怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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生き残る罰

都市をこっそりと探索して、ネットにつないだ。

本当に、ママの言ったとおりだった。

ネットの人間はかなりカスの種族だと思った。

それでも……何も殺し合うことはない。

そのはずだ。いや、やっぱりママの事思うとさ……

 

いや~でもさあ……共存していくとなるとかなりキツイ種族だよね、人間……

約束の一つも守れねえのかよって思うし……

血の気多すぎだろなんでそんな喧嘩とか差別とか大好きなんだ?

定期的に暴れなきゃ気が済まねえのか?とか思うし……

 

一応ママが死ぬ前に書いてくれた軍への紹介状とかあるけどさ……

私は今も、人間を避けて廃墟漁りを続けている。

図書館とかいいかも。このへんにあるらしい。

 

大きな図書館だ……

ゲートをジャンプで飛び越えて、開きっぱなしの扉をくぐる。

……何か奇妙な感覚があった。

何かが共鳴しているような……何かが響くような。でも嫌な感じはしない。

 

その感覚に従って、その感じのより強くなる方にそっと歩いていく。

本棚に囲まれた中に、真っ白な少女が人形のように座っていた。

膝の上には分厚い本を開いて読んでいる。

 

真っ白なセンターわけのロングヘア、頭には角、真っ白なドレス。

長い白いまつ毛に彩られて、そっと伏せられた目は金色だった。

肌は私より白いかな……大理石みたいなつるっとして人じゃないってわかる真っ白な肌。

 

「……初めまして。言葉は通じるかな?君も気づいているだろうけど、私たちはたぶん『同族』だ。人型アビス……わかるかい?」

「ああ、わかるよ。あんたと私は『同じ』だ。なんかわかった」

「そうだね。不思議な感覚だ。私たちは同族に会うとこうなるんだね」

 

脳裏に、何かが共鳴してる。不思議な感覚だ。でも悪くない。

 

「私はエレナ。あんたは?」

「プラウダ。よろしく。私の部屋に来てくれるかい?お茶でも出そう」

「ああ、よろしく。そうだな、落ち着いて話したいしな」

 

プラウダに案内されて迷路みたいな本棚の中を歩く。

元々職員用だったらしき扉をくぐると、長い廊下を経て、書斎のような部屋についた。

 

「さ、どうぞ……好きに座ってほしい。客が来るとは思わなかったから雑ですまないね」

「私も誰かいるとは思ってなかったからいいよ。本がいっぱいだな……」

 

なんだか小難しそうで分厚い本がうずたかく積んである。

カミュ、ニーチェ、サルトル……お硬い本にたくさんの生物図巻。

ほの暗くあたりを照らすライトにろうそく。

なんか育ちの違いを感じるなあ。

 

「さて、何から話したものかな……」

「そういえば私もアイデアないわ。だってママ以外と話すの初めてだから」

「君には親がいたのかい?どんなのだった?」

「育ての親だよ。人間で、元兵士だったらしいよ。歌が得意で……ロックが好きなくせに根が真面目だったと思う」

 

プラウダはポットからお茶を入れるとカップを自分の分と私の分を机に置いた。

私もその辺から椅子を持っていって机近くに座る。

 

「ふうん……君もそうか。私も人間に育てられたよ。偏屈なおじいさんだった。もう死んだけどね。君の方は?」

「死んだよ。アビス細胞を移植してて、生身の身体が浸食されて死んだ」

「私も似たようなものだったね。どうやら人間がシェルターの外で生活するにはアビス細胞の移植がいるらしい」

「ああ、やっぱそうなのか。それ用の薬は作ったけど、間に合わなかったなあ……」

 

それから、他愛ない事を話した。

普段はどう過ごしているのか、ほかに人間や同族を見たのかとか。

プラウダが意外にもお菓子を作ったり裁縫が得意だとか。

お互いに戦うすべは知っているとか。

色々話して……結局は人間の話になった。

 

「さて、これからどうしようね。たぶん、同族はもっと増えると思う。そうなると人間とどう付き合っていくかだ」

「正直キツイよな……少数で行ったら殺されるだろ。最悪、実験体とか」

「だろうね。どうする?逃げ隠れするかい?」

 

私は首を振った。

 

「いやー、無理だろ。見つかるっていずれ」

「そうだね、なら結論は決まっている。『滅ぼす』べきだ。人間とは共存できない。いずれ生まれてくる同胞のためにも、絶滅させる『必要』があるんだ」

 

そうだろう?とプラウダは私を見て、手を差し出した。

これは……重大な決断だ。人型アビス同士の最初の邂逅。

ここから人類の運命とアビスの運命が決まるだろう。

 

「いや……私は何も殺し合うことはないんじゃないかと思う……いや、わかってるよ?あいつら最悪だよ?正直信用できないよ?でも何も……殺し合うことないじゃねえか……いや!わかってるよ?キツい道になるよな……まず協力して、そしたら人間は調子こくから、適度にぶちのめして、また和解して……ってなると思う」

 

私は差し出された手から目を離して、ポケットに手を突っ込んだ。

プラウダはふむ、とうなずいてお茶を飲む。

 

「そうだね、とても険しい道だ。協力と争いを何度も繰り返し、差別されてはまた殴り返して……という道になるだろうね。君もわかってるだろうけど」

「ああ……私だってそんな面倒なことしたくねえよ……でも全面的にぶち殺しあうよりは……マシだと思う……たぶん」

 

私は苦虫をかみつぶした顔をしてただろう。

そうだよ……人間と共存するとなるとスゲエめんどくさいだろうな~

……これ私がやんなきゃなんないの!?なんで!?

私しかやるやついないからだよ!クソが!

 

「そうだね、私の言う絶滅戦争も簡単な道じゃない。人間はとてもしぶとい。それに死に物狂いになった人間はとてつもない力を出すだろう。同胞も……きっと多く死ぬ。滅ぼす道も楽じゃないと思うよ」

「だよなあ……どうする?じゃあ今ここで殺し合う?私は嫌だよ」

 

プラウダはカップを置き、微笑んだ。

 

「やめておこう。私は今の段階ではどちらも両立するだろう。最優先は私たち人型アビスが種族として生存することだ。それぞれ別の生存へのアプローチとして必要だと思う」

「生き延びる、か……そうだな。じゃあしばらくはお互い仲間集めて、そっちは戦力充実させて、こっちはなんとか人間とわたりつけて……いい感じのタイミングでケリをつけよう。あんたは人間ごと私たちを滅ぼす。私はあんたをアビスごと滅ぼす……って感じ?」

 

嫌だなあ~!初めてできた友達と殺し合いたくねえよ~!

つくづく人間がいなければなあ~!

 

「たぶんね。何、焦ることはないさ。良く調べてみたらもうすでに勝手に人間が滅んでることもあるかもしれない」

「そうだといいな……なんにせよ、お互い仲間集めだな……」

 

私はお茶を飲むと立ち上がった。

こうなったら今から敵か……嫌だな~!

 

「そうだね、次は戦場で会うかも」

「ああ……元気でな、そっちも。お茶、ごちそうさん」

 

私が手を振ると、プラウダも微笑んで手を振った。

 

「うん、いつかまた会おう。長い旅路になりそうだね」

「お互いにな」

 

行かなきゃいけない。これから先の、長い長い旅路に。

生きるんだ。生き延びるんだ、私たちは。

 

どこまで書こう?

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  • もうちっとだけ続くんじゃ
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