怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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正月からふざけやがってチクショウ

そういうわけで『対アビス怪獣害支援』としてまずは東南アジアから支援派兵しようって話になった。クリスマス開けの、正月気分の時にだ。

私も演説するわけでさ。

目の前には迷彩服着てアサルトライフル持った『ブルネイ連邦軍』だよ。

ジャガーノートもレオンもいる。アリスまで……これでよかったのか……?

 

「まず集まってくれた軍人の皆さんに感謝を。私たちの国は豊かになった。平和になって、復興した。けれど、それだけでいいってわけにはいかない。この海にはまだまだ助けを求める島が数多くある。大陸が実際どうなってるのかも知る必要がある。だから、あなたたち軍人にはアビスから生き残ってる人々を助け出してほしい」

 

まあ、前提として『アビスから助け出す』が建前だし、実際やることだ。

対日牽制は結果に過ぎない。

うーん、私も今はスーツ着てるけど緊張するね。

 

「これは『命令』だ。私がコヴナントの代表として、ヴァイジャヤ・カシャル大統領からも下される。命がけの困難な任務になると思う。その上で私は『命令』する、だからここから先で君たちに起こることは私の責任だ。私たちコヴナントと人類のために戦ってきてくれ!そして、生きて帰ってくれ!」

 

いやマジで生きて帰ってくれよ。頼むから……

あっ、ちなみに本当は王様の方が支持率あったんだけど年を理由に立候補辞退した。

鬼司令に超愚痴られたんだよね。いや、今はもう大統領か。

 

「任務の無事を祈る……進軍する兵士たちに、敬礼!」

 

進軍ラッパが鳴り『ブルネイ連邦軍海外派遣隊』が船に乗っていく。

私はそれを敬礼して見つめることしかできねえ……

無力だな。

 

 

年が明けた。

東南アジア(ASEAN)はガンガン取り戻されているらしい。

スラウェシ島からジャワ、シンガポール、マレー半島、フィリピン。

そういう円を描くルートでやっていく。

爆速で駆逐してるけど何せ広い。今年いっぱいかかるんじゃないかなだって。

いや1年でできるのかよ。早すぎるよ。

 

そして、そうやって島をアビスから取り戻していくうちに国際情勢もだんだんわかってきた。

怪獣型アビスはマジで全世界的に出てて、特に欧州とアメリカがひどかった。

NATO壊滅ってわけだ。

でも中国もロシアも港湾部の街と要衝が全滅だしね。

中東は念入りにエルサレムが更地にされてたし。

いや暴れすぎだろ明神。

 

結果として残ってるのは中露と中東の内陸部と南米しかねえよ。

残った国は対怪獣型アビスへの防備と難民の受け入れで手一杯だ。

どうもコヴナントどころじゃないらしい。

世界が私たちに干渉してこなかったのはそのせいだ。

 

……みんな、自分の事で精一杯で戦争どころじゃない。

皮肉な平和だね。

ほかに手を回せる私たちが戦争を気にしてるってのに。

 

そして、だからこそこれらの情報収集の中で『明神がアビスを作ったかも』という噂を流してるんだそうだ。

あくまで『噂』という形だ。

私は記者会見でしれっとした顔で『いやー、私たちも自分が生まれた瞬間とかわからないんで~』とか『証拠がないなら噂じゃないですかねえ……』とかすっとぼけておいた。

あくまで『噂』……そういう形で真実を少しづつだしていき、証拠は記憶が風化したときか、もしくは明神を叩くべき絶好の機会に、ってことで話が付いた。

まあ、しょうがないよね。

そんな気まずい正月の中でまた厄介事が飛び込んできた。

 

『あー、もしもし?僕だよ。アビス博士の明神カズマだ。僕のチャンネルにようこそ!』

 

チェシャがえらいことになったから見ろって言ってきた動画見てる。

ほーん、こいつが明神ね。

丸グラサンに白学ランってお前。熱気バサラみたいな顔と髪しやがって。

これで50代なのコイツ!?どう見ても30以下だが……?

アビス細胞で若作りしてんのかな。

 

『さてと。みんな驚いたよね、人型アビス。でもごめん、実は僕らも『保護』してたんだ』

 

あっ!そう来るか。

まあそりゃあいるんだよ。いないはずないんだよ。考えないようにしてたけど。

私だって日本に流れ着いてたからな。

元凶で一番詳しいこいつが一体もコヴナントを確保してないはずがねえんだ。

 

『はいカメラさんパンして。ジャーン!これが日本の人型アビス。名付けてカムナビト!僕らはキリスト教徒じゃないんでね』

 

カメラが回ると、巫女服を着た黒い狐耳のしっとりした美人がお辞儀してる。

 

『カムナビトの明神タマモと申します。このようにアビスの身体を持つ身なれど、心は人としてあろうと思います』

 

うーむ、黒髪に獣耳、手はジャガーノートと同じ肉球と爪付きのもふもふだよ。

化粧してるのか、頬が赤い。うーん、日本美人だ……

 

『どうぞ、この人ともどもよろしくお願いいたします』

 

うーん、清楚……日本で育つとこんな感じになるのか。マジで?

ママはこんな感じじゃなかったんだけどね。

 

『そう!そういうわけでこの子は僕の奥さんでもあるんだ。あっ、そうだ。よければなんだけど、コヴナントの人たちも僕らとコラボしない?あとでメール送るからお返事楽しみにしてるよ!』

 

ハァ!?いや困るよ~。急すぎるだろ……

でも、見なかったことにはもうできないわけでさ。

けどこれは明神に探りを入れるチャンスでもある。

虎穴に入らずば虎児を得ず、って日本では言うんだろ。

やるしかねえ……!

どこまで書こう?

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