怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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アビスという生命

しかし、宗教か~!

それなら相談すべき奴いるよなあ、プラウダだ。

二勢力で宗教違ったらヤバいからな……後世に禍根は残したくねえ。

私は海面近くに設置した水中ハンモックに揺られながら脳内掲示板に接続した。

 

エレナ:そういうわけで宗教作れって言われてさ……一応同じな方がいいじゃん?

プラウダ:それはそうだね。とはいえ、急ごしらえもまずい。でも早めに必要なんだろう?

エレナ:なんかいいアイデアある?

プラウダ:ならば神道にしておきたまえよ。ジャパニーズアニミズムとでも言えばボルネオならばそこまで忌避感もないだろうし、アレは実質教義もまとまった教団もないから自由にできる。

 

その手があったか!頭いいな~!さすが頼りになるぜ……

そういえば日本出身ですって言えなくもないからな。

 

プラウダ:それに、神道なら掛け持ちが可能だしね。並行して私たち独自の宗教も作っておこう。

エレナ:いいアイデアだけど、後でもめない?

プラウダ:揉めないような設計にするけど、こんなものは解釈次第でどうとでも争えるからきにしてもしょうがないよ。

 

まあ……それはそうだな……揉める時はどんなんだって揉めるからな。

 

プラウダ:とりあえず、創造主の存在は認めつつ、信頼はしない。そう言う方向性でいこう。創造主像としては、トマス・アクィナスの『第一原因』とインテリジェント・デザイン仮説にワンネスを混ぜていこう。つまり、この宇宙こそが神の肉体なんだ。それならば神が最初に存在し、神の体内である世界に干渉できる者でもある……人間もアビスも神によって創造されたというより、地球の生命誕生から意図をもって干渉された。そういうテイでいこう。

 

めっちゃ喋るじゃん……まあ、あんだけ難しそうな本読んでたらな……

こういう機会を待ってたんだろうな……

 

エレナ:めっちゃ喋るじゃん。

プラウダ:まあ、こういう話題に飢えてたからね。ところでこれも見てほしい。「画像添付」

 

なにこれ……怪獣型アビスの死骸か。海底に横たわって……

なんか、やや小型のアビスが湧いてる。

怪獣アビスを食うために集まったというより……死骸から生まれている……?

いや、これ死骸から肉が分化して生まれてるわ。マジで?

 

エレナ:これマジ?怪獣型アビスの死骸からアビスが新しくうまれるもんなの?

プラウダ:どうもそうらしい。聞いたことはないかな?がん細胞を培養すると本人が死んだ後もいつまでも生き続ける。文明崩壊前ではアンスロボットといって、カエルの死肉からまだ生きている細胞だけを集めると『別の生き物』として動き出したそうだ。

エレナ:フランケンシュタインかなにか?

プラウダ:事実は小説より奇なりというやつさ。死骸から生きている細胞だけを取り出して集めると別の生物として動き出す……これは人間でもそうだ。死骸が分解されるサイクルの一つなんだよ。そして、おそらく我々も。

 

マジか~。私たち、深海に沈んだ怪獣型アビスから生まれたのか~。

シン・ゴジラの尻尾から生まれた人型ゴジラみたいなやつなのか~!

 

エレナ:マジで?さらっと重い事実をぶっこまないでくれる?

プラウダ:本当さ。すでにこちらは運用段階にある。

エレナ:そういえば今どこにいんの?

プラウダ:南米の太平洋側深海平原さ。海の底だね。「画像添付」

 

オイまじかよ……深海でプラウダの仲間っぽい人型アビスと、プラウダと同じ顔してる小さな人型アビスがいっぱいいる……

照明はなんだこれ……?クラゲみたいな発光生物……?

作ったのか?怪獣の死骸から!?

 

エレナ:マジで!?怪獣アビスの死骸から作れるもんなの人型アビスって!

プラウダ:マジだよ。でも、それだけじゃ遺伝的多様性や繁殖ができなくて詰むから、仲間の両性具有型アビスと私のクローンですでに子孫を残している。

プラウダ:なんなら、私自身も産むつもりだったんだが、どうも私自身ではうまくいかなかったね……

 

うーむ、そっちもやることやってるんだな……

 

エレナ:そういうもんなの?私たちの体……

プラウダ:生命には未知の部分がある。ましてや私たちとなればね。

プラウダ:とりあえず、発光型クラゲアビスは便利だから作り方を教えておくよ。これをヒントに怪獣アビスから人型アビスを作り出す研究をすればいい。「文章添付」

 

ウワーッ!情報量が多い!!これ論文だ!難解な言い回しで頭バチバチする!でもまあ……覚えるだけは覚えたよ……

改めておかしいって私たちの物覚えの良さ……そういう種族なんだろうけど。

 

エレナ:とりあえず……とりあえずありがとう……しばらく検討するわ……

プラウダ:うむ、がんばってくれ。

エレナ:ありがたいけど、なんでここまでしてくれんの?

 

軍人さんたちと言いさあ……ありがたいけどコワイよ……

 

プラウダ:君が矢面に立ってくれれば私たちはその分、楽ができるからね。

エレナ:あー、盾としてね。まあ……がんばるけどさあ……なんで私なんだよ……絶対ほかのだれかでも共存を言い出すやついたって……

プラウダ:でも、現実には君が最初だった。それだけだよ。

 

それからは他愛ない話をして脳内掲示板を切った。

まあ、実際私が言い出しっぺになっちまったからな……

船上に上がって、冷蔵庫をあさる。

論文を暗記して頭痛いから砂糖をバカスカ入れたミロをがぶ飲みした。

疲れたので甲板のビーチチェアで昼寝するよ……

あ~、今日も空が青い……太陽がいっぱいだ……

 

「エレナ!すごいわ!あのカイジュウ?からいっぱい子供たちが出てきたの!」

 

わあ。

どこまで書こう?

  • このまま一気に行こうぜ!
  • もうちっとだけ続くんじゃ
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