える設計となっているシールドが
無いため、甘えた動きが出来ないからな
そう思うと、辛いものがあると言えるが
さて、うだうだ考えていれば既に目標との接敵まで
数秒と言った所か…さぁ、楽に終わらせてくれよ
「Encounter!」
接敵と同時にバルカンシステム内装防盾を浴びせる
そのまま、拡張領域から取り出した無反動砲を撃ち込むが
それでも、やはり耐えられたとなれば話は別となる
目標から大量のエネルギー弾が放たれ、誘導し爆発する。
それを死ぬ程叩き込まれ無意識に使えるMS戦機動で
潜り抜けて行く、この程度を捌けねば死ねる修羅場を
何回も経験しているからな、朝飯前という物よ
だが無茶な軌道を描けば描くほど、機体は脆くなる
今のでさえ、旧型のジンではバーニアが焼き付いただろう
だがシグーは、この程度の操作に耐えてくれるのでな!
弾幕の中を突っ切りながら両腰部から抜き出した
重斬刀を構え、片方を逆手にしながら回転斬りをかますが
掠ったのみか…機動力では遥かに負けているな
バーニアを無理に動かした為、掛かるGに身体が軋む
「チッ…このまま落ちてくれるならば楽だと言うのものを!」
回し蹴りで相手を押しやってやる、距離を取られれば
コチラの方が不利になるとはいえ決定打が薄いシグーで
此奴を落とせると言う傲慢な考えなんて持っていない
やるのは単純、撤退させるという行為のみ!
即座に重斬刀をしまい手持ち式レールガン シヴァを持つ
現状出せる最高貫通能力を持つ武装ではあるが段数は無い
慎重に使い道を考えねばならないが動きが早い
アサルトシュラウド・カスタムであるから速度は早いが
それは単に直線速度の速さであり旋回性は変わらん
なら、潮時だな
「福音、お前は距離を詰めすぎた様だな?」
即座にプロペラントタンクを切り離しながらバク転しつつ
シヴァを放ちながら拡張領域から取り出した重突撃機銃を
撃ち込んで行くとプロペラントタンクをモロに受け止めた
福音ごと爆散させながら撤退の為、バーニアを吹かし
さっさと撤退していく、後ろから追ってくる反応が無い事と
広域MAPでは福音が旅館行きへのルートを逸れてくれた為
何とか息を吐き出せた…
「あぁ"〜…本当に疲れたぁ"ッ」
良く見えてなかったが、シグー本体も相当エネルギー弾が
掠っていたのか盾を含め相当数の弾痕が残っている
シールドエネルギーも結構持っていかれているとなれば
やはり追撃の選択を取らなかった事は間違いではない
とは言えイージスの頃から存在したプロペラントタンク
それを1本とは言え使用してしまったのは痛いな
シグー単体では必ず燃料切れで長距離移動は無理なんだが…
はぁ、本当に自身の後先考え無い性格を直したい
「考え無しに使ってしまった事は反省点だな…」
福音と交戦後、撃退を成功させてから一時間程
領空から索敵をしながらの帰投の為、疲れた…
既に出撃した夕の日は光を潜め夜となっている
とは言え、何とか旅館近くの浜辺に戻って来たが
旅館や周辺は特に変わった様子はないという事は
代表候補達は皆、大人しく待機しているんだな
良かった良かった、コレで敵討ちじゃー!等と
動いていたならば、トンボ帰りよろしく
となっていた可能性が高いからな…
「はぁ…本当に嫌になる」
この世界に来てから痛感する事は多々ある
その中でも俺を蝕むように感じさせるのは
赤黒く染ったと感じてしまう両手だろう
望んだ訳では無い…なんて言う訳では無いが
この戦闘技術は実戦にて掴んだ技術であり
赤黒く染った理由はそれ程多くの命を奪った
証でもあるのだ…喜べる訳がないじゃないか…
戦場という環境がそうさせた、軍人だからこそ
手が染ったのは祖国を守ったから誇りである…
そんな事を何度も反芻するが、効く訳が無い
これは逃げであり、精神的に弱い証だからだ
あの人のように全てに絶望出来るわけでも無く
人類に可能性を見いだせている訳でもない
どこまでも中途半端で、実にみすぼらしいのが
"俺"という男の存在証明なのだろう
シグーを解除し汗にまみれたヘルメットを脱ぎ捨て
砂浜だというのに疲れを隠せず横たわる滑稽さ
最近はマトモに鍛錬もしていないからな
そりゃ、スタミナが無いわけだ…
だが、操縦の腕だけは落ちないんだな
「あぁ、わかっている、分かっているさ…逃げられないなんて事は分かりきっている」
泣き言なんて言ってはられない
軍人たるものいざと言う時戦えねば意味が無いのだ
俺は軍人以外の生き方なんて知らない男なんだ
それが軍人という矜持すら捨てたら何が残る?
…ただの殺人鬼という側面だけだ
そこに"アレ"を使う事となれば…相応の覚悟は
持たねばならないが、果たして出番なんてあるか?
俺は無いことを祈るよ、じゃないと…
「さて、休憩は終わりだ、織斑先生の所に行かなければな…」
立ち上がり投げ捨てたヘルメットを拾い
旅館までの道を行こうと歩き出した時
視界が酩酊し、喉から突然咳き込んだ為
何故かと思い抑えた手の平を見てみると…
「あぁ…なるほど、それはそうか軍人として鍛え上げられた肉体だからこそ俺はあの時の…リジェネレイトの特別な機動を可能としていたのだから、今の技術のみにかまけ腑抜けた肉体で無茶をすれば相応の対価は必要にはなるよな…」
不味いことをしてしまったと後悔するのは
やはり遅過ぎる位が人間らしいのだろう
何とか歩いて旅館の近くまで行けたは良いが
目の前に暖かな光と織斑先生らを見たから
心底安心してしまったのだろう…
軍人らしくもなく、そのまま意識を手放したよ
本当に…この世界に来てから軍人らしい行動なんて
一度も出来ないままじゃないか…俺は、屑だ
あの夜から時は経ち、完全に光が沈んだ月夜。
何時の間に運ばれたのだろう、自室の中
布団の上に安置されていたのだろうな
身体の節々から痛みを感じるものの動ける為
身体を持ち上げていくと分かった事がある
何時も通り、俺は死ななかった事は既に良い
だが問題は内臓の一部が酷く痛む所だ
つまり、まぁ…そういう事なのだろうな
全治は何週間になるかな、等と考えていれば
窓から吹く風が緩やかだが綺麗に風鈴を鳴らす。
リンと鳴る音色は夏の季節を感じさせる風流と共に
静けさと冷気を迎え入れ部屋を爽やかに満たす。
その静けさに身を任せ、もう一度寝る事も考えたが
胸騒ぎ…と言うには爽やか過ぎる感覚から目を背けず
導かれるように部屋を出る、身体の一部に包帯が巻かれ
身体を動かす度に軋む感覚に蝕まれるが動ける為
壁を支えに歩いていく…旅館を出て、道を歩いていき
砂浜に出た所、そこには頭部に包帯を巻きながら
IS学園の制服を着た1年生…それも男が居た
まぁ、俺以外の男子生徒となれば1人しかいない
「一夏、どうした?こんなところに、なんて、柄でも無いな…アレだけの怪我を受け運が少しでも悪ければ死んでいた程の死に急ぎ野郎が行くのか?」
「あぁ、アーラン、まぁ…うん、隠し事は出来ないよな、いや、俺には、そこまでの力は無いだろうけど、それでも俺がいかなきゃ、他の誰かが苦しむかもしれないし…アレだけ強くて目標でもあり親友のアーランでさえ苦しんだんだぜ?そんなの指をくわえて見てられないからな、俺、行くよ」
「ん、そうか分かった、それとそこまで卑下するな、お前は確かに強くは無いが俺はほら…少しおかしいだけだからな、成長曲線で言えば、お前の成長速度は凄いんだ、それに二度目の実戦なら慢心なんてしないだろう?なら俺はお前を行かせるし、俺は見ての通り治っていないから行けない、なら全部お前に託す、だから行くなら置いていけ、俺を気にするな」
「ははっ…本当にアーランには敵わないな…分かった、じゃあ…セシリアや鈴にシャルやラウラ…箒の事は俺が護りに行くからさ、先生や皆の事を頼んだ」
「ふっ、お前が何とかすれば終わる話だ、俺に楽をさせてくれ」
2人揃って笑い合う、まるで他愛ない会話をするように
一夏に向けて激励する。今、何もできない俺の分まで。
だから後顧の憂いを絶たせて行かせる、任せろと
「だから、行け、行っちまえ、皆を護るために飛んで行け、そして帰ってこい…無事に全員で」
「…あぁ、分かった、帰ってくるさ絶対ツ!」
俺の言葉を受け取った一夏はISを…
新しくなったのだろう白式を展開し飛んでいく
皆守ると断言した姿は勇者以外の何物でもなかった。
蛮勇では無い、英雄的思考では無い、正に勇者だ
普段はどうしようもないほど間抜けなで鈍感で
朴念仁な女生徒を狂わせる無自覚イケメン君なのに
こういう時になると何故か頼り甲斐を見せるとはな…
これが、ギャップという奴で全員をコレで落としたのだろう
そう思い、飛び立っていく後ろ姿を眺めていると
隣から声が聞こえた
「ん〜!ちーちゃんと同じ様に頼り甲斐のある男に育ったねー!やっぱりいっくんはカッコよくなったよ〜!」
突然の、意識の外からの声。
振り向けば、隣で屈みながら宙を見上げる
不可思議な衣装を身にまとった変人が居た
誰だコイツという視線をビシビシと向けていると
流石に気付いたのか、視線を合わせてくる
あぁ…嫌な物を見た、楽しそうな瞳の底に
何処までも世界に飽き飽きしている目を見た
ここまで冷めた目が居るなんてなぁ…
「ふふん。さすがはちーちゃんの弟だねえ。あれだけかっこいいならモテモテなのも分かるよ、君もそう思うでしょ?」
「そうだな、一夏は良くモテる、良く悪くも天然だからな庇護欲も湧く女生徒が後を絶たないし、そこにギャップ萌えで尚更、手が付けられないぞ?」
「そかそか、じゃ、君は誰かな?」
はぁ、純粋な目に弱いのは嫌になる
先程までの冷めた視線から変わり
俺の目を見る、その双眼は熱を感じる
乾き切った目では無いとな…本当に
だがまぁ、先に名前を聞かん訳にはな…
「さぁな、俺は俺だ、と言うより俺の名を聞くならば先に自身の名を出すのが礼儀じゃないのか?」
「おっと、コレは束さんの落ち度だね…うん、良いよ、教えてあげるよ、私の名前は篠ノ之 束、箒ちゃんのお姉ちゃんなのだ〜!」
そうかそうか…身元不明者ではないな
そして言葉の自信度から分かったが
篠ノ之の専用機を作り渡したのは此奴だ
覚悟の無い奴に力を渡すなと言いたいが
不器用な姉なりのプレゼントなのだろう
「…あぁ、なるほどISの親か、コレはどうも…隠し事は出来ないな分かった白状してやる天才、俺はアーラン・ドノミコス…又は別世界から何故か到来した異星人、その世界で言う遺伝子調整された人類…戦闘用コーディネイター計画γ、唯一の成功例であり失敗例であり後にも先にも存在しない特異個体、名を、マルス・ワン」
「へぇ…やっぱり君が異次元なエネルギーから出てきた存在ね…ふぅん、やっぱり普通の人間とは違うね、粗食と怠慢な生活をして身体が極限まで弱っていても異常な戦闘能力を持っているなんて普通じゃない、でも遺伝子調整された人間だとなれば着地点はあるね。」
「まぁ、それだけでは無いだろうがな…この身体は恐らくだがメンデル出身…あぁ、そうだな、メンデルというのは簡単に言えば天才共の巣窟だ、おい目を輝やかせるな、俺にはそんな天才達の記憶は無い」
「え〜、つまんなーい…で?身体は?」
「はぁ…分かった、分かった、まず身体はメンデルの調査の時に確認した資料に載っていた物だが、コーディネイターを超えた最高の存在を目標として産み出されたアコード計画によって産まれた失敗作の一例であり、後に血のバレンタインと呼ばれる事件によって命を落とした男…アーラン・ドノミコスの肉体でしょう」
「え?…つまり、君は魂を実際に存在すると思ってるって訳?精神異常者等ではなく?」
そんな精神異常者を見る目で見るな
俺だって自分で言ってて嫌になるんだぞ?
まぁ、どれもこれもメンデル探索をした為
真相に気付いてしまった俺の落ち度ではあるが…
いや、気付いていなかったら更に自己嫌悪で
直ぐに命を絶っていたかもしれんがね?
「まぁ、アコードだ何だと言ったが何がコーディネーターを超えているのか分からないがな、感じた事は肉体の再生速度が早く、肉体強度がコーディネーター以上程度だ、頭脳は…まぁ、俺だからな」
「ぶーぶー、全部この世界に無いじゃん!つまんなーい、君の事は束さんと同じで天才だと思ったのにな〜!」
「無茶は言うな…だがまぁ…そうだな、何時か俺の事を調べあげ、接触してくるとは思っていたがここまで早いとは思わなかったからデザイン面で未完成な部分があるが、これをやる」
拡張領域に、この世界に来てISの教本を見た時
その時から、地道に書き続けた設計図を
USBメモリにセーブしていた為、それを投げ渡す
「うわっ…と、ちょっと!投げないでよ!」
「その中には俺の世界に存在した宇宙で安全に居住出来る天秤型をした新世代コロニーの設計図がある、パスワードは…まぁ複数のワードで作られている為、面倒だろうが解除程度、天才ならば造作もないだろう?」
「なんで、そんな重要機密を君が持ってるのか何て知らないけど、どうでもいいや、政治とか面倒なの聞かされそうだし〜…ありがとうね、私の退屈を飽和させて…そして、ISの意義を本当の意味で考え続けてくれて」
「…君の最初の考えは俺は賛同するよ、だが人類に絶望するには早いな若人、君が知らないだけで別の世界では定義で言うならば同じ人類が絶滅をかけた戦いを行う程度には狂っていたのだから」
「…うん、分かった、君の忠告は覚えとくよ、束さんの貴重な脳容量を食うんだから…死なないでね」
「…さぁな、ほら行け、しっしっ」
「はいはい、じゃ、バイバーイ!」
篠ノ之 束…面倒だから篠ノ之姉が突如として
空間から消えたように知覚できなくなった
多分、ISの何らかの機能なのだろうな
俺は、そのままシグーの脚部のみを地面に出し
その上に座りながら夜空を眺め続ける
俺の役目は既に終わったのだからな…
さて、一夏たちが無事に帰ってくるまで
ずっと、静かな、この場に留まる事にしよう
君たち…どれに乗りたい?
-
みんな大好き、フリーダム
-
被弾率0%の男が操る、ジャスティス
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突貫工事のやっつけ仕事、プロヴィデンス
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