OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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すべてが謎と冒険なり3

  それから数分後、ヴリヒルドリア武器庫。

ここにはギルドが獲得した武器の多くが納められている。元々ギルドのメンバーが使っていたものや、イベントで入手したものが多く保管されている。剣や弓、斧に盾、ファンタジーじゃよく見る物が多いが、それよりも目を惹くように飾られているものがあった。

 

 銃だ。大凡剣と魔法の世界には似つかわしくない、極めてリアリティのある、ミリタリーチックな銃。

ハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、ライフル、果てはロケットランチャーに、携帯巡航ミサイルなんてのもある。

 

 軍曹のとこのパワードスーツといい、うちは戦争をする気なのだろうか。

いや、しそうだな。魔導国と。

エ・ランテルとその近隣の村々うちのドラゴンの火炎放射で焼き尽くすんだろう。

まぁ、烈怒さんの性格的にそれは避けようとするだろうが。

 

「 はえ~、すっごい銃多い。 」

 

「 これら全部魔導銃だ。うちのギルドは、ガンナーの比率が多くてな。タダノさんだってメイン武器は銃だし、伯爵も聖騎士のくせに二丁拳銃を使う。

素直にあのクレイモア振り回しときゃいいのに。今街にいる中で表立って使わないといえば、オレや廣井さんくらいなものか。 」

 

 タドコロと会話をしているうちに、三人の男の姿が見えてくる。

烈怒さんと、スネークさん、そしてMURさんだ。

 

「 待ったか? 」

 

「 いや、大して時間を食っちゃいない。それよりも、本題に移ろう。 」

 

 三人とオレたち二人で向かい合い、そして烈怒さんが話し始めた。

 

「 呼び出したのは他でもない。ユグドラシルコインを稼ぎたいと思ってな。 」

 

「 NPCが外敵にやられた時の保険か? 」

 

「 それもある。が、それ以上に、ギルドの維持費用が必要になるからな。 」

 

「 ギルドの維持。そうか、差異はあれど、基本的にユグドラシルのシステムに則してるなら・・・ 」

 

「 維持費はかかる。そしてコレが払えんとギルドは崩壊する。コレが活きているということはシステムアリアドネも機能している可能性があるということになる。

ナザリックがわざわざ入り口を封鎖せず、ワーカーなどというネズミを招き入れて、防衛システムの点検を行ったのが、何よりの根拠だ。維持費が掛からないなら、表立って商売もしないからな。

まして下に見ている人間を相手にな。 」

 

 補足するように、スネークさんが説明してくれた。システムアリアドネ。ユグドラシルに存在していたギルド拠点構築におけるルール。基本的にギルドの拠点は一本道で通れるように作らなければならず、これを破ると凄まじいペナルティに追われることになる。その為、どのような拠点でも、外部から入れなくするようには作れない。ナザリックも各階層ごとに〈転移門〉があって、これを使って下の階層に移動すると、以前アウラが得意げになって教えていた。お前一応階層守護者だろそれでいいのかと聞き返してみたら・・・

 

「 大丈夫だって安心しろぉ?どうせ門の位置はAINZ様が任意で変えられるし。それに私に聞かなくてもどうせALBDの頭の中覗くでしょ? 」

 

 とのことだった。

 

「 ということでだ。魔導国がしているように、うちも外部となにかの貿易を結ぶ必要があると感じた。 」

 

「 オラもそれを打診されてここにいるゾ。うちのギルドは都市国家連合内の商人の護衛として高レベルモンスターやギルドメンバーを置いて、その費用と税金、それと冒険者ギルドの仲間の稼ぎで賄ってるゾ。ヴリヒルドリアもなんらかの稼ぎ斑が必要になるゾ。 」

 

 そうか、稼ぎか。現に竜王国から侵入者まで来てしまった以上、ヴリヒルドリアが外部に広く知れ渡るのは必然か。現にナザリックが知って以上は、魔導国にも知れ渡る可能性が高い。竜王国の他の友好関係を結んでいる、聖王国なんかの連中も、うちを知る事になるわけだ。都市国家連合からの人の出入りも多くなるだろう。とすればそれだけ賊が増える可能性も高くなる。ならば烈怒さんのいう通り、貿易によって、世間における一定の地位を獲得した方が無難か。

 

「 とすれば、なにを売りにする?魔導国は農産物を主力にしている。ウチもそうしようとしても、質も供給も高水準のあちらには敵わん。 」

 

「 だからウチは、これでいこうと思ってる。 」

 

 烈怒さんは懐から、ハンドガン型の魔導銃を取り出した。オレが持たされてるのと同じものだ。

名前は、『 サムライエッジ 』という。

 

「 魔導国は、ルーンという技術を導入した武器を売り出そうとしているが上手くいっていない。

そこでオレたちは銃を民間に売り捌こう。 」

 

「 上手く扱うには多少の訓練が必要になるかもしれんが、それは他の武器だって同じだ。銃は剣に比べれば、距離を取る分、比較的安全に立ち回れる。民間ではLV20クラスのモンスターも十分に脅威になる以上、それと接触する可能性が低くなるというのは大きい。弓矢に比べても威力が高く、連射も利く。 」

 

「 あるじぇんと、サムライエッジの威力はどうだった? 」

 

「 例の冒険者に一発撃ったが、目ん玉を片方潰したくらいだ。 」

 

「 いや、十分だ。あのサムライエッジは、リミッターをかけて威力を抑えているからな。レベル差を考慮すれば、本来ならばその冒険者、頭が吹き飛んでいただろう。 」

 

「 これを基準にハンドガン型を製造、量産する運びになるか。 」

 

「 あ待ってくださいよ。資源とかってどうするんすかね? 」

 

「 それには及ばないゾ。以前、オラたちがビーストマンの国を潰しにいったすぐ後に、スネークさんたちが鉱脈を発見、確保したゾ。ここの鉱石を使うゾ。もちろん、他の鉱脈も探すゾ。 」

 

 なるほど。そういえば里からヴリヒルドリアに戻ってきた時にそんな話を聞いてたな。烈空の竜王や魔導国のことで頭が一杯だったから、すっかり忘れていた。だが資源リソースを得られたというのは大きいな。とすれば、問題は誰が銃を造るかだが、これも問題にはならないか。

 

「 うちのガンスミスが忙しくなりそうだ。異業種じゃなければ、過労で死にそうな位には。 」

 

「 その点もある程度改善の目処が立っている。クックルの奴が前に課金して召喚した高レベルオートマタたちにその手の技術を学習させたらしい。 」

 

「 ほう。それならば人手の問題は解消されるか。 」

 

 そうか、クックルの奴、そんなことをしていたのか。そう聞いて思い返されるのは、アウラから聞いた魔導国樹立直後の話だった。

 

 

「 国が立った時大変だったんだよ?エ・ランテルにいた行政官がみんな王国に逃げちゃってさ、政治の仕事が全部ALBDにいったんだから。

宰相レ○プ!ワンマン経営と化した魔導国!!って感じで。 」

 

「 お前らの王様はどうしたんだよ? 」

 

「 AINZ様は全知全能だから(盲信)。

それで、思いついたのが、AINZ様の召喚したエルダーリッチを教育することで、これが上手いこといったんだから助かったよ。

下手したら私もデスクに座らされてたってはっきりわかんだね。 」

 

「 そこ、デスナイトじゃないんだ。 」

 

「 あれに政ができると思う? 」

 

「 ・・・無理だな。 」

 

「 でも行政官たちもバカだよね。王国が腐敗しまくってるのわかってるのに逃げちゃうんだから。

こないだ巻き添え喰らって多分荼毘に伏したよ(タフ)。 」

 

「 腐らせたのは、なんとなんなんだっけ? 」

 

「 犯罪組織と貴族だよ。

ヤクをばら撒いて、違法娼館でウリをさせてたの。セバスがこのウリを一人拾ったのがきっかけでこの犯罪組織もとい114514本指はナザリックの傘下に入ったんだよなぁ(想起)。 」

 

「 そのウリってのは? 」

 

「 今はエ・ランテルにある別館で、メイドとして働きながら、セバスと一緒に末永く幸せに暮らしてるよ。いいなぁ、AINZ様と幸せなキスしたいけどな私もなー。 」

 

 

 

 なんてやり取りを前にしたことがある。エルダーリッチのような、知能のあるモンスターが政治をやれるなら、鍛冶仕事もできるかもしれない。なまじ鍛冶スキルがない分、苦労しそうなものだが、クックルのことだからその点もカバーするだろう。

 

 だが、銃だけではどうも心許ないな。

これまで外部であった中で、ガンナーはシズくらいだ。殆ど言っていいほど普及していない銃だけで売り出すのは不安因子が大きい。

 

「 飛竜騎兵部隊の里に、鍛冶師が何人かいる。彼らにナイフや弓を作って貰えないか掛け合ってみる。 」

 

「 頼む。 」

 

 なにせワイバーンライダーは近接職だからな。その武器を作る為の職人も当然里は抱えていたし、プレアデスに襲われた時には最優先に避難させられていた。現在はウチと同じく都市国家連合に組み込まれる予定であり、ヴリヒルドリアのことも認知している。というかオレが教えた。

 

「 商売相手はどうする? 」

 

「 近場の竜王国を中心に流通させたいと思っている。あとは都市国家連合にも流して、帝国にも売り出す。 」

 

「 カチコミに行くところに売りつけるのか。 」

 

「 まぁ、その点は仕方がない。舐められるくらいなら、まずはシメて、こちらの力を見せるべきだからな。その方が貿易も上手くやれるかもしれない。 」

 

「 あそこの女王は為政者としてはかなり優秀ゾ。クリスタルティアが返り討ちにあったのに、これ以上こちらを安易に敵に回すような真似はしないと思うゾ。 」

 

「 あと考えられるのは? 」

 

「 東に海を挟んで、海上都市ってところがあるゾ。そこにも銃を売り出すゾ。 」

 

「 あといいっすかMURはん。 」

 

「 なんだぞタドコロ。 」

 

「 魔導国のお手つきではあるんすけども、聖王国ってどうすかね?例の教団、南じゃ広まってないんでしょ? 」

 

「 なるほどな、貴族連中が珍しがって金を落とすと。 」

 

 スネークさん、ホント察しがいいなぁ。が、タドコロもいい着眼点だと思った。

聖王国は現在、聖王と並んで魔導王を崇拝する宗教が絶大な影響を与えているが、南側は貴族たちが反発して、これが広まっていない。

貴族といえば、金持ちだ。金持ち相手とあれば、かなりの利益を期待できる。リ・エスティーゼ王国が滅んでしまった以上、聖王国の貴族たちは良い商売相手になり得るだろう。

あの偽の王様の化けの皮を剥がして、貴族共の影響力を強めれば、より商売がしやすくなるかもしれないが、そこまでするかどうかは別の話だ。

 

 だが、他にも売り出せそうな国はなかったろうか。中央は殆ど亜人しかいない。彼奴等じゃ銃の強みを理解できまい。所詮畜生だ。

とすれば西側。スレイン法国は論外。エルフ王国も、エルフ共に銃が合うかどうか。

評議国も例の真なる竜王がいる以上、無理だな。

 

 ならば、今挙がったところで商売をするしかない訳だ。

 

「 纏めると、ヴリヒルドリアは今後、魔導銃火器を中心に外部と交易を開始し、現状その主な相手は竜王国、ならびに都市国家連合とする。海上都市や聖王国にも商品の展開を検討し、法国、評議国、そして魔導国への展開は論外。また銃だけでは不安なので、ナイフや弓もラインナップに追加する。

これでいいな。 」

 

「 概ね、そんなところか。 」

 

「 将来楽しみゾ(オラは人気者)。 」

 

 みな、期待を寄せている。他所にいく機会が増えれば、ようやっと冒険らしい冒険が出来るだろう。

まだ見ぬドラゴン、そう、それこそあの烈空の竜王のような存在にも、巡り会えるかもしれない。

またしても、胸を膨らませるオレだった。

 

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