OVER ROAD〜すべてが〇〇だったはず〜   作:ニコラス―NICORUTH―

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 最近シャドバが新しくなったと聞いて、初めてみましたが、これが中々面白い。
が、ドラゴン使いの私には、どうも今は冬の時代らしい。


すべては無慈悲に

「 時は来たり。(ライオンキング) 」

 

 どこかの猿の爺さんみたいなことをいいながら、オレは朝日が昇るのを見届ける。今日、この暁の水平線に、勝利を刻むのだ。近場の竜王国に、ドラゴンを伴って脅しをかける。奴らが先日のように舐めた行為がこの先取れぬように。

オレはこの時を心待ちにしていた。かの国の女王のアホ面を拝む、この日を。

 

 MURさんに曰く、竜王国は元々、真なる竜王が拓いた国であったらしく、王族はその血筋であるらしい。

が、所詮は人間。ただの人間が竜王を名乗るとは度し難い。解釈違い甚だしい。許されのはそれこそ将棋の達人くらいなものだ。本当なら殺してやりたいところだが、さすがに現国王を殺るのは不味いということで止められている。ああ、殺してぇなぁ。死んでくれないかな、ドラウディロン。

 

「 荒ぶるなよ・・・荒ぶるなよ・・・ 」

 

 後ろから親より聞いた声が聞こえた。その口ぶりは、オレの感情を見透かしているようであり、振り向くとやはり、この男がいた。

 

「 タドコロ。 」

 

「 お前さALJNTさ、今、竜王国女王殺りてぇなぁって思ったろ? 」

 

「 ああ思った。如何に竜王の血を引いているとはいえ、彼女は人間なんだぜ? 」

 

「 それは思うところがあるのはわかるけどよ、でもさ、お前こうも考えられない・・・考えられなくない? 」

 

「 こうってどういう・・・あっ(察し)。 」

 

 

「 あの国を作った竜王ってよ、なんでわざわざ人と交配して子孫残してんすかね? 」

 

「 そういう癖じゃなかったのか? 」

 

「 そう、ですかねぇ。だったらなんでビーストマンに襲われてる時に、なんもしなかったんだ? 」

 

 確かにそれも気になるところだが、ある程度結論はついているようにも思えた。

 

「 それは竜王国は人間の国で、ドラゴンは異形種だからだろう。元々彼らはこの世界の頂点で、そんな竜王からすれび、人間なんてノミのようなものだ。現女王も、何かしらの事情からの産物だろうし、種の違いからくる偏見故に、あの国の始祖は、ビーストマンの脅威に晒される国民、自身の血縁すらも含めて無視していたんだろうな。

所詮、人間だ、てね。竜王なぞ、名乗るのやめればいいのに。 」

 

「 そんなこと、あり得るんすかね? 」

 

「 あり得るだろ。モモンガを見ろ。アルベドを見ろ。人間を基本下に見ているじゃないか。

ナザリックの連中はレベル1のカスどもですら、人間を見下してる。その竜王にも、同じものがあったんだろう。

それが異形種というものなんだろうさ。 」

 

 そう思えば、竜王国の連中はなんと哀れなことか。竜王というこの世の支配者の築いた国に生きながらも、ビーストマンに狙われ、その竜王にも見放され、魔導国からは良い金づるか何かにしか思われていない。

高レベルアンデットと称して、デスナイトで妥協される。

どこまでもいっても奴らは、格下をコケにするしか能がないし、そんな奴らを頼らざるを得ない。法国も信用ならないしな。防衛費のせいで、経済も疲弊している。

このままではリ・エスティーゼ王国の二の舞いになる可能性だってあり得る。

もはや、詰みであろうが、今回はそんな同国に一石を投じることとした。

オレたちの存在を知らしめ、高レベルのアンデットと言う名のデスナイトを始末することで、魔導国も法国もあてにならないと思い知らせ、ヴリヒルドリアの、そして都市国家連合の力を見せる。

 

 その後は、烈怒さんたちが、民間や軍への魔導銃の販売を開始する手筈となっている。

これによって民衆に身を守るだけの力を持たせることで、庇護下にある事への必要性を失くし、竜王国がナザリックのフォロワーとなることを防ぐ。奴らとのパイプを断つわけだ。

そもそもビーストマンがいなくなった以上は、奴らに魔導国も法国も必要ない。

必要なのは、力だ。

財力に暴力。これらがなければ、竜王国はみるみるうちに滅びゆくだろう。帝国のように属国になったわけでもなければ、聖王国のように、魔導王に心酔するものがいるわけでもない彼らは、魔導国が次なる脅威になり得ることに気づいているだろう。

王国との戦争には承諾したらしいが、それでも一国を潰した以上は、彼らの中にもモモンガが殺戮者に見える者、危険視する者がいるはずだ。そこで都市国家連合と手を結ばせて、対抗させる。

 

 魔導国がこれに対して何かしらのアクションを起こすか、真なる竜王の介入を受ける可能性も考慮する必要があるので、オレだけでなく、タドコロやMURさんも同行し、またヴリヒルドリアにいるギルドメンバーにもスタンバイしてもらっている。

 

 アウラとシャルティアにはモモンガや仲間が来るかもしれない可能性について、なにも伝えていない。彼女たちがナザリックのNPCである以上、止めに入るであろうことが明らかだからだ。前の里のようについてこられても面倒だ。ペロロンチーノにはそんな二人のストッパーとして残ってもらう。

 

 軍曹には、スラリンガルや各種パワードスーツを整備してもらっている。このパワードスーツは高レベルのものなので、戦力になってくれるはずだ。ペロロンチーノ曰く、彼の知りうる限りナザリックの認識しているパワードスーツの最大レベルは昔あまのまひとつが使った80であるらしい。今どきそんなカスみてぇなのに乗るわけないだろ。まして100レベルプレイヤーを相手取るかもしれんというのに。

 

 ユグドラシル衰退の要因となったといわれる事のあるパワードスーツだが、実際は一部のそういうものがお好きな層から根強い支持を受けていた。そのため、パワードスーツ乗り、基パイロットたちは、ひたすらにマシンを研究、強化し、それを共有していき、100レベル付近のスーツなど珍しくもなくなっている。軍曹は、そんなプレイヤーの一人だ。あんなのは他にもいたし、このパワードスーツの自由度からユグドラシルを初めたものもいた。

その点でいえば、確実に一定の成果はだしていたことになる。それでも、サービス終了と相成ってしまったが。

 

 そういえば、パイロット専用の掲示板なんてのも前に見かけたな。覗いたところ、ロボットアニメらしきネタで盛り上がっていた。よくわからなかったが。

 

 そして特に、このパワードスーツの発展に貢献したのは、あのガーネットだという。

 

 このパワードスーツがもとでAOGから出ていった彼は、その後我らがヨトゥンヘイムに移って、ひたすら仲間とメカいじりをしていたらしい。彼をはじめとしたプレイヤーの研鑽の結果、パワードスーツはタンク型や、四脚型、戦車そのものの型まで製作され、幅広いバリエーションが展開されていった。その昔、アイツがいっていたゲームのロボットみたいだ。確かACっていったかな。

 

 軍曹はもっぱらガンダムの話をする。次点でZOIDSとゲッター。その他もろもろ。このなかでオレがかろうじてわかったのは、ガンダムとZOIDSくらいだったが、ガーネットは仲間と似たような話題の話をしていたのだろうな。モモンガの知らないところで。

タドコロといい、ギルドから離れた方が楽しいってどういうことなんだってばよ。

 

 なんでオレがこれを知ってるのかって?前に教えて貰ったのさ。今すぐそばにいるタドコロ本人に。

 

 そういえば、ガーネットのやつは来ているのだろうか。

 

「 どう?いいドラゴンだせそう? 」

 

 おっと、そうだった。今回、力を誇示するために、このパワードスーツで行くか、それとも別ので行くかで協議し、結果、オレのドラゴンを連れて行くことになっている。竜に縁ある国なのだ。ドラゴンはより強大に見えるだろうし分かりやすいだろう。少なくともデスナイトや破滅の王よりかは強いので、我々の力が、魔導王と同等かそれ以上であることを、否応なしに思い知らせるわけだ。

 

「 だそうと思えば。 」

 

 そういって呼び出したのは、この世界に足を踏み込んだあの晩に、共に空を眺めた黒い魔龍。

ようやっと、お前を連れ歩ける。

 

「 おっ、コイツ久しぶりっすねぇ! 」

 

 オレとタドコロはファヴニールの背に乗った。

 

「 あっおい、待てい! 」

 

 MURさんも後から来た。今回、彼には女王との交渉という重要な役割があるので、欠かせるわけにはいかない。

彼も、タドコロの後ろに乗った。

役者は揃った。オレはクックルに、魔導トランシーバーで一言断る。

 

「 なにかあったら伝えてくれ。 」

 

『 了解。 』

 

「 さて、いくか。飛べ、ファヴニール! 」

 

「 グゥオオオン!! 」

 

 ファヴニールはオレの意思を受け、その大きな翼を羽ばたかせた。二度の空へと飛んだオレの頬を涼しい風が伝う。

やはり、この感覚には来るものがある。そしてそれは、後ろの2人も同じであるようだ。

 

「 Foo!気持ちぃぃ〜!! 」

 

「 竜王国はすぐそこゾ。 」

 

 タドコロもMURさんもこの風が心地よいらしい。オレたち千年王国よりも長くこの世界にいるホモの団の二人であるが、だいたいは地上で過ごしている。故にこの空はオレと同じくらい、いや以上に新鮮なのかもしれない。

タドコロはグリフォンやれんごく天馬、それにゲリュオンを連れているが、龍に乗るのはこれが初めてだ。

MURさんはモンクなので、そのままだと空を飛ぶ機会は限られるだろう。

ていうか、彼やKMRさん、異形種なんだよな。タドコロが前そういっていた。

 

 飛竜騎兵部族の里と同じくらいの時間で、建物らしき物が乱立しているのがみえる。

 あそこが竜王国であるらしい。

さあて、竜の血を引く人間。如何なる人物であろうか。

 

 街を空から見渡すと、ちょうど良い広場があった。

よし、あそこに降りるか。

 

「 あそこに着け。 」

 

 ファヴニールはオレの言葉の通りに、指定した場所に停まってくれた。

オレたちはその背から降りる。

辺りには、野菜や果物、肉の並ぶ屋台や、看板の掛けられた武器屋や薬屋らしき建物。どうやらここは民間の居住区のようだ。以前、タドコロが滅ぼしたビーストマン国には、上流階級の居住区画らしく場所があったらしく、おそらくはこの竜王国にも、それが存在している。

というか、王国にも、帝国にも、そして聖王国にもいるのだ。確実に貴族はいるだろう。であれば、銃が売れないかもしれないという懸念は薄まるな。

 周囲には、怯える民間人。無理もないか。ビーストマンがいなくなったと思ったら、それよりも恐ろしい化け物が来たとあっては。

 

「 皆さん落ち着いて欲しいゾ。オラたちは一般人を殺すつもりは無いゾ。 」

 

 MURさんのこの言葉に、人々の緊張が少し和らいだのを感じる。それにタドコロが続いた。

 

「 わが名はタドコロ。都市国家連合より参った(アシタカ)。この国の女王と話したいんだけどさ、お前らどう? 」

 

 どうと聞かれても、どうすべきは判断しかねるのか、国民たちは慌ただしくなり始めた。聞こえないようにしているその声は、こちらにも届いていた。

 

―――どうする?ドラウディロン様のとこに案内するか?

 

―――できるかよ。そんなことしたら、陛下がなにされるか分からないんだぞ?

 

―――おい、コイツラが来たってことは・・・

 

―――クリスタル・ティアでも敵わなかったのか。もうおしまいだ。

 

 ヒソヒソ声は困惑と、絶望に満ちていた。おそらく昨日、アウラとシャルティアが捕らえた冒険者チームが、ヴリヒルドリアに調査にでることが、大々的に国中に報じられていたか、或いはどこからか知れ渡ったのだろう。

 

 元々ビーストマンから国を守り続けていたことと、アダマンタイト級であることを考えれば、彼らのネームバリューはかなりのものである。それこそ、この国の英雄だ。

 

 魔導国でいえば、漆黒の英雄モモンってくらいにはある筈だ。がしかしモモンガやパンドラズ・アクターの世を忍ぶ仮の姿であるモモンと比べて、彼らは所詮この世界基準の強者に過ぎない。結局、なんの成果も挙げられずに、冒険者たちの調査は終わり、オレたちはここに来たのだ。

 

 この絶望感からして、もう片方の守りの要のワーカーチームも、大した連中ではなさそうだな。

用心するとなれば、デスナイトか。

奴ら自体は45レベル相当。敵ですらない。

しかし問題は、こいつらがやられた後、それを察知しモモンガがすっ飛んでくるだろう事だ。

この世界では、デスナイトやソウルイーターは伝説の存在とされている。オレの元いた世界でいえば、伝承に残る幻獣、それこそドラゴンやユニコーンのようなものだ。

ゴルィニシチェやらファフニールのようなものだ。

そのためデスナイトを倒せる存在は、並のアダマンタイト級冒険者にはいないといって差し支えない。

佐々木小次郎のように、バッタバッタと倒せるわけではないのだ。

それこそ、プレイヤーくらいなもの。

そして、召喚ないし、作成するなりして使役するモンスターは、ホストとなるプレイヤーと繋がっている。自身のモンスターがやられれば、それはホストプレイヤーに伝わる。これはこれまで召喚魔法を使っていてわかったことだ。

スキルなんかで作成したモンスターもそうであるなら、この国のデスナイトは、ホストであるモモンガと繋がっている。

つまりデスナイトを倒してしまえば、あのイキリガイコツに私、私、私はここにいると教えるようなものだ。

・・・ぶくぶく茶釜や千年王国の仲間が昔歌ってた歌の歌詞が出てきてしまった。

 

 そのため、ペロロンの黒歴史装備を回収した後、追って会議を開いて一番の議題は、これの対策についてだった。

 

 

 

「 竜王国は魔導国からデスナイトを買ってるか。 」

 

「 乗りこんだとあれば、確実に敵戦力として駆り出されるだろうな。作成スキルの産物か。 」

 

「 死体を媒介にすれば、制限時間がなくなるか。

倫理観を度外視すれば、労力戦力としては申し分ない。

確実にHP1で耐えるしな。いいセンスだ。 」

 

「 しかし、召喚魔法と勝手が同じなら、そのデスナイトは確実にモモンガとリンクしてる。こちらの動きを連中に知らせるのは不味い。 」

 

「 敢えて倒して魔導王を誘き出し、袋叩きにして撃退するというのは? 」

 

「 いや、それ悪手っス。 」

 

「 どういうことだタドコロさん? 」

 

「 アイツはPNTTMEの楽々PK術が身に染みてるんだよ。

だからその場合、その場にいる全員の戦法が分析されて、次がキツくなるんだよなぁ。 」

 

「 あぁ、あれか。 」

 

「 そのぷにっと萌えっていうのは? 」

 

「 昔、クランにいた頃に知り合った奴だ。諸葛孔明に例えられるくらいに戦術に通じていたんだ。オレも教えたろ。

あのPK術の大本は、アイツ。 」

 

「 そうだったのか。 」

 

 

「 あのPK術が一番できてるのがMMNGなんだよ。

偽情報をばら撒くのだって上手いしな。

なんなら今いる戦力、コキュートスやマーレ辺りもついてくる可能性がありますあります。 」

 

「 そいつらもナザリックのNPCか? 」

 

「 最強のホモなんだよなぁ・・・コキュートスは第5回層守護者。BJNTKMKDTが手掛けた物理最強火力を持つ、蟲の王ッス。 」

 

「 うちでいうと、七八銀みたいなビルドか? 」

 

「 そう、ですねぇ。アイツが使ってるのは多分TKMKDTが使ってた刀のどれかですねぇ。五大明王コンボもバッチェ覚えてますよ。 」

 

「 どれかっていうと・・・ 」

 

「 定まらんのも無理はない。タドコロがAOGを抜けた時は、まだ竹やんいたからな。

いなくなったのは、アイツがいなくなったからだ。 」

 

「 アイツとは? 」

 

「 たっち・みーだよ。ニブルヘイムのワールドチャンピオン。 」

 

「 確か、ランキング3位だったよな。 」

 

「 そう。1位と2位がチートがバレてbanされたから、実質ユグドラシル最強のプレイヤーはアイツだ。腹立たしい事にな。竹やんはたっち・みーをライバル視していた。

だから、アイツが引退した時、目的を見失ってそのまま辞めちまった。そう、ウルベルトからそう聞いてる。 」

 

「 多分、武器は斬神刀皇だと思うんすよね。TKMKDTが使ってた神話級の刀っス。引退したなら使い道は無いんで、PRRNのゲイボウみたいにナザリックに置いてってると思うんすよね。 」

 

「 弱点といえば、なにか知らないか? 」

 

「 そうですねぇ・・・確かアイツ防具着れなかったんで、防御力がおざなりになってますねぇ。それにスピードもそんなに速くないから、MURはんとかだったら有利に戦えるっす。 」

 

「 後はオレか。守りが薄いなら、アルティメットドラゴンやガンドラ3体からのレッドアイズ進化で消し飛ばせるな。 」

 

「 街中でガンドラを使うのは不味いと思うぞ。 」

 

「 そうか・・・んで、マーレってのは、アウラの弟でいいなタドコロ? 」

 

「 そうっすね。広範囲魔法に長けたドルイドで、シャルティアの次に強いッス。獲物のシャドウオブユグドラシルも、杖にしてはエラく重くて、それ振り回せるくらいには物理戦もいけるし、回復も自力でできるんだよなぁ・・・やっぱ信仰系は最強だってハッキリわかんだね。 」

 

「 そうでありんす(便乗)! 」

 

「 うわ来た!? 」

 

「 ともかくこいつらを呼び寄せない為には、デスナイトを倒さず無力化する必要がある訳だな。

アンデットだから、大半の状態異常は効かない。多分、エグズキスの腐敗ブレスも今ひとつだろう。 」

 

「 なぁ、あるじぇんと。凍結なんてどうだ?この世界はゲームの中ではない。ユグドラシルとある程度勝手が変わってるなら、物理的に身動きを停止めてしまえば・・・ 」

 

「 そうか。さすがだ烈怒さん。 」

 

「 それ程でもない。で、できそうか? 」

 

 

「 出来るぞ! 」

 

 

 

 

 

 

 

 と、啖呵は切ったものの、実際のところは、かなりキツい。というのも、目の前の冒険者も、ワーカーも、そしてデスナイトも、こちらからしてレベルが低い。そのため加減を間違えれば、もれなくみんな死んでしまう。竜王国や都市国家連合の今後を考えると、こいつらには生きててもらった方が都合が良い。

オレの手持ちのドラゴンたちはみんなレベル90代以上。そのため、ブレスを加減しようが、こいつらはまるで羽虫のように死んでしまう。

とすれば、低レベル帯もいける召喚魔法だが、モモンガや真なる竜王が来るかもしれないリスクを考えれば、MPの消費はなるべく控えたいところ。

 

「 おいお前! 」

 

 そこで、ポケットスペースから取り出したるはこの氷の装飾が綺麗なマジックアイテム。

 

「 セラブレイトを何処にやった!? 」

 

 これは氷結界の儀水鏡。YU-GI-OHイベントで追加されたアイテムである。

コイツを使えば、魔力消費なしで氷属性ドラゴンを呼び出せる。当然、ホストはオレなので、補正は効く。が、維持コストの魔力も必要ない。

 

「 おい! 」

 

 その代わり、一応は制限がある。

まず呼べるのは、召喚魔法〈 氷結界の龍召喚 〉で召喚できる3種類だけであること。

 

「 おい! 」

 

 次に、呼び出せる回数に、限りがあること。

この3種類のうち、1体ずつ。

一度使用すると、再度同じ龍をよべるようになるのに、一日かかる。

 

「 聞いてんのか!? 」

 

 が、こういうMPを温存したい場面では、重宝することは間違いない。オレはこれをイベント入手の分であと50は持ってて、宝物庫に厳重に保管してる。あのダークエルフやペロロンのオナニーの産物には一切触らせない。あの二人に知られる事があれば、モモンガが欲しがるからな。

アウラもシャルティアも、こいつのことは知りさえしない。

アルベドに至っては牢屋の中だ。どうすることも出来やしない。したところで、殺すがね。

あの女じゃ、トリシューラ50体の暴威を凌ぎきれるかどうかねぇ・・・

 

「 おい、ALJNTォ! 」

 

 ん?MURさんがオレを呼んで、ハトが豆鉄砲を喰らったような顔になってしまう。

 

「 どしたMURさん? 」

 

「 MURでいいぞ。 」

 

「 おっそうすか。 」

 

「 おっそうだな。それよりもよ・・・ 」

 

 MURが指さした方向、そこには冒険者やら兵士やらと、それにまじってデスナイトが集まってきて武器を構えてこちらを警戒していた。

一番前の剣士がなんかいってら。

 

「 お前さっきからコイツのこと、チラチラ呼んでただろ? 」

 

「 あぁ、呼んでたよ!まるで相手にされてないみたいだけどな!! 」

 

「 だそうだ。気の毒だから、相手してやれ。 」

 

 MURがいうんだったら、しょうがない。

アイツが例のワーカーチームらしいな。相手してやるか。

 

 

 

・・・すぐ終わりそうだが。

 

「 よぉ、兄さん。で、なんだ? 」

 

「 セラブレイトを何処にやった!?クリスタル・ティアのみんなは!? 」

 

「 お前にそれいってなんになんの? 」

 

「 ふざけるな! 」

 

 おお、そんな迫真の声色にならずともよかろうに。

 

「 来い。 」

 

 オレがマジックアイテムを掲げると、儀水鏡は眩く光を放ち、その中から、氷を纏ったような、青い龍が姿を現す。

前に、ヴィーヴルについて話したな。ワイバーンの原型になったって説のあるフランスの古い伝承のドラゴン。

それら、ワイアームと呼ばれるタイプに近い体型だ。

角が牙が発達した、ヘビに翼が生えたような。

だが、それらと違って、脚はなくとも、腕が発現しており、立派な爪も備わってる。

これもまたドラゴンだ。原典じゃ、海竜族っていうドラゴン族とは別の括りであったらしいが、まぁ、大した違いにはなるまい。

 

 みんな、この龍に見惚れている。まぁ、こんな雪の結晶の集合体みたいなドラゴン、お目にかかるのは、初めてだろうかろな。

 

「 ブリューナク、死なぬ程度に凍らせろ。 」

 

 オレの命をうけたそのドラゴンは凍てつく白き吐息をその雪を顕微鏡で見たようなのをゴツくしたような白い顔の口から放つ。

するとどうだろう。こうるせぇワーカー共も、怯えた兵士も冒険者も、みな一様に凍りついた。もちろん、デスナイトも。

 

 氷結界の龍ブリューナク。このモンスターの名前だ。

原典においては世界を滅ぼしかけたとされる、氷結界の三龍のうちの一角。

いつも使う召喚魔法でいえば、〈 LV6ドラゴン召喚 〉で呼ぶくらいのレベルなので、これでもティガレックスやブルーアイズよりは力は劣る。

が、こいつらの実力を加味すれば、これくらいで充分だろう。

 

 まったくモモンガよぉ、デスナイトごときで妥協するからこうなんのよ。

 

「 戻れ、ブリューナク。 」

 

 氷結界の龍はその場より消滅し、オレたちの前に残ったのは、氷漬けの野郎や女、アンデットと、怯える民間人だけだった。

 

「 なんでもいたします!お命だけはご勘弁を! 」

 

「 娘だけでも、どうか!! 」

 

 ビーストマンとの格の違いを、これだけでも理解頂けたらしい。であれば、してもらうことは一つ。

 

「 お前たちの女王は何処だ? 」

 

「 は、はい。この道を・・・ 」

 

 一般人の女性から、女王のいる城までの道のりを教えて貰った。彼女の側には娘らしき少女が母親の長スカートに隠れている。怖いんだろう。無理もないか。

 

「 ありがとう。 」

 

 そういって、タドコロたちのもとに戻ろうとしたオレは、その少女に呼び止められる。

 

「 あ、あの! 」

 

「 ・・・ん? 」

 

 母のスカートから飛び出した彼女は、足取りが酷く震えていた。殺されるかもしれないと、幼いながらに感じているのだろう。

 

「 〈獅子の如き心〉。 」

 

 恐怖心を取り除く信仰系魔法。これで、オレに怯えず、話ができるはずだ。

 

「 なにか用か?お嬢さん。 」

 

「 ・・・お父さんは何処にいますか? 」

 

「 冒険者? 」

 

「 うん。クリスタル・ティア。 」

 

「 そうか。 」

 

 いえないな。君のお父さんは、君より少し大きいくらいの娘に、お尻に腕を突っ込まれてるなんて。

とにかく、くだんの冒険者チームにいるであろう、この娘の父親を、無事に家族の下へ返してやらねば。

 

 魔導トランシーバーを取り出し、仲間と連絡を取った。

 

「 廣井さん、いいか? 」

 

『 どうしたの、あるじぇんと? 』

 

「 クリスタル・ティアの悪魔合体を見送ってほしい。 」

 

『 いいけどどうして? 』

 

「 無垢な少女が、お父さんの帰りを待ってるらしくてな。その娘の親父だけでも返してやりたい。 」

 

『 ・・・了解。 』

 

 通信はこうして途絶えた。

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