水中街
まあ……そういうわけで取り返したよ港。
途中にいるアビス?全部ぶっ殺した。
なんかアビス食いまくったらアビスの能力使えるようになったんだよね。
私はコウモリ型やイルカ型の持ってる『振動発生器官』が腕と喉の内部にできたみたいでさ。
シャウトするだけでだいたいのやつは死ぬし、触れればシェイクにできるからさ……
リスナーちゃんは『硬質化粘液』を出せるようになって、触手の先に黒曜石ナイフみたいな結晶の刃を出せるようになったり、触手自体が伸縮するようになったから、まあ歩くミキサーなんだわ。
ジャムールは『水操作』と『氷結』を覚えて、毒液を自在に飛ばせるようになったり、毒の氷弾をぶっ刺してたし……
まあ鎧袖一触ってやつでさ。アビスがゴミみたいにすっ飛んでいくんだ。
なんなら一緒に戦ってくれたレオンたちも的確に弾幕で注意を引いたり、ヘイトとって囮になってくれるからさ……三日くらいかなあ。
港の安全は確保できたよ。
ちなみに、アビスの死骸は武器の素材になる。
高く売れたよ。
だいたいは銃剣とか鉈とか大剣になるんだって。
そんで、それも振動付与とか氷結効果とかそういうヤバい能力はそのまま使えるらしい……
こう、死骸のパーツに制御装置的なものをつけてそのまま使うんだと。
それにしてもママのスラッシュギターはかなり変わり種だったんだな。そりゃまあそうか。
まあいいさ。そういうわけで久々の海だ!
ガラスみたいに透明だぜ!
「ひょー!気持ちいいねえリスナーちゃん!」
「ええ、海ってこんなにきれいだったのね……」
私たちは今、沖に廃船を持ってきては沈める作業を行っている。
底をぶち抜けばそれで沈むからね。
5隻も沈めりゃいい感じに水中で家になるじゃん?
そう!水中都市を作るんだよ!
人型アビスが集まんないのは実は水棲タイプが多いせいじゃねえか?
そう思ってね。勧誘のためにさ……
「フ、フヒ……私は泳げないので……困りましたね……」
もちろん、ジャガーノートやジャムールのような陸生タイプもいるわけでさ。
だから大き目の漁船やイカダを沈めた船の上に浮かべとく。
錨を下ろしとけば流されないしね。
「最終的には港まで橋つなげるから大丈夫だよ」
「ま、まあ……船の上でいる分にはいいですけどね……でもこういう明るくて爽やかなところは合わないので夜まで船の中にいます……」
ところで、この漁船や廃船は使ってねえやつをちゃんと軍から譲り受けたものだ。アビス退治の報酬に上乗せでね。
人間が使う分も残す必要があるから、そこんところの鑑定はレオンたちに任せた。
「おーい!追加の報酬を持ってきた!あれだけあったのにもうこんなに沈めてしまったのか……すごいな」
レオンがボートに乗ってやってくる。
金髪イケメンが舵を取ってボートを走らせるだけで絵になるからすごいよね。
「おっ、あった?スクリュー水中発電機と水中LEDライトと、水中ヒーター」
「ああ、ダイビングショップはそこまで荒らされていなかったからな。発電機とライトは解るが……こんなにヒーターはいるのか?」
「エアコン代わりとあと沢山つないで鍋にぶちこんで水中で料理できるようにできねえかなって」
「なるほど……本当に水中に街をつくる気なんだな」
「マジだよ。私たちにとってはこっちの方が居心地よさそうだし」
「……いろいろ気を使わせてしまったな。それに八面六臂の活躍だった」
まあ……こき使われた感とか、村しんどいな~というのはちょっとあったしね……
でも悪い思い出だけじゃないっていうか、かなり良くしてもらった気はする。
それはそれとして、ジャングルの中とエメラルドブルーの海じゃね。
「いいよ。こっちから言い出したことだし。そっちは港使えそう?」
「ああ、当面は。いずれ修理に大勢来るだろう」
「いいよ。ここ割と沖だし」
「何かあれば光と無線で合図を送る。よろしく頼む」
「はいよ」
レオンは荷物をジャムールに渡すとボートを駆って港に帰っていった。
まあレオンたちもアビスの1体2体で死ぬほどヤワじゃないけど、なんかあったら私たちが戦力になるのが契約だしな。
さて……やりますか。
「それが『はつでんき』?これがあればライトが使えるのね!」
「そうそう、海流でスクリューが回って電気が作れんの。で、これをライトにつなぐわけ」
「がんばるわ!お話に聞いたクリスマスみたいね!」
「フヒ……頑張ってくださいね……私は船でラジオでも聞いてるので……」
なんだかんだで、ジャムールのいる船には水中に持ち込めない物を全部積んでるからな……暇さえあればネットしたりラジオ聞いたりマンガ読んでるんだコイツ。
さて……スクリュー発電機……こう、螺旋階段状のやつ。
これを海流のいい場所に設置して、電線をつないで……できた!
おお、水中に沈んでる船がライトでちゃんと光ってる。
使えそうな部屋の天井にはだいたいつけられたな。
これで水中で文明的な生活ができるってわけよ。
『わあ!ついたわ!明るいわね!』
『部屋っぽくなったね』
水中でもなんか……普通に声出るし聞こえるんだよね。
鯨か私らは。
まあいいや。エアコン用のヒーターを私たちの部屋につけて……
クッキング用は後でいいか……
とりあえず最低限のインフラは整ったな……
『さて……ここにみんなを呼ばなきゃな』
『ええ、たくさん来てほしいわ……』
ここが人型アビス最初の街だ!
名前は……何にしようかな。ルルイエは悪役過ぎるだろ。
ムーは短すぎるし……レムリアでいいか。
『この町をニューレムリア水中開拓村とする!』
『住む人がたくさん来てくれればいいのだけれど……でも、人がすくなくてもここはすごくきれいね!』
『……そうだね。しばらくはいいかなあ』
いや……すんげえんだよ。
アクアマリンの深い青の中に漁船が5隻沈んでて、そのどれもに灯りがついてる。
なんなら街灯代わりに余ったライトをブイにつなげて吊るしといたからさ……
そこに極彩色の熱帯魚が群がってこれまたきれいなんだ。
陸の方にはサンゴ礁がまるで花の咲いた山みたいに見えるしさ。
竜宮城ってこんな感じかなあ?っていう。
『完成記念に歌うたうよ。もうギターなくても伴奏できるし』
『いいわね!何を歌うの?』
そうなんだよ……腕と喉の振動器官からギター音出せるんだわ。
まあ陸ではママのギター使うし、今も海上の船の中にあるんだけどね。
『そうだなあ……景気いいやつで……ビヨンド・ザ・シーとか』
『知らない歌だわ!』
『まあ聞いてみて』
ジャズの名盤なんだよねこれ。
泳ぎながら踊る腕からトランペットの陽気な音が出る。
『どこか海の彼方であの娘は僕を待っている。
もし鳥のように高く飛べるのなら、何をおいても♪』
ここでリスナーちゃんにぬるっと泳いで行って抱きしめる。
『君の腕の中へ♪航海していくんだ♪』
リスナーちゃんは微笑んで踊ってくれる。
水中でワルツのように。
『疑いようもなく♪僕の心は惹かれていく♪岸の向こうで会おう。昔のようにキスしよう♪』
まあ……こんな歌だよ。
リスナーちゃんはニコニコしてた。
最後までは歌えなかったね。そのままキスされてスケベしたから。
リスナーちゃんのストレスは解消されたし、私も気持ちよかったからまあよかったよ。
どこまで書こう?
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このまま一気に行こうぜ!
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もうちっとだけ続くんじゃ