OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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すべてが異なる烈空の竜よ

 そのドラゴンの口に、あの橙の光が収束する。あれが来ると察したオレは叫ぶ。

 

「 飛べ! 」

 

 全員が飛行能力を持っていた為、咄嗟に全員が、ドラゴンの放った光、いや光線と呼ぶべきか。それ を躱す事ができた。地面に着弾した光は、周囲の建物を吹き飛ばし、大地を抉った。

少しでも反応が遅れれば、オレたちもあれに巻き込まれたと思うと、なんとも恐ろしいことか。

だが、このドラゴンはさらなる攻撃をここで繰り出す。なにか光るものがその周囲を漂いはじめる。

岩だ。槍のように鋭利な大岩を召喚したのか。

そしてそれらをオレたちめがけて発射する。

必死に躱し、一部はペロロンがゲイボウで撃ち抜いて破壊する。岩石の弾幕を掻い潜り、こちらも攻勢にでることにした。

 

「〈メラゾーマ〉!」

 

 いつもよく使う、信仰系炎魔法。巨大な火球がドラゴンに降りかかる。が、いまいち効果はないようだ。

 

「 ドラゴンらしく炎は効き目が薄いか。 」

 

「 ならばこれでどうでありんす!

〈魔法最強化LV10モンスター召喚〉! 」

 

 シャルティアは召喚魔法を詠唱した。彼女のビルドは信仰系魔法戦士だと聞いているが、使えたのか。補正は掛からないが、レベル10である以上は呼び出すモンスターは戦力になってくれる筈だ。

こうして姿を現したのは、変なオーラを纏った髑髏である。見た目通り、アンデッドだ。

 

「 精霊の髑髏でありんす!これなら・・・ 」

 

 次の瞬間、ドラゴンはあの光線を、モンスターに向かって放つ。各精霊属性魔法を魔法最強化状態で撃てるという、このアンデッドがヤバいと本能で察知したのか、狙いは正確だった。

 

「 う、嘘でありんしょう!? 」

 

「 60レベルでは相手にもならないか。ならコレだ!〈LV8ドラゴン召喚〉! 」

 

 オレもモンスターを召喚することとした。補正がかかる都合上、さっきの精霊の髑髏よりは保つはずだ。

 

「 いけ、ティガレックス! 」

 

 ここで呼ぶのは轟竜ティガレックス。パンドラズ・アクターと戦った時にもだしたドラゴン。あの時よりはレベルは下がっているが、虎のごとく飛びかかり、もみくちゃに争う様をみるに十分だろうか。まずは、この龍を里から離さなければならない。そして目論見通り、龍はティガレックスに抵抗してその場からその長い蛇のような身体で暴れながら、その場から飛び立っていく。

 

「 ペロロン、里に生存者いるか、探してちょうだい。シャルティアも連れて。 」

 

「 あるじぇんとさんは!? 」

 

「 アレを相手にする。 」

 

「 相手がなんなのかも分かってないのにか!? 」

 

「 確かに、アレがなんなのか、オレは知らん。だがな・・・ 」

 

「 ん? 」

 

「 そこにドラゴンがいるならば、挑まざるを得ない。 」

 

「 変わんないな、そこんとこ。 」

 

「 お前も相変わらずだよ。いくぞ、シーザー! 」

 

「 グゥウウウン!! 」

 

 金の龍の背に乗って、まったく知らぬ未知なる龍を追う。ようやっとオレのしたかったことができた気がする。前日はナザリックのせいでゴタゴタして、せっかく異世界に来たというのに、冒険らしい冒険もできやしない。飛竜騎兵部族の里に来たと思ったら、そこでもナザリックのカスどもが荒らしてやがる始末だ。なんなのあいつら。

 

オレは飛竜が見れると楽しみにしてたんだぞ!?だのにアイツラのイキリムーブの為に、罪のないワイバーンが触れ合う前に死にまくって、オレが一晩眠れずに抱いていた楽しみをぶち壊しにしやがった。

 

モモンガもまともに話をしようともしないしな。

とにかく、里襲撃の主犯であるらしいデミウルゴスを殺してくれた誰かにはグッジョブとしかいいようがない。正直、ホントにルルなのかどうなのかは分からないが、

ありがとう。それしか言葉が見つからない。

 

 それはそうと、あの龍はしつこく噛みついていたティガレックスをようやく引き剥がし、あの光線でトドメを刺したところのようだ。さて、こっからコイツと本格的に殴り合うわけなんだが、どの属性が効くのかを探らねばならない。さっきの〈メラゾーマ〉が効きづらかったのをみるに、炎はやはり効果がいまひとつであるようだ。

 

「〈LV8ドラゴン召喚〉!」

 

 轟竜に続いて、さらなるモンスターを召喚する。

新たに姿を見せた竜は、甲蟲のような黒い外殻と、ステンドグラスを思わせる、美しい翼膜を有し、黄緑色の電気を帯びている。その瞳は、あらゆるものすべてへの怒りと憎悪に満ち満ちていた。

 

「 雷竜ライゼクス! 」

 

「――――!!」

 

 飛竜の敵意に満ちた雄叫びが木霊し、その次に翼を広げて低速に飛行し、龍に突進し、上空に戦いの場を移す。雷を纏ったタックルに怯む龍だが、ライゼクスの後を追い、身体をくねらせる。

オレの視界の前で、二体の龍の空中戦が繰り広げられる。ライゼクスは雷属性のブレスを放つ。龍はまるで止まって見えるかのように、それらを軽々と回避する。

 

ライゼクスはこれをみて、奥の手を使うことにした。自身の鋭利な頭殻に膨大な電力が蓄積し、前後に肥大化した。このモンスターの特徴、「 部位荷電状態 」だ。頭部、翼、尾のいずれか、あるいはそのすべてに電気を蓄えることで、このように状態を変化させ、その部位のすべての攻撃の威力を底上げする。

 

 ライゼクスの放つ、緑色の光弾ブレス。出力向上により先ほどのものより威力を増して、電気はより広範囲に届くようになる。

それらを連続して乱れ撃ちだ。普通ならば、ひとたまりもない筈である。たとえ、100レベルのプレイヤーでさえも。

環境においては雷属性特化ということで対策はしやすい部類ではあり、あまり使われるモンスターじゃなかったが、それゆえに、他のモンスターへの対策を念頭に置くあまり、裏を突かれてコイツにやられる、というのも多かった。

本当のことならば、物理攻撃の方こそ優れているが、弱点を探る都合上、ブレスによる攻撃を選択しているのが現状である。

オレの今のこの姿は、ユグドラシルでのアバターが元だが、このゲームにおいて、属性というのは本当に多く実装されている。

その中でもわかりやすいのはやはり、精霊属性か。

古代ギリシャの時代に提唱され、錬金術士パラケルススがそれぞれに対応した精霊が存在すると定義づけた、四大元素。これに基づいた火、水、風、土の四属性。なんだが、そのまま属性四つというわけではなく、さらに小分けされているのだ。

ライゼクスの雷属性は、風属性の一つに区分されているし、〈メラゾーマ〉は火属性の攻撃魔法だ。

この龍のさっきの岩を飛ばす魔法というかスキルはこの内、土属性だろう。

コイツの弱点は分からぬ以上は、手当たり次第にこの属性のどれかをぶつけていくことになる。

 

 で、あの龍だが、思った以上に、タフだ。アレだけ受けて、多少傷を負う程度ですんでいる。いや、あの分では全然効いてないな。炎に続いて、雷もダメか。

ならばとライゼクスは、その緑の蛇体に突撃する。あの鋭利な頭殻に電気を纏わせ、刃の如く切り裂こうとするわけだ。

対するアイツは、口を開いて、なにかを発射した。光線じゃない。青い波動のようなブレスだ。

それを諸に喰らったライゼクスはたちまち墜落し、地面にその躯体を叩きつけられ、消滅した。

 

「 ならばコイツだ!〈LV8ドラゴン召喚〉! 」

 

 さらなるドラゴンを呼び出す。それまでのワイバーンなどとはまた違った、王道なフォルムのドラゴン・・・というよりは見た目はドラゴンの形をした氷塊とも形容できる。

こんなんだが、れっきとしたドラゴンなのだ。

 

「 青氷の白夜龍! 」

 

 ドマイナーかつ、ライゼクス以上に使われないので、あまり知名度のないモンスター。

名前が似ていることからブルーアイズのパチモノ呼ばわりまでされるが、氷属性に特化し、レベルも十分にあると、個人的な評価の高いドラゴンだ。

最もレベル9ではさらにヤバいのをだせるが、モモンガがみてるやもしれない以上は、アレをだすわけにもいかない。

 

 ブルーアイスは、あの緑色の龍に接近し、氷ブレスをお見舞いする。龍がそれを回避し、光線を発射するが軸を反らしてうまいこと躱してみせる。

そこから再度ブレスを放つと、なんとかそれを命中。

落下しそうになる龍だが、なんとか体勢を立て直し、地面への衝突を阻止してみせる。が、その動きが鈍くなっているのがわかる。

さっきの氷ブレスが効いているらしい。

あの龍の弱点は、氷属性か。

ブルーアイスにさらに氷ブレスを連射させようとするが、そうはさせまいと大岩の弾幕を放つ。

氷の龍にはそれが効いており、そこから光線を放って、消滅せしめた。

さっきから思うが、あの光線、なんという威力なのだろう。

あんなもの連射できれば、確かに怖いものなしだろうな。

そして、その光が、今度はオレとオレを背に乗せたグレイトドラゴンに向けられていることに気づく。

 

「 なるほど。次はオレか。 」

 

「 グゥウ・・・! 」

 

 シーザーも覚悟したか、息を呑んで対峙する。が、このままやられてやるオレではない。

LV8以上の召喚魔法を使用することを渋っているが、こうなってはそうもいってられない。

ある意味、それよりレアな魔法を使うとしよう。

 

「 〈魔法最強化LV8ドラゴン召喚〉! 」

 

 これでこの戦闘で、四回目となるこの魔法で呼び出すのは、ふつくしい白き龍。

 

「 さらに進化せよ、ブルーアイズ!

〈 ドラゴン上位進化 〉! 」

 

 ドラゴン上位進化。召喚したドラゴンを、文字通り進化させる。その分維持の為のMP消費は多くなるが、こうでもせねばやりあえまい。

ちなみにタドコロもできる。

 

 ブルーアイズが進化していく。その身体はより強靭になり、首は三つになる。

額には黒いなにかの模様がはいった。

その出で立ちは、まさしく無敵であり、まごうことなく最強のドラゴンだろう。

 

「 青眼の究極竜! 」

 

 三つの首には白い光が蓄えられ、目前の敵を迎え撃たんとしている。

さぁ、勝負だ。異端の龍よ。

 

「 アルティメット・バースト!! 」

 

 究極竜から放たれる、白き極光と、龍の放つ橙の光線がぶつかり合う。

その衝撃は、辺りをまばゆい光で包み込む。

オレもシーザーも、直視できないほどの凄まじい光量だ。

ただわかるのは、ここまでやってようやく、あの龍の光線と渡り合えたこと。

これだけの威力の攻撃手段。それに相手の行動をみて、的確な攻撃を繰り出せる判断力。

間違いなく、この世界の生物の中でも上澄みの存在だろう。いや、きっと彼は、彼もまた、オレたちと同じく、別の世界から、ここにやってきたのかもしれない。

 

 

 

 光が止んだ後、その龍は依然として健在だった。消耗はしているが、まだまだ元気なようだ。こちらもまだ戦えるが、彼は攻撃を仕掛けてくるでもなく、ただオレをみていた。なにか思うところがあるのだろうか。

少し経つと、その場から飛び去っていった。その緑色の姿は、青空の中に小さくなり、段々と見えなくなっていった。

 

「 思わぬ収穫だった。まさかあんなドラゴンがいるとは・・・ また会おうな。 」

 

「 グゥウ・・・! 」

 

「 怖かったって?悪いなシーザー。でもよくオレを乗せて飛んでくれた。ありがとな。 」

 

「 グゥウン・・・!! 」

 

「 さて、里に戻るか。ペロロンが生き残りを見つけててくれてるといいが・・・ん? 」

 

 その時、オレの視線にみたくないものが移った。地上からオレたちを見下ろす、武装した人間たち。その一人の旗に、見覚えのあるマーク。

そう、あの晩、ファヴニールが焼き殺した奴のものと同じ。

 

また法国だぁ!また法国だぁぁあ!!

 

「 即刻排除せよ!〈魔法最強化イオナズン〉!! 」

 

「 うわぁぁぁあああ!! 」

 

 本来ならばフィースたちを拉致った後にナザリック第九階層にぶちかますはずだったこの魔法は、スレイン法国の連中に炸裂した。

念の為に、爆発の後にシーザーに焼いてもらって、物色を済ませた後に、オレは里に戻ることとなる。

予想通り、ペロロンが生き残った人々を見つけ出し、友好を結んだ後、以降彼らは、都市国家連合、というかタドコロの国の傘下に加わることとなった。今後は、魔導国のような輩を寄せ付けぬように、上位レベルのモンスターを警備として配備するなどの、外部からの防護策を講じることになるそうだ。

彼らには、その中でどうか多くの者を失った悲しみを乗り越え、明日を見据えて欲しいものだ。

 

 

 

 烈空の竜王

 

異名 天空に、座する者

 

レベル 100

 

種族 不明

 

職業 不明

 

 すべてが正体不明の謎のドラゴン。その異様な出で立ちは、明らかにこの世界のそれとは違っている。高威力の破壊光線を連発する他に、いくつもの強力な"技"はもちろんの事、自己再生まで可能となんでもあり。

さらにまだ本気ではないらしく、その全力は未知数。

このドラゴンが一体どこからやってきたのか、まだわかっていない。

真なる竜王と、その母たる存在が関係しているようだが・・・!?

何故、彼がこの世界にやってきたのかは、きっとそのうち、わかるかもしれない。

そして、彼の他にも・・・

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