怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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幾千の旅人が私に祈る時は

とりあえずすべてが一段落したので、プラウダと宗教づくりに専念することにした。

法も兼ねてるからな一応……

十戒とかを参考にして奪うな騙すな殺すな壊すな暴れるなって感じだ。

戦争時と自衛の時だけ例外処理にして、姦淫するなは……オミットで!

合意がありゃそれでいいよ……合意だって確かなことはわからないから、なんかあったら傷害とかのほうで両者離させるみたいな感じにした……

 

プラウダ:とりあえずメインの戒律はそういうシンプルな感じで行こう。

エレナ:そうだね……あと神様はいるっていうか、この宇宙が神様の肉体みたいなかんじだったっけ?

プラウダ:そうだよ。じゃあ次は礼拝と葬祭と聖印を決めよう。

エレナ:まだあんの……

プラウダ:司祭の階級も決めたいね。

 

ウワーッ!勘弁してくれよ。でもテータリックに練乳をマシマシで入れてひたすらプラウダのいう宗教っぽい何かをメモしたよ。

夜遅くまでパソコンにカタカタカタカタ打ち込みながら脳内掲示板回すのは疲れたね。

リスナーちゃんやジャムール、それからプラウダの仲間とかすんげえ大人数で頭が疲れた。

 

でもできたよ……!名付けて「海の恵み教会(オーシャン・グレイス・チャーチ)」。

シンボルはうずまきを4つつなげて作った十字。

うずまき十字とでも言うのかな……聖印だけは気に入ってる。

 

エレナ:ところでこれ教会っていう事はやっぱキリスト教の分派的なもんにすんの?

プラウダ:そういう風にもできるように設計したからね。ボルネオにも一人や二人福音派の牧師くらいいるだろう?その牧師に金を積んで新しい教会を立ち上げるといい。

プラウダ:『わけのわからない種族が人間をまねた宗教』じゃなく、『キリスト教の布教を受けて、プナンの宗教観とごっちゃになった』そういうストーリーがいいだろう。

ジャガーノート:お前怖いこと言うな……全部でっちあげじゃねえか

エレナ:プラウダはこういうやつじゃん……ところでジャガーノートは遠征で軍の知り合いでいない?従軍牧師とか。

ジャガーノート:いた気がする。でもあいつヤバイやつなんだよな……まあ、当たってみる。

プラウダ:君も『王様』や軍司令の伝手を頼るといい。その時は正直に『見様見真似で作ってみたけど、福音派の分派にできないか?』と聞けばいいさ。そうだな……『聖書やコーランを私たちなりに解釈した結果』といえばいい。

 

大人数で会議したらすぐ話がまとまるなあ。

いやおかしいよ。なんですぐまとまるんだよ。どうなってるんだ私たちは……

まあ、とりあえずまとめて王様と軍司令に『こういう宗教作ったよ』『聖書とかコーランを参考にしたから、福音派の分派ってことにしたい』とメールした。

 

一週間で従軍司祭がマレーシア側とインドネシア側から一人ずつ来ることになった。

 

「おう、あんたらがそうか……まあいいぜ?ここはボルネオで一番安全なところだからよ。名義は貸してやっから好きにやれや」

 

酒飲んでるハゲのおっさん。50歳くらいかな?牧師服だけど下にアロハ着てるわ。

うーん破戒僧だ。

 

「よろしくお願いします。正直、そういうノリで助かりました。エレナです」

「フィリップ・ラウだ。分け前は飯の1割でいいぜ?現金でも受け付けてるけどな、ヘヘッ」

「十分の一税かあ……まあ、まあなんとか」

 

ガシッと握手してくる。意外と筋肉あるなあ。

 

「じゃあお前さんとはビジネスパートナーだ。よろしくな」

「あー、それで教義的にはあれでいいですか?」

「いいんじゃねえの?毒にも薬にもならねえ内容だしな。じゃあまあ、洗礼とか分派の儀式とかパパッとやっちまうか!」

「たすかります」

 

とりあえずそれらしく海上部の一室を教会に仕立てて……

そう、海上部分も海底部分もだいぶでかくなってさあ。

イカダとか船とか浮き橋でつなげて300m四方くらいかな……

海底は窓を開けたコンテナハウスをバカスカ沈めてもう20件くらいかな……全部で25件の「村」になった。

スクリュー発電機の搬入が大変だったね……

間に合わない分はジャムールにアビスの死骸から発光クラゲアビス作るやり方を共有して、作ってもらったよ。

発光家畜アビスは綺麗だったね。

30cmくらいのイソギンチャク型と傘くらいの大きさのクラゲ型だ。

 

「……そちらがお先だったようですね、フィリップ牧師」

「うげ、マティアス。お前が来たのかよ」

「本土で愚にもつかない慰めの言葉を言うよりは面白そうでしたからね」

 

なんか……明らかに危険な男オーラを出してる三十路くらいのキッチリ牧師服を着こなした兄ちゃんがいるわ。

目が鋭いし、体が引き締まってる。素手で2,3人首折ってそうな牧師だ……

 

「あなたの作ったこの教義……素人仕事にしては、よくできている。何人で作りましたか?」

「まあ……5,6人だったかな……」

「ふむ、合議制でね。それであなたはこの教えに芯から納得しているのですか?この教えをもとに死ねとそう同胞に言えるのですか?」

 

めちゃくちゃ早口になるじゃんこの牧師……しかもすげえ悪い笑顔で言いやがる。

め、めんどくせえ~正義感じゃないよこいつ。面白がりに来てる。

 

「殺すな奪うな暴れるなも守れねえのはそりゃ命の取り合いになるのは仕方ねえだろ」

「では神については?」

 

食い気味にいうなって。

 

「私は神の存在どうこうはあんま興味なかったけど、存在するならこの解釈は妥当だと思うし、戒律はこれを守れないのはダメだろと思うくらいには納得してるよ」

「だがあなたは王だ。法を敷いたならば力をもって守る義務がある」

「そうだね」

「つまりあなたはあなたの納得のために殺し殺される覚悟があると」

「そもそも、宗教を信じるようにしたのは人間に歩み寄ってわざわざ殺し合わなくてもいいようにするためだよ?」

「だが信仰すればいずれ殺しあう」

「ああ、いざってときね……そりゃそういう責任を考えてなきゃ王やってねえよ。嫌だし面倒だけど、誰かがやんなきゃだし、私が言いだした事だからさ」

 

じっと私を観察してくるマティアス。うわー、いやなやつだ……

悪い笑顔してる。

 

「ククッ……いいでしょう。それでも貫き通せば信念だ。あなたが信念をもつ王であるかぎり、私は協力しますよ」

「あんた絶対めんどうなやつって言われるだろ。まあ、私も『吐いた唾は飲めない』くらいはわかるよ。言ったことに責任もてって事だろ」

「宗教者ですからね。説教が仕事です。私はマティアス・ジェス・カルヴァリ。よろしくお願いします」

 

濃い面子が坊主としてきちまったよ……めんどくせえ~!人づきあいめんどくせえ~!!




人物図鑑

■フィリップ・ラウ
マレーシア側の従軍牧師。48歳。
長い戦いで信仰は折れ、だが人を愛することはやめなかった。
人を救うには金が要る。物資がいる。
そしてキッチリしすぎても続かない。
彼が破戒僧を気取るのは彼の信仰である。

■マティアス・ジェス・カルヴァリ
元人類解放軍従軍牧師。アメリカ出身。32歳。
元来サイコパス気質で、良心の呵責というものがピンとこない。
ゆえに彼は納得できる美学にすがった。
善悪ではなく美醜。姿かたちよりも信念。
そのストイックな姿と戦闘技能の高さから一目置かれている。
それ以上に危険な外様として距離を取られている。
だが、軍司令ヴァイジャヤ大佐は彼をあえてアビスの目付け役として置いた。
厳密で筋の通った契約ならば彼は守るからだ。

どこまで書こう?

  • このまま一気に行こうぜ!
  • もうちっとだけ続くんじゃ
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