ウワーッ!1m弱くらいのアビス女児が集団で泳いできてる!
数は……20人くらいかなあ……マジかよ~。
とりあえず、私は無表情で無線を手にとった。
「あ~もしもし。こちら水中村のエレナ。エラいことになった。いや、誰かが攻めてきたとか怪我人病人じゃないんだけど。人型アビスの子供が20人くらい来た。……いや呼んでねえよ!?マジだよマジ!どうするもこうするもねえよ!子供のお世話できる人呼んでくれる!?」
無線先の軍人さんもパニックになっていたが、私もパニックだ。
3歳児くらいのアビス女児が集団で押し寄せてくるまであと3秒だ。
ウワーッ!
■
超混乱した初日から三日たって、近くの村からアンおばさんとか子育て終えた勢がやってきてなんとか……なんとか水中村は落ち着きを取り戻した。
幼児、パワフルすぎる……あとかわいすぎる……!
だってアビスに思う所あるだろう保母さんたちもメロメロになってたもん。
なんかいい匂いでもしてんのかな?いや、実際なんかいい匂いするわ……
そういうフェロモンでも出ていらっしゃる?
「ママ~!おなか!おなか!ごはん!ごはん!」
「あそぶ!あそぶ!たのしい!」
「おうた!おうた!ア~♪」
子供はちっさな怪獣というけどこいつらはマジでそうだからね?
見た目は……シャチみたいな白い肌と、手足背中に黒いトカゲみたいな鱗。
個体によって頭にウサギ耳みたいな触覚があったり、手に甲羅ついてたり、アメフラシみたいな触手ついてたり、猫耳ついてたりするけど。
うん……あいつらの要素だね!!ジャガーノートたちの因子がまざってる……
人型アビスが怪獣型アビスを倒すとこうなんの!?マジで!?
「今作る!今作るからさあ!コラ!火を触らない!」
「アツイ!エーン!!」
アンおばさんが泣いてる子を素早く抱えて海に落とす。
「火傷したら水につけるんだよ!それから火はさわらない!大人が触るなって言ったものはさわらない!わかったね!!」
「アイ!ママ!」
もうニコニコして泳ぎ回ってる……女児つええ~!私もこんなんだったのかな……?
ママ……本当に尊敬するよ……尊敬するから私を助けてくれ……!
「アンおばさんと呼びな!」
「アイ!おばさん!」
アンおばさんが訂正する。こいつらまだガキだから世話する人はみんなママ呼びなんだよ。
でもかわいい~!母性が爆発する~!
「エレナ!鍋貸しな!あんたはもりつけて飯食わせたらリスナーにこの子らを泳ぎにいかせな!」
「了解!おら食えガキども!」
「ワ~イ!」
「いただきますだぞ!すべての食材に感謝を込めてだ!」
「イタダキマス!」
「イタ……イタタキマス?」
毎日……毎日これだよ……!
まあこいつら一度教えれば覚えるから人間に比べたら段違いで楽らしいんだけど。
実際ほぼ会話は成立してるからな……この三日で!
「はーい!子供たち、いくわよ~!」
「アイ!ママ!」
「リスナーママすき!」
リスナーちゃんが遠泳というかおさんぽの時間として連れて行って少しは余裕ができる……
ジャムール?ひたっすら食料調達してるよ?
で、ジャガーノートたちはといえば……
「な、なあこれ本当に私たち行って大丈夫か?」
「しょうがねえだろ、軍事行動を遅らせられねえよ……!」
鍋振ってるアンおばさんが怒鳴る。
「ああ行きな行きな!あんたらが子守の役に立たないのはよくわかったからね!せいぜい楽しんでおいで!あとおもちゃと保母やれる女つれてきな!」
「……わかったよ。悪いなみんな」
「なる早で……なる早でたのむわ……!」
「おう!」
そうして、熱狂の三か月間が始まった。
ジャガーノートは島内のアビスを狩りまくり、物資を調達して兵站部に任せて送ってくる。
なんなら時々ヘリでおもちゃとか本とか届けに来る。
子供たちからはなんかサンタクロースみたいな扱いになってた。
それはいいんだけど、ヘリが届くたびにレオンと距離が近くなってる~!
どんどん女の顔するようになってる~!
友達のそういう生々しい面をみるつらさが私にもわかったよ……!
「な、なあその……私たちって人間とその……できるのか?していいのか?」
「知らねえよ!でもたぶん理論上はいけるし、最悪コンドームとか治療薬でなんとか、なんとかなるから……!」
おもちゃを持った子供たちが私に抱き着いてくる~!
遊べ攻撃だよ。ジャガーノートの相手してる余裕ねえわ。
「その理論ってどういうことだよ?」
「死んだ肉を食ったらまだ生きてる細胞がよみがえりだして内臓に癒着するから食ったらヤバいんだろ?じゃあ生きてて本体の統制がとれてる細胞だったら?」
「そ、そうか……そうか、大丈夫なのか……ははは……」
「理論上はね!一応ジャムールに治療薬もらってきて!」
「あ、ああ。そうだな……」
そう、どうしてこの島の軍人さんがアビス細胞にやられないかといえば、ジャムールの作る治療薬のおかげだ。めちゃくちゃ濃縮して出すから薄めればまあ全員分に届くらしいし……なんなら私も作り方学んで爪の毒腺から出せるようになったし。
このおかげで私たちは人間を信用できる面もある。
絶対必要な薬を握ってるからな。排除できねえし、武力では私たちが勝ってる。
「ふふふ、そうか……していいのか……うん、うん……」
ジャガーノートに春が来ている~!
しかしまあ、人間とアビスで子供ができるとは思えないけど。
■
できたよ!できてたよ!!
レオンとジャガーノートが三か月の遠征から戻ってきたらおくるみに包まれた猫耳の赤子を抱いてたよ!
ウッソだろお前……
甘い空気だしやがって!こっちは三か月マジで地獄だったぞ……
「おねえさんだ!」
「サンタのおねえさんだ!」
「あかちゃん!あかちゃんかわいい!」
「おう、ただいま。エレナ、苦労かけたな……ごめんな」
幸せそうな笑顔しやがって……!
まあ、お前が幸せならそれでよかったよ……
「お前が幸せならそれでいいよ……お前も子育てしてもらうからな?」
「お、おう……大変そうだな……」
「王様の方も鬼指令のほうも復興でてんてこまいだからさあ……あんま頼れないし、この村はもう保育園になっちまったよ」
「私ががんばるから、お前はもう休め……!」
「エレナ。俺もこの村に本格的に住むつもりだ。大丈夫だ、俺も兄弟は多かった。子守には多少の経験がある」
レオンまで白い歯を見せるくらいいい笑顔しやがって……
まー、ガキどもはこの三か月ですんごい成長して今は小学校高学年?くらいの知能になったしね……一応わりと落ち着いてるんだ。
私は疲れたよ……!
どこまで書こう?
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このまま一気に行こうぜ!
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もうちっとだけ続くんじゃ