新古典派経済学っぽい話から、マルクス経済学っぽい話へ 作:ヒルベルト
私…Intrepid-kuroganeは、ガングートと夕立を伴って、海外のある海域で業務に従事した。
業務内容については言えないけど、業務は特にここで言うようなエピソードもなく、無事に完了した。
それで私、ガングート、夕立は帰国、海神警備・岩川台営業所に帰還して、この時「甘味処・間宮」にいた。
業務の無事完了を祝う打ち上げを行うためだった。
私たちは、グラコロ…グラタンコロッケバーガーで、業務完了を祝うことにした。
(その時は冬だった。)
打ち上げにグラコロが相応しいメニューなのかどうかはわからないけど、間宮さんのグラコロが絶品だったのは間違いなかった。
私たちが間宮さんの Excellent なグラコロを堪能していると、どういうわけか夕立がこんなことを言い出した。
「そう言えば、ガングートさんは文章の中で、市場が財貨やサービスの量や価格を決めるって話を支持してたけど。」
「ソヴィエト艦娘のガングートさんが、こんな新古典派経済学みたいな話を支持するのって、何か変っぽい。」
岩川台営業所(うち)のガングートは、営業所で出している小冊子・Pro securo crastino に、時々経済学的な話を寄稿してる。
ガングートと言えば確かにソヴィエト艦娘なんだけど、彼女が書く経済学的な話は、何て言うか、あんまり共産主義や社会主義の色が、あまり前面に出てない…。
でも、夕立…?
なんでこの時、ガングートの文章の話を?
あなた、そんなキャラだったかしら?
「認めざるを得ないことを認めただけだが…そんなに変だったか?」
ガングートは夕立の奇妙さには特に反応せず、夕立の話に応じた。
「変って言うか、何か物足りないっぽい。」
「これはどっちかって言うと、夕立の方が変っぽいけど」
「ソヴィエト艦娘のガングートさんには、マルクス経済学っぽい話をしてほしかったっぽい。」
ホントに夕立…あなた、そんなキャラだったの?
私がそう思っていたら、ガングートは…。
「マルクス経済学“っぽい”話で良いのだな?」
…夕立の”リクエスト”に応じる姿勢を見せた。
「まあ私もソヴィエト艦娘の端くれ」
「勿論、マルクス経済学にも関心はある。」
「現世に顕現してから」
「私も私なりに、マルクス経済学について学び直したりもした。」
「それで、お前の言うマルクス経済学”っぽい”話なら」
「実は私の頭の中で、ある程度形になっている。」
「これも何かの縁というやつか。」
「形になっているだけで、完成しているとは言い難いが…」
「一つこの、マルクス経済学”っぽい”話を、披露するとしよう。」
そう言うと、ガングートは自分のグラコロバーガーをじっと見た。
「そう言えば、このグラタンコロッケバーガーというやつは、ほとんど小麦から出来ているのだったな。」
「…大地で小麦を栽培し、小麦からグラタンコロッケバーガーを作り、そしてそのグラタンコロッケバーガーを食す。」
「この流れは正に経済活動そのものだ。」
「せっかくだから」
「このグラタンコロッケバーガーを教材にして、経済学”っぽい”話を、マルクス経済学”っぽい”話を展開するとしようか。」
…話をしようか、ということだったけど、ガングートはせっかくだからある程度纏まった内容で話をしたいとも言った。
それで、後日マルクス経済学”っぽい”話を文章にして、夕立と私(私は別にいいのに…)に披露することを約束して、一旦この話題は終わった。
…で、一週間ほどしてから、ガングートはこの時の約束を守った…。
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世界は、仕事で出来ている。
ここで言う仕事とは?
それは、この世に在って何かをすること。
それは、この世に在って何かが出来ることである。
今、私の前に、グラタンコロッケバーガーがある。
間宮さんがこのグラタンコロッケバーガーを作ることは仕事だ。
そして、私がこのグラタンコロッケバーガーを食うことも、また仕事だ。
グラタンコロッケバーガーを食った私は、明日もまた業務に…仕事に就くことができる。
そして私の仕事は、また誰かを、誰かの仕事を支える。
こうして世界は、仕事によって創り上げられていく。
豊かになると言うことは、出来なかった仕事が出来るようになることである。
前より多くグラコロバーガーを作れるようになることは、豊かになることである。
グラコロバーガーだけでなく、照り焼きチキンバーガーを作れるようになることも、豊かになることである。
貧しくなると言うことは、出来ていた仕事が出来なくなると言うことである。
前より少ないグラコロバーガーしか作れなくなることは、貧しくなることである。
照り焼きチキンバーガーも作るどころか、グラコロバーガーを作ることすら出来なくなることも、貧しくなることである。
人間は…我々は、豊かになることを目指し、貧しくなることを避けなければならない。
せめて、今出来ている仕事を、これからも続けられるようにしなければならない。
経済学は、この目的を追求する学問なのである。
人間は集まって、協力し合う。
協力とは、交換と貸借のことである。
人間が、交換と貸借によって協力し合う場所を、市場と呼ぶ。
市場は社会であり、社会は市場なのである。
市場に於いて、人間は互いに協力し合う。
市場に於いては、交換と貸借が行われている。
交換と貸借と言うが、一体何が交換され、貸借されているのか?
そもそも世界は、仕事で出来ている。
だから、市場に於いて交換され、貸借されるものは、
仕事であり、仕事の産物である、ということになる。
Labor was the first price, the original purchase-money that was paid for all things.