怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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星に一番遠いこの陸から

とりあえず……とりあえず服注文してみんなに着せたよ。

下着はもう水着を配りまくった。

わりと好評でよかった……これでコヴナントの民族衣装は半そでYシャツに灰色の筒型巻きスカート……ラオスで「シン」っていわれるやつになった。

インドネシアの普通のJK制服らしい。でもこれは着たまま泳げるけどね。

……OLみたいな服だなこれ。

 

「あー、エレナ様。それでですねえ……ものは相談なんですけど、配信していいすか?」

「そりゃまあそう来るよね」

 

ジャガーノートの子分の一人、ウサギピエロのロビーだ。

いやまあ……いずれそうなるんだよ……。公式チャンネル配信とか。

私がそうなようにみんな歌って踊れるしさ。

歌って踊れるJK異色肌種族なんて目立たないわけがないじゃん?

 

すでに人間からめちゃくちゃ動画撮られてるんだ。

いろいろ周囲に相談はしてた。

王様は渋ったけど、軍司令はむしろ公式チャンネルもってないとマジでヤバいぞって言うしさ。

 

なんならガキ共が勝手に彼氏からケータイ借りて踊ってみた動画出してる……

20万再生いいね5万ってお前。アンチも超わいてたけど私は知らねえよ。

 

「じゃあまあ……公式チャンネルやるけどさあ……そんなには顔出せないよ」

「いいんすよ。こういうの最高責任者があんま顔出さない方が」

「そういうもんなの……?」

「そういうもんです」

 

頭痛い問題だよ……ボルネオ島自体が急速に『都市』を回復しつつある。

なんなら周囲の島から片っ端から難民が押しかけてる。

ジャガーノートたちのパトロール隊は正式に『ニューレムリア水中村自警団』としてちょくちょくアビス駆除に行ってる。

まあ、クズ市民アンチも多いらしいけど、一方でアイドルかヒーローと思われてんじゃねえかって感じの取り上げられ方してるらしいし。

 

水中村もどんどんでかくなって、沖の3km四方くらいの海底が家になってる。

なんなら人間も魚養殖ビジネスやらねえかとか、投資させてくれとか話が来てる。

その全部にいちいち会わなきゃいけねえし、もう村扱い無理だよ!って王様がいうし。

 

『エレナ。以前の話は検討したか?』

 

ほら今もパソコンでビデオ通話してくるじゃん!

 

「あー、土地っていうか領海をくれるから、国として独立してくれってあれですよね……?」

『話はもう少し大きくなった。インドネシア側とマレーシア側、そしてそちら。その三方で『ブルネイ連邦』としてこの島を独立させようということになっている』

「マジすか」

 

激ヤバな話になってるじゃん。

いいのそれ!?両方の本土から超怒られるやつじゃない?

 

『……驚くのも無理はない。大規模な組織再編になる。その場合、そちらは港湾部と合わせてニューレムリア市として、自警団は海軍の特別隊としてお前の直属とする。実務上はそこまで変わらないようにする。本国との交渉もこちらがなんとかしよう……』

 

相変わらず景気悪い顔で溜息を吐く『王様』。

 

『どうか、前向きに考えてくれ』

「いやあ……う~ん……生々しい話いいっすか?」

『聞こう』

「お金……とかどうなります……?」

『少なくとも市内についてはお前にも税金を取れる権利が発生する』

 

悩むなあ~!税金、取れるのか……とっていいのか……

いやでも税金とったら恨まれるしなあ。

 

「……恨まれない程度の税金っていくらですかね?」

『……そちらがよければ、税務アドバイザーをさらに送ろう』

「ぎ、議会で審議します。審議してなんとかしますわ……」

 

心が傾く~!いや、このビッグウェーブに乗りたい気持ちはあるんだ。

あるけど、こんなん軽々しく決めていいことじゃないだろ。

 

『よろしくたのむ。……それから、これは個人的なお願いなのだが』

 

『王様』がコーヒーを画面の向こうで飲んで、溜息を吐く。

 

『いずれ、ブルネイ連邦ができれば大統領を決めることになる』

「そうすね。私は嫌ですよ」

 

釘を刺しておこう……無理だよ!種族の違いがあるからさあ……

国際社会からの目もあるじゃん?!

 

『いや、それはないが……ならば、だからこそ私に投票しないようにしてくれ』

 

それはまあ……そうなるよな。そんなん私だってやりたくないんだから、『王様』だって名実ともに王様はやりたくねえよな。

 

「まあ……私は投票しませんし、本人が嫌がってるという話は流しておきます……」

『くれぐれも、くれぐれも頼む……だが、お前も私も議員になるのは免れないだろう』

「それはまあ……そうすね」

『マレーシア、インドネシア双方の軍とコヴナントから最低一人。それだけは組閣時に確保する必要がある』

 

疲れてきた。私もテータリックのもう。砂糖をいっぱい入れて……

 

『最悪、おまえでなくともいい。すでにコヴナントに議席を1つは渡す話になっている。代表者をそちらの投票で決めてくれ』

「あ、はい……」

 

とりあえず、そういう話になった。

そろそろ通話切っていいかな?

 

『運命とは、わからないものだ……将とはいえ一軍人の私がなぜこうなっているのか、さっぱりわからん……』

「私はまあ……かなり早い段階でいずれこういうことにはなるだろうなとは覚悟してましたけど、そもそもなんでこんなことになってるのかは納得してないですね……」

『そうか……それぞれに与えられた運命がある。その点では、お前に同情する』

 

それから挨拶を交わして切ったけど、私は泥のように疲れた目でロビーを見る。

 

「……毎日これだよ。お前やる?議員」

「あはは……審議通ったらにしましょう?……でも議員かあ……」

「前向きなお前がうらやましいよ……」

 

というわけで審議~!

夜礼拝のときに脳内掲示板でトピック立てておこう。

夜礼拝は海中でやることにしてんだよね。礼拝の後で脳内掲示板タイムしてる。

これがうちの議会ってわけだ。

礼拝自体はちゃんとやるし、海中にうずまき十字のモニュメントとか沈めたけどね。

どこまで書こう?

  • このまま一気に行こうぜ!
  • もうちっとだけ続くんじゃ
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