OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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すべてが謎と冒険なり4

「 はぁ、取ってきて貰いたいアイテム? 」

 

「 そうなんだよ。実はな、こっそりナザリック第一〜三階層の何処かに隠してたのがあるんだよ。多分一目でわかると思うから、頼む! 」

 

 武器庫での商売の相談の後、烈怒さんやタドコロと別れたオレは、ペロロンチーノからこんな頼み事をされた。曰く、アイツがナザリックを去る少し前に、無数に作っていた防具があるらしく、その一部が、シャルティアの守る階層に隠していたらしい。

 

なんでも一つ一つが伝説級クラスの防具なのだが、他人に見せるのは恥ずかしくて隠しきれない何着かを宝物殿から移していたらしい。

場所は忘れたそうだ。

 

ちょうどナザリックでの持ち場なんだからシャルティアに取りに行かせりゃいいじゃないかといったが、

 

「 アイツはバカだから大っぴらに見せびらかしそうで不安なんだよ! 」

 

 まぁ、それはわかる。んじゃお前がいけばいいじゃないかと思うが、曰く怖い思いをしたものだから、ナザリックに近寄りにくくなってしまったらしい。

よほどアルベドやパンドラズ・アクターに追い回されたのがトラウマになってしまったらしい。当の本人は現在牢の中だが、あんなことがあっては仕方あるまい。パンドラズ・アクターは健在だしな。

 

 それで、現状、アルベドから強奪したリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持ってるオレに頼みこむ事にしたらしい。

 

 呆れ返りながらも、後から黒歴史を掘り起こされるペロロンが気の毒なので、引き受けてやる事にした。

この指輪は第八階層より下に行くときに使うものだから、これでわざわざ一〜三階層に飛ぶとはモ゙モンガも夢に思うまい。

 

 ついでに魔導銃火器の性能テストもダンジョンのモンスターで実施することにした。

これなら武器の商品展開の参考にもなるし、オレ自身の手の内も晒す必要もない。

その辺りならば、モンスターのレベルも低い筈だしな。

 

 ナザリックには以前、第九階層に侵入した事があった。あそこは見事な造りとなっていたが、今度はどうだろうか。攻略側のプレイヤーは、基本ROAOGを持っていない。つまり真正面から馬鹿正直に入場する他ないわけだ。

今回敢えて、これを持った状態で第一階層から入るわけだが、果たして、どうなっているか。

 

 

 

 と、いうことで現在ナザリック第一階層、「 墳墓 」にいる。POPモンスターの量産型モモンガことスケルトンの群れを火炎放射器で焼き払っている。

この火炎放射器は神話級の武器だ。範囲はそこそこ広く、威力も十分。こいつら自体炎が弱点なのもあって、スケルトン如き相手にもならない。

あっという間に全滅だ。

ふぅ、こうまで綺麗に仕上がると快感が来るもんだ。

 

 そして、今度来たるは、スケルトンより一ランク上の、エルダーリッチの群れ。

〈火球〉を遠距離から撃ってくる面倒くさい連中だ。が、これもさして問題にはならない。

ここもデスナイトじゃないんだな。

〈 ポケットスペース 〉から新たな武器を取り出す。武器庫でも見たロケットランチャーだ。

これは一見使い捨てに見えるが、すぐに次弾が装填される、烈怒さんやけねでぃーが好きなゲームでいうところの無限ロケランみたいなものだ。

こんなんだが、一応伝説級の魔導銃だ。

 

 破壊の杖から放たれたロケット弾は、中位の下くらいのアンデッドの群れを一撃で殲滅する。

地球なめんな、ファンタジー。なんて昔どっかで聞いたことがあったが、こういうことをいうのだろうか。これや火炎放射器は市場にはグレードダウンして、低レベル層にも扱えるモデルを流通させる手筈となっている。

が、それでも火力は申し分ない。この世界の基準をあてにするならば、そんなに強くない魔獣ならば、そのモデルで対処できるだろう。

 

 ・・・目の前にドアがあるな。この先に小部屋があるらしい。ダンジョンといえば、一度の見落としで足を掬われるなんてのもザラだ。きっちり調べとかないと。

入ってみると、目の前に宝箱があるではないか。

あの強欲な壺と同じくらい強欲なモモンガがこんなところにアイテムを置くとは到底思えない。見え透いたトラップである。が、敢えてその罠、かかってやろうじゃないか。

宝箱に近づくと、地面が怪しく光る。なにかの紋章が浮かび上がる。魔法陣か。何処かに飛ばされるな。

 

 ナザリック特有のトラップ部屋か。果たしてどうなってるのか。一レベルのカスNPCをメイドとして置いてるくらいなのだ。こんなところのNPCを100レベにはしないだろうが、心して置かねば。

実際それくらいだったら、撤退も念頭に置かねばならなくなるし。

ならなんでわざわざトラップに引っかかったのかって話であるが。この先に、なにがあるのかをみたいからだ。オレがいなくなった後、モモンガをギルドマスターに添えてクランを再編したギルド、

アインズ・ウール・ゴウン。彼らは一体、どんなトラップを残したのか。是非みたいじゃないか。どうせ、まだ第一階層なんだしな。

これが第五階層とかだったら、そうもいかないが。

 

 こうして、飛ばされた先は、真っ黒くろな部屋だった。その中で、なにかが群がり、暗闇の中でテカっている。

その中に、ひときわデカいのがいる。王冠被っていて、赤いローブを着ており、錫杖を手に持った・・・あぁ、コイツはよくみた奴だ。

火星で超進化した作品があると、その昔茶釜さんがいってたな。

 

「 ほう。これはこれは新たな侵入者か。 」

 

 何処か、気品を感じさせるそれは、見れば見るほど、並の人間ならば、吐き気を催させる強烈な見た目をしていた。

これは、生かして帰すわけにはいかん。

 

「 吾輩は、この領域の守りを任ぜられております、恐怖公と申しまする・・・ 」

 

 刹那、本能的にオレはソイツに火炎放射器の引き金を弾いていた。紅蓮の炎が、部屋に沸きまくっていた、無数のそれを焼き払う。

やっぱり虫には火だな。エントマにも〈メラミ〉がよく効いたしな。

にしても、こんな部屋よく作ったもんだ。悪趣味なんてもんじゃない。確実に何人か反対したろ、これ。その中に茶釜さんとやまいこさんは確実に入ってる。

 やがて、炎が止むと、そこら中でチリチリと煙が立っていた。密室なものだから咳き込むが、それよりも、奴だ。

 

「 わ、我が眷属が、全滅とな・・・ !? 」

 

 コイツ、アレで生きてんのか?見た目通り、生命力が強いのか、それとも、偶々避けられたのか。改めて、この焦げ焦げの虫けらを観てみよう。

より精巧に、増殖したり飛翔したりするGの再現が為されている。でっかいGそのものだな。

こんななりでイケボなのか。

 

 コイツが眷属と呼んでるのは、さっき焼き尽くした虫どもだろう。なるほど、ここはそういう精神的嫌がらせを旨とした部屋だったらしい。

さっき恐怖公とかいっていたが、そういえばシャルティアがそんなのがナザリックにいるとかいってたな。極めて紳士的な性格で、聞く限りNPCの中ではマトモな感性をしているらしいので、殺すには忍びない。こんな見た目だが。

 

「 おいお前。 」

 

「 な、なんでありまするかな? 」

 

「 邪魔したな。 」

 

 魔法陣に入り、とっとと部屋を後にし、探索を続行した。

こいつにペロロンの隠したアイテムについてなにか知らないか聞いてもよかったが、多分知らないだろうし、熱い視線を向けているであろうホモンガにもその情報が行き渡って面倒になる可能性があるので、それ以上、こいつにはなにもいわない事にした。

にしても、蟲を召喚するNPCか。アイツを思いだすな。

元気してっかな、源次郎。

 

その後、第一階層には無さそうだったので、第二階層に移動し、引き続きアイテムを探した。第二階層は恐ろしいほどになにもなく、ポップモンスターやエルダーリッチが相変わらずうじゃうじゃいるのみ。火炎放射器をぶっ放してるだけで殆ど片がついてしまった。

やっぱ強いな、火炎放射器。

 

 そして三階層。ようやくそれらしいところを見つけた。広場のようであり、ポップモンスターもスケルトンではなく、吸血鬼の花嫁。ここなら確かにありそうだ。

 

「 どうも、お嬢さん方。 」

 

 オレが軽く挨拶を交そうとするが、吸血鬼の花嫁たちはまるで警戒を解こうとしない。まあ、あちらからすれば、まさか友だちの黒歴史を取りにきたなんて思いもしないだろう。とにかく、邪魔なので、例に溺れず、火炎放射器をお見舞いした。

吸血鬼といえどやはりアンデッドなのだろう。効果は抜群であるらしい。

見目麗しい吸血鬼たちが炎に焼かれ、そのこの世のものと思えぬような絶叫が階層中に木霊する。

やがて、ポップモンスターたちは、一体残らず燃えかすとなった。

 

 悪いなシャルティア。だがでぇ丈夫だ。ポップモンスターだから生きけぇれる。

 

「 さてと。ペロロンのアイテムはっと。 」

 

 あちらこちらを探してみる。よほど見られたくないものなのだから、まず目立ちづらいところにあるだろうことは想像につく。

物陰なんかを中心に探りを入れてみると、

 

「 あれ?これか? 」

 

 凄まじいスーツを発見した。それも一着ではなく数着だ。これら全部伝説級以上なのか。

よくこんなところに隠したもんだ。

宝物殿に置ききれなかったということは、これがさらにあるという事か。

モモンガが気づくも時間の問題か。

いや、十年もここにいたんだ。すでに気づいていると考えるのが自然か。

それにしてもすげえ格好だな。

黒字のラバースーツがベースみたいなデザインだが。こんなん確かに他人には見せれないわな。

なんつうんだっけ?大麻人、だったか?それイメージだろうか。

 

ま、とにかくとっとと帰るか。

 

「〈転移門〉!」

 

 オレは闇の門を潜り、ナザリックを後にした。

 

 

 

「 殺したでありんすかぁッ!?あの中の中で吸血鬼の花嫁たちをぉッッッ!? 」

 

「 でぇ丈夫だ。ユグドラシルコインで(強制的に)生きけぇれるさ。 」

 

 帰ったらシャルティアがペロロンと一緒にいたので先のことを話したら、ブチギレられた。

お前ッが多いな。バキかよ。

 

「 まぁまぁ、シャルティア。いいじゃないか。ポップモンスターだぞ? 」

 

「 PRRN様が仰るなら・・・ 」

 

お、割とあっさり引き下がるな。聞き分けはいいらしい。

 

「 ほれ、ペロロン。 」

 

「 あぁ、どうも。 」

 

 例の対魔忍スーツをペロロンに渡す。といっても見られたくないであろう本人に考慮して袋の中に入れてある。

確認してもらったところ、どうやらこれでよかったらしい。

こんなもんよく作ったものだといってみたところ、曰く、

 

「 姉貴も大概さ。 」

 

 とのことだった。どうやら茶釜さんも似たようなことをしていたらしい。そこは姉弟なんだろう。

 

 それはそうと、明日には竜王国にカチコミをかけて脅しに行くんだが、一つ気になることがあった。

 

「 一ついいかシャルティア? 」

 

「 へ?なんでありんす? 」

 

「 お前たちの至高の御方とやらは哀れな竜王国に高レベルアンデッドを売ったと聞かされたが、なんだったかをまだ知らなかった。

教えてくれないか?アイツが連中に売ったモンスターがなんなのか。 」

 

「 なんで知る必要があるでありんす?(疑問) 」

 

「 いやなに、気になっただけだ。

ビーストマン共を相手取るんだから、かなりのレベルのモンスターが今、竜王国にいるわけだから、知っておいて損はないと思っただけだ。 」

 

 実際知りたいのだ。竜王国はモモンガから何を買った?

破滅の王か?精霊の髑髏?それともペイルライダーか?この辺りならばビーストマンたちと殺りあえるだろう。

で、返ってきた答えは、ある意味、あの男らしいものだった。

 

「 デスナイトでありんす。 」

 

「 ・・・は?デスナイトってあのデスナイトだよな?エ・ランテルを練り歩いているという。 」

 

「 そうでありんす。 」

 

 ・・・はぁ、肩透かしだ。まさかデスナイトとはな。流石だモモンガ。格下にはとことん傲慢だ。

呆れるほどに。

中級、40レベル程度のデスナイトを高レベルと称するか。ま、この世界の基準じゃ高レベルなんだろうが、もっといいのあったろうに。

あのビーストマンたちはソウルイーター3体だけで都市が壊滅するくらいなんだから充分ではあるんだろうが、どうせならもう少し強いの寄越せよ。

ビーストマンなんていても、お前さんの得にもならないだろうが。

 

 アベリオン丘陵の亜人どもは鏖にしたのに、ビーストマンには塩対応とは恐れ入ったわ。

 

 また一つ、オレの中で魔導王アインズ・ウール・ゴウンの株が下がったな。

 

「 どうかしたでありんすか? 」

 

「 どうもしない。 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時同じくして、ナザリック地下大墳墓のある、トブの大森林より北、大陸西側でも有数の山脈、アゼルリシア山脈にて。

 

「 グォオオオオオオ!! 」

 

 その異形は、霜の巨人たちを襲っていた。全身が鋼の装甲に覆われたそれは、生物と呼んでいいのかすらわからなかった。

両腕は形状の違う爪を備えており、その脚の膝は髑髏のような意匠がされ、そしてやはり目を引くのは、その両肩の大砲であろう。

頭部の形からかろうじて、竜の類いだとわかるそれに、巨人たちはなすすべがなかった。

一体の霜の巨人が棍棒で殴ろうともまるで通じず、その鋼の爪によって、引き裂かれてしまう。

 

 そして、煩わしく思ったのか、それは背の砲を放って巨人たちを一辺に蹴散らしてしまった。

 

 魔導国の介入前は霜の竜とも有利に戦える、山脈のまごうことなき生態系の頂点だった彼らであるが、それはあまりにも格が違いすぎたのだ。

もちろん、霜の竜など、この鋼の異形の竜にとっては大した脅威にすらならないだろう。

それらを手懐けた、魔導王ですら、ナザリックですらこの「 機巧の竜王 」に敵うかどうかもわかりかねる。

電子の生命息づく世界から来た彼は、ユグドラシルの住民ではないのだから。

なにはともあれ、その日、アゼルリシア山脈から巨人の姿は消えた。

勝利の雄叫びか、竜の叫びが響き渡る。

これは、この余韻に浸り、少し休んだ後に、巨人とは別の生命を消しにかかるだろう。

ひとまずはこの山脈中の、己以外の目に映るすべてが滅び去るまで。

力の誇示こそ、この存在の存在証明なのかもしれない。

 

 次に滅ぶは、ドワーフか。クアゴアか。

いずれにせよ、ナザリックやヴリヒルドリア、都市国家連合が機巧の竜王の存在を知るのは、もう少し先の話だ。

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