星の海が示すは天の音   作:レオ2

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プロローグ 前編 北斗海星の場合

 世界がつまらない、そう思い始めたのはいつの頃からだっただろうかと男は思った。

 彼の視線の先、閉じこもった部屋から窓を見る。

 昨日もこの場所から、同じように窓の外を見た。

 そこは全く変わる事のない景色、目覚めたら異世界とか転生とか、そんなものは所詮はあり得ないもの。

 

「……」

 

 昨今ではそう言ったライトノベルが流行っているらしいが,その現実離れしすぎた設定に彼はついて行く事が出来なかった。

 誰も体験したことがない,ていうかあり得ない世界の話に没頭するのなんて現実を見ない人が見るものだと思ってる。

 そんな事よりも,最近アメリカの会社が発表した最新のAIについてとかを喋りたかった。

 だから中学時代,クラスメイト達の同年代の男子がライトノベルの話をしていても面白さが微塵も分からずに

 

『くっだらねえ現実逃避してねえで勉強しろ』

 

 珍しく……そう珍しく声をかけてきた男子生徒に暴言を吐いた事が彼の学生生活を決定づけた。

 いかんせん,周囲の人間からかなり好印象を得ていた男子だったから周囲の反応が冷たい刃のように変化したのだ。

 なんなら女性人気も高い人間だったから余計に。

 例え言われた本人が

 

『あ……うん,勉強も大事だよね』

 

 と認めていても,それを周囲が良しとするかは別の話だ。

 その時の若干傷ついた表情を見ても,男にとっては正論しか言ってないと思っているので気にする事は無かった。

 ただしスクールカーストは怒涛の勢いで最下位へと至った。

 

 そんな周囲と馬が合わない彼が,学校に行かなくなるのも必然だったかもしれない。

 彼自身も,周囲を感情で動く阿呆と見下すようになっていた。

 それは教師に対してもそう,とっくに理解している範囲を聞き流しながら1人JAVAのコーディングについて勉強している時だって──

 

『北斗,俺の授業はそんなにつまらんか?』

『面白い授業するのがあんたの役目だろ』

 

 スクールカースト最下位であっても,彼が虐められる事が無かったのは頭の良さにも理由があった。

 言ってしまえば天才,それ故に周りと一緒になる事が出来なかったのだ。

 

 中学を卒業し,高校へ進学する際に彼が選んだ進路は通信制高校だった。

 自分のペースで,自分がやりたい事を時間に縛られる事なく出来るなんて素晴らしいシステムだとすら思った。

 逆に普通の全日制高校に通う人間は「バカなのか?」と思っていた。

 何時間も拘束され,自分のやりたいタイミングでやりたい勉強ができないなんて欠陥システムとしか思えなかったのだ。

 

 

「もうこんな時間か」

 

 

 一瞬過去へ目を向けていた彼は,不意に見た時計が夕餉の時間を指示しているのを見てデスクトップパソコンの電源を閉じた。

 それとほぼ同時,今家にいるもう1人がノックしてきた。

 

「かいちゃん晩御飯出来たわよ」

 

 かいちゃん……と,呼ばれた男の名前は北斗海星(かいせい)

 筋金入りのインテリであり,オタクであり,データと数字に生きる青年だ。

 

 




どうもこんばんわ、レオ2です!
プロローグ、どうでしたでしょうか。
短く、主人公である海星の事を伝えられていたら幸いです。

次はプロローグ 後編 千歳天音の場合。
よろしくお願いいたします。
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