「──え」
「ふふふ、鳩が豆鉄砲くらったような顔してますわよトレーナーさん」
休日、俺は担当ウマ娘のメジロマックイーンに誘われ、メジロ家の本邸でティータイムを楽しんでいた。そこに先程のマックイーンの言葉が飛び込み、頭が真っ白になってしまった。
「えっと、急にどうしたんだマックイーン」
「トレーナーさんとトゥインクルシリーズを走って3年、気づけば私も高等部に上がっていました。メジロ家としての責務を果たすのは前提として、私も学生らしく男性とお付き合い……なんてのをしたくなりました」
「そ、それで俺に告白を?」
「あらっご不満ですか?」
「だって、なんかその言い方だと手頃な男が俺だったからという捉え方もできるし……」
いやまぁそんな選び方をマックイーンがしないのは分かっているが、言い方ってのがあると思うんだ。
「それはごめんなさい、私はてっきり貴方とは一心同体の絆で繋がっていると思っていたので、殿方とお付き合いするなら貴方しか居ないっと」
「ちょっマックイーン!?」
マックイーンはとんでもない事を言いながら俺の手を自分の手でスリスリとしてきた、スベスベの手で触れながら甘い声で囁かれる愛に理性が削れていくのが分かった。
「子供であるキミに手を出してしまったら、俺を信じて託してくれたご家族に示しがつかない。せめて卒業迄〝待ってくれないか〟」
「その点なら大丈夫です」
「大丈夫つったって、どうしてそう言えるんだ?」
「事前にお母様へ相談していたので、トレーナーさんと結婚するにはどうすれば良いか……っと」
「え?」
「そしたらお母様が『彼の事は信じてる、自分の想いに従いなさい』って仰ってくれたんです」
「お母様何言ってるんですか?!」
俺はマックイーンのお母様に驚きながら、俺は即座に理論軸を変えた。
「でっでも俺は教育者でキミは学生だ、倫理観の点から男女の仲になるというのはいかがなものかと思うわけだ」
「その点に関しましてはおばあ様から御助言頂きました」
「え?」
「『貴方の走りに黙らせないモノは無い』っと」
「はっはは……」
その言葉に、俺は〝納得〟してしまったからもうダメかもしれない。
「それでトレーナーさん、お返事を頂いてもよろしいでしょうか?」
「……そうだな、どうやら逃げ道はことごとく潰されてるみたいだからな」
「貴方を愛するが故ですよ」
「全く……メジロマックイーン」
「はい」
「キミが欲しい」
俺は観念し、卒業の時に言おうとしたプロポーズを口にする。
「キミの甘く輝く瞳が欲しい、キミのしなやかで美しい体が欲しい、キミの雄々しく力強い走りが欲しい」
「トレーナーさん……ッ」
「キミに指輪を送る役割を誰にも奪わせたくない──愛しています」
「私も愛しておりますトレーナーさん」
マックイーンは頬が紅潮としながらもうっとりとした瞳で俺を見つめる、同じように俺も顔が熱くなりながらも視線を逸らさず見つめる。
「……いいか、マックイーン」
「トレーナーさんって案外情熱的な方だったんですね」
「キミが暴いた本性だ、責任取って受け止めてくれ」
「もちろんですわ」
俺たちはキスをした、互いに将来を思いながら。