ネタバレが激しすぎる魔法少女まどか☆マギカ   作:カイテン・マテナカータ

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第三十二話 良好な関係

「変なことすんなよ。やったらすぐ捕まえるからな」

「良かった。暁美さんが一緒だったのね」

 

 質問に割り込むように、赤と山吹が現れた。

 赤が脇に抱えているものを見て、ほむらが血相を変える。

 

「まどかっ!!」

「落ち着け。こっち来る時に気ィ失っちまっただけだ。……すまん」

「──────とりあえず、巴マミに……マミさんに渡して」

 

 はわ!とマミが呼び方の変移に喜びを示しているのを無視して、杏子はまどかを持ち上げ投げ渡す。

 マミは感動で口に手を当てていたが、取り落とすようなことはしない。流石マミさんとさやかは内心で褒めたたえた。

 マミさんが眠るまどかをお姫様抱っこしている。

 とても絵になる。カメラが無いのが惜しい。

 

「やっぱり持つべきものは頼れる先輩ですね。マミさんが一番頼りになりますよ」

「そんな……私は、あなたたちの記憶も無いのに」

「けど、頼りになるのは変わりませんから。まどかが危なくなったら、自分の命の次くらいに助けてあげてほしいな~……とか!」

 

 困ったように眉を八の字にしたものの、マミはそれに頷いた。

 ほむらと杏子が対峙する。その空気はそれまでと同じピリピリしたものだ。

 

「一応聞いておくけれど、まどかをああしたのは故意のものではないのよね?」

「だったらどうすんだ?」

「契約を破ったのはあなたよ。今すぐあなたを排除する」

「どうやって?」

「決闘よ。私が負けたら、今後この話は無視していい。グリーフシードを渡す。あなたが負けたら、報酬はない。見滝原から出て行って貰うわ」

「おーおー、アタシにとっちゃ旨味しかないね。戦うのは二回目だしさ、勝つけど?」

「あなたが目の前から消えるなら、今から始めても構わないわ。勘違いしているようだけど、私の勝ちは決まってる。報酬なんてものがなくとも」

 

 バチバチと火花が散っている。

 今にも戦いが始まりそうな様子だった。

 見かねてさやかが間に入る。

 

「ストーーーップ!そもそもあんたなんでまどかと一緒にいたの?……あたしを探しに来たんでしょ!?」

「お、そうだった。忘れるとこだった」

「オイこらあ!恥ずかしいんだぞ自分で言うの!!」

 

 すまんすまんと軽い謝罪をしつつ、杏子はチョコ菓子を食べる。

 今のブームはチョコらしい。

 こいつが病院から抜け出してたんだ、と杏子がいうとマミの視線が鋭くなった。

 ほむらは意識がそっちに移ったのか、元に戻って淡々と呟く。

 

「魔法少女なのだから、別にいいのではないかしら」

「駄目よ!ちゃんと体に異常がないか、精査して貰ってからじゃなきゃ……それに、お金の問題もあるし……!」

「あ、それはやってもらって……お金は……親が、多分……へへ」

「そんなんじゃ駄目でしょう!?全く、世話が焼けるわ」

 

 そうして話していると、まどかが目を瞬かせた。

 ゆっくりと目を開け、近くにあったマミの顔に驚く。

 

「ま、マミさん!?それに、さやかちゃん、ほむらちゃんに杏子ちゃんも……」

「大丈夫、まどか。怪我や異変はないかしら?」

「え、あ、うん。特に痛いところとかはないよ。ただ、ほんのちょっとなんだけど、背中?が痛いかも」

「持ってるマミより先に……どんだけ気になるんだよ」

「あんたが言うな」

 

 痛みの原因は、とほむらが問うがまどかは首をかしげるばかり。

 杏子に目を向けるが、赤い眼は口笛を吹いて飄々としている。マミもまどかを降ろし、背中をほむらと共に確認している。

 そして、さやかとまどかの目が合った。

 二人はお互いに気まずそうにはにかみ、目を逸らした。

 それを横目に、杏子はぽつんと呟いた。

 

「お見合いかよ。さっさとしてくんない?」

「あんたさァ!」

「杏子ちゃん!?」

 

 バッシングを受けても平然とした顔で杏子は肩をすくめた。

 気を取り直し、さやかは口を引き結んだ。

 

「まどか、ごめんっ!」

「…………さやかちゃん」

 

「勝手に怒鳴って、病室から抜け出して……あたしは、まどかに才能があるって聞いて、嫉妬してた。まどかなら、あたしみたいなミスなしでマミさんを復活させちゃうんだろうなって」

「わたしに、そんなことは……できないよ。でも、魔法少女になったとしたら、本当に……そうなっちゃうのかな」

「可能だろうね」

 

 銃弾が白いものを掠める。

 きゅ、と鳴いてキュゥべえ・クロマークはそこにいた。

 

「やらせないわ。もう2度と、まどかを魔法少女にさせやしない」

「待ってよ、暁美Mほむら。今日はただ話をしにきただけだ。昨日の一件も、ボクらなりの結論が出た。鹿目Kまどかを魔法少女にするつもりではないんだ」

「じゃあ一体、何しに来たってゆーのよ?」

「ワルプルギス・タオセイン・の夜は、君たち四人で戦っても倒すことは難しい」

 

 これは忠告、と言ってキュゥべえはするするとマミの肩に乗った。

 マミは呆気に取られたままで、特段攻撃はしない。

 杏子が槍を向ける。

 ほむらは眉間に皺を寄せ、それをほぐす。

 

「……それをわざわざ言いに来たのかしら。分かり切ったことをいちいち聞きたくないのだけど」

「あれを倒すのは、難しいけど……応援はするよ。鹿目Kまどかは魔法少女にならないようだからね。ボクはミタキハラを去って別のところに行こうと思う」

「じゃあ、ならずに済むんだ……!」

「まどかさえ魔法少女になってくれれば、宇宙のエネルギー問題は大きく前進するんだけどね。本当に残念でならないよ」

 

 さやかが顔を明るくする。

 まどかは、さやかと顔を見合わせ一緒に喜んだ。

 しかしまた雑音がこぼれた。

 

(魔法少女に、ならなきゃいけない)

 

「っ……く、あっ」

「まどか?」

 

 さやかが尋ね、ほむらの注意がそちらに向かう。

 杏子は変わらずマミとキュゥべえKを見つめていた。

 

「待てよ。お前、ミタキハラから手を引くっつったな」

「そうだよ。それがどうかしたかい?」

「カザミノは、どうすんだ」

 

 あぁ、それか。とキュゥべえは軽く首を振った。

 

「ボクはミタキハラ・アブナイ市担当だからね。カザミノ・トナリノ市にいるキュゥべえは特に変わらないよ」

「……ふーん、そ。悪だくみは続けるわけか」

「ここまで話がこじれることは滅多にないけどね。ボクはあくまで願いを叶え、魔法少女を作るだけさ。イレギュラーがなければ干渉する理由もそんなに無いからね」

 

 顔を傾け、杏子は思案した。

 自分の肩の上で流暢に説明するキュゥべえを見ながら、マミは尋ねる。

 

「本当に、私たちを騙していたの?キュゥべえ」

「ボクはそう感じられないけど、君たちからはそう見えているらしい。マミはどう思うんだい?」

「私は、まだあなたを友達だと思っているわよ」

「マミ」

 

 杏子が咎めると、マミはかぶりを振った。

 

「わかってる。貴方のことは……残念に思うわ」

「……ボクは、君がソウルジェムを壊されないまま生き続けることを望むよ」

「ふふっ、そうね。けれど、私が魔女になった時は……暁美さんに止めてもらうから」

 

 キュゥべえは、その言葉を聞いて去っていった。

 その後ろ姿を睨みながら、杏子とほむらは武器をしまう。

 それでさぁ、とさやかはほむらに向き直る。

 

「まだちゃんと教えて貰ってないよ。なんであんたはまどかをそうまでして遠ざけるのさ?まぁ、魔女にさせたくないのも分かるけど……それも、ワルプルギスの夜ってやつが関係してる?」

「……そうとも言えるわ。あれを倒せなければ、まどかは契約してしまう……あれさえ退けられれば、まどかは魔法少女にならずに済む」

「わたしが、魔法少女になっちゃいけないのって……魔女のせい?」

 

 そうね、とほむらが空を見上げた。

 まどかが魔法少女になると、魔女は途方もない強さになる。日本を、世界さえ壊せるくらいに強くなる。

 ほむらが言ったことを、さやかや杏子はあまり真に受けなかった。

 ただ、その後言ったことには同意を示した。

 

「まどかは強いけれど、だからと言って頼るべきじゃない。私たちでワルプルギスの夜を倒せるのなら……それに越したことは、ないわ」

「まぁねー。石ころに魂つめられるのも嫌だし、最後は魔女にならなきゃいけないって言う辺りクソみたいなルールだよ。魔女になんてなるもんか」

 

 杏子に無言で他の二人が同意する。

 マミは頭に触れ、金色の飾りをいじくった。

 

「……私たちの魂がここに、ね。皆は割と急所と近いけど、私は髪留めよね。危なっかしいわ」

「持っておくにも手が塞がりますしね。付け替えもできないし……こわー」

 

 まぁでも頭も急所だろ、と杏子が言えば、それはそうねと納得した。

 あと倒すべき存在は、ワルプルギスの夜だけ。

 他には何もない。

 

 五人はワルプルギスの夜を倒すため、団結したのだった。

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