OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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すべてにイレギュラーは付き纏う

「 さて・・・ 」

 

 オレは改めて、戦闘メイドたちと対峙する。なるほど、みんな顔面偏差値は良いらしい。三女はカスのような性格がすべて台無しにしているが。

ま、炎雷の趣向だろうし、文句はいうまい。

真ん中のチョーカーの目が行くほどの爆乳の女はオレをまっすぐ見つめていた。

 

「 お初にお目にかかるな、プレアデス。

オレはあるじぇんと。ドラゴニュートだ。 」

 

「 長女のユリ・アルファと申します。 」

 

「 次女のルプスレギナ・ベータッス。 」

 

「 ルプスレギナ。そんな名前だったか。 」

 

「 ・・・へ?どういう意味ッスカ? 」

 

 呆気に取られたような顔しやがって。コイツだよな。タドコロ?

 

「 お前の造物主、思いっきりお前の名前忘れてたぜ? 」

 

「 ・・・! 」

 

「 抑えなさいルプスレギナ。 」

 

「 ユリお姉様。この下等生物は本当に、御方々の縁者なのですか? 」

 

「 ナーベラル! 」

 

「 おや、前見た顔だ。魔力系の魔法詠唱者だったよな。よく作ったもんだよな、炎雷も。 」

 

「 なんだと? 」

 

「 今どき弱ぇのさ。魔力系魔法詠唱者はよ。それもお前みたいに一つの属性に特化したのは。 」

 

 ユグドラシル後期は、魔力系魔法詠唱者はお通夜状態となっていた。

 物理も強い信仰系、未知数でなんでもありみたいだった精神系に比べて、魔力系はあまりにもオーソドックスな魔法職であり過ぎた。

魔法攻撃力は確かに強い。ガン逃げできれば、相手を殺しきれるかもしれない。

がしかし、致命的な程に物理が弱いというのがネックになり、最終的には信仰系の魔法詠唱者の方が数が多くなっていた。

オレ自身信仰系こそ魔法詠唱者にて最強だと思っている。

精神系も、あるコラボにて実装された新コンテンツによって、凄まじいほどの隆盛を見せた。

雷帝だって精神系だ。

しかし魔力系は、地味だった。

魔法は派手だった。が、それだけである。

コラボでの強化も地味なものであり、それこそワールドディザスターや、KMRさんや廣井さんのような、錬金術士や秘儀術士を兼任してるもの、その昔クランで知り合ったぬーぼーのような探知系を除いては、「魔力系はオワコン」とすらいわれた。

アイツ、元気にしてっかな?ぬーぼー。

 

「 私をお創りになられた、弐式炎雷様を愚弄すると? 」

 

「 そのつもりはないが、お前がそう思うんなら、そうなんじゃない?お前の中では。 」

 

「 貴様・・・! 」

 

「 先の言葉、訂正してください。 」

 

「 やだね。なんでポルンガの手下に頭下げなきゃなんねぇの?所詮作りものの癖によ。 」

 

「 作り物・・・! 」

 

「 忌憚のない見解というやつだよ。納得いかないなら、オレを倒してみろ。もっともお前ら如き相手にもならんがね。 」

 

 こいつらの後ろに控えている可能性の高いデミウルゴスも、戦闘能力は高くないと聞いている。こちらもペロロンが後方にいる以上、さしたる問題にはならないだろう。奴がなにか可笑しなことをしでかそうとしなければ。

 

「 ・・・! 」

 

「 怒ったか?だがお前らもお前らの主人も、そうやって他人を踏みにじってきたろう? 」

 

 ナーベラルちゃんわなわなわなわなと怒りのボルテージが上がってくのが分かるぞ。

本物も本物でいたぶり甲斐がありそうだ。

さて、残りの2体もビジュアル神ってんな。

あの橙色のヤツ、ガーネットそっくりだ。ミリタリー趣向のでてるメイド服も、アイツらしい。

アイツパワードスーツをモモンガに勝手に改造されてギルドを辞めたらしいが、今どうしてるんだろうかね?

もう片方は特にヤバいな。いろんな意味で。

可憐さと気持ち悪さが両立してる。ありゃ蜘蛛人か。格好的に和風好きな源次郎辺りか。

 

「 何ー?私の面になんか付いてるのぉ? 」

 

「 いや、なんとも。さて、そろそろ始めようか・・・シーザー。 」

 

「 グゥウ・・・! 」

 

 オレの隣の金色の竜が並び立つ。

戦闘メイドたちも、身構える。

 

「 参ります。 」

 

「 おう、どっからでもどうぞ。 」

 

「 〈魔法二重最強化連鎖する龍雷〉・・・ 」

 

「 シーザー、〈ベギラマ〉だ。 」

 

「 グァァアアン!! 」

 

 アホみたいに真正面から魔法をぶちかまそうとした矢先、シーザーの灼熱系信仰魔法〈ベギラマ〉が発動し、プレアデスたちを炎の海が包む。

呆気がなさすぎる。これくらいで全員がダウンとは。

まぁ、シーザーは77レベルに補正が掛かって実質92くらいになってるからな。こいつら程度相手にすらならない。

にしても、デミウルゴスってのはよほどオレを舐めてたのか、それともまだなにか策があるのか。

後者っぽいが果たして。

 

「 ウォルァァア!! 」

 

「 !? 」

 

 ギリギリ避けられていたのか、赤毛の褐色の女がメイスで殴りかかってきた。が、オレはあっさりと受け止める。2発3発目も同様だ。

コイツの姉さんも、刺々しいガントレットつけてグーをかましてくる。が、

 

「〈メラ〉!」

 

「 アァッ!? 」

 

デュラハンだと聞いたが、やはり火はよく効くらしい。こいつら程度、〈メラミ〉ですら勿体なくて使うのを躊躇う。姉ちゃんがやられる様をみてか、褐色の勢いがオレにやけに食いつくように強くなる。

見た目からしてコイツはタドコロと同じくワーウルフなんだろう。そのシスター服の要素が合わさった改造メイド服から、獣臭い匂いがしてくる他に、口から犬歯が見える。

少しでも気を抜けば59レベ相手に痛い目を見ることになる。

 

「 臭えな。 」

 

「 失礼ッスよ、女の子に対して! 」

 

「 だがいいデザインだ。タドコロの賜物だな。 」

 

「 え、タドコロ?誰すかそれ? 」

 

「 知らんのか?アイツ名前変えたんだぞ。

獣王メコン川改め、野獣王タドコロだ。

モモンガからアインズ・ウール・ゴウンよりは痛くない。 」

 

「 はぇ~・・・ 」

 

「 それはそうと・・・ 」

 

「 ん? 」

 

 オレはそっと、杖をルプスレギナの懐に押し込む。

 

「 喋りすぎだ。〈イオラ〉! 」

 

 爆発魔法が炸裂し、人狼の少女は爆風とともにふっ飛ばされる。

第七位階でこれとは。レベルのキャパシティ制限があるとは言え、どうしてこうも根性がないんだタドコロよ。ま、ビジュアル神ってるからいいけどな。

ナーベラルよりは性格良さそうだし。

どっちみち人間のクズだと聞いているが。

さて、シーザーは・・・おっと、やはりあちらも順調のようだ。

 

「〈式蜘蛛符〉!」

 

 あの和風の蜘蛛人、エントマといったかな?が繰り出した式神の群れを、シーザーは〈火炎の息〉で一掃する。虫らしく彼女は火は苦手なのだろう。なんとか距離をとって、火炎から逃れている。

 

「 〈連鎖する龍雷〉! 」

 

 ナーベラルはまた〈連鎖する龍雷〉だ。それでゴリ押すしか能がないのか。

シーザーも呆れながら、躱しているようだ。

そしてお返しとばかりに、尾をスイングさせてぶつける。彼女の身体は思い切りふっ飛ばされ、建物に激突した。

どれだけイキろうが、所詮63レベルというわけか。

 

「〈硬甲蟲〉!〈剣刀蟲〉!」

 

 エントマの両腕に腕甲と剣に似た虫がひっつき、シーザーからオレにターゲットを変えて襲いかかる。なるほど蟲使いなのか。センスあるなぁ、源次郎。

が、所詮蟲ケラだ。

 

「〈メラミ〉!」

 

 こんな奴らに勿体ないといったが、ここまで精巧に作られたデザインならば、寧ろ壊したくなってきてしまう。

 

「 うわぁぁぁああ!! 」

 

 蟲ゆえにやはり炎はよく効くらしい。エントマは身体を焼かれて悶えている。

 

「 こんなもんか。所詮は時間稼ぎ要員。大したことはない・・・? 」

 

 不自然なことに気づいた。確か六人だったよな。ソリュシャン含めて。ガーネットの作った戦闘メイドは何処にいった?

 

「 そこ・・・。 」

 

「 ん? 」

 

 まったく意図せぬ位置から、銃撃を受けた。大して痛くなさそうだしあっさり躱せたが。なるほど、これが彼女の戦闘スタイルか。

 

「 クレバーな奴だな。だがレベルが足りん。 」

 

「 足りなくたっていい。博士がそう作ってくれたから。 」

 

 博士?ガーネットのことか。

そう呼ぶように設定されてるのか。

にしても、身を隠したと思えば、この程度の攻撃を繰り出すくらいか。だがコイツ、他に比べて悪い気がしない。あのユリってのと併せて持ち帰っても良いかもな。

 

「 う、うぅ・・・ 」

 

 おや、エントマがまだ動いている。アレを喰らってまだ生きているのか。

 

「 お、可笑しい・・・ 」

 

「 ん? 」

 

「 デミウルゴス様・・・何を・・・? 」

 

 なにやら打ち合わせをしていたようだが、話と実際に起こった現在に差異があるらしい。

まさか、こいつらを見捨てたか。でぇ丈夫だ、ユグドラシルコインで生きけぇれるさって?

流石に有限のコインを浪費までしてこいつらを捨て駒にしてぶつけるのは悪手だ。曰くこのデミウルゴスというのは、ナザリックの知恵者らしい。よほど頭の回るということはなんの理由なくそんなガバを働く訳が無い。この蜘蛛人もそれを理解している。だ

ま、なにはともあれ、こいつらを殺していくか。

悪いなモモンガ、呪いたくば部下を御しきれない手前を恨め。

 

「 ・・・アインズ様! 」

 

 殺ろうと思った時、エントマは側頭部を二本の指で押さえた。〈伝言〉を受信した時の仕草だ。反応から見て、モモンガか。

 

「 ・・・はい。はい。・・・!

デミウルゴス様が・・・!? 」

 

 この驚き様、なにかしでかすでもなく、すでに誰かに殺されていたというのか。なるほど手下どもが痛めつけられてもでてこないわけだ。

だがでぇ丈夫だ。ユグドラシルコインで生きけぇれる。が、一体誰が。レベルは一応100だと聞いている。とすれば、殺ったのは、プレイヤーか。

やりかねないのなら、結構覚えがあるが、一番やりそうなのが一人いる。

うちのギルドマスターだ。

 

 

 

 

 

 

 

「 あるじぇんと、お前は強者ならば如何なる搾取もまかり通ると思うか? 」

 

「 急にどうしたんだよ。またペルソナの話か? 」

 

「 オレは常々考えている。己の利益の為に、一体何処まで、どれだけ弱い者から搾り取る事が許されるのか。弱さは罪なのか?強ければ如何なる所業も正当化されるのか? 」

 

「 これまでない以上にこじれてんな、ルル。 」

 

「 社会をみてみろ。貧富の差は大きく拡大し、政府は形骸化して久しく、複合企業が幅を利かせている。大学なんて行けるのはほんの一握り。小学校をでられればいいくらい。お前の身近にもそんな者はいたろう? 」

 

「 前いたクランであった友人がそうだった。彼、両親を早くに亡くしたといっていたな。

骨一つ、残らなかったと。 」

 

「 そう、事故死、過労死。死因は如何様なれど、幼い頃に親と死別したなんて話すらも珍しくなくなってしまった。利便になったのと引き換えにこんな風に、身内の不幸が起きる確率までも多くなっていたこの世界。純粋な食を得るのに、バカのような値がつくようになったこの世。十代にも満たない社会人までもいるこの22世紀。果たして一世紀前のオレたちの祖先は、こんなもの望んだと思うか? 」

 

「 思わんな。かけたっていい。誰一人としてこんなの考えすら及ばんかったろうさ。 」

 

「 ならばこの誰も想像も及ばなかった生き地獄、一体誰が作った? 」

 

「 そりゃ、偉い人か?今の世代の。 」

 

「 そう。現世代の上流階級。特に企業の人間だ。彼らはなんにでも値札をつけたがり、労力を低く見積もって軽視する。だから彼らが死にかけようが、お構い無しに馬車馬のように働かせる。老若男女に関係なく。

奴ら一人一人のオタカラが、この世を腐らせたといってもいい。 」

 

「 お前のペルソナ、オーソドックスな怪盗よりも顔ついたバイクとかの方が合いそう。 」

 

「 ゆえにオレは望む。一世紀後はこうあって欲しくない、とな。 」

 

「 世代が経るごとにより酷くなりそうだが。 」

 

「 今、我々に必要なのは、反逆の意志だとオレは思う。一人一人が、最悪な今を打破しようとすれば、世は完全にとはいかずとも、幾分かはマシになるかもしれない。そう、オレは信じている。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 それはそうと、この鉱脈はなんとか抑えることができたな。あとはイレギュラーさえ起きなければ・・・ 」

 

『 こちら烈怒ふぃーるど!不味いことになった。たっち・みーだ!あのワールドチャンピオンがニブルヘイムからしゃしゃり出てきたぞ! 』

 

「 なんだと!? 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんてことも昔あった。アイツは搾取やら上の支配体制やらに良い感情を抱いてはいない。

他の種族に対して傲慢な姿勢を取り、弱者を虐げるばかりのナザリックなど、やはり嫌悪の対象だろう。

が、ホントにアイツどこいってんだ?実は思いのほか近くにいたりして。

ま、今はアイツの事よりも、この状況だ。事実上、戦闘メイドプレアデスは全滅。あっさりと。生きてはいるが、6人中5人が戦闘不能である。

残ったのはレベル46の敵わないと知ってか降伏しているオートマタ。確か、シズ、だったかな?

 

「 急に聞くようで悪いがいいか? 」

 

「 何ー? 」

 

「 お前の名前なんていうの? 」

 

「 シズ。シズ・デルタ。 」

 

 ああやっぱり、シズでいいらしい。

で、彼女自身も大したことがない。離れた場所で控えていたであろうデミウルゴス亡き今、援軍が来る可能性が高い。ただでさえNPCが一体死んでるのだ。さらに犠牲を増やすわけにもいくまい。考えられるのは、階層守護者かそれと同レベル帯のNPCだろう。こいつらの末の妹とかいうのはギルド武器を守ってるらしいのでまあこれは除外と考えれば、一番ありえるのは、アイツだな。

モモンガは今頃、カンッカンにキレてることだろう。守護者統括はコチラの手に落ち、最強戦力のみならず、階層守護者の一人も独断専行の末に死亡した挙げ句、他にもこうしてNPCが死にかけているときているのだから。本当は何人か始末するところだったが、予定変更。

このまま、あのアンデッドを待つとしよう。この里はヴリヒルドリアの目と鼻の先にある。魔導国にここをくれてやったら、後が怖い。それに後ろにはペロロンもいる。モモンガは強くはでられない筈だ。

そこを叩く。品性の欠片もない、卑劣な行為かもしれないが、こと魔導王に関してはお前もしてきたろう?という返しができる。

直接、アイツとやり合うかもしれんというのに、震えがまるで来ない。アレは抜きん出たプレイヤースキルによって、多くの敵を屠ってきたというのに。

 

「 ・・・なぁ、あるじぇんとさん。 」

 

 後ろに下がっていたペロロンチーノが、オレの元に飛んでくる。その後ろには、彼の手がけたNPCの姿。面倒になりそうだから置いてこいといったはずなのだが。

 

「 何故彼女を連れてきた? 」

 

「 ごめん、後から着けてきたみたい。それよりさ・・・ 」

 

「 デミウルゴスの姿が見えない。さっき殺られたっていってた。 」

 

「 え?あのデミウルゴスが? 」

 

「 一体誰がやったでありんす!? 」

 

「 知らね。だが多分これからモモンガが来ると思う。オレは殺りにいこうと思うが、ペロロン、お前はどうしたい? 」

 

「 ・・・ホントに殺し合う必要あるのかよ。オレが話せば、きっと分かってくれる。 」

 

「 その心は? 」

 

「 オレとモモンガさんは仲が良かった。友だちのいうことなら、聞く耳を持ってくれるさ。 」

 

「 ・・・わかった。では、お前の意思を尊重しよう。 」

 

 そのすぐ後、闇の門が現れ、オレたちに緊張感が走る。〈転移門〉か。そして、この威圧感。やはりか?

その門の中からその異形は現れた。

黒い法衣を纏った、威厳に満ちた様相。手には金色の錫杖。蛇が7つの宝玉を加えたような形状だ。といっても、アレはレプリカだろう。本物は、第八階層でプレアデスたちの妹が管理してるらしい。

それは、白い骸骨そのものだ。まるで全身骨格のように、肉片一つついていない。

が、これはただのスケルトンとはわけが違う。

アンデッドの最上位、「死の支配者」である。

 

「 やってくれましたね、あるじぇんとさん。 」

 

 この声を聴かなくなって、しばらくになっていたな。怒気が含まれているトーンであることを考えるに、予想通り、お怒りのようだな、魔導王サマ?

 

「 久しぶりだな、ポルンガ。実に十年以上ぶりか? 」

 

「 名前を間違えていますよ、あるじぇんとさん。私の名は、アインズ・ウール・ゴウ・・・ 」

 

「 モモンガさん・・・! 」

 

「 ・・・!? 」

 

 モモンガは豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべる。顔を見せなくなって久しかった友人と、唐突に再会したのだからむべなるか。一応、パンドラズ・アクターから聞いてる筈だろうが、いざ会ってみると来るものがあるか。

 

「 ペロロン、チーノさん? 」

 

「 久しぶり、モモンガさん。 」

 

「 話には聞いていましたが、来ていたんですね。 」

 

「 ごめんな、モモンガさん。あの日、どうしてもナザリックには行きづらくてさ、躊躇してるうちに、0時を過ぎてたんだ。

そして気づけばアルベドやルベドに追い回されて、アルベドが狂ったように、『アインズ様の為に死ね』とかっていってくるんだぜ?

怖くて怖くて堪んなかった。 」

 

「 ・・・ 」

 

 うんともすんとも答えぬ、いや、答えられないか。どうやら、ギルドメンバー捜索隊が、ペロロンを殺しかけた事実を、モモンガは重くみているようだ。

 

「 で、そちらの宰相サマの頭を覗いたところ、これまでのお前の、アインズ・ウール・ゴウン魔導国のしでかしを知った。あれで誰か戻って来るもんだと思ってたのか。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 ウルベルトやたっち・みーに、お前はなんて説明するつもりだった? 」

 

「 ・・・ 」

 

「 あまのまひとつややまいこさんに、お前はどの面をさげるつもりだった?ここの里の奴らに、お前はなんていうつもりだった? 」

 

「 ・・・ 」

 

「 だんまりか?モモンガ。 」

 

「 ・・・あの日、クランを去った貴方に、それをいう義務がオレにあるのですか? 」

 

「 クラン云々の話じゃねぇんだ。お前の世界征服とかいう小学生みてぇな野望の為に、一体どれだけの生命を奪った?その所業に、他のメンバーが納得するのか?そんな真似をしておいて、みんなが戻って来ると何故思えた? 」

 

「 貴方にそれをいってなんになる? 」

 

「 言葉のドッジボールをしろよモモンガ。パンドラズ・アクターですらちゃんと受け答えできんだぞ。 」

 

「 オレからもいいかモモンガさん。どうして、ユグドラシルから離れようとしなかったんだ? 」

 

「 ペロロンチーノさん・・・ 」

 

「 オレも弐式炎雷さんも、別のゲームをやろうって誘った。なのにアンタはユグドラシルを続けた。続けようってみんなにいい続けた。オレもモモンガさんとしたかった。スカイ・アーカイブを! 」

 

「 ・・・なんだ、それ。 」

 

「 知らないのか!?透き通るような青い世界で、女子高生たちとイチャイチャするオンラインゲームだよぉ!オレの推しだった特殊部隊所属の気弱系ヒロインの声優が、姉貴だった時の絶望感は計り知れない!モモンガさんにも観てもらいたかった・・・! 」

 

 そういえば、ぶくぶく茶釜さんはエロゲにもでてたんだっけな。それで推しのヒロインができたら、声優が姉だったというのを、ペロロンは何度も経験していると聞いている。が、そんなことはどうだっていい。

 

「 モモンガ、お前はナザリックと仲間、どっちが大事だ? 」

 

 だが、モモンガは何処か元気がなさそうな様子を見せていた。デミウルゴスが死んだのはよほど堪えたのか?いや、それとは違うなにかか。

 

「 ・・・それに関しては今は返答しかねる。オレとしても急な事の連続で、正直、参ってしまっている。 」

 

「 そうか。なら手下を連れてとっとと帰れ。今日のところは見逃してやる。 」

 

「 なら、そうさせて貰いますよ・・・!? 」

 

 その時、モモンガの顔に驚きの表情が浮かぶのがわかった。最初はこちらを出し抜こうという魂胆のフェイクであると疑ったが、それがアイツの得意なブラフではないと知ったのは、すぐのことだ。

 

 オレたちと彼の間に降り注ぐ、橙の光の奔流。

スパークまでしているのをみるに、凄まじい威力であることが伺える。

自然現象ではなさそうだ。

魔法かスキル?にしても、こんなもの見たことない。いや、ユグドラシルの中ではの話だ。別のゲームかなんかで、見たことあるような気がする。

 

「 なんでアリンスか、あれは!? 」

 

「 知らない。あんなのユグドラシルにはなかった! 」

 

「 未知の力・・・まさか竜王か!? 」

 

 オレは歓喜に震えた。ナザリックのせいで飛竜騎兵の里への観光を台無しにされたが、真なる竜王に巡り会えるやもしれないと思えたからだ。

MURは彼らが、ワールドアイテムを持っていなければ防げない、特殊な魔法を使用するといっていた。

それが、アレなのだろうか?

知らぬうちに、モモンガは仲間を連れてトンズラしていたが、そんなことは今はどうだっていい。

今は、この未知のドラゴンを見ることが、大事だ。

オレの隣ではシーザーが身構え、ペロロンもゲイボウを取り出している。

シャルティアも、獲物である槍を取り出している。

 

「〈スクルト〉!〈ピオリム〉!〈バイシオン〉!〈マジックバリア〉!」

 

 オレも、自然と補助魔法をかけていた。これから、まったく知らない、前人未到のドラゴンと戦うのだから。ここまでやらねば、無作法というもの。

 

 

 

 

 そして、蒼天の空にソレは姿を現した。

長いなにかが、地上にいるオレたちを見下ろしている。体系的に、東洋龍だろうか。

それは、こちらに、空を泳いで接近してくる。段々と、こちらからも、その全貌が、分かるようになっていた。

 

「 なんだ、アイツは!? 」

 

 ペロロンが驚愕したのは無理もない。その龍はこの世界の基準でみても、あまりにも異質な風貌をしていたのだ。

全身は緑色。二対の角に、黄色い円が線でつなげられたような模様。

そして、どのドラゴンとも異なる身体的特徴として、長方形のような鱗に、赤い縁取りがなされている。その東洋の要素をまるで感じさせず、寧ろより昔の、超古代文明を思わせるその姿は、まったく新しいドラゴン像をオレに示す。

たっち・みーにウルベルト、お前らがこれをみたら、「 超力変身! 」とかいいだすんだろうか?

 

「 ―――――!! 」

 

 その龍の咆哮が木霊する。魂を震わせるような、凄まじい気迫を感じる。が、ここで引くわけにはいかん。このようなドラゴンと会えたのだ。コイツを、もっとみたい。

 

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