怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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ささやかなる落日

香坂大臣が明神相手に時間稼ぎしてる間に私たちは逃げる。

このタイミングですでにマツリ奪還のために日本の特殊部隊が動いてるはずだし、なんなら日本中で明神派と革命軍がぶつかり合ってるはずだ。

実際、遠くの方で爆発や煙が見える。

うーわ、これを私が引き金引いちゃったんだな……でも後悔はない。

これ以上引き下がる選択肢はなかったからだ。

 

おい、上見たら香坂大臣の部隊と明神が空飛んで格闘と素手でビーム撃ってるんだけど!?

完全にもうドラゴンボールとかオービタルフレームの動きじゃねえか。

まあ私も原理謎だけど重力無視して竜巻旋風脚できるからな。

いまさらか。

 

「はっはっは!どこへ行くって言うんだい?」

 

うおっ、目の前に明神が降りてきた。

タマモはメタルギアソリッドとかにありそうなぴちぴちスーツの上に黒い着物型のアーマー、強化プラスチック製の黒い狐面をつけて、明神の横でふわっと浮いてる。

 

「三分間待ってくれねえかな?」

 

私はポケットに入れてたチーフスペシャルを構える。

あれから修理したんだよね。で、普通に持ち込めた。

舐めやがって。

 

「その豆鉄砲で勝負してみるかい?」

「いいや……私はここだ!プラウダ!」

 

私は上空に向かって信号弾を撃った。

38口径でここまで派手な煙を上げられるんだからすげえよナツミの弾は。

 

「そこはバルスって言ってくれよ!」

 

空の上から無数の剣が降ってきて私と明神の間に突き立った。

明神を狙ったやつだけタマモが弾き落としてるね。

その剣の上にプラウダが降り立つ。

 

「待たせたね、エレナ」

「助かったわプラウダ」

「誰キミ?」

 

なんか手段は言えないけど空にいるよって言ってたんだよね。

ヤバそうだったら呼び出してねって。

私が言う事じゃないんだけど、国家元首が前線に出ていいんですか!?

 

「初めましてだね、明神カズマ。私はプラウダ。ルルイエ閉鎖海域の盟主として君の首を取りに来た。君を殺してコヴナントは、私たちは真の独立を得る」

 

プラウダは飛ばしてきた剣から降りて手の上に炎を出すと、その中から処刑剣っていうのかな、十字架型の大剣が出てきてプラウダは明神に突き付けるように構える。

ウソだろマジで?そんな物質生成みたいなのも私たちできるの?

 

「へえ、神殺しってわけかい?いいね!そういうの嫌いじゃないよ!」

「そうだ。私たちルルイエ閉鎖海域は国家として名乗りを上げる。人間との分離を選んだコヴナントとしてね」

「いいね。楽しくなってきた。タマモ、邪魔が入らないようにしてて。ああ、そっちのエレナはいいや。直で殴り合ってもつまんないってわかったから」

「はい、あなた。露払いはお任せください」

 

うおっ、すごいチャンバラ……お姫様っぽい外見でそんな動けるのプラウダ!?

この日のために修行してきたんだろうな……

 

「さあ、行くんだエレナ!」

「ごめん助かるわ!」

 

走る、走る。海へ、海へ!

グレートウォール!だけどこれは作戦通りなら……

炎と共に壁がはじけた!

 

「よお!待たせたな!」

「ジャガーノート!助かったよ……!」

 

壁を向こうから壊してジャガーノートが現れた。軍のみんなも一緒だ。

 

「私たちはこの気持ち悪い壁を壊せばいいんだろ?楽なもんだ」

 

黒っぽい迷彩服に身を包んだジャガーノートだ。

 

「ナツミは助けたぜ。ひでー目にあったらしいけど、体は大丈夫だ。制御装置も外した」

「あー……やっぱつけられてたんだ制御装置。あの野郎……」

 

ゲス野郎がよ。

 

「私がお前らの分まで明神殴っとくからよ。いつもみたいにドンと船の上で構えてろ!」

「……ああ。たのんだ」

 

ジャガーノートがサムズアップしたのに私もうなずき返した。

私は、走る。走る。

 

 

保護されたナツミたちの姿はひどいもんだった。

心臓と首筋に大きな傷跡っていうか拳一つ分くらいえぐれてる。

ジャガーノートが制御装置をとっさに無理やりはぎ取ったらしい。

まあそれもじわじわ治ってってるんだけど。

でも雰囲気や表情から相当ひどい目にあったんだなってわかる。

 

「ナツミ……!生きてて、よかった……!」

「お母さん……お母さん!」

 

何と言葉をかけていいかわらかねえ……とにかく抱きしめるしかねえ。

 

「もう大丈夫だ。お母さんが悪い奴らをやっつけてやるからな」

「うん……」

 

よし……この感じなら大丈夫だろう。心の傷は残るだろうが、それでも……きっと。

 

 

私はちょっと沖にとめてあるここに来た時に使った軍艦の指令室の中にいた。

この段階で私がいてもだけどさ。でもまあ、一応いといたほうがいいらしいし。

 

無線や脳内掲示板の様子を聞くにどうもいいかんじにバトルしてるらしい。

少なくとも軍部の掌握は順調のようだ。

海から見てるだけなんだけど、すごいよこれ。

モビルスーツが戦車叩き潰してるもん。アレ本当に動いたんだ!?

さすがに18mはないけど、それでも大迫力だね。

 

なんかわが軍も領海ぎりぎりに待機させといた揚陸部隊がどんどん来てるらしいし。

すごいねーってマツリ慰めながら眺めてたら、なんか……地下から怪獣出てきた。

なんか垂直カタパルトみたいなんでガシャって。

何だ……ありゃ。白い巨神兵……?

ネガポジフィルムみたいに嫌な色調の青と黒が差し色で入った真っ白い人型だ。

流線形のカブトをかぶってて……

これが明神の切り札か。それはエヴァの影響うけすぎだね。

兵装ビルも出てきて……中にある超デカい羊羹みたいなのを食ってる……

おっ、モビルスーツが倒しに行った!ビーム戦車も!

がんばれー!

 

あーダメだ。逆に食われてるよ。巨神兵どんどんデカくなってない?

あの羊羹は成長用か。

あっ、明神とタマモを手に持ってる。

なんだろうあれ……胸がカパッと開いてタマモと一緒に乗り込んだよ。

そういう形式なんだ……そういえばプラウダは?

 

エレナ:プラウダ!大丈夫か!?

プラウダ:すまない。さすがにタマモと戦いながら怪獣相手ではね。

エレナ:ケガとか大丈夫?

プラウダ:問題ない。むしろここからさ。ルルイエを戦闘形態にしろ!全砲門稼働準備!

エレナ:何の何の何!?

プラウダ:上を見てみるといい。これが私たちの作ったものさ。

 

窓から空を見てみる。

なんか揺らめきと共にそれが姿を現した。

オイ嘘だろ!?空にクソデカい流線形のUFOあるわ。

いや、亀?海亀かこれ!?

何キロ、いや何十キロあるんだこれ!?

プラウダ、お前までトンチキの側にいかないでくれよ!?

制作できた怪獣ってこれ!?怪獣の中に住んでんの!?マジかよ……

 

エレナ:マジかよ!?どうやって隠してたんだよ!?

プラウダ:光学迷彩とあとは色々さ。驚いたかい?

エレナ:すっげえよお前。やりやがったな……

 

そこに共鳴になんか嫌なざらつきが出た。

 

明神:そうこなくっちゃ!さあ、神殺しをやってみなよ!

プラウダ:言われずとも!

 

明神お前もう共鳴ですらできるのかよ。完全に人間じゃねえな。

そうか、捨てちゃったのか。人間を……

 

そこから先はもう怪獣大決戦だよ。

ルルイエの中からあっちのコヴナントの空挺部隊みたいなんが降りてきて明神の白い巨神兵にとりついてスパスパ表皮を切り刻むし。

しかもなんか全員飛んでる……飛べるんだ……

明神は明神で全身を発光させて熱でルルイエのコヴナントを追い払うと口からビーム出すし、ルルイエはルルイエでビーム出すしで……

けれど、どんな戦いにだって終わりがある。

ついにルルイエのビームが明神の怪獣に当たった。

うおっ、すんげえ勢いで空の彼方にすっ飛んでいくじゃん……?

あっ、ビルに捕まってそこから地面をつかんでる。

 

明神:くそっ!重力操作か!

プラウダ:マスドライバーさ。君たちを地球の重力から外した。質量弾発射準備!

質量弾!?マジで?街中だよ!?それはさすがに困るかな……

怪獣大決戦で足元メチャクチャだけど、砲弾ぶちこんだら地下までいかない?

 

明神:嫌だ!嫌だ!カルダシェフ・スケールも超えられない雑魚種族で終わるなんて嫌だ!

明神:待ってくれ!死の脅威がないと人は簡単に生きる意味を見失ってしまう!

明神:この不条理な世界に意味が欲しくないのか?だから僕がみんなに与えてやるんだよ!死の脅威と生きる意味を!

 

なんかないか!?砲弾ぶちこまずにこいつを倒す方法!?

……あったわ。

 

「ナツミ、共鳴をミュートしといて」

「うん。もうしてる」

 

私はナツミを抱きしめて耳をふさぎながら、思い切り共鳴のラジオと声で叫んだ。

 

『やかましい!!学術談義は地獄でやってろバーーーッカ!』

 

驚いて明神の怪獣の手が地面から離れる。

そして地球の重力から離された以上、自転から置いてかれて宇宙にすっとぶんだ。

 

「星になってこい!二度と戻ってくんなよ!バイバーイ!」

 

明神:くそっ、だがまだま……タマモ?

タマモ:あなた、せっかくの悪役の船出です。いつものように、演じてくださいな。このタマモ、どこまでもあなたといっしょに……

 

あっ、なんかタマモが明神を腕でぶっ刺してる。心臓直撃だね。

共鳴のイメージで見えるわ。

 

明神:はは……そうか。そうだね。悪役の負けだ。

タマモ:はい。最後は、潔く……

明神:そうかこれが僕の終わりか!いいね、悪くない。よくやったよコヴナント。

明神:第一世代の君たちはたぶん不死だろうけど、生きるがいいさ。

明神:僕はあがくたけあがいた!この世界の不条理に!これが僕の人生だ!

タマモ:はい。共にまいりましょう。悪の退場を……

明神:踊ろう、タマモ。いつかのように……

 

共鳴の画像イメージが見える。

タマモが上下で真っ二つになった明神の上側を抱きしめて踊ってる……

すごい笑顔だ……なんだろう。ヨカナーンの首にキスするサロメの構図だこれ。

コッワ~……

タマモは、どうしようもなかったのかな……いや無理だわ。

そこまで助ける余裕は私にはないわ。

 

怪獣が大気圏に差し掛かったのか、赤く燃えながら宇宙へ飛んでく……

夕暮れの空に、それはいつしか溶けて消えた。

終わりだ……勝ったんだ。

 

それでこのプラウダの巨大戦艦亀どうするんですか!?

ていうか不死?不死なの私たち!?

どこまで書こう?

  • このまま一気に行こうぜ!
  • もうちっとだけ続くんじゃ
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