怪獣娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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人類交流編
大人になる罪


「……おはよう」

「あっ、おはようございます……き、昨日は楽しかったですね……フヒヒ……」

 

起きたらリスナーちゃんと私の入ってる水風呂を上からのぞいてるジャムールがいた。

起きる前に揉むな。髪の匂いを嗅ぐな。

 

「……とりあえず、今日は村行くから案内たのめる?あと揉みすぎ」

「えっ、ダメですか……」

「良いとかダメとかじゃなくおかしいよ距離感……」

 

一回寝たら彼氏気取りってこれかぁ~!距離が近すぎる……!

ダメなタイプのやつだコイツ。

 

「朝からそういうのはどうかと思うよ……」

「えっ、でも皆さんが来るまでもう一回くらいできると思うし……」

「皆さん!?来るまでってもう呼んじゃったの!?どうやって!?」

「あっ、狼煙(のろし)です」

 

こいつ、他人のキッチン勝手に使って狼煙しやがった!

どうりで煤がついてると思ったよ!

 

「そういうのは許可を取ってくれよ!勝手に進めないでくれよ~!」

「あっ、はいすいません……」

「まあいいや、服着ようね。あとリスナーちゃん服着るの初めてだから手伝って」

「フヒ……い、いいですよ」

「頭ピンクから離れろ。調子乗んなよ」

 

わりとガチ目に睨むとビビってた。ウケる。

 

「す、すいません、すいません……私、いままで同族の人がいなくて……」

 

お前が童貞だったのは知ってるよ!見ればわかるよ!

 

「ふわぁ……どうしたの?何かあったの?」

「あー、うん。リスナーちゃん服着ような」

「なんで?」

 

モデル体型できょとんした顔はかわいいんだけどなあ。

 

「人間のお客さんが来るから。人間は服着るから、裸だとびっくりしちゃうんだよ。というわけでおしゃれしようね」

「おしゃれ……?よくわからないけど、たのしそうね!」

「うん、がんばってみるわ」

 

あと2時間か1時間くらいか……急げ~!

マッパはまずいだろどう考えても。

私は急ごしらえですげえ頑張ったよ。

とりあえず用意してたパレオつきの水着着せて、花を使って髪飾りまでしたもん。

マレー人はスカーフとかいるのかなあ?ほらムスリムだからよ……

とりあえずそれっぽい白レースのスカーフかぶせて……よし!

私?私は超急いでジーンズとTシャツ着て、キャップ帽被ったらもう村人来てたよ。

 

「ジャムール?首尾はどうだ?その……仲間になれそうな感じか?」

 

マレー語だね。覚えててよかったよ……小屋を囲んで何人もいるな。

広東語とタミル語の単語もかすかに聞こえる。

 

「フヒ……大丈夫ですよ……すごくいい人たちでした」

「そうか。それはよかった。出てきてくれるように言ってくれ」

 

若い男の声だな。なんか……さわやかな感じ。

 

「OK、マレー語は私もできるよ。普通に聞こえてる。出るから撃たないでくれ」

「ああ、もちろんだ。こちらも銃を下げる……落ち着いて……何事もなくいこう」

 

カチャリと音がして、どうも銃を下げたらしい。

 

「ああ、歌も歌えるよ。サラワク州の歌。ブントゥリ・サントゥリボンだっけ?『あああ~♪サントゥリボン姫、セジンジャン姫、極上の甘露、神の子が天より降りてくる~♪』これだろ?」

 

よし、声の反響から読み取ったシルエットは銃を下ろしている。

数は……5人か。決死隊くらいのつもりかな?

 

「ああ……よく知ってるな」

 

私はリスナーちゃんを下がらせて、ジャムールと肩を組んでそっと外に出た。

「フヒ……用心深いですね……大丈夫ですよ?」

「何事もない方がいいだろ?」

「フヒッ……お願いしますよ」

 

いざとなったら盾にするつもりなのを解ってついてくるこいつも大概だよ。

外で待っていたのは白人ハーフの金髪の男、それから中華系、あとは……インド系か?マレー系いねえな。

なるほど、非ムスリムコミュニティか。私はツイてるかもしれない。

全員若い兄ちゃんだ。彼らが一瞬息をのんだのがわかる。

 

「あー……はじめまして。露出が多かったか?まあバケモノなのは見てわかるだろうけど、別にブサイクじゃないだろ?」

 

一瞬の緊張。すぐにハーフの男は作り笑いをした。

 

「……すまない、思ったより可愛いお嬢さんでね。私たちもおっかなびっくりだったんだ」

 

白人ハーフの金髪兄ちゃんはわりとイケメンだ。

まあ爽やかな感じだよ。緑の迷彩服に右手にM4カービンを握っている。

私を見てそっと銃を背中に背負いなおして握手を差し出してきた。

 

「そうか。私はエレナ。奥にもう一人いる。あんたは?」

「レオン。人類解放軍ボルネオ方面の一尉だ。よろしく」

「ああ、よろしく」

 

私も自然に見えるように作り笑いをして握手した。

うん……まあファーストコンタクトとしては悪くないんじゃないか?

 

 

とりあえず、朝飯食おうってことになった。

 

「あー、私たちは昨日の肉の残りがあるから大丈夫だよ」

「これは……アビスか。大丈夫なのか?」

「私たちは結局アビスだからね。あんたらが鳥や牛を食っても平気なように別に平気なんだわ」

「そうなのか……よければ、携帯食料もある。食べないか?」

 

MREだ。アメリカ軍のレーションってやつだね。

完全に密封されてて毒を盛られる心配は『少ない』。

気を使わせてるんだろうな……

 

「いいの?MREなんてもう貴重なもんだろ」

「だからこそだ。初めて会う人には敬意を示したい」

「わかった。でも貰ってばっかりも悪いから、これ飲みなよ。海の方のリゾートでパクってきた。まだ賞味期限いけると思うよ」

 

こういう時のために贈り物として用意してたんだよ。

見ろ、ミロだ。あのココアもどきの。緑の袋の。

なんかいっぱいあったから……

 

「なんてこった。マイロじゃないか……!そうか、君は海辺までいけたんだな」

「まあね。海から来たからね。じゃあまあ……食べよっか」

 

そういう間にも、レオンは手早くMREを調理してくれてた。

あれ、マジで袋のヒモひっぱったらあったかくなるんだね……

 

「言っておくが、しょせんレーションだ。味にはあまり期待しないでくれ」

「そういえばあんまおいしくないんだっけ。食い過ぎないようにって」

「すまないね。けれど、このほうがお互い安心できるだろう?」

「……悪いね。気を使わせて」

「お互い様さ」

 

お互い毒盛ってねえか最大限警戒してるからな。

めんどくせえ……

めんどくせえが、私はカバンの中からわざわざ開けてないミネラルウォーターを出してミロと一緒に渡した。

 

「じゃあまあ……乾杯」

「ああ、乾杯」

 

私の出したミロと、レーションの中にあった粉ジュースで乾杯だ。

うーん……普通って味だ。まずくはないが、うまくもねえ。

 

「おいしいわ!これなに?なんだかきれいね!」

「あー、うん。悪いけど普通の味だな……」

「フヒ……やっぱりあんまりおいしくないですね」

 

リスナーちゃんは喜んでくれてるけど、MREは暖かいから食えるけどさあ……って味だ。

ちなみにメニューはチリコンカンにクラッカー、ジャム、ミートパテ。

おまけにM&Mのチョコレートだ。

リスナーちゃんはチョコのファンシーなデザインに興味津々だ。

 

「ははは、仕方ないさ。軍用食だからな。俺もいただくよ」

 

ミロを飲んで、軍人さんたちというか村人一同はしばらく静まり返った。

 

「……懐かしい味だ。マイロなんて一体何年ぶりに飲むか……」

「そっか。まあ……喜んでくれてよかったよ」

 

アビスのせいで壊滅したからなこの島……

私のせいじゃないとはいえ、微妙な気持ちになっちまうよ。

とにかく、お互いに最低限の信用はできた……と思う。

 




人物図鑑。

■レオン・楊
人類解放軍ボルネオ方面隊一尉。32歳。
イケメン。
中華系マレーシア人と旅行者のイギリス人の間に生まれる。
スラムで生まれ育ち、若い頃からいろんなバイトをしていた。
幸いなことに、イギリス人の父親が多少の蓄えはあったため進学し軍に入隊。
その頃アビスが侵攻し、そのまま最前線にブチ込まれる羽目になる。
だが、幸か不幸か彼には戦いの才能があった。
生き残り出世して、今では兵のまとめ役である。

どこまで書こう?

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